平成19年5月20日

[流れ星]

     第190回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:4月29日〜5月20日

[階段の昇り方]

皆さん、今年の京都大学の入試問題で、興味深い問題を見つけました。一部改題して紹介します。

 

1歩で1段または2段のいずれかで階段を昇るとき、1歩で2段昇ることは疲れるから連続して昇らないものとする。n段の階段を昇る昇り方の総数をa通りとする。ここから設問します。

設問1:a1 ,a2 ,a3 ,a4 を求めてください。

設問2:a15 を求めてください。

設問3:漸化式を発見してください。

設問4:漸化式を利用して、a15 を求めてください。

設問4:an はnで簡単には表せませんが、考察をしてみてください。

 

NO1「uchinyan04/29 1606分受信

            04/30 1159分受信 更新5/20

第190回数学的な応募問題
[階段の昇り方]

設問1
1
歩で1段昇るのを a1歩で2段昇るのを b とすると,
1段の場合
a
だけで,a(1) = 1
2段の場合
aa, b
なので,a(2) = 2
3段の場合
aaa, ba, ab
なので,a(3) = 3
4段の場合
aaaa, baa, aba, aab
なので,a(4) = 4

設問2
漸化式を使うのが楽なのですが,こういう設問があるということは,まずは,漸化式を使うな,
ということでしょうか。
そこで,使わないで考えてみました。
a
p 回,b q 回,とします。すると,まず明らかに,
p + 2q = 15
求める場合の数は,次のように考えればよさそうです。
まず,a を並べておきます。
これに b を追加すればいいですが,bb とならないためには,
最初,a a の間,最後,の p+1 箇所に高々一個の b を追加すればいいことになります。
これは,単に p+1 箇所から q 箇所を選べばいいので,(p+1)Cq 通りです。
ただし,これが可能なためには p+1 >= q です。
また,p + 2q = 15 でした。もちろん pq は整数で,それらについて足し上げる必要があります。
そこで,p, q を求めて,その値に対する (p+1)Cq を合計すれば求める場合の数が求まります。
p+1 >= q
かつ p + 2q = 15 を解くと,
(p,q) = (15,0)
(13,1), (11,2), (9,3), (7,4), (5,5)
これから,求める場合の数は,
16C0 + 14C1 + 12C2 + 10C3 + 8C4 + 6C5
= 1 + 14 + 66 + 120 + 70 + 6
= 277
通り
になります。

(
別解)
(p+1)Cq
のところは,若干面倒ですが,次のようにも考えられます。
まず,q not= 0 の場合,b を並べておきます。
bb
とならないためには,b b の間に少なくとも一個の a が入る必要があります。
そこで,q-1 箇所の b の間にあらかじめ a を挿入しておきます。こうして,
baba,,,bab
という並びを用意しておきます。なお,q = 1 の場合は,明らかに b だけです。
そしてこれができる必要があるので, p - (q-1) = p-q+1 >= 0p+1 >= q でなければなりません。
残りの p-q+1 個の a は,最初,最後,ba ba との間,ただし最後だけ ba b との間,の
1 + 1 + (q-1) = q+1
箇所のどこに入ってもいいので,q+1 個所から重複を許して p-q+1 個所を選べばよく,
(q+1)H(p-q+1) = {(q+1)+(p-q+1)-1}C(p-q+1) = (p+1)C(p-q+1) = (p+1)Cq
通り
です。
q = 0
の場合は明らかに 1 通りで,(p+1)Cq q = 0 とした場合に一致します。
そこで,結局,(p+1)Cq 通り と考えられます。

設問3
n
段目に昇るには
(1) n-1
段目から,1歩で1段を昇る。
 これは,a(n-1) 通り。
(2) n-2
段目から,1歩で2段を昇る。
 これは,2段昇りが連続できないので,n-2 段目に来るのには n-3 段目から1歩で1段を昇る,
 しかありません。
 そこで,a(n-3) 通り。
これですべてです。結局,
a(n) = a(n-1) + a(n-3)
になります。ただし,a(1) = 1, a(2) = 2, a(3) = 3 です。

