平成15年7月6日

[流れ星]

        第121回数学的な応募問題解答

          <解答募集期間:6月15日〜7月6日>

5乗根・10乗根

   

今回は、1の5乗根や10乗根に関係の深い3角関数の積の問題です。

NO1「H7K」さん 6/16: 23時04分 受信  更新7月6日
いまだに「ピラピッド問題2」は解決できていません,というか,時間がなくてあまり考えられなかったのですが...

さて,第121回ですが,大まかには次の感じです.
(1) sin 5x=sin(2x+3x)=...(計算略)=16sin^5 x-20sin^3 x+5sin x
sin 5x=0なる0<=x<2 piはk*pi/5(k=0...9)だが,それのsin xをとってみると値は0,+- sin pi/5,+- sin 2pi/5の5種,
よって,この0,+- sin pi/5,+- sin 2pi/5は16x^2-20x^3+5x=0の解,
解と係数の関係より,5/16=sin pi/5 * -sin pi/5 * sin 2pi/5 * -sin 2pi/5=sin^2 pi/5 * sin^2 2pi/5...(1).
ここで,sin 4pi/5=sin pi/5,sin 3pi/5=sin 2pi/5より,sin pi/5 * sin 2pi/5 * sin 3pi/5 * sin 4pi/5=5/16.
(2) cos x=sin x+pi/2を活用すると,結局この式は容易にsin pi/5 * sin 2pi/5 * sin 3pi/5 * sin 4pi/5に変形できるので,当然値も5/16.


NO2「Kashiwagi」さん 6/17: 08時00分 受信 更新7月6日
今朝問題を見せて頂きました。表題が5乗根とありましたので、eとiを使えば良いなと 想像したのですが、色々やっているうちに5倍角を使ってみたらと閃き、計算してみると 綺麗な値になるので驚嘆致しました。しかも、両方とも同じ値とは自然界の不思議さを 垣間見させて頂きました。

121回解答

問1.

sin5θsinθで表すと、

sin5θ=sin(3θ+2θ)sin3θcos2θ+cos3θsin2θとなる。

ここで3倍角や2倍角の公式を使い変形すると、

sin5θ=16sin5θ−20 sin3θ+5sinθとなる。

即ち、sin5θ=(sinθ)である。

ここでθにπ/5、2π/5、3π/5、4π/5、を代入すると5θは各々

π、2π、3π、4πであり、その値はゼロ(0)である。

因ってこれら4個の値は上記5乗方程式の解であり、夫々の値は異なり、sin(π/5)など

全てゼロ(0)でない。

即ち、上記方程式のsinθ=0以外の4個の解である。

これより16sin4θ−20 sin2θ+5に解と係数の関係を適用し、5/16が求めるものである。

 

問2.

上記と全く同様の計算をすると求めるものは5/16と同じ値になる。

 


NO3「toru」さん    6/17: 16時01分 受信 更新7月6日
問題1α=cosπ/5+isinπ/5とおくとα^5=-1 ここで、a=-(α+1/α),b=α^2+1/α^2
とするとα^4-α^3+α^2-α^1+1=0, より (α^2+1/α^2)-(α+1/α)+1=0からa+b=-1,
またab=-(α^2+1/α^2)(α+1/α)=-(α^3+1/α^3+α+1/α)=((α^2+1/α^2)-(α+1/
α))=a+b=-1これらから、sinπ/5 sin2π/5 sin3π/5 sin4π/5=(α-1/α) (α^2-1/
α^2)(α^3-1/α^3)(α^4-1/α^4))/(2i)^4= (-2-(α+1/α))(-2-(α^3+1/α^3))
/16=(-2-(α+1/α))(-2+(α^2+1/α^2))/16=((-2+a)(-2+b))/16=(4-2(a+b)+ab)
/16=5/16--------答え ついでにαを求めてみると、a,bは方程式 t^2+t-1=0の2
解だからa= -cosπ/5<0と合せて考えて、a=(-1-√5)/2, b=(-1+√5)/2 これから
αは実部も虚部も正であることを考えて、α=(-a+√(4-a^2) i)/2=(√5+1)/4 +
√(10-2√5)/4 i、つまりsinπ/5=√(10-2√5)/4、同様にα^2=(b+√(4-b^2) i)
/2=(√5-1)/4 +√(10+2√5)/4 i α^3=-1/α^2=(-√5+1)/4 +√(10+2√5)/4
i,α^4=-1/α=-(√5+1)/4 +√(10-2√5)/4 iこの4つの虚部をまじめにかけあわ
せても5/16 がもとまります。

