平成12年2月11日
<母関数から、フィボナッチ数列の一般項を求めよう>No2
<未だ見ぬ偉大な数学者たち>へ、
数列の一般項を求めるのに、その数列の母関数を用いると有効なことがあるので、考えてみよう。では、母関数とは何んであるか調べてみます。数列を a0,a1,a2,a3,・・・,an,・・・ と表します。
この数列に対して、無限級数:F(x)=a0+a1x+a2x2+a3x3+・・・+anxn+・・・
を考え、この関数を母関数といいます。
ここまでは、昨日までの復習です。有名なフィボナッチ数列{an}の一般項を導きます。
さて、漸化式は何でしたか?そうですね。 an+1=an+an−1 (a0=1、a1=1とする)
この数列の母関数をy=a0+a1x+a2x2+a3x3+・・・+anxn+・・・ とおくと、
今までと、同じで、yにxをかけます。覚えているかな。
xy=a0x+a1x2+a2x3+・・・+ar−1xr+・・・
ここで、上の2つの式を加えます。
y+xy=a0+(a1+a0)x+(a2+a1)x2+(a3+a2)x3+・・・+(ar+ar−1)xr+・・・
(1+x)y=a0+a2x+a3x2+a4x3+・・・+ar+1xr+・・・
(1+x)y=a0+(y−a0―a1x)/x
ここで、a0=1、a1=1を代入します。そして、yについて解いてください。
y=1/(1−x−x2) になったかな。さて、前回、この次に何をしたか、覚えているでしょう。
そうです。これを無限級数に展開するのです。しかし、このままの形ではできません。
そのために、y=1/(1−x−x2)を積分しなさいと言われたら何をしたか、考えてください。
「そうです。よく、覚えていましたね。この関数を部分分数に分解したいのです。」
1−x−x2=0はxの方程式とみるより、(1/x)2−(1/x)−1=0 と変形します。
1/x=t といて、t2−t−1=0 の2つの解をα=(1+√5)/2,β=(1−√5)/2 とおく。
そして、yの分母をα、βで表し、部分分数に分解しましょう。分解とは、下のようにA,Bの値を決定することです。
y=1/{(1−αx)(1−βx)}=A/(1−αx)+B/(1−βx)
この恒等式を満たす、A,Bを求めてください。さぁー、分母を払って計算してみよう。
A(1−βx)+B(1−αx)=1 ここで、両辺の係数を比較して、A,Bの方程式を作って、解いてください。
A=α÷(α−β)=α/√5 ,B=β÷(β−α)=−β/√5 になったかね。
したがって、yにA,Bの値を代入します。
y=(α/√5)×1/(1−αx) −(β/√5)×1/(1−βx)
さて、
1/(1−αx)=1+αx+α2x2+・・・+αrxr+・・・
1/(1−βx)=1+βx+β2x2+・・・+βrxr+・・・
だから、これを展開したときのxr の係数はarより、これで、求まったぞ。
故に、ar=(α/√5) αr −(β/√5) βr =(αr+1 ―βr+1)/√5
皆さん!実際に、念のために、r=1,2,3,・・・と初めの項を実際に計算してください。
太郎さんは、α、βが無理数なのに、どうして、きれいな自然数が出てくるのか、不思議でなりませんでした。
こうして、隣接3項間の漸化式からも、母関数を利用していくと、一般項を求められます。
理解してしまえば、簡単だから、覚えておいてくださいね。
今日は、これで終わりにします。次の時間は、あの有名な「カタラン数」の一般項を関数を用いて、導くことにしまーす。
本日はお疲れさま!
<参考文献:「数学ひとり旅」石谷茂著:現代数学社>