設問4
a(n) = a(n-1) + a(n-3)
a(1) = 1, a(2) = 2, a(3) = 3
から,
a(4) = a(3) + a(1) = 3 + 1 = 4
a(5) = a(4) + a(2) = 4 + 2 = 6
a(6) = a(5) + a(3) = 6 + 3 = 9
a(7) = a(6) + a(4) = 9 + 4 = 13
a(8) = a(7) + a(5) = 13 + 6 = 19
a(9) = a(8) + a(6) = 19 + 9 = 28
a(10) = a(9) + a(7) = 28 + 13 = 41
a(11) = a(10) + a(8) = 41 + 19 = 60
a(12) = a(11) + a(9) = 60 + 28 = 88
a(13) = a(12) + a(10) = 88 + 41 = 129
a(14) = a(13) + a(11) = 129 + 60 = 189
a(15) = a(14) + a(12) = 189 + 88 = 277
したがって,277 通りです。

設問5
a(n) = a(n-1) + a(n-3)
a(1) = 1, a(2) = 2, a(3) = 3
これは,a(n-2) の係数が 0 の4項漸化式です。
そこで,3項漸化式のときと同様に,
次の特性方程式の解を使って一般項が書けることはよく知られています。
x^3 = x^2 + 1
この解は,残念ながら有理数の範囲で因数分解ができないので簡単には求まらず,
一般的な3次方程式の解の公式,カルダノの公式など,を使うしかなさそうです。
かなり面倒そうなので,取り敢えずは,省略します m(__)m
なお,簡単なグラフの考察により,
f(x) = x^3 - x^2 - 1
f'(x) = 3x(x - 2/3)
f(0) =
極大 < 0f(2/3) = 極小 < 0, f(1) < 0f(2) > 0
なので,実数解一つα,1 < α < 2,複素共役な虚数解二つβ,γ = β~ です。
これらを使って,
a(n) = a *
α^n + b * β^n + c * γ^n
と書けます。ただし,a, b, c は,a(1), a(2), a(3) から決定します。
いろいろ変形できますが,計算が正しければ...
a =
α^3/(α-β)(α-γ)b = β^3/(β-α)(β-γ)c = γ^3/(γ-α)(γ-β)
これが,漸化式を満たすことは,明らかでしょう。

漸化式を解く,という観点からは外れますが,
設問2:の解法を一般化して a(n) を書くこともできます。
p + 2q = n, p + 1 >= q, a(n) =
Σ(p+1)Cq
だったので,
a(n) =
Σ[0 <= q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
になります。実用上は,この方が有用かもしれません。
なお,この式が漸化式を満たすことは,次のようにして確かめられます。
a(n) =
Σ[0 <= q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
a(n-1) =
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q)Cq
a(n-3) =
Σ[0 <= q <= (n-2)/3] (n-2q-2)Cq = Σ[1 <= q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
そこで,
a(n-1) + a(n-3)
=
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q)Cq + Σ[1 <= q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
= nC0 +
Σ[1 <= q <= n/3] {(n-2q)Cq + (n-2q)C(q-1)} + Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
一般に,nC0 = 1 = (n+1)C0nCr = (n-1)C(r-1) + (n-1)Cr なので,
= (n+1)C0 +
Σ[1 <= q <= n/3] (n-2q+1)Cq + Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
=
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q+1)Cq + Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
ここで,
n not= 3k+2k 0 以上の整数,の場合
n/3 < q <= (n+1)/3
となる整数はないので,
Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1) = 0
Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq = 0
です。そこで,
a(n-1) + a(n-3)
=
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q+1)Cq
=
Σ[0 <= q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
= a(n)
n = 3k+2k 0 以上の整数,の場合
n/3 < q <= (n+1)/3
となる整数は q = (n+1)/3 = k+1 だけなので,
Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1) = kCk = 1
Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq = (k+1)C(k+1) = 1
つまり,
Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1) = Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
です。そこで,
a(n-1) + a(n-3)
=
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q+1)Cq + Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q)C(q-1)
=
Σ[0 <= q <= n/3] (n-2q+1)Cq + Σ[n/3 < q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
=
Σ[0 <= q <= (n+1)/3] (n-2q+1)Cq
= a(n)
以上より,結局,
a(n) = a(n-1) + a(n-3)
がいえました。

(
感想)
前半は面白い問題でしたが,さすがに,設問5:は計算が厳しそうです...
その解き切ることの栄誉は,元気な皆さんにお譲り致します (^^;

 