問題2 cosπ/10=sin(π/10+π/2)=sin3π/5, cos3π/10=sin(3π/10+π/2)=sin4
π/5, cos7π/10=sin(7π/10+π/2)=sin6π/5=-sinπ/5, cos9π/10=sin(9π/10+
π/2)=sin7π/5=-sin2π/5, これらからcosπ/10 cos3π/10 cos7π/10 cos9
π/10=sinπ/5 sin2π/5 sin3π/5 sin4π/5=5/16――――答え

本当は1/αなどのかわりにαの共役複素数α(バー)としたかったのですが記号がう
まく書けませんでした。α= cos2π/5+isin2π/5 とすれば1の5乗根を求めること
になりますが、あまり計算が簡単になりませんでしたので上記のままにしました。もっ
とスッキリした解答がありそうですが、時間があまり取れず今回はこれで諦めました。
問題2は単位円周上に正五角形を書いてながめていると明らかなのですが、図を書い
て説明するのもうまくできず、いろいろ不満は残るところですが、他の人たちの解法
を楽しみにしています。

NO4「三角定規」さん  6/21: 22時23分 受信  更新7月6日

NO5「ニースケンス」さん 6/23: 12時06分受信  更新7月6日

NO6「UnderBird」さん 6/24: 16時20分 受信  更新7月6日

NO7「kibomasa」さん 7/02: 21時28分 受信  更新7月6日
問題1
π/5=36度なので、底角が72度、頂角36度の二等辺三角形において、頂角
を挟む辺の長さを1として底辺の長さを求めました。余弦定理によりcos36度
の値がわかります。2倍角の定理よりcos72度もわかります。よって、それぞれ
のsinの値もわかります。ここで半円をかき、5等分すると、「sinπ/5=sin4π
/5、sin2π/5=sin3π/5」なので予式は「 {(sinπ/5)^2}{sin3π/5)^2} 」と
なります。よって、答えは「5/16」

π/5 のcosの値の分子は「1+√5」、2π/5 のcosの値の分子は「-1+√5」、こ
のことと、図形的に対称なことから、3π/5 のcosの値の分子は「1-√5」、4π
/5 のcosの値の分子は「-1-√5」である。(これらのことは倍角を使っても求
められる。)

問題2
問題1の利用をします。
「π/5=2*π/10」、「3π/5=2*3π/10」であることがわかる。ここでまた、半
円をかき、10等分する。図形的に見て、「cos(π/10)=-cos(9π/10)」、
cos(3π/10)=-cos(7π/10)」より、
予式は [ {cos(π/5)}^2 ]*[ {cos(3π/5)}^2 ] をもとめればよい。ここで、
それぞれの値は倍角より求まります。よって答えは「5/16」


NO8「kasama
 さん 7/4:22時17分 受信  更新7月6日
■問題1:sinπ/5×sin2π/5×sin3π/5×sin4π/5

@図的解釈
 最近、息子の算数を見てやっているせいで、図的に解釈する癖が付いてしいま
して・・・
 y軸に対して、sinπ/5×sin2π/5とsin3π/5×sin4π/5は対象です。よって、
sinπ/5×sin2π/5を計算して自乗すれば良いと考えられます。
 高校生風に考えると、sin(π-α)=sinαを利用するのでしょうか。

Asinπ/5×sin3π/5の自乗の計算
上記の考察を基に式を変形します。
 与式={sinπ/5×sin2π/5}^2={2×(cosπ/5-cos^3π/5)}
ちょっとサボって、cosπ/5=(√5+1)/4は既知のもさせて下さい。これを上式に
入れて整理すると、√5/4となります。

答え・・・5/16


■問題2:cosπ/10×cos3π/10×cos7π/10×cos9π/10

直感的に問題1の答えと同じ気がしますが・・・やってみると、

@図的解釈
 こちらも同様に、cosπ/10×cos3π/10を計算して自乗すれば良いと考えられ
ます。

Acosπ/10×cos3π/10の自乗の計算
 問題1の結果を有効に利用します。
  cosπ/10=sin(π/2-π/10)=sin2π/5
  cos3π/10=sin(π/2-3π/10)=sinπ/5
 となりますから、計算するまでもなく、答えが得られます。

