平成12年8月31日

<美しい数学の話>

          第26話 「2円の共有点を通る直線?

NO1<水の流れ> 8月17日発信 

太郎さんが、数学Uの平面図形で、2円の交点を通る問題が大変気になっています。ここに書きます。

問題1 2円:x+y=4 と x+y−8x−6y=0は2点で共有点を持つことを示して、この2交点を通る直線の方程式を求めよ。

問題2 2円:x+y=4 と x+y−8x−6y+24=0は2点で交わらないことを示してください。ところが、問題1と同じようにして、導いた直線 4x+3y=10は一体どんな直線でしょうか。

(ここで、導いた直線は、4x+3y=14に訂正ください。27日記入)

 読者の皆さん!考えてくださいね。

NO2<浜田>さんからの解説 8月26日13時受信

問題1

  x+y=4……(1)

  x+y−8x−6y=0……(2)

 (2)から,(x−4)(y−3)=5

 故に2円の半径は,r=2,r=5

 また中心間の距離は,d=5

 |r−r|<d<r+rであるから,この2円は2点で交わる.

 直線の式はx,yの1次方程式であるから,(1)(2)により,

  8x+6y=4   ∴4x+3y=2

問題2

  x+y=4……(1)

  x+y−8x−6y+24=0……(2)

 (2)から,(x−4)(y−3)=1

 故に2円の半径は,r=2,r=1

 また中心間の距離は,d=5

 d>r+rであるから,この2円の共有点は存在しない(2点で交わらない,ではなく,こう表現すべきです).

 (1)(2)により,

  8x+6y−24=4   ∴4x+3y=14(4x+3y=10ではないです)

 

 この直線はこう解釈するとよいのではないでしょうか.

  x+y=4+p……(1)'

  x+y−8x−6y+24=p……(2)'

とする.(2)'から,(x−4)(y−3)=1+p

 2円の半径は,r(4+p)1/2,r(1+p)1/2

 また中心間の距離は,d=5

 故に|r−r|≦d≦r+r,すなわち

(4+p)1/2(1+p)1/2|≦5≦(4+p)1/2(1+p)1/2

のとき,共有点は存在する.

 このとき,p≧96/25

 また(1)'(2)'から,4x+3y=14

 これは,p>96/25のとき,2点で交わる2円(1)'(2)'の交点を通る直線を表す.

 p=96/25のとき,2円の共通接線を表す.

 

NO3<水の流れ> 8月27日発信 

「浜田」さんの件ですが、この2円の共有点は存在しない(2点で交わらない,ではなく,こう表現すべきです)。その通りですね。吟味せずに載せていました。異なる2曲線については、共有点があるか、共有点がないかを論ずるべきですね。この共有点の中に、交点と接点の2つがあって、交わらないという表現は適切でありませんでした。

次ぎに、うかうな重大なミスをしていました。問題2の最後の出る直線は、ご指摘のように、

∴4x+3y=14(4x+3y=10ではないです)が正しい表現でした。太郎さんの大きな計算ミスでした。お許しください。

もちろん、「浜田」さんのように、2円の半径を順に大きくしていき、外接するまでしたときの共通接線を表すことの1つの考察であります。

 他に、1考察として、2円の外部の点P(x、y)から、この2円の引いた接線PA,PB(ここで、2点A,Bはそれぞれの円の接点とします)の長さを求めてください。

次ぎに、PA=PBとなる点Pの軌跡を考えてください。

 また、さらに、空間においての考察の考えられます。これは、次回にします。    

<自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

 


 最初のページへもどる