NO2「kashiwagi05/01 0934分受信 更新5/20

お世話になります。今回の問題は非常に面白いですね。2段を連続でやらないところが味噌なのでしょうが・・・・。関係式は階差数列ではとおもい差分を表にしていたら気づきました。 この数列はトリボナッチの変形と考えて宜しいのでしょうか・・・・?トリボナッチ数列の一般解は・・・、調べました、いやはや私には手に負えないことが分かりました。

<水の流れ:トリボナッチ数列そのものではありませんが、変形といえば変形です。一般項の表現に難しいものがあります>

190回問題

 

問1.        1段登りを1、2段登りを2として表すと、題意より

1段では(1)、2段では(11)(2)、3段では(111)(21)(12)、4段では(1111)(211)(121)(112)、5段では(11111)(2111)(1211)(1121)(1112)(212)となる。

因って、a1=1 a2=2 a3=3 a4=4 a5=6となる。

2. ここで段数が15の場合を考え、階段数と登り方を一覧表にしてみる。即ち、1段登りの前後に2段登りを1回づつ入れればよいので1段登り回数が13で、2段登り回数が1回の場合は13個の前後を加えた隙間14個内に2段登りを1回入れれば良く、14C114となる。他も同様の計算を行う。

段 数

1段登り回数

2段登り回数

計 算

15

 

15

0

16C01

13

1

14C114

11

2

12C266

9

3

10C3120

7

4

8C470

5

5

6C56

合 計

277

因って、a15=277

 

問3.        2.の計算を15以外でも行い整理すると、ある規則性がある事が分かる。

 

2項の差

 

2項の差

a1=1

2

a2=2

2

a3=3

3

a4=4

5

a5=6

7

a6=9

10

a7=13

15

a8=19

22

A9=28

32

a10=41

47

A11=60

 

a12=88

 

  即ち、即ち、表より a = a-1+ a-3 が求めるものである。

<注:赤字 05/07 0732分受信 したものです>

 

問4.        3.の関係に順次値を代入し、a15=277を得る。

 

NO3「スモークマン」  05/01 2124分受信 更新5/20

a1=1
a2=2
a3=3
a4=4
4/3=1
余り1から、
2
は、0,1個。

0
個の時、1111
1
個の時、4-2=2 なので、11 の間に2を入れる場合の数。
つまり、3C1=3
合計=134

a15
のとき、
15/3=5
余り0
2
0個の時・・・1通り
  1個の時・・・15-2=13・・・14C1=14
    2
個の時・・・15-4=11・・・12C2=66
    3
個の時・・・15-6=9・・・10C3=120
    4
個の時・・・15-8=7・・・8C4=70
    5
個の時・・・15-10=5・・・6C5=6
合計=1+14+66+120+70+6=277

1212
・・・12,2121・・・21・・・余り0(mod 3)
1212
・・・121,2121・・・211・・・余り1
1212
・・・1211,2121・・・212・・・余り2
3m+2
の場合は、2121・・・212 の場合が1通りだけ余分にありうる。

今までの考え方から、漸化式じゃあないですが

n=3m のとき、
an=1+n-1C1+n-3C2+
・・・+2mCm
n=3m+1
のとき、
an=1+n-1C1+n-2C2+
・・・+2m+1Cm
n=3m+2
のとき、
an=2+n-1C1+n-2C2+
・・・+2m+2Cm

漸化式の考え方ってのがよく分かりません。。。^^;

「スモークマン」  05/06 1133分受信 更新5/20

漸化式考えてみました。^^

n
段までの登り方をf(n) で表す。
最後が、2段で辿り着いた時 f(n_2)
    1段で辿り着いた時f(n_1)があるので、
f(n)=f(n_2)+f(n_1)
であり、
明らかに、
f(n_2)=f(n-2)
f(n_1)=f(n-1)
だから、
f(n)=f(n-2)+f(n-1)
また、f(n-2)=f(n-3) でなければいけない。(連続して2段登れないから。)
つまり、

f(n)=f(n-3)+f(n-1)
 が求める漸化式!

