平成13年11月11日

<美しい数学の話>

第40話 「微分積分学の基本定理」

(ニュートンの発想=微分は積分の逆演算)

 微分と積分が互いに逆の演算であることを初めて考えたのは、17世紀の数学者ニュートンです。この考え方は、微分法と積分法の統一的な扱いを可能にするものです。今日「微分積分学の基本定理」と呼ばれています。また、この定理を明らかにしたニュートンは微分積分学の創始者とされています。

 図は、微分積分学の基本定理を導いたニュートンの歴史的なアイデアを簡略化して作った教材です。ニュートンは、面積とは線分が動いたときの掃過領域と考えていました。こうしたニュートンの発想に基づき、連続的に線分が動くことによって面積が変化するように設計されています。

 彼の発想の鋭さを感じとると同時に、この定理への理解を深めてください。

教材では、前面にx軸とy軸およびx軸の上側にある曲線y=f(x)が描かれている。また、y軸の負の部分にOA=1となる点Aがあり、この点を通りx軸に平行な直線ABが引かれている。内側の厚紙がスライドすると境界の線分STが平行移動し、y軸と線分STの間の曲線y=f(x)とx軸とに囲まれた部分が赤色で表示される。また、このとき、x軸の下側にできている長方形OATUが橙色で表示される。

  

  点Uのx座標をxとすれば、赤色の部分の面積Sは
S=∫(0からx)f(x)dx・・・@
で与えられ、一方、橙色の長方形OATUの面積は幅がOA=1よりxとなる。ここで、それぞれの面積の増加する速度は、線分STが線分PBから僅かだけ移動した場合を考えると、
  赤色の部分・・・dS/dt     橙色の部分・・・dx/dt
となるが、瞬間の変化を考えればこれらの比はPB上の線分PMとMBの長さの比に等しいから、
dS/dt÷dx/dt=PM/MB=y/1=y   ∴dS/dx=y・・・A

@を用いてAを書き直すと、

d/dx{∫(aからx)f(x)dx}=f(x)

となって、微分積分学の基本定理が導かれる。

<参考文献:数理と造形の融合 数学にさわるマセマティカル・アート展:編集者 東海大学教育開発研究所 印刷 港北出版>

<水の流れ:ニュートンが知っていたとは、感動のあまり全引用しています。ご承知ください。> 

 

<自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

 

 

 

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