平成10年9月29日

「水の流れ」夏休み課題研究編

<πの身近な測定方法>
1.動機
日常生活の中にあるものを使って、円周率πを測る方法をいろいろ考えて、πの近い
値を求めてみたいと思った。

2.円について

円とは1つの点から等しい距離にある点をたどったときにできる図形である。
コンパスを使うと、きれいな円が描けます。
『身近な例』1円玉、5円玉、10円玉、500円玉、CD、皿、ボタン、
水の輪(池に小石を投げたときの波紋)

3.円周率 π について

いろいろな大きさの円について、円周と直径を測ってみると、(円周)÷(直径)の値が一定であることが分かります。個の値を π または 円周率 と言います。
πはギリシャ語で「周」という言葉の頭文字です。
π=円周÷直径
また、上の式を書き換えると、次のようになります。
円周=直径×π、円周=2×半径×π と変形できます。
πの値は、3.14159265358979323846・・・・・・、
と無限に続きます。今では、コンピュータによって正確に100億桁近くまで計算されています。πは繰り返すことはありません。πのように、無限に続いて繰り返さない数のことを「無理数」と言います。
数の中には、分数で表せるもの「有理数」と分数で表せないもの「無理数」があります。分数で表される数は小数に直したとき、どこかで割り切れる「有限小数」か、小数点以下のあるところから無限に繰り返す「循環小数」に別れます。
だから、πは分数の形で表すことができません。
◎ 数の分類
有理数 有限小数 0,1,3.14,・・・
無限小数 1/3,22/7,223/71,
335/113,・・・
無理数 √2,√ 10 ,π,・・・
*(注)下線の数字は、πの近い値として、その時代やその国によって今でも使われている数字です。
4.円の面積について
(1)おうぎ形で円の面積を求めてみよう。




上のようにおうぎ形に切って、下のようにおうぎ形を並べてみます。



底辺=円周÷ 2

円の面積= 底辺×高さ=(円周÷ 2)×半径=(半径×π)×半径
=(半径)^2×π
=r^2×π (半径をrとして)
「cbc」さんの指摘により円の面積= 底辺×高さ=(円周÷ 2)×半径=(半径×π)×半径と修正した(平成17年6月27日記述)

(2)バウムクーヘンで円の面積を求めてみよう。




円周=2πr

円を何重もの輪が重なっているバウムクーヘンのように考えます。
(ただし、穴は開いていません)
半径で切り込みを入れて、輪を延ばしていきます。


すると、高さが半径の長さr、底辺が円周の長さ2πrとなる三角形ができます。
この三角形の面積が円の面積です。
円の面積=三角形の面積=底辺×高さ÷2=半径×円周÷2
=r×2πr÷2 =πr^2

5.球の体積と表面積について
半径をrとしたときの球の体積Vと表面積Sを計算する式は
球の体積 V=(4/3)×π×半径×半径×半径
=(4/3)πr^3
球の表面積 S=4×π×半径×半径 =4πr^2

*(注)証明は現段階では、難しいので省略します。
『身近な球の例』野球ボール、ビーチボール、パチンコ玉、地球儀、ビー玉、・・・、

6.π を測ろう

【1】 茶筒でπを測る
<準備するもの> ☆直線定規 、 ☆三角定規2個 、☆糸 、☆茶筒
<求め方の手順>
(1)写真のようにして、三角定規を使って、直径を測ります。



(2)茶筒の周りに糸を巻き、円周を測ります。
(3)(円周)÷(直径)でπを求めます。
<結果>

茶筒 直 径 円 周 円周率 π
6.8cm 21.3cm 3.1324・・・
8.8cm 28.0cm 3.1818・・・
10.25cm 32.5cm 3.1707・・・
【2】 コインでπを測る
<準備するもの> ☆直線定規 、 ☆三角定規2個 、☆糸 、☆百円玉
<求め方の手順>
(1)写真のようにして、百円玉を10個並べて、直径を測ります。



(2)百円玉の周りに糸を巻き、円周を測ります。

(3)(円周)÷(直径)でπを求めます。
<結果>
百円玉 直 径 円 周 円周率 π
測定値 2.25cm 7.15cm 3.1777・・・

【3】 自転車でπを測る
<準備するもの> ☆2台の自転車 、 ☆メジャーと巻き尺 、☆チョーク
<求め方の手順>
(1)写真のようにして、車輪の直径をメジャーで測ります。



