平成22年1月3日

[流れ星]

     第234回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:1213日〜13

[確率は面積比(1)]

皆さん、場合の数が無数にある確率の問題を考えたことがありますか。

ここで、問題です。

 

a,bを a<bである任意に与えられた正の数とする。長さbの線分上に勝手に2点をとるとき,それら2点間の距離がa以上である確率を求めよ。

 

NO1uchinyan  12/13 1224分受信 更新1/3


OB = b
となるような線分 OB を考えます。
そして,OB 上に二点 PQ を,OP = xOQ = y0 <= x <= y <= b となるようにとります。
すると,今考えるのは,PQ = y - x >= a > 0 となる場合です。
つまり,0 <= x <= y <= b において,y - x >= a > 0 となる場合,を考えればいいです。
これは,x,y 座標系で図示すると,
頂点が (0,0), (b,0), (b,b), (0,b) となる正方形の左上半分の三角形のうち,
y = x + a
よりも上側の領域です。
これら領域における点の分布は一様と考えていいので,求める確率 p は,これら領域の面積比になります。
そこで,0 < a < b を考慮して,
p = ((b - a)^2/2)/(b^2/2) = (1 - a/b)^2
になります。

(
考察)
もとになる領域を 0 <= x <= y <= b としましたが,0 <= x <= b, 0 <= y <= b でも構いません。
ただ,そのときは,対象になる領域が,|y - x| >= a > 0 となります。
|y - x| >= a
 
<----->
 ((y - x >= 0) and (y - x >= a)) or ((y - x < 0) and (-(y - x) >= a)) 
<----->
 (y >= x + a) or (y <= x - a)
なので,こう考えると,
頂点が (0,0), (b,0), (b,b), (0,b) となる正方形のうち,
y = x + a
よりも上側 又は y = x - a よりも下側 の領域です。
そこで,求める確率は,
p = ((b - a)^2/2 * 2)/(b^2) = (1 - a/b)^2
になります。
当然ですが,先ほどの結果と一致します。

なお,十進BASICのプログラムで確認してみました。
全体のスケールは確率に関係しないので b = 1 にしています。

RANDOMIZE
LET b = 1
LET n = 1000000
FOR a = 0 TO 1 STEP 0.01

 LET c = 0
 FOR i = 1 TO n
  LET x = RND
  LET y = RND
   IF ABS(x - y) >= a THEN
   LET c = c + 1
   END IF
   NEXT i
   PRINT "a ="; a; "b ="; b
   PRINT "
理論値"; (1 - a/b)^2
   PRINT "
実験値"; c/n
NEXT a

END

a = 0 b = 1
理論値 1
実験値 1
a = .01 b = 1
理論値 .9801
実験値 .97994
a = .02 b = 1
理論値 .9604
実験値 .959954
a = .03 b = 1
理論値 .9409
実験値 .940893
a = .04 b = 1
理論値 .9216
実験値 .921686
a = .05 b = 1
理論値 .9025
実験値 .9023
...
a = .46 b = 1
理論値 .2916
実験値 .291652
a = .47 b = 1
理論値 .2809
実験値 .280481
a = .48 b = 1
理論値 .2704
実験値 .270639
a = .49 b = 1
理論値 .2601
実験値 .259495
a = .5 b = 1
理論値 .25
実験値 .249233
a = .51 b = 1
理論値 .2401
実験値 .239791
a = .52 b = 1
理論値 .2304
実験値 .229517
a = .53 b = 1
理論値 .2209
実験値 .220456
a = .54 b = 1
理論値 .2116
実験値 .211591
a = .55 b = 1
理論値 .2025
実験値 .202725
...
a = .96 b = 1
理論値 .0016
実験値 .001552
a = .97 b = 1
理論値 .0009
実験値 .00089
a = .98 b = 1
理論値 .0004
実験値 .000423
a = .99 b = 1
理論値 .0001
実験値 .000098
a = 1 b = 1
理論値 0
実験値 0

これを見ると,確かに,ほぼ一致しています。

(
感想)
確率が面積比で表わされることがあることは,正規分布などのグラフでは常識といってもいいように思います。
しかし,このような問題として問われると,面食らうこともありますね。いい復習になりました。

 

NO2「スモークマン」    12/21 1820分受信 更新1/3

 

今回もチャレンジ〜^^v
似た問題:直線を3分割したとき三角形のできる確率は?ってのをみたことがありま
^^
今回は...
b-a
a b2a なので...
a-b
平面で考えると...
明らかに正方形の 1/4 の面積分が確率と考えられますよね?♪

急に寒さが増して来ました...ソバ粉の値段が上がってるそうです...^^;
佳い年をお迎えくださいませ 〜m(_ _)mv

 

NO3「ぐーてん」  12/22 1040分受信 更新1/3

<「ぐーてん」さんのコメントから>

いつも拝見させていただいております。
大変お久しぶりではありますが、答案を投稿させていただきますので、よろしくお願いします。

最近、少し暇ができたので、ヤフー知恵袋の数学や理科の質問に回答などしたりしています。
たまに面白い質問があって、新たな数学の世界に出会うこともあります。
例えば、
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1433663824
四次元空間の最密充填について、私なりに考えてみました。
検索してもあまり的確なことが書かれているサイトが見当たらなかったので。
ちなみに、beetbertというのが私です。

今年も、面白い問題をたくさんありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。良いお年を。

 

《解法1:有限要素解の分割数を無限大にしたときの極限値を求める方法》

 

 

図1

 

図1のように,長さ10の線分を10等分し,各区間の代表値を左から1, 2, 3, 10と定める.

線分上にランダムに点PQをとり,各点の属する区間の代表値をx1x2 とし,その差をd = |x1-x2| とおく.

d=1となるのは,(x1, x2)=(1, 2), (2, 3), (3, 4), , (9, 10), (2, 1), (3, 2), (4, 3), , (10, 9) 2×9通り.

d=2となるのは,(x1, x2)=(1, 3), (2, 4), (3, 5), , (8, 10), (3, 1), (4, 2), (5, 3), , (10, 8) 2×8通り.

… と考えて,d = kとなるのは2(10-k) 通りである.

したがって,dmとなる確率を求めると,

 

 

図2

以上をふまえて,図2のように長さbの線分をn等分し,各区間の代表値を左からと定める.

線分上に点PQをとり,各点の属する区間の代表値をx1x2 とし,その差をd = |x1-x2| とおく.

とおき,daとなる確率を求めると,

 

 

 

 

 

《解法2:確率分布関数を積分して平均確率を求める方法》

 

線分0xb上に2点をとる.1点目がx = x1 であったときに,2点目x = x2 をとって |x1-x2|aである確率をP(x1) とおく.

@b2aの場合

i)0x1aのとき,

|x1-x2|aとなるx2 のとり得る領域は,x1+ax2b,領域の長さは,b-a-x1

ii)ax1b-aのとき,

|x1-x2|aとなるx2 のとり得る領域は,0x2x1-ax1+ax2b,領域の長さは,(x1-a)+(b-a-x1)=b-2a

iii)b-ax1bのとき,

|x1-x2|aとなるx2 のとり得る領域は,0x2x1-a,領域の長さは,x1-a

よって,

 

 

 

 

 

0x1bにおけるP(x1) の平均値を求めると,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aab2aの場合

 

i)0x1b-aのとき,|x1-x2|aとなるx2 のとり得る領域は,x1+ax2b,領域の長さは,b-a-x1

ii)b-ax1aのとき,|x1-x2|aを満たすx2は存在しない.

iii)ax1bのとき,|x1-x2|aとなるx2 のとり得る領域は,0x2x1-a,領域の長さは,x1-a

よって,

 

 

 

 

 

 

 

0x1bにおけるP(x1)の平均値を求めると,

 

 

 

 

 

 

以上より,いずれの場合にも,

 

 

《解法3:領域による解法》

 

線分0xb上に2点x = x1, x2 をとる.

0x1bかつ0x2bなので,(x1, x2)のとり得る領域をx1-x2 直交座標系に図示すると,図3に斜線で示した正方形の内部(及び境界上)になり,(x1, x2) はこの領域の全域にわたって等しい確率で存在し得る.

ここで,線分上で2の距離がa以上である条件は,|x1-x2|aと表わせる.

すなわち,x2x1+aまたはx2x1-aとなり,これを満たす(x1, x2) のとり得る領域を図示すると,図4に斜線で示したように,平行な2直線:x2 = x1-ax2 = x1+aにはさまれる領域の外側でかつ,図3の正方形の内部の領域になる.

よって,求める確率は図3と図4の各領域の面積比に等しく,

図3                    図4

 

 

NO4kashiwagi 12/24 1954分受信

 

<水の流れからのお詫び>上の時間に解答を応募されましたが、一部修正が必要でした。

年末・年始の関係から応募期間中に間に合いませんでしたので、勝手ながら今は割愛させてもらいます。>