平成12年2月15日

     <母関数から、カタラン数の一般項を求めよう>No

           <未だ見ぬ偉大な数学者たち>へ、

数列の一般項を求めるのに、その数列の母関数を用いると有効なことがあるので、考えてみよう。では、母関数とは何んであるか調べてみます。数列を a,a,a,a,・・・,a,・・・  と表します。

この数列に対して、無限級数:F(x)=a+ax+a+a+・・・+a+・・・

を考え、この関数を母関数といいます。

 ここまでは、昨日までの復習です。今日は、有名なカタラン数{T}の一般項を導きます。

さて、漸化式は何でしたか?これは、平成10年のインターネット活用授業の<水の流れ>授業編「カタラン数と最短経路」

のページを見てください。下のような漸化式の一般項がカタラン数です。 

T=1、Tn=T0Tn-1+ TTn-2+ TTn-3+・・・+Tn-1T0   (n≧1)

この数列の母関数をy=T+Tx+T+T+・・・+T+・・・   とおくと、

今までと、同じで、yにxをかけます。覚えているかな。

(x)=xy=Tx+T+T+・・・+Tn+1+・・・ 

 ここで、前回と違うのは、{F(x)}2  を計算します。

{F(x)}=(Tx)+(T0T+ TT)x+・・・+(T0Tn-1+ TTn-2+ TTn-3+・・・+Tn-1T0)xn+1+・・・ 

となります。変形できたかな。

{F(x)}=T+T+・・・+Tn+1+・・・ 

     =F(x)―Tx   になります。

ここで、F(x)について、2次方程式を解の公式で解いてください。 F(x)={1±√(1−4x)}/2

 ここで、F(0)=0なので、±の負を選びます。正の解を選ぶと、F(0)=1となって、矛盾します。

したがって、F(x)={1―√(1−4x)}/2

 次に、√(1−4x)を無限級数に展開するのです。もちろん、2項定理を利用しましょう。

(1−4x)1/2 =1+C[1/2,1](-4x)+C[1/2,2](-4x)2 +・・・+ C[1/2,n+1](-4x)n+1+・・・

 ただし、前回と同じで、C[n,r]は2項係数を表します。

になったかな。そして、F(x)のxn+1の係数を考えます。係数に気をつけてね。

T=(―1/2) C[1/2,n+1](-4x)n+1

  (―1/2) (-1) n+1n+1{ (1/2) (―1/2) (―3/2)・・・(―(2n-1)/2)}/(n+1)!

 =(―1/2) (-1) n+1n+1{ 1×3×5×・・・×(2n-1)}(-1) n/2n+1 (n+1)!

 =(1/2)( 4n+1/2n+1 )×(1×2×3×4×・・・×2n)/{2n (n+1)!n!} 

=1/(n+1)×(2n!/n!n!)

=1/(n+1)C[2n,n]

ああー。よかった。これで、カタラン数の一般項になったね。皆さん!よく理解して、覚えておいてください。

これで、3時間にわたり、「母関数を利用して、数列の一般項を求める」授業を終わります。

お疲れ様。機会があったら、こんな答案も良いですよ。

     <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

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