(2) 地面にまっすぐな線を引き、タイヤと地面にしるしを付けます。
(3) 車輪が1回転したところにしるしを付けます。

(4)しるしからしるしまでの距離を巻き尺で測ります。
(5)(車輪が1回転する間に動いた距離)÷(車輪の直径)でπを求めます。
<結果>

自転車 直 径 動いた距離 円周率 π
65.0cm 202cm 3.1077・・・
69.5cm 216cm 3.1079・・・

【4】 重さからπを測る
<準備するもの> ☆同じ大きさの厚紙2枚 、 ☆コンパス 、☆定規 、
☆はさみ 、☆上皿自動ばかり器 、☆ 天秤
<求め方の手順>
〔1〕円と正方形の重さから(上皿自動ばかり器)
(1)厚紙に半径10cmの円と、1辺が10cmの正方形を切り取ります。
(2)切り取った円と正方形の重さをそれぞれ、上皿自動ばかり器で測ります。
(3)(円の重さ)÷(正方形の重さ)でπを求めます。
<結果>
重さ(g) 面積(cu ) 円周率 π
11.8g 100π cu 3.189・・・
正方形 3.7g 100π
〔2〕円と正方形や長方形の重さから (天秤)
(1)厚紙に半径10cmの円と、1辺が10cmの正方形を4つと、
1cm×10cmの長方形を2つと、1辺が1cmの正方形を5つ切り取ります。
(2)写真のように、半径10cmの円と、10cmの正方形を3枚天秤にのせます。
<結果> (円の重さ)>(10cmの正方形を3枚の重さ)



(3) 半径10cmの円と、10cmの正方形を4枚天秤にのせます。

<結果> (円の重さ)<(10cmの正方形を4枚の重さ)


(4) 半径10cmの円と、10cmの正方形を3枚、1cm×10cmの長方形枚を 1枚天秤にのせます。
<結果> (円の重さ)>( 10cmの正方形を3枚、長方形枚1枚の重さ)



(5)半径10cmの円と、10cmの正方形を3枚、1cm×10cmの長方形枚を 2枚天秤にのせます。
<結果> (円の重さ)<( 10cmの正方形を3枚、長方形枚2枚の重さ)



(6)半径10cmの円と、10cmの正方形を3枚、1cm×10cmの長方形枚を 1枚、1cmの正方形を4枚天秤にのせます。
<結果> (円の重さ)>( 10cmの正方形を3枚、長方形枚1枚、1cmの正方形 4枚の重さ)



(7)半径10cmの円と、10cmの正方形を3枚、1cm×10cmの長方形枚を 1枚、1cmの正方形を5枚天秤にのせます。
<結果> (円の重さ)=( 10cmの正方形を3枚、長方形を1枚、1cmの正方形 を5枚の重さ)



【 5】 体積からπを測る
<準備するもの> ☆直線定規 、 ☆三角定規2個 、☆パチンコ玉 、☆ビー玉
☆100ccメスシリンダー
<求め方の手順>
(1)写真のようにして、ビー玉とパチンコ玉の直径を測ります。



(2)メスシンダーに水を60cc入れます。

(3)メスシンダーにビー玉を10個入れ、水の増えた量を量ります。



(4) 半径をrとしたときの球の体積Vと表面積Sを計算する式は

球の体積 V=(4/3)×π×半径×半径×半径
=(4/3)πr^3
だから、 π=(3/4)×(V/r^3)に代入して、計算します。
<結果>
10個 直 径 増えた体積 1個の半径 1個の体積 円周率 π
ビー玉 16.8cm 25cc 0.84cm 2.5cc 3.1635
パチンコ玉 11.0cm 7cc 0.55cm 0.7cc 3.1556

7.実験結果
πを測った物 円周率πの値 πを測った物 円周率πの値
茶 筒 A 3.1324・・・ 茶 筒 B 3.1818・・・
茶 筒 C 3.1707・・・ 百 円 玉 3.1777・・・
自転車 A 3.1077・・・ 自転車 B 3.1079・・・
重さ [1] 3.189・・・ 重さ [2] 3.15
ビ ー 玉 3.1635・・・ パチンコ玉 3.1556・・・
8.まとめ
私たちの身近にある生活用品から、かなり正確な円周率(π)を測ることができて、
驚きました。今回の実験で π について詳しく知ることができて、大変良かったです。
今後の課題として、
(1)直径・円周は正確に定規で測る。
(2)重量計をデジタルにして、”mg”まで測る。
(3)何度か同じ実験をして、平均をとる。
(4)ミスシリンダーの目盛りが0.5ccの物を用意する。
(5)厚紙は線に沿って、正確に切る。

この5つに気をつけたいです。そうすれば、もっと正確な π の値を求めることが
出来ると思います。
さらに、もっと別のやり方で π の値を求める実験をしてみたいです。

以上、平成10年夏休み課題研究発表でした。
*(注)これだけのことを、よく考えられたね。<水の流れより>


       よろしくお願いいたします。
              自宅:mizuryu@aqua.ocn.ne.jp


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