平成11年9月3日

             <高貴な未解決問題>

           <未だ見ぬ偉大な数学者たち>へ、

これから、数の不思議(神秘)を研究するために、 あなたは青春をかけてみてください。

現在までに、先代の数学者が青春をかけて、没頭した美しい未解決な 問題を順に紹介します。

第3話:「友愛数」

完全数の考えを少し拡張したものとして、”友愛数”(amicable numberあるいはfrienddly number)がある。たとえば、220と284について、それぞれの約数が(ただし、自分自身は除く)の和を作ってみる。

220…1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284

284…1+2+4+71+142=220

のようになり、お互いがお互いの約数の約数の和として表現されることになる。このようなとき、2つの数は”友愛的”と呼ばれ、2数の組を”友愛数”と呼びます。

 さて、220と284が友愛数であることは分かったが、それ以外にも友愛数はあるだろうか。また、友愛数を求めるための何らかの規則性はあるだろうか。L.E.ディクソンの有名な著書「数論の歴史」によると、9世紀にアラビアのタービット・ベン・クッラが友愛数に関する次のような記録を残している。

「もし、h=3・2^n―1、t=3・2^(n―1)―1、s=9・2^(2n―1)―1がすべて素数ならば、2^n・ht と 2^n・s は友愛数である。」

ここで、n=2とすると、h=11,t=5、s=71 となるから、

2^n・ht=220 、2^n・s=284 となって、確かに友愛数220と284が得られる。

おそらくタービット・ベン・クッラ


は、古代ギリシャにおいて知られていた上の友愛数が、      220=2^2・11・5、284=2^2・71の形で表されてることから、友愛数を求める規則性を見いだしたのであろう。彼の見いだした規則は、実は17世紀になって、フランスのフェルマー(1601-1665)が見いだした方法と同じである。1636年のメルセンヌの言明によれば、フェルマーは  2番目の友愛数としての17296と18416を発見したとのことである。そして、友愛数を得る一般的規則についてもメルセンヌあての手紙に書いている。

  5 

  11

  23

  47

  2   

   4

   8

  16

  6

  12

  24   

  48 

 

  71 

 287

1151

 上のように、等比数列2,4,8、…を作り(第2段目)、その3倍の数をその下段に書く。次に、その3倍した数から1を引いた数を第1段目に書く。最後に、6×12−1,  12×24−1、  24×48−1 として得られる数、71,287,1151を最下段に書く。この一覧表において、最下段の数で素数になっているものに注目する。たとえば71は素数である。このとき、71の列の一番上の数(11)とその直前の数(5)がともに素数であれば、71×4=284、 5×11×4=220  として友愛数が求められる。上の一覧表における最下段の数で、71の次の287は素数でないからとばして、次の1151へ進む。これは素数であるから、同様に計算して、次のように2番目の友愛数が求められる。

1151×16=18416  、23×47×16=17296

この方法が無限に続けられることは明らかである。フェルマーの方法を一般式で表現すれば、

 3×2−1

 3×2^2―1

3×2^(n-1)―1

3×2^n―1

   2

 2^2

 2^(n-1)

 2^n

 3×2

 3×2^2

3×2^(n-1)

3×2^n

 

 9×2^3−1

9×2^(2n-3)―1

9×2^(2n-1)―1

もし、3×2^n―1、3×2^(n-1)―1、9×2^(2n-1)―1がすべて素数であれば、2つの数

2^n(3×2^n―1)×{3×2^(2n-1)―1)、2^n{9×2^(2n-1)―1}は友愛数である。こうしてみると、フェルマーの方法は、タービット・ベン・クッラの示した方法と同じである。

 一方、フェルマーと同時代の哲学者・数学者であるデカルト(1596-1650)も友愛数を得る方法を1638年3月31日付けのメルセンヌ宛の手紙の中に示している。それは、次のような方法である。

 まず2の任意のべきを作る。そして、次のようにして3つの数を作る。

@ 2のべきの3倍から1を引く。

A 2のべきの6倍から1を引く。

  1. 2のベキの平方の18倍から1をひく。

 こうして作った3個の数がすべて素数ならば、最初に作った2のべきの2倍と最後に作られた素数(つまり、上のB)との積が友愛数の片方になるとデカルトは述べているのである。

 最初の2のべきを2^(n-1)とすると、3個の数はそれぞれ

@ 3×2^(n-1)―1  A 3×2^n―1    B   9×2^(2n-1)―1

となり、このとき、片方の友愛数は 2^n{9×2^(2n-1)―1} であるとされているから、結局フェルマーの方法と同値であることがわかる。

 ここに、最初のいくつかの友愛数を書いておきます。

(220,284)、(1184,1210),(2620,1924),(5020,5564)

(6232,6368),(10744,10856),(12285,14595)

(17296,18416),(63020,76084),…・

 今までに、友愛数を発見した歴史上の人物を書き添えておきます。友愛数は大きな数なので省きます。

1636年:フェルマー、1638年:デカルト、1770年、オイラー、1946年:スコット

1970年:コーヘン、1985年:リーレ、1993年のも新たに発見されている。

<引用文献:1、数とその歴史53話(上垣 渉、何森 仁):三省堂>

<引用文献:2、素数の不思議(好田順治):現代数学社>

 

 

   皆さん、証明ができたら、ペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。

         

    <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

 

         最初のページへもどる