平成10年12月8日

問  題

  1^3+2^3+3^3+・・・+n^3={n(n+1)/2}^2  

  を 等差数列を正方形に配置して、証明します。  
<導き方>




このように等差数列を正方形に配置して、各正方形内の数の和をS(n)とおく。
例えば、S(1)=1 ,S(2)=1+2+2+4=9
S(3)=1+2+3+2+4+6+3+6+9=36,・・・,S(n)=?
次ぎに、2つの連続する正方形の作る逆L字形の部分の数の和をT(n)とおく。
例えば、T(1)=1、T(2)=2+4+2=8 ,T(3)=3+6+9+6+3=27,
・・・,T(n)=? (ただし、T(1)=1は特別扱いにする)
そこで、n番目の正方形を考えてみると、第1行の数の和R(1)は
R(1)=1+2+3+・・・+n=n(n+1)/2
そして、第i行の数の和R(i)は R(i)=iR(1)
したがって、n番目の正方形内の数の和S(n)は
S(n)=R(1)+R(2)+R(3)+・・・+R(n)
=(1+2+3+・・・+n)×n(n+1)/2={n(n+1)/2}^2
また、n番目の逆L字形の部分の数の和をT(n)は
T(n)=S(n)−S(n−1)
={n(n+1)/2}^2−{n(n−1)/2}^2
=(1/4)n^2{ (n+1)^2 −(n−1)^2}=n^3
ところで、T(1)+T(2)+T(3)+・・・+T(n)=S(n)

ゆえに、1^3+2^3+3^3+・・・+n^3={n(n+1)/2}^2
すなわち、はじめのn個の立方数の和は第1行の数の和の平方に等しい。

<解説終わり>
<別の考え方1>
自然数の立方和を求めるために、下の図のように、ある規則に従って碁石を並べます。

上の図では、左下から順に正方形ができていて、その1辺にある碁石の数は、順に1個、
2個、3個、4個、・・・となっています。

このとき、順に大きくなっていく正方形に含まれる碁石の個数は、順に
1^2=1
(1+2)^2=9
(1+2+3)^2=36
(1+2+3+4)^2=100
(1+2+3+4+5)^2=225
・・・・・・
で、このとき、これらの数の間には、
9−1=8=2^3
36−9=27=3^3
100−36=64=4^3
225−100=125=5^3
・・・・・・
という関係が成り立っています。
これより、上の図で碁石の色が同じL字型の部分に含まれる碁石の数は、順に
1^3個、2^3個、3^3個、4^3個、5^3個、・・・
で、この正方形全体に含まれる碁石の個数は、自然数の3乗の和になっています。
したがって、
1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+・・・+n^3
=(1+2+3+4+5+・・・+n)^2
={n(n+1)/2}^2

<解説終>

<別の考え方2>
自然数のそれぞれの立方が順次連続する奇数の和に分解できることを利用して、
証明できます。
1^3=1=1・・・・・・・・・・・・・・・・・・奇数が1個
2^3=8=3+5・・・・・・・・・・・・・・・・奇数が2個
3^3=27=7+9+11・・・・・・・・・・・・奇数が3個
4^3=64=13+15+17+19・・・・・・・奇数が4個
5^3=125=21+23+25+27+29・・・奇数が5個
・・・・・・・・・
この両辺をそれぞれ別々に加えてみると、
1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+・・・n^3
={1+3+5+7+・・・+n(n+1)−1}
ここで、一般に、奇数の和はその個数の平方になるから、
すなわち、1+3+5+7+・・・+(2n−1)=n^2 だから、
下線部は奇数が(1+2+3+4+5+・・・+n)個並んでいる。
よって、
1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+・・・n^3
=(1+2+3+4+5+・・・+n)^2
={n(n+1)/2}^2
<解説終わり>


       岐阜県立海津北高等学校 数学科教諭 水野 隆生
       自宅:mizuryu@aqua.ocn.ne.jp


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