平成20年8月24日

[流れ星]

     第211回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:8月3日〜8月24日

連続する自然数の和

皆さん、今回の問題は今年8月4日。5日に行われる「平成20年度 中学生高校見学会授業体験「数学」の問題です。

自然数1,2,3,4,5,6・・・の中には単位数1、素数2,3,5,・・・、合成数4=2×2、6=2×3、・・・があります。それでは本題に入る前に自然数の約数および約数の個数について考えましょう。

ワーク1 36を素因数分解して、その約数を全部書いてください。またその個数を求めてください。

 

ワーク2 36の約数の中で奇数は何個ありますか。

 

ここで、2+3=5,3+4+5=12,4+5+6+7=22、・・・のような和を連続する自然数の和という。すなわち、最初の自然数をaとし、連続する自然数k個の和、

a+(a+1)+(a+2)+・・・+(a+k−1)をいいます。

 

ワーク3 15を連続する自然数の和で何通りにも表してください。

 

ワーク4 一般に、奇数2n+1を2個の連続する自然数の和で表してください。

 

ワーク5 では、偶数2nについては常に連続する自然数の和で表されますか、調べてください。

 

ワーク6  何か気がついたことはありませんか。

ヒント:どんな自然数でも連続する自然数の和で表されますか。

ヒント:ある自然数が連続する自然数の和で表されたとき、1通りですか。

 

次に、いくつかの連続する自然数の「ど真ん中」にある数を考えます。

例えば、4、5、6、7、8のときは「ど真ん中」は6です。

また、4、5、6、7、8、9のときは「ど真ん中」の数はありません。

したがって、連続する自然数の「ど真ん中」にある数は奇数とき存在して、偶数のときはありません。

 

ワーク7 連続する自然数を2k+1個とし、「ど真ん中」の数をaとします。このとき、

   (a−k)(a−k+1) (a−k+2) +・・・+a (a+1) (a+2) +・・・+(a+) 

を求めてください。

 

ワーク8 (奇数)×(奇数)=(    )、(偶数)×(奇数)=(    )、

(偶数)×(偶数)=(    )の(   )の中に奇数、偶数を入れてください。

 

ここで、15を連続する自然数の和で表したとき、何通りあるかを考えます。

最初に、15の素因数分解は153×5から、奇数の約数は1,3,5,15になる。  

(1)「ど真ん中」を3としたとき、15÷3=5ですから、

15=3+3+3+3+3=(3−2)+(3−1)+3+(3+1)+(3+2)

            =1+2+3+4+5 <完成>

 

(2)「ど真ん中」を5としたとき、15÷5=3ですから、

15=5+5+5=(5−1)+5+(5+1)=4+5+6 <完成>

(3)「ど真ん中」を15としたときは特殊な場合でして、連続する自然数が15という1個だけです。

 

ワーク9 (4)「ど真ん中」を1としたときを考えてください。

               

ワーク10 上のことを用いて36を連続する自然数の和で表してください。

 

 

ワーク11 では、3000を連続する自然数の和で表してください。

 

ワーク12 ある自然数Nを連続する自然数の和で表すときの方法をまとめてください。 

 

 

NO1「uchinyan  8/03 1341分受信 更新8/24

 

第211回数学的な応募問題
[連続する自然数の和]

ちょっとやりづらい感じもするのですが,取り敢えず,順番にやってみます。

ワーク1
36 = 2^2 * 3^2
約数 1, 2, 3, 4, 6, 9, 12, 18, 36
9


ワーク2
1, 3, 9
3

ワーク3
a + (a + 1) + (a + 2) + ... + (a + k - 1) = 15
(2a + k - 1)k/2 = 15
(2a + k - 1)k = 30 = 2 * 3 * 5
(1) k
が奇数の場合
2a + k - 1
は偶数です。
(1-1) k = 1
のとき
2a + k - 1 = 30
a = 15
15 = 15
(1-2) k = 3
のとき
2a + k - 1 = 10
a = 4
15 = 4 + 5 + 6
(1-3) k = 5
のとき
2a + k - 1 = 6
a = 1
15 = 1 + 2 + 3 + 4 + 5
(1-4) k = 15
のとき
2a + k - 1 = 2
a
は,自然数では存在しません。
(2) k
が偶数の場合
2a + k - 1
は奇数です。
(1-1) 2a + k - 1 = 1
のとき
k = 30
a
は,自然数では存在しません。
(1-2) 2a + k - 1 = 3
のとき
k = 10
a
は,自然数では存在しません。
(1-3) 2a + k - 1 = 5
のとき
k = 6
a
は,自然数では存在しません。
(
実は,15 = 0 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 となって,(1-3)と等価です。)
(1-4) 2a + k - 1 = 15
のとき
k = 2
a = 7
15 = 7 + 8
以上ですべてです。したがって,
15 = 15 = 4 + 5 + 6 = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 7 + 8

ワーク4
明らかに
2n + 1 = n + (n + 1)

ワーク5
a + (a + 1) + (a + 2) + ... + (a + k - 1) = 2n
(2a + k - 1)k/2 = 2n
(2a + k - 1)k = 4n
ここで,2a + k - 1 k の奇遇性は異なるので,
2a + k - 1
又は k のどちらか一方だけが必ず奇数になります。
したがって,少なくとも n 1 以外の奇数を約数に含まないと,
2n = 2n
以外の連続する自然数の和では表せません。
それ以外は,ワーク6で示すとおりです。

ワーク6
「どんな自然数でも連続する自然数の和で表されますか。」
これは,ワーク5からして,それ自体に等しい自明な場合を除けば,NOです。
1
以外の奇数の約数を含まない 2 のべき乗の数は,それ自体に等しい明らかな場合を除いて,
連続する自然数の和では表せません。
「ある自然数が連続する自然数の和で表されたとき、1通りですか。」
これも,ワーク3から明らかですが,一般にはNOです。

まとめると...

a
を初項,k を項数,N を自然数として,
a + (a + 1) + (a + 2) + ... + (a + k - 1) = N
(2a + k - 1)k/2 = N
(2a + k - 1)k = 2N
ここで,2a + k - 1 k の奇遇性は異なるので,
2a + k - 1
又は k のどちらか一方だけが必ず奇数になります。
これから,N の約数のうち奇数 b に注目して,N = bc のとき,
2a + k - 1 = b, k = 2c ---> a = (b - 2c + 1)/2, k = 2c
又は
2a + k - 1 = 2c, k = b ---> a = (2c - b + 1)/2, k = b
a, k が自然数の範囲のときに,N は連続する自然数の和で表せます。
このとき,一般に,a, k は複数存在します。

ワーク7
(a - k) + (a - k + 1) + ... + (a - 1) + a + (a + 1) + ... + (a + k - 1) + (a + k)
= a(2k + 1)

ワーク8
(奇数)×(奇数)=(奇数)
(偶数)×(奇数)=(偶数)
(偶数)×(偶数)=(偶数)
 
ワーク9
1
を「ど真ん中」にすると,1 より小さい数をもってこないといけませんが,
これは明らかに自然数ではないので,この場合は不可能です。

ワーク10
36 = 2^2 * 3^2
奇数の約数は,1, 3, 9 です。
「ど真ん中」を考えるためには,和に表れる自然数の個数を奇数にする必要があります。
36/1 = 36
を「ど真ん中」にする場合は,36 = 36
36/3 = 12
を「ど真ん中」にする場合は,36 = 12 + 12 + 12 = 11 + 12 + 13
36/9 = 4
を「ど真ん中」にする場合は,
36 = 4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4 = 0 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8
0
は自然数ではないし意味がないので取り除くと,結局,
36 = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8

ワーク11
流れに従って,「ど真ん中」流でやってみます。
3000 = 2^3 * 3 * 5^3
奇数の約数は,1, 3, 5, 15, 25, 75, 125, 375 です。
3000/1 = 3000
を「ど真ん中」にする場合は,3000 = 3000
3000/3 = 1000
を「ど真ん中」にする場合は,3000 = 999 + 1000 + 1001
3000/5 = 600
を「ど真ん中」にする場合は,3000 = 598 + 599 + 600 + 601 + 602
3000/15 = 200
を「ど真ん中」にする場合は,
3000 = 193 + 194 + 195 + 196 + 197 + 198 + 199 + 200 + 201 + 202 + 203 + 204 + 205 + 206 + 207
3000/25 = 120
を「ど真ん中」にする場合は,
3000 = 108 + 109 + ... + 119 + 120 + 121 + ... + 131 + 132
3000/75 = 40
を「ど真ん中」にする場合は,
3000 = 3 + 4 + ... + 39 + 40 + 41 + ... + 76 + 77
3000/125 = 24
を「ど真ん中」にする場合は,初項が自然数にならないので不可。
3000/375 = 8
を「ど真ん中」にする場合は,初項が自然数にならないので不可。

ワーク12
「ど真ん中」流(k が奇数の場合)も含めて,ワーク6でまとめてあります。

(
感想)
発見的な流れの出題なので,問題としては,やややりづらい感じもありました。
発見的学習にはよさそうですね。

NO2「kashiwagi 8/13 0823分受信

kashiwagi 8/15 0908分受信 更新8/24

211回解答

ワーク1

 
       