実際に、
f(1)=1
f(2)=2
f(3)=3
f(4)=4
f(5)=6
f(6)=9
f(7)=13
f(8)=19
f(9)=28
f(10)=41
f(11)=60
f(12)=88
f(13)=129
f(14)=189
f(15)=277
と合致してる♪

これから一般式ってのはピンときません、、、が、やはり、フィボナッチもどきの式
になるんでしょうね。。。^^;

 

NO4「新俳人澄朝」5/2 1714分受信 更新5/20

 

NO5「ZELDA   05/03 2125分受信 更新5/20

こんばんは、ZELDAと申します。以前に1度こちらに解答を出させていただきました。久しぶりに良い?(自分では良いと思い込んでいる)解答が書けましたので、解答を送らせていただきます

第190回数学的な応募問題

設問1

a(1)=1,a(2)=2,a(3)=3,a(4)=4

設問3

n+3段の階段を上る場合を考える。

これはつぎの2通りに場合分けできる。

 

(あ)最初の1歩で1段上り、残りのn+2段を上る。そのような登り方は a(n+2)通り。

 

(い)最初の1歩で2段上り、次の1歩で1段上り、残りのn段を上る。そのような登り方は a(n)通り。

 

(あ)、(い)は互いに排反であるから、

a(n+3)=a(n+2)+a(n)  (n≧1)・・・(1)

設問2、4

設問1の結果と漸化式(1)を用いれば、a(15)=277

設問5

何を考察すればよいのか分からなかったので、a(n)を求めました。アハハ・・・確かに簡単な式にはなりませんね。

 

3次方程式 x^3 = x^2 + 1 の解はつぎのようになる。

x = (1/3) + K + L ,

   (1/3) + Kω +L(ω^2),

   (1/3) + K(ω^2) + Lω  

(ただし、K=[{29+3(93)} / 54]^(1/3),   L=[{293(93)} / 54]^(1/3) とする。)

このとき、この3解を順に、α、β、γとする。

 

ここで、s t uをつぎの3式を同時に満たすように定める。

S(α^2)+t(β^2)+u(γ^2)=3

sα+tβ+uγ=2

s+t+u=1

 

すなわち、

   s = {2(β−1)(γ−1)+1} / {(β−α)(γ−α)}

         t = {2(γ−1)(α−1)+1} / {(γ−β)(α−β)}

         u ={2(α−1)(β−1)+1} / {(α−γ)(β−γ)}  と定める。

 

このとき、a(n) = s(α^(n1)) + t(β^(n1)) + u(γ^(n1))  (n≧1)・・・(*)となることを数学的帰納法により証明する。

 

(T)n=1,2,3のとき、(*)は明らかに成り立つ。

 

(U)n=k , k2のときに成り立つと仮定する。(ただし、k≧3とする。)

このとき

 a(k+1)

= a(k) + a(k2)      (∵ 式(1))

= s[α^(k1)+α(k3)]+t[β^(k1)+β^(k3)]+u[γ^(k1)+γ^(k3)]

=s[α^(k3)][(α^2)+1] + t[β^(k3)][(β^2)+1] + u[γ^(k3)][(γ^2)+1]

=s(α^k) + t(β^k) + u(γ^k)

(∵ α、β、γは、x^3 = x^2 +1 の解である。)

ゆえに、(*)は、n = k+1 のときにも成り立つ。

 

 

以上より、a(n) = s(α^(n1)) + t(β^(n1)) + u(γ^(n1))      (n≧1)

 α= (1/3) + K + L ,

 β= (1/3) + Kω +L(ω^2),

 γ= (1/3) + K(ω^2) + Lω  

(ただし、K=[{29+3(93)} / 54]^(1/3),   L=[{293(93)} / 54]^(1/3) とする。)

 

NO6「三角定規」   05/0 1219分受信 更新5/20

 

190 解答(三角定規)

 

1.a 11{1}

 a 22{112}

 a 33{1111221}

 a 44{1111112121211}

 

2例えば,10段の階段を「2段」を2回入れて上る場合の数は,

   6つの「1」の間および両端を含めた7つの「・」から2つを選ぶ(右図)    111111・方法の数に等しく 72 通り。

  15段を上るのとき,「2段」の入れ方は,0回,1回,2回,3回,4回,5回の場合があり,

それぞれ  1601 14114 12266 103120 8470 656

  であるから,これらを総て加えて, a 15277

 

3n段の上り方の数 a n

 {n2}{11} …  a n2  通り (1)

