「水の流れ」  授業風景      平成10年6月4日



 あるとき、生徒から「どうして、円の面積のπr^2を微分すると、円周2πrになり、球の体積=
4/3πr^3を微分すると表面積=4πr^2になりますか。」と質問に来ました。


それでは、「水の流れ」の授業をご覧ください。


↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓


平面上の面積について、区間[a,b]で、f(x)≧0とする。
曲線 y=f(x) とx軸、および2直線x=a,x=b で囲まれた部分の面積Sは、
S=∫(x=a…x=b) f(x) dx で表されます。実は、区間[a,b]で、任意のxの値
に対してこのf(x)は一本の線分の長さを示していると考えてください。この一本一本
の直線を区間[a,b]まで寄せ集めてできたのが、求める囲まれた部分の面積と考え
ます。私の場合、この所の授業は下に垂れ下がった優雅な曲線を描いた装飾用「すだれ」
を教具にします。想像できましたか。
   (ないときは、画用紙をはさみで適当に切って、即席の「すだれ」を作ります。)





 さて、半径rの円について、その中に同心円を作ります。
中心を原点にとり、図のようにx軸を取ります。ここで、この円を樹木の年輪のように表皮を一枚一枚はがしていきます。
(子供のバームクーヘンの食べ方を思い出してね。)
それを下に一本一本縦に並べてください。




すると、一番左の線の長さは2πr で この横は半径のrです。
だから、円の面積は 2πr×r÷2=πr^2(半径rの円の円周が2πrであることは既知とします)

このことを先ほどの、積分で考えると、区間[0,r]の任意のxに対して、線分の長さ2πx を
寄せ合わせるとπr^2=∫(x=0…x=r)2πx dx
     

<私はこのような方法で切って、積分することを
            渦巻き積分・年輪積分と生徒には言っています。>


 質問の答えとしては、円の面積を微分すると、円周になると考えるのでなく、円周の長さ2πx を
0からrまで積分すると、円の面積を表すのです。次は、球の体積に移ります。これも、授業ではタ
マネギの表皮を一枚一枚はがして、生徒には説明します。(臭いは相当なものがあります・・・すぐ
にかたずけること)

球の表面積が4πr^2 であることは、生徒にはみかんの皮で説明します。(ないときは、紙風船を
使います。だから、ときどき薬局でもらう場合大切に保管してあります。破って使うため二度と復元
しません。)
 半径rは測って知っておいてください。なるべく丸いみかんを半分に切って皮をはがします。適当
な大きさにして、半径2rの円の表面に張り付けてください。一部誤差はありますが、一面に張り付
けられます。(先ほどの紙風船の場合は逆にのりしろの部分をはがしていけばよいのです。はがし方
に研究の余地があります。図に書けない。ここを研究していたHPがあります。最後は上手に円に張
り付けてね。) 証明終わり






★空間での体積の求め方は、x軸を考え、それに垂直な平面による立体の切り口の面積をS(x)と
する。区間a≦x≦bの範囲にある立体の体積は、V=∫(x=a…x=b) S(x) dx で表されます。
体積の求め方はいかにして、立体を切っていくのか。または、はがしていくのかです。

 この単元での教具は、さつまいもかポテトと市販されている筒のポテトチップスを準備します。
さつまいもかポテトをまな板の上で切ってスライスしたチップスを寄せ集めた立体の体積が上の
公式になっています。
 (私の場合別名スライス積分と言います。)

  では、なるべく丸いタマネギの皮を一枚一枚むいて、それを寄せ集めて、かぶせていきます。
(大きさの違う帽子を思い出して重ねてください。)球が出来ます。

球の体積=(一枚一枚の表面積)×(厚み)= ∫(x=0…x=r)4πx^2dx
(この命名は表皮積分、雪だるま積分、コーン積分と言っています。)



 

質問の答え

としては、球の体積を微分すると、表面積にな
ると考えるのでなく、表面積4πx^2を0からrまで積分すると、球の体積を表すのです。
 さて、いろいろな名前の積分がでてきましたね。他にバームクーヘン積分を伝えます。
回転体の体積を求めるのに利用します。
 0≦a≦x≦b において、曲線y=f(x)≧0 とX軸との領域をY軸の周りに回転してできる立
体の体積をVとする。(洋菓子のバームクーヘンを思い出してください。)

<Y軸の周りに回転した立体の体積です>
 では、この立体の表皮を大根の桂むきようにはがします。(教室には大根があり、私が包丁で皮を
むいています。おかげで、桂むきは得意になりそうです。)

a≦x≦b の任意のxに対して、原点からxの距離にある一枚の表皮の半径はxだから、円周は
2πxで、高さがf(x)になります。 この表皮の面積は2πxf(x) となり、
V=∫(x=a…x=b)2πxf(x) dx という公式が生まれます。




(この公式を昭和の62年代ごろ知って以来、生徒には伝えています。材料の大根、ないときは
トイレットペイパーを用いたこともあります。)



       皆さん!!  どしどし解答を送ってください。
               自宅:mizuryu@aqua.ocn.ne.jp


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