 

3622×32 より約数の数は3×39 その約数は、1,2,3,4,6,9,12,18,36

ワーク2

 
 

 


上記より奇数は1,3,93

ワーク3

 
 

 


153×5であるから連続する1,3,5個で表せる。しかも15は奇数なので連続する2個でも表せる。即ち、15157+84+5+61+2+3+4+5

ワーク4

 
 

 


奇数を連続する2数で表すには1を引いて2で割ったものとその上の数を加えれば良く、

2+1=n+(n+1) となる。

ワーク5

 
 

 


連続する2数の和は必ず奇数になるので、基本的には偶数は連続する2数の和では表せない。ところが、奇数が約数として含まれる偶数なら表せる。

例えば、62×3102×5142×722=2×11、・・・・・・

61+2+3101+2+3+4142+3+4+5224+5+6+7、・・・・・・

ワーク6

 
 

 


偶数で約数に奇数を含まない数以外は連続する自然数の和で表せる。その方法は、奇数を約数に含む偶数は1通りであるが、奇数は2通り以上となる。勿論、その数1個のみで表したものは含まないものとする。

ワーク7

 
 

 


引く数と足す数が対称となっており、減殺しあうので求めるものは(2+1)・a となる。

ワーク8

 
 

 


(奇数)×(奇数)=(奇数)、(偶数)×(奇数)=(偶数)、(偶数)×(偶数)=(偶数)

ワーク9

 
 

 


 151+1+・・・・・+1+・・・・・・+1+1=(1-7+1-6+・・・・・+1+・・・・・+1+6+1+7)

        =-6-5-・・・・・+1+・・・・・・+7+87+8

ワーク10

 
 

 


ワーク5の結果を3622×32に当てはめ、約数の中の奇数である39を使い、

36/312より、3612+12+1211+12+13

36/94より、364+4+4+4+4+4+4+4+40+1+2+3+4+5+6+7+81+2+3+4+5+6+7+8

ワーク11

 
 

 


上記と同様に、3000の奇数である約数を探すと、3,5,15,254数であることが分かる。

因って、3000/31000より 3000999+1000+1001

     3000/5600より 3000598+599+600+601+602

     3000/15200より 3000193+194+・・・・・・+200+・・・・・・・・・+206+207

     3000/25120より 3000108+109+・・・・・・+120+・・・・・・+131+132

ワーク12

 
 

 


自然数のうち奇数と約数に奇数を含む偶数の場合は、奇数の約数で割って得た数を真ん中にして両側に一つづつ数を加えたり、引いたりした数で連続する数の和とすれば良い。

 

 

NO3「kasama    8/23 0858分受信

   「kasama    8/23 2035分受信 更新8/24

ワーク1

36=2232 なので、約数は{1,2,3,4,6,9,12,18,36}9個です。

ワーク2

36の奇数の約数は{1,3,9}3個です。

ワーク3

1+2+3+4+5=4+5+6=7+8=153通りです。

ワーク4

2n+1=n+(n+1)

ワーク5

1より大きい奇数の約数があれば、連続した自然数の和で表すことができます。

ワーク6

ある自然数が連続した自然数の和で表されるとき、その個数は奇数の約数の数です。

ワーク7

(a-k)+(a-k+1)+(a-k+2)+…+a+(a+1)+(a+2)+…+(a+k)=a(2k+1)

ワーク8

(奇数)×(奇数)(奇数)(偶数)×(奇数)(偶数)(偶数)×(偶数)(偶数)

ワーク9

15=(1+1+1+1+1+1+1)+(1+1+1+1+1+1+1+1)=7+8

ワーク10

ワーク2より、36=3×12なので、ど真ん中は12で、36=12+12+12=11+12+13と表すことができます。

ワーク11

3000=23353と素因数分解できて、下表のように表すことができます。

ど真ん中

連続する自然数の和

-

3000

3000

3×1000

1000

999+1000+1001

5×600

600

598+599+600+601+602

15×200

200

193+194+…+200+…+205+206+207

25×120

120

108+109+110+…+120+…+130+131+132

75×40

40

3+4+5+…+40+…+75+76+77

-

1

39+40+41+…+84+85+86

-

1

180+181+182+…+193+194+195

ワーク12

(1)Nを素因数分解して、1より大きい奇数の約数を求めます。その集合をDとします。

(2)p∈Dに対して、ど真ん中a=N/pを計算します。

(3)すると、連続した自然数の和は(a-k)+…+a+…+(a+k)です(ただし、k=(N/a-1)/2です)

青字は2008.8.23修正