「 図形・数の不思議」        平成10年5月8日


<最短シュタイナー問題とモンモール問題=完全順列=攪乱順列>



『1』
 ある市内の4つの高校A,B,C,D校はちょうど4qの正方形の各頂点にあります。この4つの高校を
 インターネットでネットワークを結ぶ計画であります。もっとも短い結び方で、何qの線が必要でしょうか。
 また、その設計図も書いてください。
さあー、みんなで考えよう。誰が一番短いネットワークを設計するかな。

『2』
 集合{1,2,3,・・・,n}(n≧1)上の置換を考えます。
 ちょうどk(k=0,1,2,・・・,n)個の不動点をもつものの個数をM(n,k)で表すことにする。
(注:集合{1,2,3,・・・,n}上の置換を(a1,a2,・・・,an)とするとき、

ai=iを満たす要素iをその置換の不動点と言う。)
このとき、不動点の個数M(n,k)の値を表にします。
注: この表をモンモールの三角形と名づます。
ただし、nは自然数で、 k=0,1,2,3,・・・、n とする。
n\k 0 1 2 3 4 5 6 7
0 1
1 0 1
2301
9860124
4445201001120
265264135401501720
185418559243157021015040
148331483274202464630112280140320

すると、次の性質があります。一度証明にチャレンジしてみてください。
【1】M(n,n)=1
【2】M(n,n−1)=0
【3】M(n,k)=C(n,k)× M(n−k,0) 、1≦k≦n−1
ただし、 C(n,k)は2項係数<組み合わせの記号>とする。
【4】漸化式 M(n,0)=(n−1){ M(n−1,0)+ M(n−2,0)}、n≧2
ただし、M(1,0)=0, M(2,0)=1とする。
【5】横の行の和 (k=0,…,k=n)M(n,k) =n!
【6】一般項 M(n,0)=n!(k=0,…,k=n)(−1)のk乗÷k! <オイラーが発見>
ただし、n≧2
【7】絶対値 |M(n,0)−M(n,1)|=1 ・・・大小は交互
【8】一般項の確率極限 n→∞のとき、 M(n,0)÷n! → 1÷e≒0.3678
【9】一般項 M(n,k)=n!÷k!(k=0,…,k=n-k)(−1)の(n-k)乗÷(n-k)!
平成11年11月11日に、(k=0,…,k=n-k) に訂正しました。(読者の:「Tsubouchi」さんからのご指摘です。感謝!)
ただし、n≧2
ここで、n=5のとき 計算の具体例
M(5,0) =120(1÷2−1÷6+1÷24−1÷120)=44
M(5,1) =120(1÷2−1÷6+1÷24)=45
M(5,2) =120÷2×(1÷2−1÷6)=20
M(5,3) =120÷6×(1÷2)=10
M(5,4) =120÷24×(1−1)=0
M(5,5) =120÷120×(1)=1

【10】(k=0,…,k=n)k×M(n,k) =n!
【11】(k=0,…,k=n)k×k×M(n,k) =2n!

ここで、不動点の個数kを確率変数Xとするとき、
【12】Xの期待値 E(X)=1
【13】Xの2乗の期待値 E(Xの2乗)=2
【14】Xの分散 V(X)=1 ,標準偏差σ(X)=1

以上のことが証明されています。このととを知っていると随分解くのに楽な問題があります。
具体的で身近な出題内容を教えてください。<近年表現が変わっているだけで、よくこの種の入試問題があります。
これも調べて教えてください。>


皆さん!!  どしどし問題を送ってください。
自宅:mizuryu@aqua.ocn.ne.jp


Back