平成11年6月3日
[流れ星]第17回
数学的な応募問題<解答募集期間:6月3日〜6月19日>
[バレーボールの得点]
太郎さんが勤務している学校で先日、バーレーボール大会がありました。
6人制バレーボールでは、毎回の勝負はサーブ権を持ったチームのサーブで始まり、
ここで勝った方が次回のサーブ権を得る。またこのとき勝った方がサーブ権を持っていた
ならば1点を得点するが、サーブ権を持っていなかったらば、単にサーブ権を獲得するだけで
得点はしない。
第1試合、両チーム間の各回の勝率は、サーブ側であるか否かに関係なくAが4割、Bは6割で
あるとする。Aのサーブで試合が開始されたとして、次の問に答えよ。
問題1.先に1点を得点するのがAである確率を求めよ。
問題2.先に2点を得点するのがAである確率を求めよ。
第2試合、両チーム間の各回の勝率は、サーブ側であるか否かに関係なくAが5割、Bは5割で
あるとする。Aのサーブで試合が開始されたとして、次の問に答えよ。
問題3.先に1点を得点するのがAである確率を求めよ。
問題4.先に2点を得点するのがAである確率を求めよ。
太郎さんも童心にかえって、バレーボールを楽しんでいましたが、サーブ権の移動だけで、
なかなか得点できないことがあることが、気になってしかたがありません。
皆さんも、考えてください。
メールで送ってください。待っています。
<自宅> mizuryu@aqua.ocn.ne.jp
<浜田 明巳>さんからの解答6月5日受信
第17回数学的な応募問題 バレーボールの得点解答
Aが勝つ確率をp(0≦p≦1)とする.最初にAが点を取る確率を求める.
1回目にAが勝つ場合の確率は,
p
1回目にBが勝ち,2,3回目にAが連勝する場合の確率は,
(1−p)pp=(1−p)p・p
1回目にBが勝ち,2回目にAが勝ち,3回目にBが勝ち,4,5回目にAが連勝する場合の確率は,
(1−p)p(1−p)pp={(1−p)p}^2・p
・・・
故に最初にAが点を取る確率は,
p・[1+(1−p)p+{(1−p)p}^2+・・・}
=p・1/{1−(1−p)p}(∵0≦(1−p)p<1)………(1)
次にBにサーブ権があるときAが点を取る確率を求める.
1,2回目にAが連勝する場合の確率は,
pp=p^2
1回目にAが勝ち,2回目にBが勝ち,3,4回目にAが連勝する場合の確率は,
p(1−p)pp=p(1−p)・p^2
1回目にAが勝ち,2回目にBが勝ち,3回目にAが勝ち,4回目にBが勝ち,5,6回目にAが連勝する場合の確率は,
p(1−p)p(1−p)pp={p(1−p)}^2・p^2
・・・
故にこの確率は,
p^2・[1+p(1−p)+{p(1−p)}^2+・・・}
=p^2・1/{1−p(1−p)}(∵0≦p(1−p)<1)………(2)
問題1の解答は,(1)においてn=2/5の場合であるので,
2/5・1/(1−3/5・2/5)=10/19………(問題1の解答)
また問題3の解答は,(1)においてn=1/2の場合であるので,
1/2・1/(1−1/2・1/2)=2/3………(問題3の解答)
次に最初にAが2点を取る確率を求める.p=2/5のとき,Aにサーブ権があるときAが点を取る確率は10/19であり,Bが点を取る確率は9/19である.またBにサーブ権があるときAが点を取る確率は,(2)においてn=2/5のときであるので,
4/25・1/(1−2/5・3/5)=4/19
最初にAが2点を取る場合は,
@Aが連続2点を取る場合(AAで表す)
A最初Aが点を取り,次にBが点を取り,次にAが点を取る場合(ABAで表す)
B最初Bが点を取り,次にAが連続2点を取る場合(BAAで表す)
の3通りある.
@の確率は,(10/19)^2
Aの確率は,10/19・9/19・4/19
Bの確率は,9/19・4/19・10/19
故に求める確率は,
(10/19)^2+10/19・9/19・4/19・2
=2620/6859………(問題2の解答)
次にp=1/2のとき,最初にAが2点を取る確率を求める.Aにサーブ権があるときAが点を取る確率は2/3であり,Bが点を取る確率は1/3である.またBにサーブ権があるときAが点を取る確率も同様に1/3である.
