平成14年5月18日

[流れ星]

        第97回数学的な応募問題解答

          <解答募集期間:5月1日〜5月18日>

[正96角形]

   

太郎さんが勤務している職場の先生から、ある新聞の「余録」欄に掲載されて記事を紹介されました。引用します。

『「円周率は3.14でいいと思いますか、およそ3の方がいいと思いますか」。記者団に問われて、福田官房長官は「私だったらもっと言えますよ。3.14159265358とかね」▲小数点以下11桁まですらすら言って「早く計算するときもあるから考え方だと思います。しかし、3は覚えられるけど、3.14は覚えられないというのはちょっとおかしいな」と感想を付け加えた。▲円周率は3.14を使うが、新指導要領に「目的に応じて3を用いてもよい」とあるために混乱を招いた。円周率をπ(パイ)というのは周りや円周を意味するギリシャ語ペリメトロンの最初の文字がπだからだ。日本の教科書の円周率は普通まわりの3.14と大回りの3の二本立て▲「アルキメデスの原理」で有名なアルキメデスは、円に内接する正6,12,24角形の周りを順々に計算し、正48,96角形になったところで3.14163の円周率の近似値を出した。紀元前3世紀で小数点以下3桁まで進んだのだから、21世紀になってわざわざ3に退行することはない▲・・・』この記事を読んで、アルキメデスが挑戦した正96角形の1辺を求めたくなりました。勿論、三角関数の知識は未だ知りません。だから、三平方の定理や無理数の存在は知っていたと思われます。出来る限りアルキメデスが考えたと思う方法で考えてくだされば、幸いですが、どんな考え方でも構いません。ここでは、半径1の円に内接する正n角形の1辺の長さを求めることにします。答えは無理数でお願いします。

問1.半径1の円に内接する正12角形の1辺の長さ

問2.半径1の円に内接する正24角形の1辺の長さ

問3.半径1の円に内接する正48角形の1辺の長さ

問4.半径1の円に内接する正96角形の1辺の長さ

 さて、現在高校生は三角関数の極限lim(θ→0)sinθ/θ=1を習っています。(ただし、θは弧度法)この定理を利用して、

問5.半径1の円に内接する正n角形の1辺の長さを三角関数を用いてnで表してください。

問6.半径1の円に内接する正n角形の周りを求めて、半径1の円周をn→∞にしたときの極限として、求めてください。

 

NO1<kasiwagi>さんから5/1 16:31 受信 更新5/18

第97回解答

正n角形の一辺の長さをXn、正2n角形の一辺の長さをX2nとし、正n角形を構成する一つの三角形の垂線をYnとすると、三平方の定理より

  (1−Yn)+(Xn)/4=(X2n)

  (Yn)+(Xn)/4=1

これらの関係より

(X2n) −4(X2n)+(Xn)=0

即ち、X2n)=2−√(4−Xn)

この式に基づき計算した結果を以下の表に示す。

Xn)

X2

3

3

6

1

(√6−√2)/2

12

2−√3

(4−√6−√2)/2

24

2−√(2+√3)

[2−√{(4+√6+√2)/2}]

48

2−√{2+√(2+3)}

√〔2−√[2+√{(4+√6+√2)/2}]〕

因って求めるものは、

@(√6−√2)/2

A(4−√6−√2)/2

B√[2−√{(4+√6+√2)/2}]

C√〔2−√[2+√{(4+√6+√2)/2}]〕となる。

因みに正48角形と正98角形の一辺の長さを使いπの値を計算すると、

各々3.1395と3.1412となる。アルキメデスの偉大さに脱帽です。

 

D次に上記の図形に三角関数を適用する。正n角形を構成する一つの三角形の中心角  は2π/nであるから、

Xn=2sin(π/n)が求めるものである。

 

E正n角形の周囲長の合計はnXn=2nsin(π/n)である。このnを大きくし、無限大にすれば円周の長さになるので、条件の極限式を使い、

 円周の長さ=n→∞ ( lim 2nsin(π/n) )

       =(π/n)→0 ( lim 2π{ sin(π/n)/ (π/n)})=2πとなる。

 

NO2<H7K>さんから5/2 17:29 受信 更新5/18

一応解きましたが、こんな複雑な答えでよろしいのでしょうか。

1.求める数をa_1とすると、

a_1^2=1^2+1^2-2*1*1*cos30°=2-sqrt(3)
∴a_1=1/2(sqrt(6)-sqrt(2))

2.求める数をa_2とすると、

a_2^2=(a_1/2)^2+(1-sqrt(1-(a_1/2)^2))^2
=-2*sqrt(1-(a_1/2)^2)+2
=2-1/2(sqrt(6)+sqrt(2))
∴a_2=sqrt(2-1/2(sqrt(6)+sqrt(2))).
これ以上は無理かなあ..

3.同様に、求める数をa_3とすると、

a_3^2=-2*sqrt(1-(a_2/2)^2)+2
=2-2*sqrt(sqrt(2)/8+sqrt(6)/8+1/2)
∴a_3=sqrt(2-2*sqrt(sqrt(2)/8+sqrt(6)/8+1/2)).
4.同様に、求める数をa_4とすると、

a_4^2=-2*sqrt(1-(a_3/2)^2)+2
=2-2sqrt(1/2+sqrt(sqrt(2)/8+sqrt(6)/8+1/2)/2)
∴a_3=sqrt(2-2sqrt(1/2+sqrt(sqrt(2)/8+sqrt(6)/8+1/2)/2)).
5. 2sin(pi/n)

6. lim(n->inf) 2n*sin(pi/n)=2n*pi/n=2pi.

誤植:

>さて、現在高校生は三角関数の極限lim(n→∞)sinθ/θ=1を習っています。

lim(n→0)sin(n)/n=1じゃないですか?

<水の流れ:コメント>ありがとうございます。

 

NO3<(^o^)BossF>さんから5/14 21:33 受信 更新5/18

おひさしぶりです。

 [補題]

半径1の円に内接する正n角形の1辺が a ならば、

半径1の円に内接する正2n角形の1辺は

 (1+a/2)1/2-(1-a/2)1/2
[証明] 


半径1の円O に内接する正n角形Nの各頂点に

Oから半径を下ろすとNはn個の二等辺三角形に分割され

そのひとつを、△OABとし、

OからABに下ろした垂線の足をH

更に、OHと、円Oの交点をMとすると

三平方より

OM={1-a2/4}1/2
したがって、

HM2=[1-{1-a2/4}1/2]2
=2-a2/4+2{1-a2/4}1/2
だから

AM=(AH2+HM2)1/2
=[a2/4+2-a2/4+2{1-a2/4}1/2]1/2
={2-2(1-a2/4)1/2}1/2 


=(1+a/2)1/2-(1-a/2)1/2  ■


[問い1]〜[問い4]

半径1の円に内接する正6角形の1辺は1だから

補題より

12角形の一辺は(61/2-21/2)/2



以下同様なので略


[問い5]

補題の証明に用いた△OABで考える


∠AOB=2π/n だから

AOH=π/n

AB=2AH=2sin(π/n) …答


[問い6]

問い5より、半径1の円に内接する正n角形の周L は

L=2nsin(π/n)=2π x {sin(π/n)}/(π/n)

ここで n→∞ の時 π/n→0 だから、{sin(π/n)}/(π/n)→1

よって L→2π …答


問い2〜問い4は、打つ気力が尽きました…

 

NO4<Sin>さんから5/17 午後郵便で到着 更新未定

<水の流れ:15ページになる解答とご意見がありますから、とても入力できそうにないので、スキャナーでお知らせする予定です。>

 

     <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp