平成26年9月21日

[流れ星]

     第311数学的な応募解答

      <解答募集期間:8月31日〜921日>

3辺が中線の長さ]

 三角形ABCの3本の中線AD,BE,CFを3辺とする三角形の面積は、もとの三角形ABCの何分のいくつになるか。

zu311

NO1uchinyan」      08/31 1639分 受信  

uchinyan」      09/01 1306分 受信  更新 09/21

以下では,説明の便宜上,

3辺が3本の中線 ADBECF の長さである三角形を,

適当に点 XYZ を取り,△XYZXY = ADYZ = BEZX = CF,としておきまます。

 (解法1) 初等幾何その1

まず,よく知られているように,ADBECF は一点で交わりその交点 O は △ABC の重心,です。

そこで,O ADBECF 21 に内分します。

E を中心に △AOC 180°回転し O の移動先を O' とします。

AE = CE なので,A C に,C A に重なり,OE = O'E で,OEO' は同一直線上にあり,

AOCO' は平行四辺形になって,E は対角線 AC  OO' の交点になります。

そこで,OO' = OE * 2 = BO = BE * 2/3,です。

また,AO = AD * 2/3AO' = CO = CF * 2/3,なので,

XYZ は △AOO' と 相似で 3/2 に拡大したもので,△XYZ = AOO' * 9/4,です。

一方で,△AOO' = AOC = ABC * BO/BE = ABC * 1/3,です。

そこで,△XYZ = AOO' * 9/4 = ABC * 1/3 * 9/4 = ABC * 3/4,です。

つまり,3辺が3本の中線の長さである三角形の面積は,元の三角形の面積の 3/4 倍になります。

なお,A から CO に,C から AO にそれぞれ平行な線を引き交点を O' とする,とか,

BE の延長上に O'E = OE となる点 O' を取る,とか,してもいいですね。

 (解法2) 初等幾何その2

D から BE に,E から BC にそれぞれ平行な線を引き交点を P とします。

EBDP は平行四辺形なので DP = BE です。

さらに,EP = BD = DCEP//DC なので □EDCP も平行四辺形で,PC = EDPC//ED,です。

一方で,CD = DBCE = EA ,中点連結定理より,ED = AB/2 = AFED//AB,がいえます。

そこで,PC = AFPC//AF となって □AFCP も平行四辺形で,PA = CF,です。

結局,△ADP は,3辺が,ADDP = BEPA = CF,の三角形なので,△XYZ ≡ △ADP,です。

さらに,DP AC との交点を Q とすると,BE//DP より CQQE = CDDB = 11,で,

CEEA = 11 = 22 と合わせて,CQQA = 13AQ = AC * 3/4,がいえます。

ここで,B より AC に,D より P を通って AC に平行な線に,垂線を下ろし足を HI とすると,

BE//DPAC//PI,∠BEH = DPI,∠BHE = 90°= DIPBE = DP,△BEH ≡ △DPIBH = DI

そこで,△XYZ = ADP = AQ * DI * 1/2 = (AC * 3/4) * BH * 1/2 = ABC * 3/4,です。

つまり,3辺が3本の中線の長さである三角形の面積は,元の三角形の面積の 3/4 倍になります。

 (解法3) 初等幾何その3

AQ = AC * 3/4,までは,(解法2)と同じ。

ここで,同様に,

E から CF に,F から CA にそれぞれ平行な線を引き交点を P'

F から AD に,D から AB にそれぞれ平行な線を引き交点を P''

とし,同様の三角形,△BEP',△CFP'',を作り,Q に対応する点を Q'Q'',とすると,

BEP' ≡ △YZX,△CFP'' ≡ △ZXYBQ' = BA * 3/4CQ'' = CB * 3/4

となって,△XYZ の3本の中線の長さは,ABBCCA それぞれの 3/4 倍になります。

そしてこれら3本の中線でできる三角形は △ABC に相似で 3/4 に縮小したもので,

その面積は △ABC (3/4)^2 倍です。

そこで,1回の3本の中線で三角形を作る操作で面積が k 倍になるとすれば,

2回の操作では k^2 倍で,これが (3/4)^2 倍に等しいので,k = 3/4,です。

つまり,3辺が3本の中線の長さである三角形の面積は,元の三角形の面積の 3/4 倍になります。

 (解法4) 計算主体

BC = aCA = b,AB = cAD = dBE = eCF = f,とします。

パップスの中線定理より,

b^2 + c^2 = 2(d^2 + (a/2)^2)d^2 = (2b^2 + 2c^2 - a^2)/4

c^2 + a^2 = 2(e^2 + (b/2)^2)e^2 = (2c^2 + 2a^2 - b^2)/4

a^2 + b^2 = 2(f^2 + (c/2)^2)f^2 = (2a^2 + 2b^2 - c^2)/4

そこで,ヘロンの公式より,

XYZ = ((d + e + f)/2 * (d + e - f)/2 * (d - e + f)/2 * (- d + e + f)/2)

(4XYZ)^2 = (d + e + f)(d + e - f)(d - e + f)(- d + e + f)

= - (d + (e + f))(d - (e + f))(d + (e - f))(d - (e - f))

= - (d^2 - (e + f)^2)(d^2 - (e - f)^2)

= - d^4 + 2(e^2 + f^2)d^2 - (e^2 - f^2)^2

= - ((2b^2 + 2c^2 - a^2)/4)^2

+ 2((2c^2 + 2a^2 - b^2)/4 + (2a^2 + 2b^2 - c^2)/4)((2b^2 + 2c^2 - a^2)/4)

- ((2c^2 + 2a^2 - b^2)/4 - (2a^2 + 2b^2 - c^2)/4)^2

= - ((2b^2 + 2c^2 - a^2)/4)^2

+ 2((4a^2 + b^2 + c^2)/4)((2b^2 + 2c^2 - a^2)/4)

- ((3c^2 - 3b^2)/4)^2

(16XYZ)^2

= - (2b^2 + 2c^2 - a^2)^2

+ 2(4a^2 + b^2 + c^2)(2b^2 + 2c^2 - a^2)

- (3c^2 - 3b^2)^2

= - 4b^4 - 4c^4 - a^4 - 8b^2c^2 + 4a^2b^2 + 4c^2a^2

+ 16a^2b^2 + 4b^4 + 4b^2c^2 + 16c^2a^2 + 4b^2c^2 + 4c^4 - 8a^4 - 2a^2b^2 - 2c^2a^2

- 9c^4 + 18b^2c^2 - 9b^4

= 18a^2b^2 + 18b^2c^2 + 18c^2a^2 - 9a^4 - 9b^4 - 9c^4

= 9(2a^2b^2 + 2b^2c^2 + 2c^2a^2 - a^4 - b^4 - c^4)

= - 9(a^4 - 2(b^2 + c^2)a^2 + (b^2 - c^2)^2)

= 9(- (a^2 - (b + c)^2)(a^2 - (b - c)^2))

= 9(- (a + (b + c))(a - (b + c))(a + (b - c))(a - (b - c)))

= 9(a + b + c)(a + b - c)(a - b + c)(- a + b + c)

= 9(4ABC)^2

(16XYZ)^2 = (12ABC)^2

16XYZ = 12ABC

XYZ = ABC * 3/4

つまり,3辺が3本の中線の長さである三角形の面積は,元の三角形の面積の 3/4 倍になります。

 (解法5) ベクトルの外積の利用

以下では,[a] などでベクトルを表すことにします。

また,大学レベルになりますが,ベクトルの外積を利用します。

ここで,ベクトルの外積とは,二つのベクトル [a] [b] から構成され,

その向きを [a] から [b] に向けて右ねじを回すときに右ねじが進む方向,

その大きさを [a] [b] の作る平行四辺形の面積,

とするベクトルで,[a]×[b] と書くことにします。

[a]×[a] = [0][a]×[b] = - [b]×[a],です。

さて,[AB] = [a][AC] = [b] とすると,

ABC = ([AB] [AC] の作る平行四辺形の面積)/2 = |[AB]×[AC]|/2 = |[a]×[b]|/2,です。

さらに,[AF] = [a]/2[AE] = [b]/2[BC] = [AC] - [AB] = [b] - [a],で,

[AD] = [AB] + [BC]/2 = ([a] + [b])/2

[BE] = [AE] - [AB] = (- 2[a] + [b])/2

[CF] = [AF] - [AC] = ([a] - 2[b])/2

XYZ は,X = A = FY = D = BZ = E = C[XY] = [AD][XZ] = [FC],とすればよく,

XYZ = |[XY]×[XZ]|/2 = |[AD]×[FC]|/2 = |- [AD]×[CF]|/2 = |[AD]×[CF]|/2

= |(([a] + [b])/2)×(([a] - 2[b])/2)|/2 = |([a] + [b])×([a] - 2[b])|/8

= |[a]×[a] + [b]×[a] - 2[a]×[b]- 2[b]×[b]|/8

= |[0] - [a]×[b] - 2[a]×[b]- 2[0]|/8

= |- 3[a]×[b]|/8 = |[a]×[b]|/2 * 3/4 = ABC * 3/4

つまり,3辺が3本の中線の長さである三角形の面積は,元の三角形の面積の 3/4 倍になります。

 (感想)

問題を見てすぐに思い付いたのが,(解法1)(解法5)でした。その後(解法2)を思い付きました。

多分,(解法1)又は(解法2)の辺りが自然かな,とは思いましたが,

平行四辺形を作るなど,それなりに工夫が必要です。

その点,(解法5)は,大学レベルなのでこのサイトでは違反かな,とは思うものの,

予備知識があれば,何も工夫はいらず計算自体も簡単なので,一応書いておきました。

(解法3)(解法1)をまとめているときに思い付いた解法です。

(解法1)の方向で説明を書いてみると複雑になってきたのですが,

一部を別解とできることに気付き,それを取り出してまとめたのが(解法2)です。

そして取り出した残りが(解法3)です。アイディアがちょっと面白いと思っています。

ここまで書いて,何となく比較のためにも計算重視の解法が欲しくなって,

(解法4)を書いてみました。他と比べると大変ですが,先が見えるので思ったより楽です。いずれにせよ,いろいろと楽しめる問題でした。

NO2「にいばりZ12      09/01 0053分 受信  更新 09/21

にいばりZ12です

図形の問題はの問題は不得手(図を描くのに四苦八苦するので)ですが

何とかなりそうなので回答させていただきます

 

Eについて点対称な図を作ると添付図(pdf)のような平行四辺形になります

(ここからは添付図を参照しながらお願いします)

そこで、求める三角形はADF

元の三角形の面積をSとすると平行四辺形ABCBの面積は2S

ADF2S-ABD-AFB-DCF

ABDAFBS/2

DCFDCES/4

ADF2S-S-S/4=3S/4・・・・・回答

(途中の照明はかなり端折りましたが、2辺中点連結定理と三角形の合同等、中学校の図形の単元ですのでご容赦ください)

寄せられた図です

 

「にいばりZ12      09/05 0010分 受信  更新 09/21

にいばりZ12です

中線定理と、ヘロンの変形で考えていましたが、なかなかシンプルに行きません。

幾何解法の(添付図がたぶん不要な)別解を思いつきました。

 

@OBの中点をGとします

 

A三角形の面積を次のように記述します

ABC=AEO/6=AFO/6=BFO/6=BDO/6=CDO/6=CEO/6 ∵Oが重心であることから明らか

FGO=FBO/2

 

BFGAOに並行(AOBにおける中点連結定理)

 FG=AO/2=AD/3=OD ∵Oが重心であることから明らか

 FO=FC/3

 DO=DA/3

 

CBより三角形FGOは中線を3辺とする三角形と相似で辺長は1/3面積は1/9

 AよりFGOABC/12

 

Dよって中線を3辺とする三角形の面積をSとすると

 S9×FGO9 ×ABC/123/4 ABC・・・・回答

 

 

NO3「早起きのおじさん」 09/01 1002分 受信  更新 09/21

●答は  です。

 

●解答1(図形で)

ABCを点Eに関して180°回転します。

すると、□ABC(B)は平行四辺形です。

CB(B)に中点連結定理をあてはめると、2×D(F)B(B)なので、D(F)=BEです。

よって、△AD(F)は注目する三角形です。

AD(F)AC2つの部分に分けます。

それぞれの三角形について、APを底辺としてみます。

高さは△ABCの半分、底辺は△ABC4分の3です。

三角形の面積は、底辺と高さにそれぞれ比例するので、△ABCを基準にすると、

 

●解答2(計算で)

3辺の長さがわかっているとき、三角形の面積はヘロンの公式より、

 

ABCに中線定理をあてはめます。

 

AB=cAC=bBC=aAD=dとすると、

 

よって、

同様に、

 

これらは、abbccaのように、文字のローテーションで得られます。

 

3辺の長さが、defの三角形の面積S’は、

 

根号の中の2乗の積の部分の一つは、

 

4乗の部分の一つは、

 

よって根号の中は、

以上から、

NO4「浜田明巳」         09/01 1435分 受信  更新 09/21

AD,BEの交点をO(重心),AOの中点をGとして,FGを結ぶ.
 このとき,重心の性質から,
  GO=AO/2=AD/3
  FO=CF/3
 また,F,GはそれぞれAB,AOの中点なので,中点連結定理から,
  FG=BO/2=BE/3
 故に△GFOの3辺は,AD,BE,CFの長さを3辺とする三角形Tの3辺の1/3の長さを有する.
 故に△GFOと三角形Tは相似であり,相似比は1:3となり,面積比は1:9である.
 次に,
  △GFO=1/2・△AFO=1/2・1/3・△AFC=1/6・△AFC
      =1/6・1/2・△ABC=1/12・△ABC
  ∴三角形T=9△GFO=9/12・△ABC=3/4・△ABC
image2
 またグラフ表示ソフトGRAPESを使って,この図を表示してみた.
 どのような△ABCを表示しても,それに対する三角形Tの面積比は3/4となった.
image