 {n4}{121}   a n4  通り (2)

 {n3}{12} …  a n3  通り (3)

の排反な3つの場合で全てが尽くされるから,

         a n  a n2 a n3 a n4     (4)

 

4(4)を繰り返し用いることにより,

  a 5 a 3 a 2 a 1 3216

  a 6 a 4 a 3 a 2 4329

     ……………

  a 15 a 13 a 12 a 11 1298860277

 

5漸化式(4)の特性方程式は,

         t 4t 2t1(t1)(t 3t 21)0 … (5)

    t 3t 210 の解をα,β,γ とすると,

         a nA(1)nBαnCβnDγn      (6)

  と表すことはできるが,カルダノの公式で解くα,β,γ が簡単な形にはならないため(2つは複素数),(6)の形の一般解を求めることは得策ではない。漸化式(4)を用いて逐次計算をするのが実戦的でしょう。

 

NO7「Toru    05/07 1234分受信 更新5/20

遅くなってしまいましたが、第190回解答を送ります。設問5に対して、線形空間の勉強をしたり、3次方程式の勉強をしたり、対称式の勉強をしたりして、楽しかったですが、あまり解答には反映させられませんでした。
 ゴールデンウイークも終わってしまい、次は夏休み(8月の終わりの一週間だけですが)目指してがんばります。 

設問1 a1=1,a2=2,a3=3 (1-1-1,1-2,2-1),a4=4 (1-1-1-1,1-1-2,1-2-1,2-1-1)

設問2 2段登る数は0回から5回までのいずれか、それぞれまず、残りの1段を並べて、その前後あるいは間に2段を並べると考えると
16C0+14C1+12C2+10C3+8C4+6C5=1+14+66+120+70+6=277

設問3 an1で終わる場合 a(n-1)通りと1-2で終わる場合a(n-3)通りにわけられるので an = a(n-1) + a(n-3)

設問4 設問1から続いて
    a5から順に 6,9,13,19,28,41,60,88,129,189,277
    a15=277

設問5 4項間の線形漸化式であるから、x^3-x^2-1=0の3根をα,β,γとすると
この漸化式を満たす数列全体はα^n, β^n, γ^n を基底とする線形空間を作る。
 
 よってan = xα^n + yβ^n + zγ^nとしてa1,a2,a3からx,y,zを定めればよい。
計算の都合上 a(-1)=1 a0=1を追加して
an = ^(n+1) + ^(n+1) + ^(n+1)
とおいてn=-1,0,1を代入すると
x+y+z=1, αx+βy+γz=1, α^2 x+β^2 y+γ^2 z=1
これから 
x=(1-β)(γ-1)/(α-β)(γ-α)
y=(α-1)(1-γ)/(α-β)(β-γ)
z=(β-1)(1-α)/(β-γ)(γ-α)

x^3-x^2-1=0
の根はカルダノの公式から求められますから、
an
nで表わされることにはなりますが、残念ながら簡単にはならないようです。

NO8「ぐーてん」05/07 1744分受信 更新5/20

<コメント:いつも拝見させていただいております。
今回も、前回の問題に関連気味の順列・組合せで考える問題でしたので挑戦してみました。
気が付いたら、普通なら私には無理そうな漸化式を解いていたという、味わい深い問題でした。>

@  n = 1(1)a1 = 1

n = 2(1,1), (2)a2 = 2

n = 3(1,1,1), (2,1), (1,2)a3 = 3

n = 4(1,1,1,1), (2,1,1), (1,2,1), (1,1,2)a4 = 4

A  2段上り×0歩の場合は,(1,,1)1通り.

2段上り×1歩の場合は,(2,1,,1)(1,,1,2)14通り.

2段上り×2歩の場合は,(2,1,2,1,,1)(1,1,2,1,2)であるが,仮想の1歩目を考え1段上る(実際には上らない)とすると,(1,2,1,2,1,,1)(1,1,,1,2,1,2)に置き換えられる.従って上り方の数は,「1,2」×2個と「1」×10個を並べる方法の数に等しく,

2段上り×3歩の場合は,(2,1,2,1,2,1,1)(1,,1,2,1,2,1,2)であるが,同様に仮想の1歩目を考えると「1,2」×3個と「1」×7個を並べる方法の数に等しく,

2段上り×4歩の場合は,(2,1,2,1,2,1,2,1,1)(1,,1,2,1,2,1,2,1,2) であるが,同様に仮想の1歩目を考えると「1,2」×4個と「1」×4個を並べる方法の数に等しく,

2段上り×5歩の場合は,(2,1,2,1,2,1,2,1,2,1), (2,1,2,1,2,1,2,1,1,2)(1,2,1,2,1,2,1,2,1,2)6通り.

