平成11年8月22日

<美しい数学の話>

第4話 「マグニチュード」

  昨日、午前5時33分頃、和歌山県南部を震源とするマグニチュード5・5の地震がありました。

最近では、皆さんもご存じの平成7年1月17日の午前5時46分頃に起きた「阪神・淡路大震災」があります。このときのマグニチュードは7・5(間違いがあれば、教えてください)と記憶しています。

それでは、一体地震の規模を表すこのマグニチュードの単位は一体なんでしょうか。調べてみました。英語で「magnitude」と書きます。震央から100km離れたところに設置された地震計(固有周期1秒、倍率2800倍)で、地震動の最大振幅A(ミクロン単位)を測り、その常用対数をその地震のマグニチュードlogAといいMで表します。M=logAです。

最大振幅が1mmつまり1000ミクロンのとき、M=log1000=3であるから、最大振幅が1cmのときはマグニチュード4となります。昨日の地震はマグニチュード5・5のですから、最大振幅Mは10^5・5ミクロン約31cmになります。ちなみに、1923年9月1日の関東大震災のマグニチュード7・9と記録に残っています。実際に地震計の針はどんな動きをしたでしょうね。

皆さんもこの地震の規模を表すマグニチュードは紙面上だけにしておきたいですね。

<参考文献:1「数の世界雑学辞典;片野善一郎(日本実業出版社」>              

<佐藤(Handle:= ch3cooh)>さんからの原稿です。10月7日受信

今日は、地震の計測単位として、その規模を示す値を"マグニチュード"が使われていましたが、最近の学問では、あまり重視されていないという話も聞きます。

 マグニチュードは1上がる毎にそのエネルギー量は*30になるとされています。阪神は7.1-7.2, 台湾は7.5-7.7程度であるので、エネルギー量では、exp(log(30)/2)で、5倍程度違うということになります。

 大きな地震では、このような値になりますが、地震計で計測できる小さな地震はというと・・・観測計の配置と周辺のノイズの状況次第であるということになっています。大都会の真中であれば、電車やトラックの振動で震度1に近い値を検出してしまうこともあれば、海底の場合、生物の足音すらほとんどないために極めて微細な振動の検出も可能です。海底での検出では、マグニチュード0というとんでもなく小さな値:マッチ棒1本のエネルギー:の検出も可能です。

 世界的な大地震の検出や核実験の監視のためには世界規模で振動の少ない地点に地震計を配置することが重要であるとされていますが、その地震計はメンテナンスのために地上に配置する必要があります。

 日本近辺では、周辺が無人のカムチャッカ半島あたりに観測点があるそうです。地震のエネルギー量は、岩盤の破壊した面積にほぼ比例するそうですが、その最大値としては、マグニチュード9あたりだと予測されています。

 過去最大級の地震であるチリ沖自身がこれぐらいの規模で、地震発生後は地球全体がその個有振動数で数時間ゆれていたと記録されているようです。その理由としては、地震計の最大振幅によるマグニチュードは、その地震規模を正しく反映しないことがあると研究結果として出てきたためです。

 地震規模というと、何を予測しますか?エネルギー量?最大加速量(揺さぶられるスピード)?

上の2つの値は比例しないこともあると分かっています。それは、岩盤の壊れ型に差があるためです。ほとんどの場合、ある程度のスピードで壊れるためにマグニチュードが上の値と大体等しくなりますが、"一気に"壊れたり、"ゆっくりと"壊れたりする場合もあります。地上でゆっくりと壊れた場合、その規模が相当に大きくても危なくないこともありますが、海面下で起こった場合、地震はないのに津波だけが発生することがあります。

 こういった訳で、マグニチュード自身も"エネルギー量"を表す値や今までに使われた値に少々変更を加えらた値等が使用されています。

 また、震源についてもその位置からの距離のみで判断できる材料ではないとも言われています。これは、大地震の場合、岩盤の破壊される長さが数十Kmにもなり、その震源域からの距離等の方が重要だからです。マグニチュード・震源の双方とも、計測・解析技術があまり発達していなかったころ(ただしその時点では最善を尽くしていたと考えたい)に決められた値で、大量の計測点とコンピュータによる高度な解析が可能となった現在では、そのイメージなどを踏襲した新たな計測基準に改定されることになるでしょう。(ただし、ニュースとしては混乱防止のために変更があったことも無いでしょうが・・・)

 以上

<水の流れ:コメント> 10月7日

地震の計測単位として、その規模を示す値を"マグニチュード"が使われていましたが、最近の学問では、あまり重視されていないという話は知りませんでした。詳細な資料提供どうもありがとうございます。勉強になりました。

<(Handle:= ch3cooh)>さんからの原稿です。10月8日受信

ch3coohです。

1) マグニチュード「マグニチュードの値が重視されていない」というのは、従来からの測定基準に従った値が、計測結果として合わなくなったので、重視されなくなっているということです。

 ただし、エネルギー量としての新しい「マグニチュード」は、地震の規模の推定からやっぱり重要であると考えられているようです。ちなみに、「ディープインパクト」で出てきた隕石をマグニチュードに換算すると 30 !! というようなとんでもない値になるのではないかといわれています。

(地球上の生物のほとんどが死滅するのも無理はない)

<水の流れ:コメント> 10月8日

ch3coohさんは、知識の豊富な方です。これからも、教えてください。

 <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

 


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