平成21年11月1日

[流れ星]

     第231回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:1011日〜111

[エピサイクロイド]

皆さん、1つの円が定直線に接しながら、滑ることなく回転するとき、円周上の定点の軌跡をサイクロイドといいます。そこで、定円に外接しながら円が滑らずに回転するときの円周上の定点の軌跡はエピサイクロイド言います。ここで、過去の福井医科大学の入試問題を紹介します。

座標平面上に原点Oを中心とする半径2の円C1がある。半径1の円CC1に外接しながら滑ることなく転がるとき、C上の定点Pが描く曲線について考える。Cの中心をQとし、Qが点(3,0)にあるとき、Pは点(4,0)にあるとする。このとき、x軸の正の方向から線分OQへ測った角をθとして次の問いに答えよ。

問題1:点Pの座標(x,y)をθで表せ。

問題2:0θ2πにおいてyの最大値を求めよ。

問題3:θが0θ2πの範囲を動くとき、

Pの描く曲線の長さを求めよ。

    

 

 

 

 

NO1uchinyan  10/11 1735分受信 更新11/1

第231回数学的な応募問題
[エピサイクロイド]

問題1:
PQ
Q の方への延長と 円C2 との交点を R1OQ Q の方への延長と 円C2 との交点を R2
Q
より x 軸 の正の方向に平行に線を引き 円C2 との交点を S
C1 と 円C2 との接点を T,特に,Q (3,0) にあるときの接点を T0
とします。
まず,第一象限で考えます。
TT0 = TR1 なので,2 * ∠TOT0 = 2θ = 1 * ∠TQR1∠TQR1 = 2θ で,
∠PQS = ∠PQR2 + ∠R2QS = ∠TQR1 + ∠TOT0 = 2θ + θ = 3θ
になります。
他の象限では,途中の議論に若干の修正が必要ですが,結果は,同じく,∠PQS = 3θ になります。
そこで,
ベクトルOP = ベクトルOQ + ベクトルQP
= (3 * cosθ, 3 * sinθ) + (cos(3θ), sin(3θ))
= (3 * cosθ + cos(3θ), 3 * sinθ + sin(3θ))
つまり,
P = (x, y) = (3 * cosθ + cos(3θ), 3 * sinθ + sin(3θ))
になります。

問題2:
y = 3 * sinθ + sin(3θ)
dy/dθ = 3 * cosθ + 3 * cos(3θ) = 3 * 2 * cos(2θ)cos(θ)
そこで,
0 <= θ < π/4
dy/dθ > 0y は単調増加,y(0) = 0
θ = π/4
dy/dθ = 0y は極大,y(π/4) = 2 * sqrt(2)
π/4 < θ < π/2
dy/dθ < 0y は単調減少
θ = π/2
dy/dθ = 0y は極小,y(π/2) = 2
π/2 < θ < 3π/4
dy/dθ > 0y は単調増加
θ = 3π/4
dy/dθ = 0y は極大,y(3π/4) = 2 * sqrt(2)
3π/4 < θ < 5π/4
dy/dθ < 0y は単調減少
θ = 5π/4
dy/dθ = 0y は極小,y(5π/4) = - 2 * sqrt(2)
5π/4 < θ < 3π/2
dy/dθ > 0y は単調増加
θ = 3π/2
dy/dθ = 0y は極大,y(π/2) = - 2
3π/2 < θ < 7π/4
dy/dθ < 0y は単調減少
θ = 7π/4
dy/dθ = 0y は極小,y(7π/4) = - 2 * sqrt(2)
7π/4 < θ <= 2π
dy/dθ > 0y は単調増加,y(2π) = 0
これより,
θ = π/4
3π/4y は最大,最大値 = y(π/4) = y(3π/4) = 2 * sqrt(2)
θ = 5π/4
7π/4y は最小,最小値 = y(5π/4) = y(7π/4) = - 2 * sqrt(2)
になります。

問題3:
曲線の長さ L は,
L = ∫[θ=0,2π]{sqrt((dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2)}
で与えられます。しかし,
P = (x, y) = (3 * cosθ + cos(3θ), 3 * sinθ + sin(3θ))
は,
θ <---> -θ
x <---> xy <---> -y
θ <---> π-θ
x <---> -xy <---> y
なので,P の描く曲線は,x 軸,y 軸に関して対称です。
そこで,曲線の長さは,0 <= θ <= π/2 を求めて4倍すればいいです。つまり,
L = 4 * ∫[θ=0,π/2]{sqrt((dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2)}
になります。そして,
dx/dθ = - 3 * sinθ - 3 * sin(3θ)
dy/dθ = 3 * cosθ + 3 * cos(3θ)
(dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2
= (- 3 * sinθ - 3 * sin(3θ))^2 + (3 * cosθ + 3 * cos(3θ))^2
= 18 + 18 * (sinθsin(3θ) + cosθcos(3θ))
= 18 + 18 * cos(2θ)
= 36 * (1 + cos(2θ))/2
= 36 * (cosθ)^2
= (6 * cosθ)^2
より,
L = 4 * ∫[θ=0,π/2]{sqrt((dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2)}
= 4 * ∫[θ=0,π/2]{sqrt((6 * cosθ)^2)}
= 4 * ∫[θ=0,π/2]{6 * cosθ}
= 24 * [sinθ][θ=0,π/2]
= 24
になります。