以上より,a15 = 1+14+66+120+70+6 = 277

B  n-1段目で止まる場合は,残り1段を1歩で上るしかない.n-1段目を飛び越す場合は,n-3段目で止まり,残り3段を(,1,2)と上る場合に限る.

従って,an = an-1+an-3

C  a1 = 1a2 = 2a3 = 3an = an-1+an-3より逐次計算を行って,

a4 = 4a5 = 6a6 = 9a7 = 13a8 = 19a9 = 28a10 = 41a11 = 60a12 = 88a13 = 129a14 = 189a15 = 277

D  n = 3mmは自然数)の場合,2段上りできるのは最大m歩である.

3m段を2段上り×k歩で上る方法の数は,Aと同様に考えて,「1,2」×k個と「1」×3m-3k+1個を並べる方法の数に等しく,通りである.

従って,

n = 3m+1の場合も2段上りできるのは最大m歩であり,同様に考えて2段上り×k歩で上る方法の数は,通りであるので,

n = 3m+2 の場合は,2段上りできるのは最大m+1歩である.同様に考えて,2段上り×k歩で上る方法の数は,通りとなり,

ということで,Σを使ってますが一応数式で表すことが出来ました.もっと簡略化できるのかも知れませんが、私の力ではここまでです.Bの漸化式を解けと言われると多分無理ですが,この問題のように考えると一応数式で表すことが出来ました.すばらしい!

 

 

NO9「kasama  05/07 1803分受信 更新5/20

<コメント:今回もとても興味深い問題だと思います。扱う数列はフィボナッチに似た数列ですが、何という数列なのでしょうか。設問5の一般項はよくわかりません。>

設問1、2 15段目までをプログラムに数え上げさせると、 下表のようになります。

n

場合数

1

1

2

2

3

3

n

場合数

4

4

5

6

6

9

n

場合数

7

13

8

19

9

28

n

場合数

10

41

11

60

12

88

n

場合数

13

129

14

189

15

277

設問3 階段の昇り方をグラフで表すと、
 
となりますが、n-3n段目に着目して、それぞれの場合数をa
n-3anとすると、
 
となります。続けて2段昇ってはいけないという制約がなければ、明らかにa
n=an-1+an-2(フィボナッチ数列)です。しかし、その制約があるので、n段目に至るには、赤い矢印の経路を辿らなければなりません。つまり、an-2を加算するのは具合が悪く、代わりにan-3を加算すればよいことは、グラフを見れば一目瞭然です。よって、
 a
n=an-1+an-3(n≧4),a1=1,a2=2,a3=3
です。

設問4 随時anを計算すると、以下のようになります。

a4=a3+a1=3+1=4,

a7=a6+a4=9+4=13,

a10=a9+a7=28+13=41,

a13=a12+a10=88+41=129,

a5=a4+a2=4+2=6,

a8=a7+a5=13+6=19,

a11=a10+a8=41+19=60,

a14=a13+a11=129+60=189,

a6=a5+a3=6+3=9,

a9=a8+a6=19+9=28,

a12=a11+a9=60+28=88,

a15=a14+a12=189+88=277

設問5 調査した限りでは、一般項は次のように表されるようです。
 an=[dc
n+1+1/2] (n≧1) ただし、[x]xを超えない最大の整数
ここで、cは方程式x
3-x2-1=0の実根、dは方程式31x3-31x2+9x-1の実根で、c=1.465571231876768…d=0.611491991950812…です。


補足 参考までに、プログラムを載せておきます。
dai190(m)={
    local(n);
    for (n = 1, m,
        count = 0;
        upstair(n, 0, 0);
        print(n, ": ", count);
    );
}
upstair(n, p, flag)={
    if (p >= n,
        if (p == n, count++);
        return;
    );
    upstair(n, p+1, 0);
    if (flag == 0, upstair(n, p+2, 1));
}