平成16年1月11日

[流れ星]

        第131回数学的な応募問題解答

          <解答募集期間:12月28日〜1月11日>

[大ピラミッド]

   

エジプトのピラミッドは世界の7不思議のひとつとして数えられています。多くの人の興味と関心の対象です。この古代ピラミッドに隠れている不思議を紹介します。
 モール師(フランスのカトリック布教者、天文学者)によれば、エジプトの神官たちは、ヘロドトス(BC484からBC430)に向かって、
大ピラミッドの底辺と高さの関係は、高さを1辺とする正方形の面積が斜面の三角形の1つの面積に等しくなるように作られていると説明したそうです。この説明を式で表現してみます。
 下の図のように、ピラミッドの高さをh、底面の正方形の1辺を2a、斜面の三角形の高さをxとする。ここで、問題です。

質問1.説明されている関係をx、aで表せ。
質問2.x/a=Xとするとき、Xの値を求めよ。また、このXの値を何と呼ばれているか。
質問3.底面の面積をS,側面の全面積をS,大ピラミッドの全表面積をSとしたとき、S,S,Sをaとxで表せ。
    また、S:S=S:Sを示せ。
質問4.実際に計測しますが、ここでの長さの単位はエジプト王室肘尺で1肘尺は0.524mを使います。
    底辺の長さは2a=440肘尺、高さはh=280肘尺となります。このピラミッドのとき、

(1)x/a=Xの値を計算してください。
 (2)底辺の長さの合計8aと高さの2倍2hの比(8a/2h)を求めよ。また、この比の値を何と呼ばれているか。

<参考文献1.「数とその歴史」上垣 渉・何森 仁 共著 三省堂 2.「数学の不思議」柳谷 晃 著 かんき出版>
NO1「H7K」      12/28: 19時17分 受信 更新1/10
1.h^2=x^2-a^2=ax.
2.両辺をa^2で割って,X^2-1=X,X^2-X-1=0,
  X=(1±sqrt(5))/2だがX>0よりX=(1+sqrt(5))/2.これは黄金比と呼ばれる.
3.S1=4ax=4a^2*(1+sqrt(5))/2=4Xa^2.
  S=4a^2
  S2=4a^2+4ax=4a^2(1+X).
 S:S1=1:X,S1:S2=X:1+Xであるが,
  X^2-X-1=0より,1*(X+1)=X*Xであるので,X:1+X=1:X,
  よってS:S1=S1:S2.

4.実測結果も近似値でしかないので、有効数字を3ケタと見て計算する.
(1)x^2=280^2+(440/2)^2=126800より,X=356.0898...
   また,x=h^2/a=280^2/220=356.3636...
   これによって計算すると,Xはそれぞれ1.6185...,1.6198...となり,
   356/220=1.6181...であることから,X=1.62と見ても良いだろう.
(2)8a/2h=4a/h=880/280=3.142857...≒3.14.
   ほぼ円周率に等しいと見ても差し支えない.
なお,1.の式に沿ってやると,
h^2=a^2*Xより,h=a*sqrt(X)より8a/2h=4a/a/sqrt(X)≒3.144
となるので,ピラミッドの設計はうまく円周率になるようにも考えたのかもしれません.

NO2「中川幸一」 12/28: 23時10分 受信 更新1/10


NO3「kasama  12/30: 01時28分  受信 更新1/10
質問1 高さhを1辺とする正方形の面積はh2ですが、三平方の定理によりh2 = x2 - a2です。
一方、斜面の三角形の面積はaxです。両方の面積が等しいわけですから、

 
ax = x2 - a2 ⇒ x2 - ax - a2 = 0 ・・・(1) となります。
質問2
(1)式をa2で割ると (x/a)2- x/a - 1 = 0 となりますが、題意により、X=x/aとすると X2 - X - 1 = 0 となります。
上記のXは、以前出題されたフィボナッチ数列に関する問題で取り上げられた有名な黄金比です。

質問3
底面の面積S = (2a)2 = 4a2、側面の全面積S1 = 4ax、さらにS2 = S + S1 = 4a(a+x)なので、
S/S1 - S1/S2 = (a2 + ax - x2)/(ax + x2) ですが、(1)式より分母は0です。
 よって、 S/S1 - S1/S2 = 0 ⇒ S/S1 = S1/S2 ⇒ S:S1 = S1:S2
 が成り立ちます。
質問4
(1)x2 = a2 + h2 = (440/2)2 + 2802 = 126800 ⇒ x = 20√317なので、
  
