平成15年1月6日
2つの自然数についての数学的帰納法
<水の流れ> 授業編
2つの自然数m、nについての数学的帰納法を紹介します。
2つの自然数m、nについての命題P(m、n)について、
【T】命題P(1,n)は、常に正しい。
【U】命題P(m、1)は、常に正しい。
【V】命題P(m、n+1)、P(m+1,n)が、ともに正しいとき、命題P(m+1,n+1)も正しい。
ならば、すべての自然数m、nに対して、命題P(m+1,n+1)は正しい。
<平面上で、格子点を考えてください。この証明方法が理解し易いです>
例えば、「n個の連続した自然数の積は、n!で割る切れることを示せ。」
<証明> n個の連続した自然数の積を
P(m、n)=m(m+1)(m+2)・・・(m+n−1)とおく。
【T】 m=1のとき、
P(1,n)=1・2・3・ ・・・ ・n=n! となり、明らかに、n!の倍数である。
【U】 n=1のとき、 P(m、1)=m となり、明らかに、1!の倍数である。
【V】P(m、n+1)は、(n+1)!の倍数、P(m+1,n)は、n!の倍数 であると、2つ仮定する
ここで、 P(m+1,n+1)を考えると、
P(m+1,n+1)=(m+1)(m+2)・・・(m+n){m+(n+1)}
=m(m+1)(m+2)・・・(m+n)
+(m+1)(m+2)・・・(m+n)(n+1)
=P(m,n+1)+P(m+1,n)(n+1)
これは、明らかに、(n+1)!の倍数であることを示している。
以上から、すべての自然数m、nについてP(m、n)はn!の倍数であることが証明された。