平成24年7月22日

[流れ星]

     第277回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:7月1日〜722

[帰納法と演繹法]

授業中扱っている数研の補助教材からの問題です。

解法には帰納的な考え方と演繹的な考え方があります。次の問題をこの2種類の方法から解いてください。(注:演繹的な解法を見つけていません。)

 

NO1uchinyan  07/01 1236分受信 更新7/22

問題1:

順次計算してみると,

a(1) = -1

a(2) = (a(1))^2 + 2 * 1 * a(1) - 2 = (-1)^2 + 2 * 1 * (-1) - 2 = -3

a(3) = (a(2))^2 + 2 * 2 * a(2) - 2 = (-3)^2 + 2 * 2 * (-3) - 2 = -5

a(4) = (a(3))^2 + 2 * 3 * a(3) - 2 = (-5)^2 + 2 * 3 * (-5) - 2 = -7

a(5) = (a(4))^2 + 2 * 4 * a(4) - 2 = (-7)^2 + 2 * 4 * (-7) - 2 = -9

これを見ると,a(n) = 1 - 2n,と思われます。これを数学的帰納法で証明しましょう。

n = 1 のとき

定義より,a(1) = -1,です。一方で,1 - 2 * 1 = -1 = a(1) です。

そこで,n = 1 のときは,確かに成立します。

n = k のとき,a(k) = 1 - 2k と仮定します。

すると,n = k+1 のときは,

a(k+1) = (a(k))^2 + 2ka(k) - 2

= (1 - 2k)^2 + 2k * (1 - 2k) - 2 = 1 - 2k - 2 = 1 - 2(k+1)

となり,確かに n = k+1 でも成立しています。

以上より,数学的帰納法によって,a(n) = 1 - 2n,がいえました。

 

問題2:

a(n+1) = (a(n))^2 + 2na(n) - 2

右辺の第1項と第2項とで完全平方ができることに注目して,

a(n+1) = (a(n))^2 + 2na(n) + n^2 - n^2 - 2

a(n+1) = (a(n) + n)^2 - n^2 - 2

この後がちょっと難しいのですが,

左辺は a(n+1) に関して1次式,右辺は a(n) に関して2次式なので,

せめて,右辺を因数分解できるようにできないかな,と思って,

a(n+1) + 2n + 1 = (a(n) + n)^2 - n^2 - 2 + 2n + 1

a(n+1) + 2n + 1 = (a(n) + n)^2 - (n^2 - 2n + 1)

a(n+1) + 2n + 1 = (a(n) + n)^2 - (n - 1)^2

a(n+1) + 2(n+1) - 1 = (a(n) + 2n - 1)(a(n) + 1)

お,何か見えて来たな,という感じで,

a(n) + 2n - 1 = (a(n-1) + 2(n-1) - 1)(a(n-1) + 1)

a(n) + 2n - 1 = (a(n-2) + 2(n-2) - 1)(a(n-2) + 1)(a(n-1) + 1)

a(n) + 2n - 1 = (a(n-3) + 2(n-3) - 1)(a(n-3) + 1)(a(n-2) + 1)(a(n-1) + 1)

a(n) + 2n - 1 = (a(2) + 2 * 2 - 1)(a(2) + 1)…(a(n-3) + 1)(a(n-2) + 1)(a(n-1) + 1)

a(n) + 2n - 1 = (a(1) + 2 * 1 - 1)(a(1) + 1)(a(2) + 1)…(a(n-3) + 1)(a(n-2) + 1)(a(n-1) + 1)

a(1) = -1 なので,

a(n) + 2n - 1 = ((-1) + 2 * 1 - 1)((-1) + 1)(a(2) + 1)…(a(n-3) + 1)(a(n-2) + 1)(a(n-1) + 1)

a(n) + 2n - 1 = 0

a(n) = 1 - 2n

になります。

本当は,

(a(n) + 2n - 1)/(a(n-1) + 2(n-1) - 1) = a(n-1) + 1

と変形する方が分かりやすいのですが,こうすると,左辺が 0/0 の積になってしまうので不可です。

上記は,これを避けるためのちょっと微妙な式変形ですね。

 

(感想)

問題2:は,最初,階差を取ることも考えたのですが,

右辺が a(n) に関して1次ではないのでうまくいかないようです。

それならば,右辺を因数分解して何かできないか,と考えたのが上記の解法です。

もっとうまい式変形があるかも知れないな,とは思っていますが,取り敢えず。

<水野の流れ:助かった。この式変形ができなかった。本当にありがとうございました。>

NO2「浜田明巳」  07/03 0905分受信 更新7/22

 

解法1:
  a=−1
  a=a+2・1・a−2=1−2−2=−3
  a=a+2・2・a−2=9−12−2=−5
 故にa=−(2n−1)と類推できる.これを数学的帰納法で証明する.
i).n=1のとき,明らかに成立する.
ii).n=k(k≧1)のとき,a=−(2k−1)と仮定する.
  ∴ak+1=a+2kakщu梠、踉晒齦皃苳・ぢ−2=(2k−1)−2k(2k−1)−2=−2k−1=−(2k+1)
 故にn=k+1のときも成立する.
 i).ii).より,任意の自然数nについて,a=−(2n−1)=1−2n

解法2:
 b=a+pn+q(p,qは定数)とすると,a=b−pn−q
 漸化式に代入すると,
  bn+1−p(n+1)−q=(b−pn−q)+2n(b−pn−q)−2
  ∴bn+1=bw)沾。陌・・・齦隍苳・ぢ2n+q−2pnb+2pqn−2qb+2nb−2pn−2qn−2+pn+p+q
      =b+(−2pn−2q+2n)b+(p−2p)n+(2pq+p−2q)n+(q+p+q−2)
 ここで,
  p−2p=0………(1)
  2pq+p−2q=0………(2)
  q+p+q−2=0………(3)
となるように,p,qを定める.
 (1)から,p(p−2w)ヲ息=0   ∴p=0,2
 p=0のとき,(2),(3)から,−2q=0,q+q−2=0
 これは矛盾する.
 p=2のとき,(2),(3)から,4q+2−2q=0,q+2+q−2=0
  ∴q=−1,q+q=0   ∴q=−1
  ∴bn+1=b+(−4n+2+2n)b=b(b−2n+2)
 故にあるnにおいて,b=0とすると,b=0(i≧n)
 ここで,b=a+p+q=−1+1=0
  ∴b=0(n≧1)
  ∴a+pn+q=a+2n−1=0   ∴a=1−2n
(しかしこの解では,b=0(i≧n),b=0のところで,帰納的な考え方をしているので,あまり自信はない)

(別解)(aをnのm次式と解釈する非常に苦しい解である)
 あるnにおいて,a≠0である.
 aをnのm次式として(m≧0),
  a=p+pm−1+pm−2+… ……+p(p≠0,pは定数)
とする.
  an+1=p(n+1)+p(n+1)m−1+p(n+1)m−2+………+p
     =p+qm−1+qm−2+………(qは定数)
 これはm次式である.
  a=p2m+r2m−1+r2m−2+………(rは定数)
 これは2m次式である.
  2na=2pm+1+2p+2pm−1+………
 これはm+1次式である.
 最高次の項の係数を比べる.
 an+1はm次式なので,a+2na−2もm次式.
 2m≧m,m+1>mであり,p ;2≠0,2p≠0& lt;br>  故に2m=m+1であり,p+2p=0(p≠0)
  ∴m=1,p=−2
  ∴a=−2n+p
 これを漸化式に代入すると,
  −2(n+1)+p=(−2n+p)+2n(−2n+p)−2
  ∴−2n−2+p=4n−4np+p−4n+2np1w)刋タ・・・・・・−2
  ∴−2n+p=−2np+p
 これが任意のnについて成立するので,p=1
  ∴a=−2n+1

  皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、

メールで送ってください。待っています。