平成12年12月9日

[流れ星]

        第64回数学的な応募問題

          <解答募集期間:11月26日〜12月10日>

[図形数=m画数]

太郎さんは、本を読んでいると、図形数=m画数の話がでてきます。古くは、ピタゴラスとその学派に人々が研究した最初に人々であった。ここでは、図形数の数列の一般項を考えてみます。

『1』三角数:下の図のように○を並べると、1,3,6,10,15,・・・という数列ができます。このように正三角形をなす数を三角数と呼び、第n番目の三角数をS(3,n)と書くことにします。

『2』四角数:下の図のように○を並べると、1,4,9,16,25,・・・という数列ができます。このように正方形をなす数を四角数と呼び、第n番目の四角数をS(4,n)と書くことにします。この四角数は別名平方数とも言います。

『3』五角数:下の図のように○を並べると、1,5,12,22,35,・・・という数列ができます。このように正五角形をなす数を五角数と呼び、第n番目の五角数をS(5,n)と書くことにします。

『4』六角数:1,6,15,28,45,・・・という数列があります。これを六角数と呼び、今までと同様に正六角形を順に作ることができます。この第n番目の六角数をS(6,n)と書くことにします

 さて、一般に、m画数:1,m、3m−3,6m−8,・・・という数列が得られます。これをm画数と呼び、今までと同様に正m角形を順に作ることができます。この第n番目のm角数をS(m,n)と書くことにします

また、歴史的には、フェルマー(フランス:1601〜1665)が、バシェ版のディオファントスの【算術】に「すべての自然数はm個のm画数で表される。」と書き込んでいます。さらに、ドイツの大数学者ガウス(1777〜1855)も彼が19歳の時に「あらゆる正の整数は高々3個の三角数の和として表される」ことを見つけています。

ここからが、今回の問題です。この数列の一般項をnで表してください。

問題1:S(3,n):1、3,6,10,15,・・・

問題2:S(4,n):1,4,9,16,25,・・・

問題3:S(5,n):1,5,12,22,35,・・・

問題4:S(6,n):1,6,15,28,45,・・・

問題5:一般に、S(m,n):1,m、3m−3,6m−8,・・・

NO1<浜田>さんからの解答 12月5日11時20分受信 更新12月9日

 S(m,n)からS(m,n+1)にかけて,正m角形の(m−2)辺分の○が新たに増加する.その(m−2)辺には,(m−3)個の重複している○がある.したがって, 

S(m,n+1)=S(m,n)+(m−2)(n+1)−(m−3)

       =S(m,n)+(m−2)n+1

 n≧2のとき,

  S(m,n)=S(m,1)+Σ(1≦k≦n-1){(m−2)k+1}

       =1+(m−2)・(n−1)n/2+(n−1)

       =n{(m−2)n−m+4}/2

 これはn=1の場合も成立する.

 以上の結果により,

  S(3,n)=n(n+1)/2

  S(4,n)=n^2

  S(5,n)=n(3n−1)/2

  S(6,n)=n(2n−1)

  S(m,n)=n{(m−2)n−m+4}/2 である.

  PS.すみません.今回はプログラムを作る余裕がありませんでした.師走です.

NO2<ねこ>さんからの情報 12月7日8時50分受信 更新12月9日

こんにちは。ねこです。「すべての自然数はm個のm画数で表される」について調べてみましたのでご報告します。

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m=4はオイラー・ラグランジュの定理(g(2)=4)そのもので、1772年に証明されました。

m=3については、3平方和定理「8n+7の形の数は3個の平方数の和では表されない」を用いて、ガウスが1796年に証明しています。

m≧5については、1813年にコーシーが証明し(*1)、1816年にルジャンドルがこの証明を簡略化しています(*2)。

証明された年が間違えているかもしれませんが、ご容赦ください。

(*1) コーシー全集の(2),VI, pp.320-353に再録された。(*2) 「整数論」第2版の補遺にある。

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<水の流れ:コメント>博識のある皆さんに、驚いています。いろいろな情報には感謝しています。

厚くお礼申し上げます。「整数論」第2版の補遺というのは、著者は誰でしたか?

