平成11年6月12日

             <高貴な未解決問題>

           <未だ見ぬ偉大な数学者たち>へ、

これから、数の不思議(神秘)を研究するために、 あなたは青春をかけてみてください。

現在までに、先代の数学者が青春をかけて、没頭した美しい未解決な 問題を順に紹介します。

 

第2話:「完全数」

 自然数の正の約数について、考えてみましょう。

例えば、6の約数は6=2×3より、1,2,3,6です。

これらを足してみると、1+2+3+6=12となり、ちょうど、元の6の2倍になっています。

 このように、自然数nの正の約数の和が元の自然数の2倍になっているような数を完全数と言い

ます。これは、ピュタゴラス学派(紀元前500〜300年)が自然数の素因数分解の中で、発見

していったと思われます。

 この定義から、最初のいくつかの完全数は、6,28,496,8128,… であることが割

合早くから知られています。

2(6)=2(3×2)=1+2+3+6

2(28)=2(7×4)=1+2+4+7+14+28

2(496)=2(31×16)=1+2+4+8+16+31+62+124+248+496

…………

 ここで、数字P=q×2^(p−1)<qは素数>であるが完全数を考えてみます。

2とqは素数だから、Pは素因数分解されています。

qの約数の和は1+q

2^(p−1)の約数の和は1+2+4+…+2^(p−1)=2^p−1 であり、

P=q×2^(p−1)の約数の和は、掛けてみると、(q+1)(2^p−1)

 一方、Pは完全数だから、Pの約数の和は 2×q×2^(p−1)=q×2^p

両者が等しいことより、 (q+1)(2^p−1)=q×2^p

展開して、比べると、q=2^p−1 それで、qが素数なら、

q×2^(p−1)=(2^p−1)・2^(p−1) 

 そして、 M(p)=2^p−1がメルセンヌ数で、素数なら

P=(2^p−1)・2^(p−1) は完全数になります。

 現在までに、分かっている完全数を順に、書きます。

6(p=2)、28(p=3)、496(p=5)、8128(p=7)、

33550336(p=13)、8589869056(p=17)、

137438691328(p=19)、

2305843008139954128(p=31)

……

そして、今現在の最大の完全数はP=2^859433×(2^859433−1)

という気の遠くなるような大きな数字です。

 さて、完全数の「オイラーの定理」を書く前に、この偉大で有名な数学者を紹介します。

スイスの数学者のオイラーは(Leonhard Euler,1707〜1783)

ヨハン・ベルヌイーにより指導され、ペテルスブルクのアカデミーとベルリンの科学アカデミー

で仕事をした。彼は驚くべき記憶力の持ち主で、1735年に右目の視力を失ったし、また、

1766年には左目の視力も無くした。それにもかかわらず、彼は驚くべき記憶力の助けで、

口述をさせることにより、彼の研究成果を発表し続けたのである。オイラーは最も卓越した数学の

著作家で、13人の子供がいたが、生涯に800以上の論文を書いた。また、パリのアカデミーから

12回も賞を受けている。

 フランソア・アラゴは、次のように述べている。

「オイラーは人が息をするように、鷲が空中にいるように計算をした」と。

オイラーは記号、e,i やxの関数f(x)の記号を導入することにより、数学を系統的にした。

 彼は、微分方程式に偉大な貢献をした。「無限小解析入門」(1748年)は解析学の基礎を与えた。

オイラーは、ベーター関数やガンマー関数、またゼーター関数をも研究した。

 フランスの有名なラプラスは「オイラーを読め、オイラーを読め、彼は万物について私達の師匠である」

と学生たちに言ったそうである。

 お待たせしました。

「オイラーの定理」:nが(2^p−1)・2^(p−1)の形を持ち、2^p−1が素数なら、

そのときに限りnは偶の完全数である・

<証明> 条件が十分であることは、前に述べてあるので、分かりますから、次に必要であることを

示してください。皆さん!考えてください。

 

 皆さんは、21世紀には(今世紀中かも)何番目かの完全数数を見ることができるでしょう。

是非、チャレンジください。完全数数は話題がつきません。

 そこで、問題です。

問題:完全数のすべての約数の逆数の和は2であることを証明してください

<参考文献:素数の不思議:好田順治著(現代数学社)>


   皆さん、証明ができたら、ペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。

<ウサ見日光>からの解答:平成12年4月30日16時43分受信 更新5月14日

「証明」

ある完全数をQとする。

その逆数の和は分母をQにして通分すると

(Q+ん+を+わ+・・・+う+い+あ+1)/Qであり、

Qは完全数であるから ん+を+わ+・・・+う+い+あ+1 はQになり

したがって完全数の全ての約数の逆数の和は常に2である。

<水の流れ:コメント>H12年5月14日記入

<ウサ見日光>からメールの中で、未解決問題を紹介していただきましたので、お知らせします。

「私が考えた奇数の完全数について」、実は、<ウサ見日光>の証明がありましたが、

まだ、不備なところがあるそうですので、次回以降のメールに期待します。

         

    <自宅>   mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

 

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