X = x/a = 20√(317) / (440/2) = √(317)/11 ≒ 1.6
 
となり、ほぼ(1+√5)/2に等しい値となります。

(2)8a/2h = 4*440 / 2*280 = 22/7 ≒ 3.14ですので、精度の高い円周率πと言えるでしょう。
kasama」さん:コメント>いつも楽しい問題を出題して頂きありがとうございます。
今回は、エジプトのピラミッドに秘められた黄金比と円周率に関する問題ですね。黄金比も円周率も大変ポピュラーな比ですが、ピラミッドの構造に関係して
いる事実は、意外と知られていないかもしれませんね。
 お恥ずかしい話ですが、私自身も今回の問題に取り組むまで、ピラミッドと円周率が関係していることを知りませんでした。問題の答えを単に計算するだけで
なく、ピラミッドに関していろんなことを調べる良い機会でした。ありがとうございました。

NO4「三角定規」 01/02: 11時13分 受信 更新1/10

「三角定規」さん:コメント>明けましておめでとうございます。今年もお世話になります。よろしくお願い致します。
 さて、『大ピラミッド』解答送ります。
三千優余年前、計算技術も測量技術もそして建築技術も、現在と比べれば素朴なものしかなかったはずの時代に、これほど大きな構造物を、
これどの精密さで造営できた事実に、ただただ驚嘆します。素朴の技術しかなかった時代だからこそ、
人間の自然認識力だけは現代人をはるかに凌ぐものがあったのだろうと思わされます。

No5「kashiwagi」01/05: 09時03分 受信 更新1/10
 

 131回解答

問題1.

x=(√5+1)a/2

 

問題2.

x/a=X=(√5+1)/2

黄金分割比

 

問題3.

S=4a

S=2(√5+1)a

S=2(√5+3)a

S:S=2:√5+1

S:S=(√5+1):(√5+3)=4:2(√5+1)=2:√5+1

 

問題4.

値を代入し計算すると、

(1)  x/a=√317/11

(2)  a/2h=22/7  円周率

kashiwagi」さん:コメント>あけましておめでとうございます。本年もご指導の程宜しくお願い申し上げます。 本日から出社です。

早速、問題を解かせて頂きました。今回の解答は 少々省略させて頂きました。しかし、歴史的な二つの数値がこの様なものから出て 来るとは・・・・。勉強になりました。以下に解答を添付させて頂きます。

No6toru」   01/06: 1301 受信 更新1/10

質問1 h^2=ax, h^2+a^2=x^2よりhを消去して、x^2-ax-a^2=0
質問2 質問1の式の両辺をa^2で割ってX^2-X-1=0これを解くと
X=(1±√5)/2 だがX>0よりX=(1+√5)/2 すなわち黄金数 
質問3 S=4a^2, S1=4ax, S2=S+S1=4(a^2+ax)
 S1/S=x/a=X, S2/S1=(S+S1)/S1=1/X+1=(X+1)/X=X^2/X=X  (∵X^2=X+1)よ
りS:S1=S1:S2
質問4 (1) X=x/a=h^2/a^2=280^2/220^2=196/121≒1.62 これは黄金数、
        (2) 8a/2h=440x4/280x2=22/7≒3.14 これは円周率ですね。


toru」さん:コメント>あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いします。遅くなりましたが、「大ピラミッド」の解答を送ります。
知っている人は知っているのでしょうが、私なぞは、こんなところで円周率が出てきてびっくり、とても勉強になりました。
これは何か図形的にでも理由付けできるのでしょうか? 

<水の流れ:コメント>古代のエジプト人がどこまで科学的にピラミッドを作ろうとしたかわかりませんが、絵の巨匠たちが、絵の中に自然に黄金比を取り入れているように、古代エジプトの建築家たちが、美しいものを作ろうと、自然に円周率を取り入れていた可能性は歪めません。(この文面は,「数学の不思議」柳谷 晃著(かんき出版)から引用しました。)

    <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp