平成29年3月19日

[流れ星]

     第344数学的な応募解答

      <解答募集期間:2月19日〜3月19日>

[オイラーの無限積]

 下記の等式を証明せよ。

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出典:歴史上の数学者に挑む 古典数学の難問101(小野田博一著)「日本実業出版社」

NO1「早起きのおじさん」 02/19 1011分 受信  更新 3/19

次の2つの式は認めることにします。

 

さて、

ここで、

なので、

 

「早起きのおじさん」 02/21 1038分 受信  更新 3/19

 

半径1の扇形OABと弧ABの中点Cをもとに作図します。

BCからOAへの垂線の足をそれぞれHDとします。

BAOCCDとの交点をそれぞれFGとします。

OC1つの対角線とする長方形をODCEとします。

AOBの大きさをxとします。

 

すると、

なので、

ここで、この2つの図形の面積が等しいことを確かめます。

そのために、それぞれの半分の△OAFと△ODCを比較します。

OAC2等辺三角形です。

底辺の両端から、対辺への垂線の交点であるGは互いに他を2等分します。

よって、△GAD≡△GCFとなります。

OAFと△ODCの重ならない部分が等しくなるので、

OAF=△ODCとなり、△OAB=□ODCEです。

つまり、

 

よって、

つまり、正弦と弧の比は、角を半分にした、その比と余弦を掛けたものに等しくなる。

これを繰り返すと、

 

NO2uchinyan         02/19 1331分 受信  更新 3/19

まず,lim[t->+0]{sin(t)/t} = 1,を示します。

0 < t < π/2 において,

半径が 1 で中心角が t ラジアンのおうぎ形,半径と弦による三角形,半径とその延長と接線による直角三角形,の面積を考えれば,

1/2 * 1 * 1 * sin(t) < 1/2 * 1 * 1 * t < 1/2 * 1 * tan(t)sin(t) < t < tan(t)

これより,0 < cos(t) < sin(t)/t < 1lim[t->+0]{sin(t)/t} = 1,がいえます。

(より厳密には,円弧と二つの垂線の長さに注目して初等幾何で示す方がいいのですが,省略します。)

さて,いよいよ本題。

sin(x)/x = (2sin(x/2)cos(x/2))/x = cos(x/2) * sin(x/2)/(x/2)

これを繰り返して,

sin(x)/x = cos(x/2)cos(x/4)cos(x/8)cos(x/2^n) * sin(x/2^n)/(x/2^n)

ここで,n -> +∞ とすれば,x/2^n -> +0sin(x/2^n)/(x/2^n) -> 1,となるので,

sin(x)/x = cos(x/2)cos(x/4)cos(x/8)…,

になります。

 (感想)

高校レベルの数学としてはこの程度の厳密さの証明で十分と思います。ただ,ちょっとあっさりしすぎかな。

NO3「浜田明巳」       02/21 1446分 受信  更新 3/19

 2倍角の公式から,
  sinx=sin(2・x/2)=2sin(x/2)cos(x/2)
     =2・2sin(x/2)cos(x/2)cos(x/2)
     =2・2sin(x/2)cos(x/2)cos(x/2)cos(x/2)
     =・・・
     =2sin(x/2)cos(x/2)cos(x/2n−1)cos(x/2n−2)・・・cos(x/2)
  ∴cos(x/2)cos(x/2)cos(x/2)・・・cos(x/2)sinx/{sin(x/2)}
                              =sinx/{sin(x/2)(x/2)・x}
  ∴cos(x/2)cos(x/2)cos(x/2)・・・=sinx/x・limn→∞{1/{sin(x/2)(x/2)}
                        =sinx/x
  ∴sinx/x=cos(x/2)cos(x/2)cos(x/2)・・・

 

NO4「二度漬け白菜」     03/15 2032分 受信  更新 3/19

(証明)
x
0でない実数とする.
全ての正整数 n に対して,次の等式が成り立つ.
sin(x)=(2^n)*sin(x/(2^n))*
Π[k=1,n]cos(x/(2^k))
(
この等式の証明はnに関する帰納法を使えばできる.省略.)

この等式の両辺を x で割ると,
sin(x)/x=sin(x/(2^n))/(x/(2^n))*
Π[k=1,n]cos(x/(2^k))---()


ここで,lim[n→∞]sin(x/(2^n))/(x/(2^n))=1 であるので,
十分大なるnに対して,常に sin(x/(2^n))/(x/(2^n))0
従って十分大なるnに対して,()の両辺を sin(x/(2^n))/(x/(2^n))
で割ることによって,
(sin(x)/x)/(sin(x/(2^n))/(x/(2^n)))=
Π[k=1,n]cos(x/(2^k)) ---(★★)
が得られる.

 

nを無限大に飛ばしたとき,(★★)の左辺がどうなるかを考えてみる.
lim[n
→∞](sin(x)/x)=sin(x)/x
lim[n
→∞](sin(x/(2^n))/(x/(2^n)))=1
であるので,
lim[n
→∞]((★★)の左辺)
=lim[n
→∞](sin(x)/x)/(sin(x/(2^n))/(x/(2^n)))
=(lim[n
→∞](sin(x)/x))/(lim[n→∞](sin(x/(2^n))/(x/(2^n))))
=(sin(x)/x)/1
=sin(x)/x
となる.