「浜田明巳」         09/03 1034分 受信  

「浜田明巳」         09/06 0822分 受信  更新 09/21

(別解)(幾何学的考察が嫌いな人用,私自身そうです)
 →a=→AB,→b=→AC,∠BAC=θ,S=△ABC,AD,BE,CFを3辺の長さとする三角形の面積をS'とする.
 p=|→a|,q=|→b|とするとき,
  S=1/2・|→a||→b|sinθ=1/2・pqsinθ
  →DA=−(→AB+→AC)/2=−(→a+→b)/2
  →BE=→AE−→AB=→b/2−→a=(→b−2→a)/2
  ∴|→DA|(|→a|+2→a・→b+|→b|)/4
         =(+2pqcosθ+q)/4
   |→BE|(|→b|−4→a・→b+4|→a|)/4
         =(−4pqcosθ+4p)/4
   →DA・→BE=−(→a+→b)/2・(→b−2→a)/2
          =(2|→a|+→a・→b−|→b|)/4
          =(2p+pqcosθ−q)/4
  ∴S'=1/2・{|→DA||→BE|(→DA・→BE)}1/2
     =1/2・[(+2pqcosθ+q)/4・(−4pqcosθ+4p)/4−{(2p+pqcosθ−q)/4}]1/2
     =1/8・{(+2pqcosθ+q)(−4pqcosθ+4p)(2p+pqcosθ−q)}1/2
  ∴1/2乗内=(−4pcosθ+4p+2pqcosθ−8pcosθ+8pcosθ+q−4pqcosθ+4p)
          −(4p+pcosθ+q+4pcosθ−2pqcosθ−4p)
        =9p−9pcosθ
        =9psinθ
 pqsinθ>0から,
  S'=1/8・3pqsinθ=3/4・1/2・pqsinθ=3/4・S
image3

NO5「スモークマン」           09/02 2129分 受信  更新 09/21

今回は、気付けましたので、図を添付してエントリー♪

添付図参照願います。

somo

図のように、平行四辺形で考えたら

元の△ABC2倍から、

(1/2)^2+1/2+1/2 を引けばいいので、

2-(1/4+1)=3/4

つまり

3/4

^^

 

NO6「三角定規」             09/07 1720分 受信  更新 09/21

311解答

<コメント:今回の問題ですが,3辺をa,b,cとし,ad,be,cfa,b,cで表し,とやってもきっとできるのでしょうね。ちょっと食指が動きませんが。私は今回の結果を初めて知りましたが,有名な事実なのでしょうか?>

 

NO7「二度漬け白菜」     09/13 2013分 受信  更新 09/21

()
3
本の中線ADBECF3辺とする三角形の面積は,
もとの三角形ABCの面積の 3/4  になる.

 

 

BCCAAB の中点をそれぞれDEFとし,
線分ADと線分BEの交点をGとします.
G
は線分CF上の点です.
また,AGGD = BGGE = CGGF = 21 です.
3
本の中線 ADBECFが作る三角形を T とし,
T
の面積を s(T)というふうに書くことにします.

Dを通ってなおかつ線分BEに平行な直線と線分CFとの交点を H とします.
CDH ∽ △CBG であり,相似比は  CDCB = 12
DH=(1/2)*BG=(1/2)*(2/3)*BE=(1/3)*BE

HG=(1/2)*CG=(1/2)*(2/3)*CF=(1/3)*CF

GD=(1/3)*AD

T
と △DHG は相似(3組の辺の比がすべて等しい)であり,
相似比は 31 なので,
s(
DHG)=(1/3)^2*s(T)=(1/9)*s(T)------ (1)

また,
s(
DHG)
=(1/2)*s(
DCG)=(1/2)*(1/3)*s(DCA)
=(1/2)*(1/3)*(1/2)*s(
ABC)=(1/12)*s(ABC)------ (2)

(1)(2)より
(1/9)*s(T) = (1/12)*s(
ABC)
つまり,s(T)=(3/4)*s(ABC)

 


三角形の面積と言えば,私は次の問題が印象に残っています.

(問題)
ABCの各辺の長さは2よりも大きいものとする.
この三角形の周上に2点をおく長さ2の線分PQが周上を
1
周するとき,PQの中点Mの軌跡と,△ABCの周とで囲まれ
る部分の面積を求めよ.

 

この問題は積分計算をすることなしに解くことが可能です.

 

<水の流れから誰か上の問題にチャレンジしてみませんか。>

皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。