日常生活の「モンモール」 2時間目

先生:「それでは、2時間目の授業を始めるぞ!前回の課題は何だった。」

生徒:「先生!テストの穴埋め問題でした。ある先生が、5つの空欄のある文章で、5つの
   選択肢の中から異なる選択肢を選んで答える問題を出すと言われましたが、僕、自信
   がないので、直感で答えを書くしかったんです。

   次の2つの方法で答えるなら、どちらが得でしたか。

 Aの方法:5つの空欄に全て同じ選択肢を書く。
 Bの方法:5つの空欄に全て異なる選択肢を書く。


 「もう、テスト終わったけれど、どちらが得だったんですか。教えてください。」
 「前回ヒントとして、期待値で考えてきなさいで、終わっていまーす。」


先生:じゃー、Aの方法から考えるぞ。5つの空欄に全て同じ選択肢を書くのだから、必ず
   1個は正解するね。よって、この正解数の期待値をE(A)とすると、E(A)=1。
   次に、Bの方法はまず、5問だから、異なる5個の選択肢を並べる方法は全部で、

   5!=720通りあることは分かるね。
   そこで、正解数をXとすると、X=0,1,2,3,4,5の場合を調べることはいいね。

生徒:「先生!4問正解ということはないです。」 先生:「そうだったね。悪い悪い」
    X=5のとき、これは正答の1通りしかないね。
    X=3のとき、「先生!モンモールの三角形みていいー」「当然 いいよ」

    X=3のときは、表より10通り。X=2のときは20通り。X=1のときは45通り。
    「X=0のとき、あれ!これは大変不幸な回答方法だけど、完全順列と呼ぶんでしたね。」
    X=0のときは、表より、44通りです。
    次に、正解数をXとする期待値を計算しよう。

生徒:「先生!期待値の計算方法なんて、もう忘れた」「じゃー。ここで、復習するよ」


一般に、ある試行で起こる事象に対して、その値が定まる変量Xが、
X(1)、X(2)、X(3)、・・・、X(n) のいずれかの値をとり、これらの値を
とる確率がそれぞれ、P(1)、P(2)、P(3)、・・・、P(n) であるとき、
X(1)P(1)+X(2)P(2)+X(3)P(3)+・・・+X(n)P(n)
を変量Xの期待値 または 平均 という。
ただし、P(1)+P(2)+P(3)+・・・+P(n)=1 である。


先生:「それでは、生徒諸君!期待値の計算をしてください。」





<以下、計算余白>

生徒:「先生!計算、間違っていない。私、よく間違えるの。」
   「先生!僕のも見に来て。」「あらー。同じになったよ。これは、何を意味するの。」
   「よし、Aの方法とBの方法が同じになったことは。分かった人手を挙げて。」


先生:「要するに、得する方法はないということ。しっかり勉強しないとこれから困ることに
    もなるぞ。」
   「あぁ ー、それから、n=5のとき調べたのだが、一般に、モンモールの三角形の数
    では、期待値も標準偏差もともに1となる分布です。詳しくは下記のここをクリック
    してください。
   【Weekend Matematics】のコロキウム室に、一般の場合について証明し
    てあるから。」
   「さて、日常いくらでも、このような出来事があるからね。他にも考えてみてください
    なんていう宿題もあったぞ。」「ここで、日常の生活の中で、このモンモール問題の
    ような現象は、まだまだ、他にもあるから考えてきたー。」

今までの現象をまとめると、

[教室の席替え問題]
[トランプの番号の不一致問題]
[n通の手紙の宛名の書き問題]
[テストの異なる5個の選択肢入れ問題]

ここで、生徒の発見した現象を書きます。

ただし、7月10日の研究授業までお待ちください。

       岐阜県立海津北高等学校 数学科教諭 水野 隆生
       自宅:mizuryu@aqua.ocn.ne.jp


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