平成11年9月11日

[流れ星]

    第28回数学的な応募問題

 <解答募集期間:9月11日〜9月25日>

[三平方の定理]

 

三平方の定理は、数学の中でも最も大切な定理の1つです。この定理は直角三角形の3辺の長さの間に成り立つ単純で明快な関係を与えています。その応用については、実際に起こりうるような身近な問題を今回は考えてみましょう。

問題1:図のような正方形のチョコレートが3枚ある。このチョコレートを次のように2組に分ける。

大1枚のチョコレートと中・小のチョコレート2枚

 このとき、どちらの組のチョコレートの方が量が多いか、3枚のチョコレートを配置するだけで調べてみることができる。どのように配置すればよいか。ただし、チョコレートの厚さはすべて同じとする。

問題2:図のような形の異なるドーナツ状のクッキー(どれも境界は同心円)が2個あります。1本の糸を用いて、どちらのクッキーの量が多いか調べるには、どうしたらよいでしょうか?ただし、クッキーの厚さはどちらも同じとする。

 <出典:作って試して納得数学:監修秋山仁(数研出版)>

太郎さんは、授業で取り扱い、生徒にどちらを選ぶか考えさせたいと思っています。

 <答と解説> 9月19日更新

(1年家政科・経理家庭科のクラスで、9月17日に授業で行いました)      

 皆さん、三平方の定理を図形的に言うと、「直角三角形の斜辺を1辺とする正方形の面積は、直角をはさむ2辺のそれぞれを1辺とする正方形の面積の和に等しい」ことです。黒板に、図を書いて説明しました。

さらに、a^2+b^2=c^2 が成立します。

 さて、問題1です。皆さんは、ここに、大、中・小の正方形(マグネットシート)を準備しました。黒板に張り付けます。どちらの組を選びますか。「先生!理由も言うのですか。私は2枚の方を選びます」「なぜですか」「何となく大きいように見えたから」「それでは、いけません。ヒント、三平方の定理です」しばらくして、「うまく、配置すれば、理由が分かります」「誰々さん、黒板の前でやってください」 図参考にしてください。

 そうですね。中の正方形と小の正方形を直角に並べて、直角三角形を作ります。この斜辺の長さと大の正方形の1辺長さを比べてみれば、分かります。もし、日常生活の中でこんな場面にあったら、使って、大きい組のチョコレートを選んで下さい。

 次に、問題2を考えてみましょう。ドーナツ状のクッキーの面積を調べてください。外側の円と内側の円の半径をそれぞれ、c、bとおきます。円の面積の公式から、ドーナツ状のクッキーの面積は(c^2−b^2)πですね。よく、見て下さい。今日は三平方の定理の応用です。三平方の定理いうと、c^2−b^2=a^2 です。

ここで、aにあたる長さはどこをさしているか。考えて見ましょう。「どこかで直角三角形を作らないといけないなー、1本の糸で測れるようにね。」しばらくして、生徒を指名したら、黒板に書きてあるドーナツAの内側の円に接する接線を引いて、外側の円の2交点までの長さは、aの2倍になることに気がつきました。図を参考にしてください。

 これから、大きいドーナツ状のクッキーを選ぶときは、1本の糸で測ってから選んでください。三平方の定理はこんな所にも生かされています。        

    <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

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