問 題1 3角形ABCにおいて,∠A,∠Bの2等分線が対辺と交わる点を,それぞれ、D,Eとし、 2等分線どうしの交点をPとする。 (1)∠A=∠Bのとき、PD=PEとなることを証明せよ。 (2)逆は正しいか?つまり、PD=PEとすると∠A=∠Bとなるか。 |
コメント 逆が常に正しいとは限らない例です。知っていないと気がつきにくい。 |
証明 ∠A=2α、∠B=2βとする。 ![]() (1)∠A=∠B とすると、α=βだから、△ABPは2等辺三角形となり、AP=BP また、α=βだから、△ABD≡BAEとなり、AD=BEもでる。 よって、PD=AD−AP=BE−BP=PE ∴ PD=PE 証明終 (2) PD=PE かつ2等辺三角形でないような△ABCがあることを確かめよう。 つまり、逆が成立しないことを示しそう。 ![]() PからBC、ACに下した垂線の足を、それぞれ、M、Nとする。 Pは△ABCの角の2等分線の交点(内心)だから、PM=PN。 これと、仮定のPD=PEから、2つの直角三角形PMDとPNEは合同となり、 ∠PDM=∠PEN ・・・@ が得られる。 ここで、MとNの位置関係について、次の場合が考えられる。 場合T:M、Nとも四角形CEPDの辺上にないとき。 場合U:M、Nとも四角形CEPDの辺上にあるとき。 場合V:M、Nの一方のみが四角形CEPDの辺上にあるとき。 場合Tのとき、∠PDM=180゜−(α+2β)かつ∠PEN=180゜−(2α+β)。 ここで、@ より、α=β、つまり、∠A=∠B となる。 場合Uのとき、 ∠PDM=α+2β かつ ∠PEN=2α+β ここで、@ より、α=β、つまり、∠A=∠B となる。 場合Vのとき、Mが四角形CEPDの辺上になく、Nが四角形CEPDの辺上にあるとする ∠PDM=180゜−(α+2β)かつ ∠PEN=2α+β ここで、@ より、α+β=60゜ したがって、∠ACB=180゜−(2α+2β)=60゜ また、∠ACB=60゜であれば、△PMD≡△PNE となり、 PD=PEとなっていることもわかる。つまり、∠A=∠Bとは限らない例が無数にある。 次に、場合Vで、Mが四角形CEPDの辺上にあり、Nが四角形CEPDの辺上にないと するときもまったくの同様である。 以上によって、PD=PEとすると、 ∠A=∠Bとなるか、あるいは、∠C=60゜となる場合がある。 証明終 |
問題2 3角形ABCにおいて,∠A,∠Bの2等分線が対辺と交わる点を,それぞれ、D,Eとする。 (1)∠A=∠BならばAD=BEである。 (2)AD=BEならば∠A=∠Bである。 |
コメント (1)の証明は自明なので省略します。 (2)の問題は、広中平祐著の「学問の発見」という本の中にあったのを覚えています。 AD=BEと2等辺三角形であることは同値であること分かるんですが、これも、逆が簡単 な証明ではない例です。 |
証明(2)最初に、平行四辺形ADFEを作ります。 ![]() 今、AD=BEかつ∠A<∠B仮定すると、AE>BDとなり、 DF>BDを得る。 つまり、∠DBF>∠DFBと分かる。・・・@ ところで、∠DFE=∠EAD<∠DBE・・・A したがって、∠EBF=∠DBE+∠DBF >∠DFE+∠DFB=∠BFE (@とAから) となる。 これは、三角形BFEにおいて、BE=AD=EF に矛盾。 同様に、AD=BEかつ∠A>∠B仮定しても矛盾がでる。 以上から、「AD=BEならば∠A=∠B」が成り立つ。 証明終 |