答え・・・5/16
 

NO9「中川幸一 さん 7/5:19時03分 受信  更新7月6日
 

NO10「中尾 さん 7/6:00時03分 受信  更新7月6日
『第121回の応募問題「5乗根・10乗根」の問題を一般化したものが解けました。
(1)nが2以上の整数とすると、
  Π_{i=1}^{n-1}{sin(iπ/n)} = n/{2^(n-1)} となる。
(2)nが3以上の奇数とすると、
  Π_{i=1}^{(n-1)/2} {cos((2i-1)π/(2n))}
  Π_{i=(n+1)/2}^{n} {cos((2i-1)π/(2n))}= ((-1)^{(n-1)/2})n/{2^(n-1)} となる。
[証明]
(1)ζを1の虚2n乗根 cos(π/n)+sqrt(-1)*sin(π/n)とする。
ζ^(2n) = 1, ζ^n = -1 は容易に得られる。
ζ^i(i=1,2,...,2n-1)は互いに異なるので、
x^(2n-1)+x^(2n-2)+...+x+1=(x-ζ)(x-ζ^2)(x-ζ^3)...(x-ζ^(2n-1)) ----- (*) となる。
(*)にx=1を代入すると、
 2n=(1-ζ)(1-ζ^2)(1-ζ^3)...(1-ζ^(2n-1))
つまり、Π_{i=1}^{2n-1} {(1-ζ^i)} = 2n を得る。
i=1,2,...,n-1に対して、
ζ^i = cos(iπ/n)+sqrt(-1)*sin(iπ/n)
ζ^(-i) = cos(iπ/n)-sqrt(-1)*sin(iπ/n) なので、
sin(iπ/n)=(ζ^i-ζ^(-i))/(2*sqrt(-1)) となる。
  ζ^i-ζ^(-i)=-ζ^(-i)(1-ζ^(2i))=-ζ^(-i)(1-ζ^i)(1+ζ^i)
=-ζ^(-i)(1-ζ^i)(1-ζ^(n+i)) より、
 Π_{i=1}^{n-1}{sin(iπ/n)}
=(1/{(2*sqrt(-1))^(n-1)})Π_{i=1}^{n-1}{ζ^i-ζ^(-i)}
= ({(-1)^(n-1)}/{(2*sqrt(-1))^(n-1)})*Π_{i=1}^{n-1}{ζ^(-i)}
*(1/2)*Π_{i=1}^{n-1}{1-ζ^i}*(1-ζ^n)*Π_{i=1}^{n-1}{1-ζ^(n+i)}
=({(-1)^(n-1)}/{(2*sqrt(-1))^(n-1)})*ζ^{-n(n-1)/2}*(1/2)*Π_{i=1}^{2n-1}{1-ζ^i}
= ({(-1)^(n-1)}/{(2*sqrt(-1))^(n-1)})*{sqrt(-1)^(n-1)}*(1/2)*(2n)
= n/{2^(n-1)} を得る。
(2)nは3以上の奇数なので、n=2m+1(m>=1)とおく。
i=1,2,...,mに対して、
 cos((2i-1)π/(2n))=cos((2i-1+n)π/(2n)-π/2)=sin((2i-1+n)π/(2n))
=sin((i+m)π/n)
i=m+2,m+3,...,2m+1に対して、
 cos((2i-1)π/(2n))=cos((2i-1-n)π/(2n)+π/2)=-sin((2i-1-n)π/(2n))
=-sin((i-1-m)π/n) なので、(1)より、
 Π_{i=1}^{(n-1)/2} {cos((2i-1)π/(2n))} Π_{i=(n+1)/2}^{n}
{cos((2i-1)π/(2n))}= Π_{i=1}^{m} {sin((i+m)π/n)} Π_{i=m+2}^{2m+1} {-sin((i-1-m)π/n)}
= Π_{i=m+1}^{2m} {sin(iπ/n)} *{(-1)^m}*Π_{i=1}^{m} {sin(iπ/n)}
= {(-1)^m}*Π_{i=1}^{2m}{sin(iπ/n)}
= {(-1)^((n-1)/2)}*Π_{i=1}^{n-1}{sin(iπ/n)}
= ((-1)^{(n-1)/2})*n/{2^(n-1)} を得る。
[追記] 以下もおそらく証明できると思います。
(3)nが2以上の偶数とすると、
  Π_{i=1}^{n/2} {cos((2i-1)π/(2n))} Π_{i=(n/2)+1}^{n} {cos((2i-1)π/(2n))}
= {(-1)^(n/2)}/{2^(n-1)} となる。』
<水の流れ:コメント>一般化なんて考えもしなかったけれども、「中尾」さんのおかげです。ありがとうございます。

 

NO11「午年のなりぼう
 さん 7/6:22時22分 受信  更新7月20日
 

<自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp