平成25年2月10日

[流れ星]

     第286回数学的な応募解答

      <解答募集期間:120日〜2月10日>

[内積の最小値]

過去の立教大学の入試問題です。

NO1「uchinyan  01/20 1356分受信

uchinyan  01/20 1551分受信 更新2/10

(解法1)

円の中心を O(0,0)P(r,0)Q(r * cosα, r * sinα)R(r * cosβ, - r * sinβ)

r > 00 <= α <= π0 <= β <= π,と座標を入れます。

QPO = (π-α)/2∠RPO = (π-β)/2∠QPR = ∠QPO + ∠RPO = π - (α+β)/2

ベクトルPQ・ベクトルPR = |PQ||PR|cos(∠QPR) = |PQ||PR|cos(π - (α+β)/2)

= - |PQ||PR|cos((α+β)/2)

より,最小値を考えるので,0 < (α+β)/2 < π/20 < α+β < π,のときを考えれば十分です。この条件の下で,

ベクトルPQ・ベクトルPR

= (r * cosα - r, r * sinα)(r * cosβ - r, - r * sinβ)

= (r^2 * (cosα - 1)(cosβ - 1) - r^2 * sinαsinβ)

= r^2 * (cosαcosβ - cosα - cosβ + 1 - sinαsinβ)

= r^2 * (cos(α+β) - (cosα + cosβ) + 1)

= r^2 * ((2(cos((α+β)/2))^2 - 1) - 2cos((α+β)/2)cos((α-β)/2) + 1)

= r^2 * 2((cos((α+β)/2))^2 - cos((α+β)/2)cos((α-β)/2))

= r^2 * 2cos((α+β)/2)(cos((α+β)/2) - cos((α-β)/2))

0 < (α+β)/2 < π/2cos((α+β)/2) > 0 より,

>= r^2 * 2cosα(cosα - 1),等号は,α = β

= r^2 * 2((cosα)^2 - cosα)

= r^2 * 2((cosα - 1/2)^2 - 1/4)

>= r^2 * 2(0^2 - 1/4) = - r^2/2,等号は,cosα = 1/2α = π/3

つまり,α = β = π/3PQR は正六角形の隣り合う三つの頂点,のときに,

ベクトルPQ・ベクトルPR は,最小値 - r^2/2,を取ります。

 

(解法1の若干の別解)

最小値の評価の部分は,次のようにした方が分かりやすいかも知れません。

ベクトルPQ・ベクトルPR

= (r * cosα - r, r * sinα)(r * cosβ - r, - r * sinβ)

= …

= r^2 * 2((cos((α+β)/2))^2 - cos((α+β)/2)cos((α-β)/2))

= r^2 * 2((cos((α+β)/2) - cos((α-β)/2)/2)^2 - (cos((α-β)/2))^2/4)

ここで,

(cos((α+β)/2) - cos((α-β)/2)/2)^2 >= 0- (cos((α-β)/2))^2/4 >= - 1/4

より,

cos((α+β)/2) - cos((α-β)/2)/2 = 0(cos((α-β)/2))^2 = 1

となるときに最小ですが,このとき,今の角度の条件の下では,

(cos((α-β)/2))^2 = 1cos((α-β)/2) = 1α =β

cos((α+β)/2) - cos((α-β)/2)/2 = 0cosα - 1/2 = 0cosα = 1/2α = π/3

つまり,α = β = π/3PQR は正六角形の隣り合う三つの頂点,のときに,

ベクトルPQ・ベクトルPR は,最小値 r^2 * 2(0 - 1/4) = - r^2/2,を取ります。

 

(解法2)

円の中心を O とします。ベクトルPQ・ベクトルPR = |PQ||PR|cos(∠QPR) より,

最小値を考えるので,cos(∠QPR) < 0π/2 < ∠QPR < π,のときを考えれば十分です。

この条件の下で,相加相乗平均により (|PQ|^2 + |PR|^2)/2 >= |PQ||PR| を考慮すると,

ベクトルPQ・ベクトルPR = |PQ||PR|cos(∠QPR) >= (|PQ|^2 + |PR|^2)/2 * cos(∠QPR)

ここで,等号は |PQ| = |PR| です。

そこで,π/2 < ∠QPR < π|PQ| = |PR| の条件の下で最小値が存在すれば,それが全体の最小値になります。

|PQ| = |PR| は,円の対称性より ∠QPO = ∠RPO を意味するので,|PO| = |QO| = |RO| に注意して,

POQ = ∠POR = π - ∠QPR がいえます。そこで,余弦定理によって,

|PQ|^2 = |PR|^2 = r^2 + r^2 - 2 * r * r * cos(π - ∠QPR) = 2r^2 * (1 +cos(∠QPR))

これより,

ベクトルPQ・ベクトルPR >= (|PQ|^2 + |PR|^2)/2 * cos(∠QPR) = 2r^2 * (1 + cos(∠QPR)) * cos(∠QPR)

= 2r^2 * ((cos(∠QPR))^2 + cos(∠QPR))

= 2r^2 * ((cos(∠QPR) + 1/2)^2 - 1/4) >= - r^2/2

ただし,等号は,cos(∠QPR) = - 1/2 < 0∠QPR = 2π/3,で成立します。

そこで,結局,|PQ| = |PR|∠QPR = 2π/3,つまり,PQR は正六角形の隣り合う三つの頂点,のときに,

ベクトルPQ・ベクトルPR は,最小値 - r^2/2,を取ります。

 

(感想)

比較的よく見るタイプの問題ですが,2変数の最小値問題になるので,評価には少し工夫が必要です。結果がきれいなので,初等幾何だけでもできるのかも知れませんね。

NO2「スモークマン」  01/21  058分受信 更新2/10

この問題は簡単そうでしたのに結構考えました…^^;
円周上の3点、P, Q, R...内積
PQ*PR=|PQ|*|PR|*cos2θ
で考える

逆に最大値になる時を考える
同じ角度のときなら二等辺三角形のとき
x^2=2r^2-2r^2*cos2θ
2r^2*(1-cos2θ)
PQ*PR=|PQ|*|PR|*cos2θ
=x^2*cos2θ=2r^2*(1-cos2θ)*cos2θ
(1-t)*t=-t^2+t=-(t-1/2)^2+1/4
cos2θ=1/2
のとき…2θ=π/3
Max=r^2/2
図形的にこのときの3点の位置は正三角形なので
最小の円とその正三角形との隙間にできる二等辺三角形のはず
つまり…r^2*cos(2π/3)=-r^2/2

Max
の求め方と同様に考えると
2r^2*(1+cos2θ)*cos2θ
(1+t)t=t^2+t=(t+1/2)^2-1/4
だから…t=-1/2 のときで
cos2θ=-1/2…2θ=2π/3
のときで Min=-r^2/2   合致する

NO3「浜田明巳」 01/21 1738分受信 更新2/10

PとQ,またはPとRが一致するとき,内積は0となる.
 以下,PとQ,PとRが一致しないとする.
 Pを固定し,Rの偏角βを0<β≦πとしても一般性は失われない.
 P(r,0),Q(cosα,rsinα),R(cosβ,rsinβ)(0<α<2π,0<β≦π)とする.
  ベクトルPQ・ベクトルPR/r(cosα−1,sinα)(cosβ−1,sinβ)
                  =(cosα−1)(cosβ−1)sinαsinβ
                  =(cosαcosβsinαsinβ)cosαcosβ+1
                  =cosβ)cosαcosβ+1
 これをαの関数とみなし,f(α)とすると,
  f'(α)=−sin(αβ)sinα
     =sinαsin(αβ)
     =2cosβ/2)sin(β/2)
 0<β/2≦π/2であるから,sin(β/2)>0
 −π/2<αβ/2<2πであるから,
  f'(α)=0  αβ/2=π/2,3π/2
         αβ/2+π/2,β/2+3π/2
 f'(α)>0のとき,
  −π/2<αβ/2<π/2,3π/2<αβ/2<2π
  0<αβ/2+π/2,β/2+3π/2<α<2π
 f'(α)<0のとき,
  π/2<αβ/2<3π/2
  ∴β/2+π/2<αβ/2+3π/2
 増減を考える.
 0<αβ/2+π/2で,f'(α)>0
 β/2+π/2<αβ/2+3π/2で,f'(α)<0
 β/2+3π/2<α<2πで,f'(α)>0
 故にαβ/2+3π/2のとき,最小となる可能性がある.
 このとき,
  f/2+3π/2)cos(β/2+3π/2)cos/2+3π/2)cosβ+1
            =cos(β/2−π/2)cos/2−π/2)cosβ+1
            =−sin(β/2)sin(β/2)cosβ+1
            =−2sin(β/2)cosβ+1
 t=β/2,0<t≦π/2,与式=g()とすると,
  g()=−2sint−cos(2t)+1
     =−2sint−(1−2sin)+1
     =2sint−2sin
     =2(sint−1/2)−1/2
 0<sin1であるから,sint=1/2のとき,最小値−1/2をとる.
 これはf()=0を下回るので,これが最終的なf(α)の最小値となる.
 このとき,0<t≦π/2から,
  t=β/2=π/6
  ∴βπ/3
  ∴αβ/2+3π/2=π/6+3π/2=5π/3
 故にPOQ=π/3,POR=π/3,Q,Rは一致しないとき,内積は最小値−r/2をとる.

「浜田明巳」 01/24 1016分受信 更新2/10

(別解)(数U的解法)
 θQPRとする.
 Rから直線PQに垂線RR'をおろす.
 0θ≦π/2のとき,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=PQ・PR・cosθ=PQ・PR'
 π/2<θ≦πのとき,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=−PQ・PR'

 内積の最小値を求めるのであるから,π/2<θ≦πとしてよい.
 半径1の円で考えて,求めた最小値をr倍する.
 P(1,0),Q(a,b)(−1a<1,−1b<0)とする.
 図から,PQに平行な直径の第1象限内の端がRとなれば,内積が最小となる.


 ORの方程式は,y=−b/(1−a)・x
 円の方程式x+y=1に代入すると,
  x{−b/(1−a)・x}=1
  ∴{(1−a)+b}(1−a)
  PQ(1−a)
 グラフから,x>0,1−a>0となり,x=(1−a)/PQ
  ((1−a)/PQ,−b/PQ)
 簡単に表現するために,X=(1−a)/PQ,Y=−b/PQとする.
 RR'の方程式は,y=(1−a)/b・(x−X)+Y
 PQの方程式y=−b/(1−a)(x−1)と連立すると,
  −b/(1−a)(x−1)(1−a)/b・(x−X)+Y
  −b(x−1)(1−a)(x−X)(1−a)bY
  ∴{(1−a)+b}x=b(1−a)X−(1−a)bY
  PQx=b(1−a)/PQ+(1−a)/PQ
      =b(1−a)/PQ・{(1−a)+b}
      =b(1−a)PQ
  x={(1−a)PQ}/PQ
  y=−b/(1−a)[{(1−a)PQ}/PQ−1]
    =−b/{(1−a)PQ}{(1−a)PQ−PQ}
    =−b/{(1−a)PQ}[(1−a)PQ−{(1−a)+b}]
    =−b/{(1−a)PQ}{(1−a)PQ−(1−a)}
    =b/PQ{(1−a)−PQ}
  '({(1−a)PQ}/PQ,b{(1−a)−PQ}/PQ)
  PR'[{(1−a)PQ}/PQ−1][{(1−a)−PQ}/PQ]
      =[(1−a){PQ−(1−a)}/PQ][{(1−a)−PQ}/PQ]
      ={(1−a)+b}{PQ−(1−a)}/PQ
      ={PQ−(1−a)}/PQ
  ∴(PQ・PR')=PQ−2・PQ・(1−a)(1−a)
          =b+2(1−a)−2・PQ・(1−a)………(1)
 ここで,a=cosα,b=sinαπ≦α<2π)とすると,
  bsinα=4sin/2)cos/2)=4sin/2){1−sin/2)}
  1−a=2・(1−cosα)/2=2sin/2)
  PQ=b(1−a)=b+1−2a+a=2(1−a)+b=1)
    =4sin/2)
 π/2≦α/2<πから,sin(α/2)>0
  PQ=2sin(α/2)
 (1)から,
  (PQ・PR')=4sin/2){1−sin/2)}+2・{sin/2)}−2・2sin(α/2)・2sin/2)
 t=sin(α/2)(0<t1)とすると,
  (PQ・PR')/4=t(1−t)+2t−2t=t−2t+t=t(t−1)
 t(t−1)≦0から,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=−PQ・PR'=2t(t−1)=2(t−1/2)−1/2
 0<t1から,t=1/2のとき,最小値−1/2をとる.
 このとき,t=sin(α/2)=1/2
  ∴α/2=5π/6
  ∴α=5π/3
  (1/2,−3/2)
 また,PQ=2sin(α/2)=1から,
  R(1/2,3/2)
 まとめると,POQ=POR=π/3,Q,P,Rの順に並ぶとき,最小値−r/2をとる.
(三角関数を使うのなら,最初から使った方がよいですよね.なんて解答だ)

「浜田明巳」 02/07 1616分受信 更新2/10

(別解その2)
 P(1,0),Q(a,(1−a)1/2)(−1a<1),R(cosθsinθ)としてよい.
 このとき,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=(a−1)(cosθ−1)(1−a)1/2sinθ
   =(1−a)1/2sinθ(1−a)cosθ(1−a)
  ベクトルPQ・ベクトルPR/(1−a)1/2
    =(1+a)1/2sinθ(1−a)1/2cosθ(1−a)1/2
 この式をf(θ)とすると,
  f(θ){(1+a)(1−a)}1/2[sinθ{(1+a)/2}1/2cosθ{(1−a)/2}1/2](1−a)1/2
    =2・(sinθcosαcosθsinα)(1−a)1/2
 ただし,cosα{(1+a)/2}1/2sinα{(1−a)/2}1/2
 このとき,
  f(θ)2・sin(θα)(1−a)1/2
 もし,θα=3π/2となる場合があるのならば,f(θ)は,最小値−2+(1−a)1/2をとる.
 このとき,θα+3π/2
  cosθcos+3π/2)cosαcos(π/2)sinαsin(π/2)sinα{(1−a)/2}1/2
   sinθsin(α+3π/2)sinαcos(π/2)cosαsin(π/2)=−cosα=−{(1+a)/2}1/2
 また,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=f(θ)(1−a)1/2{2+(1−a)1/2}(1−a)1/2
 X=(1−a)1/2とすると,
  ベクトルPQ・ベクトルPR=X(X−)(X−1/)−1/2
 −1a<1から,0<X≦√
 故にX=1/2のとき,最小値−1/2をとる.
 このとき,a=1/2であり,
  Q(1/2,3/2),R(1/2,−3/2)
 この場合は存在するので,これが最小値となる.
 故に最終的な最小値は,−r/2である.

NO4「★」    01/21 1928分受信 更新2/10

★と申します  下記のアドレスを入力ください

 

 

「解答」

 

<水の流れ:グラフソフトMathematica の利用かな>

 

NO5「にいばりZ1201/29 2312分受信

「にいばりZ1201/31 016分受信 更新2/10

にいばりZ12です

前回の問題は好きなタイプでぜひ回答したかったのですが仕事が忙しく時間切れでした。

ベクトルと行列(これが無ければ始まらないのは分かってはいるのですが)はもっとも不得意とする分野で自信はありませんが何とか考えてみました。

 

[内積の最小値]

 

テキスト ボックス: P

 

ベクトルPQとベクトルPRの内積はPQPRのなす角をθとして

テキスト ボックス: 〈PQ  , PR〉=

 

ベクトルが円の直径となす角が等しくαとすると、θ=2α

よってこのときの内積は

次に@をγだけ回転するとベクトルが円の直径となす角は

θ=(α+γ)+(α-γ)=2α   (ただしα+γ<π/2、α-γ>0 )

 

よってこのときの内積は

 

 

@とAを比較し、「ベクトルPQとベクトルPRは直径となす各々の角が等しい場合に

絶対値の積が最大になる」・・・・・・・B

 

Bより求める最小値は@の場合においてcos2αが負の値をとるときの最小値である。

 

@右辺を変形整理すると

4r22cos4α-cos2α)

2cos4α-cos2αをcosα=tの関数と見て極値を求める

()=24-2  

'()=83-2=0 と置くと 

    t(4t2-1)=0 よりt=0,t=1/2,t=-1/2で極値を取る事が解る。

 この内、f()t=0で最大値、t=±1/2で最小値をとる。

-1/2QRが入れ替わった場合なので内積は1/2と同じ)

したがって、求めるベクトルの内積は

θ=2α=2/3π=120度のとき最小値を取り

4r2cos2αcos2α=4r2(1/2)2×(-1/2)=  -r2/2・・・・・解答

 

皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、

メールで送ってください。待っています。