NO3<Iga>さんからの解答 12月7日16時39分受信 更新12月9日

はじめまして、Igaといいます。恥ずかしながら、解答を寄せているみなさんが使っていらっしゃるような難しい定理は忘れてしまったり、勉強不足でよく知らなかったりが多かったので、蚊帳の外だと思っていましたが、それでもわかる範囲で、興味を持って見させていただいていました。(余りよく考えずに、解答を見てしまうことが多いのですが…)

今回は、何とかできてしまったので、送ります。まだ、メールも初心者なので見にくいかもしれませんがよろしくお願いします。

問題1 三角数 S(3,n) : 1,3,6,10,15,…

     S(3,1)=1

     S(3,2)=1+2=3

     S(3,3)=1+2+3=6

     S(3,4)=1+2+3+4=10

       …       …

     S(3,n)=1+2+3+ ……… +(n−1)+n

   これは、1〜nまでの整数の合計を求めることになるので、一般項S(3,n)=n(n+1)/2

   1〜nまでの整数の合計の求め方は、以下の方法が有名ですね。

        1+  2  + 3 + ………… +(n−2)+(n−1)+n

    +)  n+(n−1)+(n−2)+ ………… +  3  +  2  +1

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

      (n+1)+(n+1)+(n+1) ………… +(n+1)+(n+1)+(n+1)

      =(n+1)×

   よって、合計はn(n+1)/2となるわけですね。

問題2 四角数 S(4,n) : 1,4,9,16,25,…

   正方形に並んだ○の個数なので、単純に平方数ですね。

 S(4,1)=1^2=1 S(4,2)=2^2=4 S(4,3)=3^2=9 S(4,4)=4^2=16

  …     …   S(4,n)=n^2

問題3 五角数 S(5,n) : 1,5,12,22,35,…

   とりあえず階差数列をとってみると 4,7,10,13,… ,3n−2,3n+1  となるので、

     S(5,n)=Σ(3n−2)

           =3×n(n+1)/2−2n

           =(3n^2+3n−4n)/2

           =n(3n−1)/2

問題4 六角数 S(6,n) : 1,6,15,28,45,…

   問題3と同様にすると、階差数列が 5,9,13,17,…,4n−3,4n+1 となるので、

     S(6,n)=Σ(4n−3)

           =4×n(n+1)/2−3n

           =2n^2+2n−3n

           =n(2n−1)

 

問題5 m角数 S(m,n) : 1,m,3m−3,6m−8,10m−5,…

問題3や問題4と同様にやってもでるのでしょうが、せっかく問題1から4までやったので、それを利用する方法を考えてみた。

問題1の三角数から、問題4の六角数までを表のように並べます。

     n番目  1  2   3   4   5    6 ・・・  n

 m角数 3角数  1  3   6  10  15   21 ・・・  n(n+1)/2

    4角数   1  4   9  16  25   36 ・・・  n^2

    5角数   1  5  12  22  35   51 ・・・  n(3n−1)/2

    6角数   1  6  15  28  45   66 ・・・  n(2n−1)

         …   …  …  …  …   …    … …   …

    m角数  1  m 3m-3  6m-8  10m-15  15m-24

       −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  m角数のmの係数を順に書いてみると、0,1,3,6,10,15になっていて、これは三角数の行の数列を1つずらしたものであることに気がつきます。

従ってm角数のn番目のmの係数は、n(n−1)/2になることがわかります。また定数の部分はn(n−2)であることも容易に気がつきます。

  したがってm角数のn番目の一般項は、

    S(m,n)=mn(n−1)/2−n(n−2)

          =n{m(n−1)−2(n−2)}/2

          =n(n−1)(m−2)/2−n(n−2)   と求められました。

<水の流れ:コメント>大変綺麗な規則性を発見されたことに驚きました。これからもよろしくお願いします。

   <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

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