平成14年9月30日

[流れ星]

        第105回数学的な応募問題解答

          <解答募集期間:9月16日〜9月30日>

[等差数列]

   

* 太郎さんは、子供から、次のような問題をもらいました。

p、q(0<p<q)を互いに素である自然数とする。

有限個の正の数からなる等差数列で、その項として、1/p、2/(p+q)、1/q を含むものを考える。

そのような数列の中で、和が最小となるものについて、その数列の公差を、p、qで表せ。

 

そこで、太郎さんは、最初、P=3,q=5として具体的な数字で考えました。次に、一般の場合を考えてください。

ただし、公差は負の数としておきます。

 <水の流れ:一部訂正をし、9月16日午後7時に修正しました。>

 

NO1「H7K」さん           9/16:20時16分 受信 更新9/30

和がもっとも小さくなるのは、a最小,d最大のときである.
等差数列に1/p,2/(p+q),1/qがあることから
xd=2/(p+q)-1/p={2pq-q(p+q)}/pq(p+q)=(pq-q^2)/pq(p+q)=q(p-q)/pq(p+q)
yd=1/q-2/(p+q)={p(p+q)-2pq}/pq(p+q)=(p^2-pq)/pq(p+q)=p(p-q)/pq(p+q)
とかけるので(x,y∈N+)
最大のdは-(q-p)/pq(p+q)*alphaと表せる.(alpha∈N+)
ここで,x*alpha=q,y*alpha=pが成立するが、
gcd(p,q)=1より,(alpha,x,y)=(1,q,p)しかありえない.
d_max=-(q-p)/pq(p+q)

 

NO2「Kashiwagi」さん    9/17:21時44分 受信 更新9/30

<水の流れ:コメント>Kashiwagi」さんは、一部訂正の前の問題を読まれて解かれていました。

今回、問題の途中での変更は失礼しました。お許しください。
 子供からもらったとき、条件がついていましたが、解いていく中でその必要性を忘れていまして、更新をしました。
夕食前に ことの重大性に気がつき 修正しましたし、順序よく、並べてた方がいいのではないかと 思い公差を負に変えてしまいました。
 これが、私の心の動きでした。いち早く 見ておられた
Kashiwagi様には 大変申し訳ありませんでした。

 

 

NO3「浜田」さん          9/18:10時43分 受信 更新9/30

1/p−2/(p+q)={(p+q)−2p}/{p(p+q)}
            =(q−p)/{p(p+q)}>0(∵q>p>0)
  2/(p+q)−1/q={2q−(p+q)}/{(p+q)q}
            =(q−p)/{(p+q)q}>0(∵q>p>0)
  ∴1/p>2/(p+q)>1/q………(1)
 この3数がこの順で等差数列をなすとすると,公差は,
  2/(p+q)−1/p=1/q−2/(p+q)
  ∴1/p+1/q=4/(p+q)
  ∴(p+q)/(pq)=4/(p+q)
  ∴(p+q)^2=4pq
  ∴(p−q)^2=0
 これは,p≠qであることに矛盾する.
  ∴1/p−2/(p+q)≠2/(p+q)−1/q………(2)
 故に1/pと2/(p+q),2/(p+q)と1/qの間には,異なる項数の項が入る.
 1/pと2/(p+q)の間に(m−1)項,2/(p+q)と1/qの間に(n−1)項入るとする(m≠n,m≧2,n≧2).公差をd(<0)とすると,
  md=2/(p+q)−1/p=(p−q)/{p(p+q)}………(3)
  nd=1/q−2/(p+q)=(p−q)/{q(p+q)}………(4)
  ∴md:nd=(p−q)/{p(p+q)}:(p−q)/{q(p+q)}
  ∴m:n=q:p
 p≠qなので,m≠nを満たしている.
 和が最小となるのだから,m,nが最小になればよい(※).p,qは互いに素なので,
  m=q,n=p
 (3)から,d=(p−q)/{mp(p+q)}=(p−q)/{pq(p+q)}
 これはd<0を満たしているので,答である.

補題(※)の証明
 a,bの間に(n−2)個の数が入り,その順に等差数列をなすとする.ただしa>b>0.このときその和は,
  S(n)=n(a+b)/2
 またa,bの間に(n−1)個の数が入り,その順に等差数列をなすとする.その和は,  S(n+1)=(n+1)(a+b)/2>S(n)(∵a+b>0,n>0)
 故に項数が少ない方が和が小さい.