従って,(★★)より,
sin(x)/x=lim[n
→∞]Π[k=1,n]cos(x/(2^k))
という等式が成り立つ.
つまり,等式
sin(x)/x=cos(x/2)*cos(x/4)*cos(x/8)*
……
が成り立つ.
(
証明終)

 

NO5「にいばりZ12」   03/07 0151分 受信  更新 3/19

この問題は以前(数オリのサイトで)見たことがありました

証明は次のようなものです

 

sinx=2 sin(x/2) cos(x/2) ・・・・(加法定理、または倍角公式)

上式のsin(x/2)に同様に公式を適用すると

sin(x/2)=2 sin(x/22) cos(x/22)

となるので

sinx=2 2 sin(x/22) cos(x/22) cos(x/2)

これを繰り返すと

sinx=2 n sin(x/2n) cos(x/2 n)cos(x/2 n-1)・・・・・・cos(x/22) cos(x/2)

上式の

2 n sin(x/2n)を次のように変形します

x(2 n /x)sin(x/2n)

ここで

X=x/2nと置くと

xsin(X)/X

ここでn→∞とするとX0

lim X0 sin(X)/X=1

よって

lim X0 xsin(X)/X= x

結局

sinx= x・Πn=1〜∞cos(x/2 n)

となり

(sinx)/x =Πn=1〜∞cos(x/2 n)

で証明を終わります

 

この証明は非常にシンプルでエレガントですが私の証明ではないので別の方法を考えます

 

 

sinxをマクローリン展開します

sinx=xx3/3!+x5/5!x7/7! +x9/9!x11/11!+・・・・

両辺をxで割ります

(sinx)/x1x2/3!+x4/5!x6/7! +x8/9!x10/11!+・・・・   @

これは問題の左辺と同値です

 

つぎにcos(x/2)をマクローリン展開します

cos(x/21)=1(1/22)x2/2!+ (1/24)x4/4!(1/26)x6/6! +(1/28)x8/8!(1/210)x10/10!+・・・・

同様にcos(x/2i)以降をマクローリン展開します

cos(x/22)=1(1/24)x2/2!+ (1/28)x4/4!(1/212)x6/6! +(1/216)x8/8!(1/220)x10/10!+・・・・

cos(x/23)=1(1/26)x2/2!+ (1/212)x4/4!(1/218)x6/6! +(1/224)x8/8!(1/230)x10/10!+・・・・

cos(x/24)=1(1/28)x2/2!+ (1/216)x4/4!(1/224)x6/6! +(1/232)x8/8!(1/240)x10/10!+・・・・

cos(x/25)=1(1/210)x2/2!+ (1/220)x4/4!(1/230)x6/6! +(1/240)x8/8!(1/250)x10/10!+・・・・

 

cos(x/2i)=1(1/22i)x2/2!+ (1/24i)x4/4!(1/26i)x6/6! +(1/28i)x8/8!(1/210i)x10/10!+・・・・(i=1, 2,3,4,・・・)

これらを、すべて掛け合わせると

x0次の係数は1

 

x2次の係数は

(1/22+1/24+1/26+・・1/22i・・)/2!

=−(1/3)/2!=−1/3!

 

4次の係数は(4次の係数と、2次が2つと後はすべて0次の係数の和になります)

(1/24+1/28+1/212+1/216+・・+1/24i+・・)/4!

+(1/26+1/28+1/210+1/212+1/214+・・+1/22(i+2) +・・)/(2!2!)

+(1/210+1/212+1/214+1/216+1/218+・・+1/22(i+4) +・・)/ (2!2!)

+(1/214+1/216+1/218+1/220+1/222+・・+1/22(i+6) +・・)/ (2!2!)

+(1/218+1/220+1/222+1/224+1/226+・・+1/22(i+8) +・・)/ (2!2!)

1/(24-1)/4! +1/3(1/24+1/28+1/212+1/216+1/220+1/224+・・・)/ (2!2!)

(1/(24-1)/4! +(1/(3(24-1))/ (2!2!)

1/(54! ) 1/5!

 

数学的帰納法

cos(x/21) cos(x/22) cos(x/23) cos(x/24)・・・・(A)

をマクローリン展開します

cos(x/2i)のマクローリン展開は

cos(x/2i)= 1(1/22i)x2/2!+ (1/24i)x4/4!(1/26i)x6/6! +(1/28i)x8/8!(1/210i)x10/10!+・・・・=Σn=0(-1)n(1/22ni)x2n/(2n)!

となります

また、i1,2,3・・・としたときの総乗は

Πi=1Σn=0(-1)n(1/22ni)x2n/(2n)!

となりますがこれを展開するとx2n(偶数)の項は必ず出現し奇数次項は無いので

a0x0 +a1x2+ a2x4+a3x6 + a4x8+a5x10+a6x12+a7x14+a8x16+a9x18・・・・+ aix2i+・・・・と表せます

a0=1, a1=-1/3!, a2=1/5! は確認しました

 

an=(-1)n1/(2n+1)!を真と仮定したとき

an+1=(-1)n+11/(2n+3)!が成立していれば

問題の式は証明されます

このため、n=7,8,9の場合の元式におけるxの次数の取り方を表にしてみましたが

どうにも上手く行きませんでした。(PDF

しかしながら(言い訳のようですが)問題の式が成立しているという事は

確かに成立しているという事なので興味深いと思います。

 

 

問題の右辺をばらして展開すると複雑になるので

f(x)cos(x/21) cos(x/22) cos(x/23) cos(x/24) ・・・・(A)

をいきなりマクローリン展開する方法も試算してみましたが1回微分は何とかなりますが23回とどんどん複雑になり時間切れです。

 

両辺の対数をとったり、しゃにむに複素数で考えたりしましたがとうとう最初の証明以外の証明に行き着けませんでした。

皆さんの回答を拝見するのを楽しみにしています。

 

皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。