@の確率は,(2/3)^2
Aの確率は,2/3・1/3・1/3
Bの確率は,1/3・1/3・2/3
故にこの確率は,
(2/3)^2+2/3・1/3・1/3・2
=16/27………(問題4の解答)
最後にp=1/2のとき,最初にAが3点を取る確率を求める.この場合は,上記と同様に表示すると,
CAAA
DAABA
EABAA
FBAAA
GAABBA
HABABA
IABBAA
JBAABA
KBABAA
LBBAAA
の10通りある.それぞれ確率は,
C2/3・2/3・2/3
D2/3・2/3・1/3・1/3
E2/3・1/3・1/3・2/3
F1/3・1/3・2/3・2/3
G2/3・2/3・1/3・2/3・1/3
H2/3・1/3・1/3・1/3・1/3
I2/3・1/3・2/3・1/3・2/3
J1/3・1/3・2/3・1/3・1/3
K1/3・1/3・1/3・1/3・2/3
L1/3・2/3・1/3・2/3・2/3
であるので,求める確率は,
(2/3)^3+(2/3)^2(1/3)^2・3+(2/3)^3(1/3)^2・3+2/3・(1/3)^4・3
=46/81………(問題5の解答)
例のごとく,この問題の解法プログラムを作ってみました.今回はワープロソフトのWORDのマクロですので,ご自分で実際に確かめてみる事が出来るのではないでしょうか.試行回数も100000回(max)と抑えていますので,終わるまで何分もかからないと思います.
このプログラムによると答は,
問題 1 52603/ 100000= .52603(実際は10/19≒0.52632)
問題 2 38206/ 100000= .38206(実際は2620/6859≒0.38198)
問題 3 66551/ 100000= .66551(実際は2/3≒0.66667)
問題 4 59260/ 100000= .5926 (実際は16/27≒0.59259)
問題 5 56677/ 100000= .56677(実際は46/81≒0.56790)
となりました.実際と比べてみても,そんなに変わらないと思います.
Sub mondai17()
Randomize
Dim kakuritsu(1) As Double
Dim ten(1), kaisuu(1, 2), nantenme(3), max, shikoukaisuu, serve, kachi, j1, j2, j3 As Integer
kakuritsu(0) = 0.4: kakuritsu(1) = 0.5: max = 100000
For j1 = 0 To 1: For j2 = 0 To -(j1 = 0) - 2 * (j1 = 1)
kaisuu(j1, j2) = 0
Next: Next
Selection.TypeParagraph
Selection.TypeText Text:=Str$(max) + "回試行で計算中"
Selection.TypeParagraph
For shikoukaisuu = 1 To max
For j1 = 0 To 1: serve = 0
For j2 = 1 To -2 * (j1 = 0) - 3 * (j1 = 1): nantenme(j2) = 1: Next
For j2 = 0 To 1: ten(j2) = 0: Next
While (j1 = 0 And nantenme(2) = 1) Or (j1 = 1 And nantenme(3) = 1)
kachi = -(Rnd >= kakuritsu(j1))
If serve = kachi Then
ten(serve) = ten(serve) + 1
For j2 = 1 To -2 * (j1 = 0) - 3 * (j1 = 1)
If nantenme(j2) = 1 And (ten(0) = j2 Or ten(1) = j2) Then
kaisuu(j1, j2 - 1) = kaisuu(j1, j2 - 1) - (serve = 0)
nantenme(j2) = 0
End If
Next
End If
serve = kachi
Wend
Next
Next: j3 = 0
For j1 = 0 To 1: For j2 = 0 To -(j1 = 0) - 2 * (j1 = 1): j3 = j3 + 1
Selection.TypeText Text:="問題" + Str$(j3) + " " + Str$(kaisuu(j1, j2)) + "/" + Str$(max) + "=" + Str$(kaisuu(j1, j2) / max)
Selection.TypeParagraph
Next: Next
End Sub
<水の流れ:コメント>6月12日
第2試合の互角の条件で
問題6 先に4点Aチームが得点する確率?
・・・・
最後に、先に15点Aチームが得点する確率を求めたいのですが、
場合分けが大変ですし、何か漸化式みたいなものから、求められないかと
いつも、考えています。よろしければ、教えてはもらえませんか。
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