 

NO4「BossF(^o^)」さん    9/18:19時46分 受信 更新9/30

[解]
まず、有理等差数列の公差は有理数である…@ことに注意します。

次に、1/p,2/(p+q),1/q の大小を考えます

1/p-2/(p+q)=(q-p)/{p(p+q)}>0
同様にして容易に
2/(p+q)-1/q>0
すなわち
1/p>2/(p+q)>1/q…A

すると、和が最小となるものを考えるのですから
初項=1/p 末項=1/q なる数列で、項数が最も少ないを考えれば十分です。…B

さて、Aを通分しますと
{q(p+q)}/{pq(p+q)}>(2pq)/{pq(p+q)}>{p(p+q)}/{pq(p+q)} ですから
1/p,2/(p+q),1/q が(この順に)等差数列の項をなす
⇔q(p+q),2pq,p(p+q) が等差数列の項をなす…C

Cの時、その公差d は@Bより整数とできます。
さらに、
q(p+q)-2pq=q(q-p) 2pq-p(p+q)=p(q-p) から、
ldl は、q(q-p)、p(q-p) の公約数であり
項数を最小にするためにはGCMであることが必要です

すなわち ldl=q-p

すると、項数は {q(p+q)-p(p+q)}/ldl=p+q より p+q+1項

以上より最小なる和は
   (1/p+1/q)(p+q+1)/2 …答    

 

NO5「VILL」さん           9/19:23時46分 受信 更新9/30

p=3,q=5のとき,考える3つの数は,
 1/3,1/4,1/5
です。問題から,初項1/3,末項1/5の等差数列を考えます。
次に公差です。
 1/4−1/3=−1/12=−5/60
 1/5−1/4=−1/20=−3/60
ですから,分子が互いに素なので,公差は,
 −1/60n (nは自然数)
とおけます。このときの等差数列の個数は,
 (1/5−1/3)÷(−1/60n)+1=8n+1
ですから,和は,
 (8n+1)/2×(1/3+1/5)=4/15×(8n+1)
となります。これが最小となるのはn=1のときですので,
求める公差は−1/60です。

次に一般に考えます。まず,考える等差数列は,
 1/p−2/(p+q)=(q−p)/p(p+q)=q(q−p)/pq(p+q)>0
 (∵p<q)
 2/(p+q)−1/q=(q−p)/q(p+q)=p(q−p)/pq(p+q)>0
 (同上)
より,初項は1/p,末項は1/qです。
次に公差ですが,上の2つの式から,pとqが互いに素なので,
 −(q−p)/pq(p+q)n (nは自然数)
とおけます。このときの等差数列の個数は,
 (1/q−1/p)÷(−(q−p)/pq(p+q)n )+1=(p+q)n+1
ですので,和は,
 ((p+q)n+1)/2×(1/q+1/p)=(p+q)/2pq×((p+q)n+1)
となります。これが最小となるのはn=1のときですので,
求める公差は−(q−p)/pq(p+q)です。

 

NO6「Kashiwagi」さん    9/20:08時14分 受信 更新9/30

 

NO7「ベクトル ハラ」さん    9/26:14時24分 受信 更新9/30

ベクトル ハラ 

0<p<qであり、公差が負の数なので、1/p、2/(p+q)、1/qの各項は、この順で現れる。
2/(p+q)が1/pのm個あとに、1/qが2/(p+q)のn個あとに現れるとすると、
この等差数列の公差をdとして
2/(p+q)=1/p +md , 1/q=2/(p+q) +nd という関係になる。
この2式を変形すると
md=(p−q)/p(p+q) , nd=(p−q)/q(p+q) より
mとnの比は、
m/n=q/pと表される。
m,nは自然数であり、p,qは互いに素な自然数なので,
kをある自然数として 
m=qk , n=pkである。
このとき公差dは、
d=(p−q)/pq(p+q)k である。
よって、1/pがこの数列の第i項であるときに、この数列の第j項は、
1/p + (j−i)d である。
なお、このとき1/qは第(i+m+n)項である。

この数列の和を、i-1番目以前の項と、(i+m+n+1)番目以降の項の和Sと
i項から第(i+m+n)項までの和で表すと、m=qk , n=pkを代入して、
S+ (p+q){1+k(p+q)}/2pq となる。
この数列の各項は正の数なので、i-1番目以前の項と(i+m+n+1)番目以降の項が存在する場合にはS>0となり、
kは自然数であることから、この数列の和を最小にするのは、i=1かつ、k=1の場合である。
よって、この数列の公差dは(p−q)/pq(p+q)である。

 

 

 

 

 

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