(
考察1)
ついでなので,曲線の囲む面積も求めてみましょう。これは,やはり対称性を考慮して,
S = 4 * ∫[x=0,4]{y}dx = 4 * ∫[x=x(π/2),]x(0){y}dx = - 4 * ∫[θ=0,π/2]{y * dx/dθ}
になります。計算すると,
S = - 4 * ∫[θ=0,π/2]{y * dx/dθ}
= - 4 * ∫[θ=0,π/2]{(3 * sinθ + sin(3θ)) * (- 3 * sinθ - 3 * sin(3θ))}
= 12 * ∫[θ=0,π/2]{(3 * sinθ + sin(3θ)) * (sinθ + sin(3θ))}
= 12 * ∫[θ=0,π/2]{(3 * (sinθ)^2 + 4 * sin(3θ)sinθ + (sin(3θ))^2)}
= 12 * ∫[θ=0,π/2]{(3 * (1 - cos(2θ))/2 - 4 * (cos(4θ) - cos(2θ))/2 + (1 - cos(6θ)/2)}
= 6 * ∫[θ=0,π/2]{3 * (1 - cos(2θ)) - 4 * (cos(4θ) - cos(2θ)) + (1 - cos(6θ))}
= 6 * ∫[θ=0,π/2]{4 + cos(2θ) - 4 * cos(4θ) - cos(6θ)}
= 6 * [4θ + sin(2θ)/2 - sin(4θ) - sin(6θ)/6][θ=0,π/2]
= 6 * 4 * π/2
= 12π

(
考察2)
C1 の半径を a,円C2 の半径を b として,より一般の場合を考えてみます。
θ = 0
で,Q(a, 0)P(a + b,0) として,同様にして,
∠PQS = (a + b)/b * θ
P = (x, y) = ((a + b) * cosθ + b * cos((a + b)/b * θ), (a + b) * sinθ + b * sin((a + b)/b * θ))
になります。
ここで,今回の問題のように,θ = 2π PQ θ = 0 の位置に戻ってくる場合を考えると,
n
を自然数として,
(a + b)/b * 2π = 2πn
となっているので,
n = (a + b)/b
の関係があります。今回の問題は,n = 3 です。そして,c = a + b とすると,
P = (x, y) = (c * (cosθ + cos()/n), c * (sinθ + sin()/n)
と書けます。
このグラフを描いてみると,
n = 1
のときは,中心が原点で半径が c+b = a+2b の円,
n = 2
は,いわゆる,カージオイド,
n >= 3
のときは,円C1 にちょうど n-1 回くっついて,
C1 を中心に花びらが n-1 枚くっついたような対称性をもった形になっています。
以下では,n >= 3 の場合を考えます。
このとき,一枚の花びらの両端は,
OP^2 = (c * (cosθ + cos()/n))^2 + (c * (sinθ + sin()/n)^2
= c^2 * (1 + 1/n^2 + 2/n * cos((n-1)θ))
が,円C1 の半径の二乗
a^2 = (c - b)^2 = c^2 + (1 - 1/n)^2 = c^2 * (1 + 1/n^2 - 2/n)
に等しくなればいいので,
cos((n-1)θ) = -1
θ = (2k-1)π/(n-1)
k は整数
です。そこで,花びら全体は,-π/(n-1) <= θ <= π/(n-1) にある一枚を,
n-1
回の回転対称移動をすることによって得られます。
さらに,この基になる一枚の花びら自体も x 軸に関して対称です。
これらのことから,曲線の長さ,曲線の囲む面積は,
L = 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{sqrt((dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2)}
S = 2(n-1) * (∫[x=0,a*cos(π/(n-1))]{tan(π/(n-1)) * x}dx + ∫[x=a*cos(π/(n-1)),a+2b]{y}dx)
= 2(n-1) * (a^2/4 * sin(2π/(n-1)) - ∫[θ=0,π/(n-1)]{y * dx/dθ})
で求められます。計算すると,
L = 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{sqrt((dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2)}
= 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{sqrt((c * (sinθ + sin()))^2 + (c * (cosθ + cos()))^2)}
= 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{sqrt(2c^2 + 2c^2 * cos((n-1)θ))}
= 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{sqrt(4c^2 * (cos((n-1)θ/2))^2)}
= 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{2c * cos((n-1)θ/2)}
= 4(n-1)c * [2/(n-1) * sin((n-1)θ/2)][θ=0,π/(n-1)]
= 4(n-1)c * 2/(n-1)
= 8C
= 8(a + b)
S = 2(n-1) * (a^2/4 * sin(2π/(n-1)) - ∫[θ=0,π/(n-1)]{y * dx/dθ})
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
- 2(n-1) * ∫[θ=0,π/(n-1)]{(c * (sinθ + sin()/n)) * (c * (- sinθ - sin()))}
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ 2(n-1)c^2 * ∫[θ=0,π/(n-1)]{(sinθ + sin()/n)(sinθ + sin())}
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ 2(n-1)c^2 * ∫[θ=0,π/(n-1)]{(sinθ)^2 + (1 + 1/n) * sin()sinθ + 1/n * (sin())^2}
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ 2(n-1)c^2 * ∫[θ=0,π/(n-1)]{(1 - cos(2θ))/2 - (n+1)/2n * (cos(((n+1)θ) + cos(((n-1)θ)) + 1/n * (1 - cos(2nθ))/2}
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ (n-1)c^2 * ∫[θ=0,π/(n-1)]{(n+1)/n - cos(2θ) - (n+1)/n * cos(((n+1)θ) - (n+1)/n * cos(((n-1)θ) - 1/n * cos(2nθ))}
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ (n-1)c^2 * [(n+1)/n * θ - sin(2θ)/2 - 1/n * sin(((n+1)θ) - (n+1)/n(n-1) * sin(((n-1)θ)) - 1/2n^2 * sin(2nθ))][θ=0,π/(n-1)]
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ (n-1)c^2 * ((n+1)π/n(n-1) - sin(2π/(n-1))/2 - 1/n * sin(((n+1)π/(n-1)) - 1/2n^2 * sin(2nπ/(n-1))))
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ (n-1)c^2 * ((n+1)π/n(n-1) - 1/2 * sin(2π/(n-1)) + 1/n * sin((2π/(n-1)) - 1/2n^2 * sin(2π/(n-1))))
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1))
+ (n-1)c^2 * ((n+1)π/n(n-1) - (n-1)^2/2n^2 * sin(2π/(n-1)))
= (n-1)a^2/2 * sin(2π/(n-1)) + (n+1)πc^2/n - (n-1)((1 - 1/n)/c)^2/2 * sin(2π/(n-1))
= (n+1)πc^2/n + (n-1)/2 * (a^2 - (c - c/n)^2) * sin(2π/(n-1))
= (n+1)πc^2/n + (n-1)/2 * (a^2 - ((a + b) - (a + b) * b/(a + b))^2) * sin(2π/(n-1))
= (n+1)πc^2/n
= ((a + b)/b + 1) * (a + b)^2 * b/(a + b) * π
= (a + b)(a + 2b)π
となります。
なお,これらは,n = 2 の場合も含んでいるようです。

それと,n が自然数でない場合には,曲線はでは閉じませんが,
n
が有理数 p/q の場合には,q 回まわって閉じる
n
が無理数の場合には,何回まわっても閉じない
となるようです。
これらの考察も興味深いですが,長くなりそうですし,疲れてきたので (^^;,またの機会にしたいと思います。

(
感想)
なかなか興味深い問題でした。曲線は奥が深いですね。

NO2kashiwagi 10/19 0836分受信 更新11/1

231回解答

【問1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


題意に沿って上図のように種々の点を決めると、弧XQの長さは弧QP’の長さに等しいので、

2θ=η・・・・・@ となる。

又、∠PO’Q‘=∠P’O’Q=η(同位角)、∠Q’O’X’θであるから

PO’X’ θ+η・・・・・A

因って、点PXY座標は式@とAの関係より

XOO’COSθ- PO’COS(π-θ-η)

3 COSθ+ COS(θ+η)=3 COSθ+ COS 3θ・・・・・B

Y3 SINθ+SIN 3θ ・・・・・C                      となる。

 

【問2

1で求めたYの値をθで微分し、極値をとるθの値を式Cに代入して、その大小を比較すれば良い。但し、4象限について対称であり、第34象限のYの値は負であるので、第1象限のみ考えれば良い。即ち、0θ≦π/2のみでよい。

 ・・・・・・D

 式Dを0と置いて、COSθ=01/2で極値をとることが分かる。この値を式Cに代入すると、各々222となり、求める最大値は22である。

 

【問3

 問2と同様に第1象限の長さを求め4倍すれば良い。又、求める長さをLとすると、XY座標各々をθで微分し、それらの平方和の平方根を0θ≦π/2の範囲でθにより積分すれば良い。

因って、求める長さは24である。

 

No3「再出発  」10/24 1010分受信 更新11/1

第231回の答案
--
(1)
2円の接点をTとすると、2円が接してきた部分を含む
  弧TP=2θ+π
 したがって、ベクトルQPの偏角(?) -π+θ+2θ+π=3θ
 ベクトルOQ=(3cosθ,3sinθ),ベクトルQP=(cos3θ,sin3θ)
 ベクトルOP=(3cosθ+cos3θ,3sinθ+sin3θ)
 3倍角の公式を使って
 x = 4(cosθ)^3y = 6sinθ-4(sinθ)^3 ・・・(答)

(2) y=6t-4t^3 (-1≦t≦1)
の増減表を作って
 θ=π/4 , 3π/4 のとき最大値 2√2 ・・・(答)
 
(3)
公式通り
  ∫[0→2π]√{(dx/dθ)^2 + (dy/dθ)^2}

 =6∫[0→2π]cosθ
  =24∫[0→π/2]cosθdθ
  =24 ・・・(答)

皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。