平成16年8月29日

[流れ星]

     第142回数学的な応募問題解答NO1

      <解答募集期間:8月8日〜8月29日>
ニュートンの定理

太郎さんは、8月4日から6日まで開かれた全国算数・数学教育研究(鹿児島)大会に参加してきました。高校部会では、全部で25会場に別れ延べ発表数170にもなり、暑い中盛大に行われました。さて、その中には、次のようなレポート課題を提出させる発表がありました。「平面幾何を勉強する中で、有名な人の名前が付いた定理を調べてきなさい。」資料の中にあった定理を書いてみます。
そこで、今回の問題はこの中にあった「ニュートンの定理」を証明ください。解法の手段方法は問いません。

「四角形ABCDが円に外接するとき、2つの対角線の中点と円の中心は1直線上にある。」ことを証明ください。

NO1「toru」   8/11: 17時07分受信 更新8/29更新
四角形を左上から反時計回りにABCDとする。辺ADと辺BCが平行の時は題意は明らかに成り立つから、
平行でないとして、辺ADと辺BCを延長し交点がA,B側にあることとし、
これをO、四角形ABCDの内接円の中心をP、対角線ACの中点をM、対角線BDの中点をNとする。また角AOB=θとする。
 
 OAD方向の単位ベクトルe1とOBC方向の単位ベクトルをe2として、
(ベクトルOA)=ae1,(ベクトルOD)=de1,(ベクトルOB)=be2,(ベクトルOC)=ce2
とすると
(ベクトルOM)=(a/2) e1+(c/2) e2,――ア)
(ベクトルON)=(d/2) e1+(b/2) e2 −−イ)

 点Pは角OABの二等分線上にあるから(ベクトルOP)=k(e1+e2)とおくと、ΔAPD=1/2
k(d-a)sinθ,ΔBPC=1/2 k(c-b)sinθ、
 四角形ABCDの面積S=1/2 (cd-ab)sinθ。
 四角形ABCDの内接円との接点を辺ABとの接点から順にQ,R, T,U とするとΔAPU=
ΔAPQなどから、ΔAPD+ΔBPC=ΔAPU+ΔUPD+ΔBPR+ΔRPC=1/2((ΔAPU+ΔAPQ)+(ΔDPU+
ΔDPT)+(ΔBPR+ΔBPQ)+(ΔCPR+CPT))=S/2 
 上の式とから、1/2 k(d-a)sinθ+1/2 k(c-b)sinθ=1/4 (cd-ab)sinθ整理して、
k=(cd-ab)/2(d-a+c-b) 
 すなわち(ベクトルOP)=((cd-ab)/2(d-a+c-b))e1+((cd-ab)/2(d-a+c-b))e2−―ウ)
を得る。

ア)イ)ウ)より
(ベクトルMP)=((cd-ab)/2(d-a+c-b)-a/2)e1+((cd-ab)/2(d-a+c-b)-c/2)e2=
((d-a)(c-a)/2(d-a+c-b))e1+((b-c)(c-a)/2(d-a+c-b))e2=(c-a)/(d-a+c-b)((d-a)/2
e1+(b-c)/2 e2)=(c-a)/(d-a+c-b) (ベクトルMN)となりMPNが一直線上にあることが
示された。

<コメント> 第142回解答を送ります。よろしくお願いします。考えてみると平面図形を系統的に勉強したことがありませんで、図を書いてひらめきが必要となるこの分野は、どうにも苦手意識があります。結局AB,CD方向に座標軸を取って、何とかねじ伏せた感じですが、ΔAPD+ΔBPCが四角形の面積の半分になることを利用するところは、カンニングをしまして、ちょっと不満の残るところです。
 

NO2「kashiwagi8/12: 09時31分受信 更新8/29更新
お世話になります。今回の問題は、幾何証明、ベクトル、解析幾何、複素数等色々あると 思うのですが、中々上手く証明できず、二つの三角形の面積の和が一定な三点はある直線 上にあるとの定義を使いました。解析で二つの直線の勾配が等しいで攻めたのですが、計算 が大変で挫折致しました。皆様の解答で勉強させて頂きます。
142回 解答

 題意より下記の図を想定し、各々の対角線の中点をE、F、内接する円の中心をOとする。

ニュートンの定理1
EはACの中点であるから
 △ABE=△ABC / 2
 △CDE=△ACD / 2
2式を加え
 △ABE+△CDE=□ABCD / 2 ・・・・@
全く同様の考え方で
 △ABF+△CDF=□ABCD / 2 ・・・・A
ここで□ABCDは円Oに外接するから、各々の辺の円との接点を各々P、Q、R、Sとすると、
 AS=AP、BP=BQ、CQ=CR、DR=DS
これより、
 AB+CD=AD+BC
ここで円の半径をRとすると、
 △ABO=R・AB/2、 △CDO=R・CD / 2
これより
 △ABO+△CDO=R・(AB+CD) / 2
全く同様の考え方で
 △ADO+△BCO=R・(AD+BC) / 2
これらより
 △ABO+△CDO=△ADO+△BCO
この両辺の和は□ABCDの面積に等しいので、
 △ABO+△CDO=□ABCD / 2 ・・・・B 

