平成13年10月31日

[流れ星]

        第85回数学的な応募問題解答

          <解答募集期間:10月16日〜10月31日>

[極大値と極小値の差]

 今、太郎さんは学校で微分法・積分法を教えています。使用している補助教材の中にこんな問題がありました。
「xの3次関数 f(x)=ax+bx+cx+d (a>0)がx=αで極大値をとり、x=βで極小値をもつとき、
極大値と極小値の差をα、βで表せ。」


10月23日に「浜田」さんから訂正のご指摘を受け取りました。次のようにします。
「xの3次関数 f(x)=ax+bx+cx+d (a>0)がx=αで極大値をとり、x=βで極小値をもつとき、
極大値と極小値の差を
a、α、βで表せ。」
問題1.導関数f′(x)=0が異なる2つの実数解を持ち、その解がα、βであることを利用して解いてください。

問題2.関数f(x)を微分すると、f′(x)ですが、逆に、

であることを利用しても解けます。一度チャレンジください。

 
NO1「
BossF」さんからの解答 10/16:18時12分受信 更新10/31

問題1
[解]
f ’(x)=3ax^2+2bx+c…@ であるから、
解と係数の関係より
α+β=-2b/3a,αβ=c/3a…A
さて
f(α)-f(β)
=a(α^3-β^3)+b(α^2-β^2)+c(α-β)
=a(α-β){α^2+αβ+β^2+(b/a)(α+β)+(c/a)}
=a(α-β){α^2+αβ+β^2+(-3/2)(α+β)^2+3αβ}(∵A)
=(a/2)(β-α)^3 …答
 
問題2
[解]
まず一般に
∫(β〜α) a(x-α)(x-β)dx=(a/6)(β-α)^3…B
であることに注意する。
さて
f(α)-f(β)
=∫(β〜α) f ' (x)dx
=∫(β〜α) 3a(x-α)(x-β)dx(∵@)
=(a/2)(β-α)^3 (∵B)…答

注∫(β〜α) はβからαまでの積分のつもりです
皆さんはどう書いておられるのですか?


NO2「浜田」さんからの解答 10/23: 8時17分受信 更新10/31

(x)=ax^3+bx^2+cx+d(a>0)
  f'(x)=3ax^2+2bx+c=3a(x−α)(x−β)(α<β)
であるから,
  α+β=−2b/(3a),αβ=c/(3a)………(1)
  ∴b=−3a(α+β)/2,c=3aαβ
  ∴f(α)−f(β)=a(α^3−β^3)+b(α^2−β^2)+c(α−β)
          =(α−β){a(α^2+αβ+β^2)+b(α+β)+c}
          =(α−β){a(α^2+αβ+β^2)−3a(α+β)^2/2+3aαβ}
          =a/2・(α−β){2(α^2+αβ+β^2)−3(α+β)^2+6αβ}
          =a/2・(α−β)(−α^2+2αβ−β^2)
          =−a(α−β)^3/2
          =a(β−α)^3/2………(2)
 しかしここで次の疑問が起こる.問題では極大値と極小値の差をα,βで表せとなっている.上の答では,a,α,βで差を表している.これでよいのか?
 確かにaをα,βのみで表すのは無理なようである.a,b,cは3つであり,α,βは2つである.つまりa,b,cを変数,α,βを定数と考え,2つの方程式からなる連立方程式(1)を解こうにも,これでは不定である.
 もし(2)の答でよいとなれば,(2)の計算はほとんど無意味ではないか.つまり答を,
  f(α)−f(β)=(α−β){a(α^2+αβ+β^2)+b(α+β)+c}
とa,b,c,α,βで表したままでもいいのではないか.aを使ってよいのなら,b,cを使ってもよいはずである.極端に言えば,
  f(α)−f(β)
のままでも,問題の要求に,数学的には十分応えているのではないか(α,βを使っているという意味で).
 常識的に考えれば,
  f(α)−f(β)=(α−β){a(α^2+αβ+β^2)+b(α+β)+c}
くらいの計算で答としていい訳がないだろう,もっと計算しろ,となるのだが,常識と数学は違っていてもかまわないはずである.数学は世間一般の常識や社会情勢に左右されるものであってはならない.
 問題を,a,α,βで表せ,というように訂正する必要があるのではないでしょうか.

PS.
  f(α)−f(β)=∫(α,β) f'(x)dx
         =3a∫(α,β) (x−α)(x−β)dx
         =3a・{−(α−β)^3/6}
         =a(β−α)^3/2

<水の流れ:お詫びと訂正のコメント10/23> そうだったか。f(x)=ax^3+bx^2+cx+d(a>0)としてあります。ご指摘のように、a(β−α)^3/2となります。何も不思議に思わなかった私は感覚が鈍っていました。以後、問題作成には細心の神経を払っていきましから、今度もよろしくお願いします。

 したがって、早速「問題を,a,α,βで表せ,と訂正します」

 

NO3「kashiwagi」さんからの解答 10/23: 14時17分受信 更新10/31

1.題意より以下の式が成立します。

       (x)=ax3+bx2+cx+d ―――@

       f’(x) = 3ax2+ 2bx+ c ―――A

       3次関数がx=α、βで各々極大値と極小値を持つことから、その導関数である@式は2根α、βを持つ。又、a>0よりα<β ―――B

       α、βは異なる実数根であるから、D’ = b2−3ac>0 ―――C

       極大値と極小値の差はf(α) −f(β)であるから、@にα、βを代入し整理すると、

(α) −f(β)=(α−β){a(α+β)+b(α+β)+c−aαβ} ―――D

ここでA式の根と係数の関係から、b=−3a(α+β)/2、c=3aαβ

であるから、これをD式に代入し、整理すると

(α) −f(β)=a(β−α)/2となる。

 

 

問2.

       A式の根がα、βであるから、f’(x) =3a(x−α)(x−β) ―――Eと書ける。

これをもう少々変形すると、3a{(x−α)−(β−α) (x−α)} ―――F となる。

○因って、f(x) = ∫f’(x)dx +Cに代入し、βからαまで積分すると、

 (α) −f(β)=a(β−α)/2となる。

 

 

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