今ある点Zを考えた場合、二つの△の面積の和が一定ならZはある直線上にあることは明らかであるので、これまでの証明@、A、Bより、3点E、F、O は一直線上にある。

NO3「UnderBird8/17: 12時26分受信 更新8/29更新
面白そうな定理で早速チャレンジしましたがなかなか手ごわかったです。
手元のブルーバックス「パズルでひらめく補助線の幾何学」中村義作 著に幾何学的な証明を見つけたので力ずくで代数的に解いてみました。
細かくは4辺と対角線がx、y軸に平行にならないようにおくとか、ACとBDの中点が一致したときについてももう少し詳しく述べる必要がありますが、省略しまし
た。ベクトルで表示すればもう少しすっきりするのかもしれませんが・・・。
点と直線との距離および外接四角形の対辺の和が等しいことを用いてひたすら計算しました。

半径r(定数)の円の中心を原点Oとし、4点を上図のように反時計回りに置く。このとき、対角線の中点の座標はそれぞれ

 となり、

を通る直線の方程式は、

 を整理すると

よって、この直線から原点Oまでの距離は、

 で表される。

この式の分子に関して、

ここで、の面積について

  (ただし、は線分の長さ)が成り立ち、

かつ頂点の向きを正の向きに取ったので、

  とできる。これらをに用いると

 

(∵ 四角形は円に外接しているので、

よって、「四角形が円に外接するとき、2つの対角線の中点と円の中心は1直線上にある。」

 

NO4「Toru」   8/19: 16時28分受信 更新8/29更新
複素数を利用した解答を作ってみました。共役を表わす(バー)がうまく入力できず、*で代用しています。結局、条件イ)は利用していますが、
こちらの方が計算も簡単でスッキリしました。 ペンネーム Toru

 複素平面上の3点0,w,z を頂点とする三角形の面積は、0,w,zが反時計周りに配置されているとすると、z*をzの共役複素数として i(wz*-w*z)/4―――ア)

 四角形ABCDに円が内接することから、ΔOAB+ΔOCD=ΔOBC+ΔODA  ――――イ)

 内接円の中心Oを原点として、四角形の頂点をa,b,c,d とすれば ア)イ)から  ab*-a*b+cd*-c*d=bc*-b*c+da*-d*a
 
 整理して4で割れば ((a+c)/2)((b+d)/2)*-((a+c)/2)*((b+d)/2)=0

 これはO、ACの中点、BDの中点で作る三角形の面積が0,すなわち一直線上にあることを表わす。

NO5「kasama」  8/19: 18時17分受信 更新8/29更新 NO2へ
NO6「kasama」」 8/23: 09時27分受信 更新8/29更新 NO2へ
 

NO7「Toru」   8/23: 18時20分受信 更新8/29更新 
ニュートンの定理の複素数を用いた解答の別解を送ります。今度は面積の条件を使わず、もう少し直接的に複素数らしい?解答になっているように思います。
これまでは、初等幾何に複素数を使ってもベクトルと大して変わらないと何となく思っていましたが、この機会にちょっと勉強してみて、認識を新たにし
ました。このような機会を与えて頂き感謝しています。(共役複素数をあらわすのに、zの上に-とすべきところをz*で代用しています)ペンネーム Toru

 四角形を適当に拡大縮小して、内接円を単位円とし、その中心を原点Oとして四角形と円との接点をAD上のものから、
反時計回りにz1,z2,z3,z4とおくとz1z1*=1,
z2z2*=1,z3z3*=1,z4z4*=1
 (arg z2- arg z1<π, arg z3- arg z2<π, arg z4- arg z3<π,arg z1- arg z4<π)

z1をとおり円に接する直線は z/(2 z1)+z*/(2 z1*)=1、
z2をとおり円に接する直線、z/(2 z2)+z*/(2 z2*)=1
と表わされるからこれらの交点Aはこれらからz*を消去してzA=2/(z1*+z2*)
 
同様にzB=2/(z2*+z3*), zC=2/(z3*+z4*), zD=2/(z4*+z1*)

よってACの中点Mとして
zM=1/(z1*+z2*)+1/(z3*+z4*)=(z1*+z2*+z3*+z4*)/(z2*+z3*)(z4*+z1*)
BDの中点Nとして
zN=1/(z2*+z3*)+1/(z4*+z1*)=(z1*+z2*+z3*+z4*)/(z2*+z3*)(z4*+z1*)

z1*+z2*+z3*+z4*=0すなわちz1+z2+z3+z4=0の時はM、Nは原点と一致。

これ以外の場合、原点OとM、Nが一直線上にあることを示すには
zM/zN=(z2*+z3*)(z4*+z1*)/(z2*+z3*)(z4*+z1*) が実数であることを示せばよいが
 (zM/zN)*=(z2+z3)(z4+z1)/(z2+z3)(z4+z1)=(1/z2*+1/z3*)(1/z4*+1/z1*)/(1/z2*+1/z3*)(1/z4*+1/z1*)= (z2*+z3*)(z4*+z1*)/(z2*+z3*)(z4*+z1*) =zM/zN

より題意は示された。

NO8「H7K」      8/26: 19時49分受信 更新8/29更新 NO2へ
NO9「H7K」      8/27: 19時19分受信 更新8/29更新 NO2へ
NO10「H7K」    8/28: 12時19分受信 更新8/29更新 NO2へ
 

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