平成10年11月4日

 

[流れ星]

  

第1回数学的な応募問題

<解答募集期間:10月5日〜10月18日>

     [自動車と競争

【1】太郎さんと次郎さんが、ある2地点を往復しました。

  太郎さんは、行きはジョギングして出発し、帰りは一般

  道路を自動車で帰りました。

   一方、次郎さんは、行きも帰りも自転車に乗りました。

  1. 太郎さんは行きに時速6kmでジョギングして、帰りは
  2.   時速60kmの自動車で帰りました。次郎さんは時速12

      kmの自転車に乗りました。

       さて、2人が同時に同時点を出発したとき、どちらが、

      先に往復して戻ってくるでしょうか?

  3. 太郎さんはあることに気がつき、次郎さんに自転車の時

  速を10kmに落としてもらいました。そこで、太郎さん  

  は行きに時速6kmでジョギングし、自動車で帰ったとこ

  ろ、同時に同時点を出発したにもかかわらず、同じ時間に

  もどってきました。果たして、帰り太郎さんは時速何km

  の自動車でもどってきたでしょうか?

 

                 

水の流れ授業中での解答・解説

 太郎さんが時速60kmの自動車で帰るから、早く着くだろうと思っている生徒や、平均の時速(?)が

 (6+60)÷2=33km/h

となることから、当然次郎さんより早いと考えます。

 しかし、実際はそうならなく、次郎さんが早く戻って来ます。

問2.太郎さんがあることに気がついたと言っています。次郎さんは太郎さんの2倍の速さでぐんぐん進んで行きます。次郎さんは、太郎さんより先に往路を終えて折り返すのだから、その後太郎さんがようやく往路を終えたとき、次郎さんはどこにいるでしょうか?

 次郎さんは太郎さんの2倍の距離を進んでいるはずだから…何と、次郎さんは既に出発点に戻っているのです。だから、太郎さんは、いくら早い乗り物に乗って帰っても、次郎さんを決して追い越しことは出来ないのです。

 つまり、平均時速を求めるのには、いわゆる普通の「平均(これを数学的に[相加平均]という)」を使ってはいけません。その代わり[調和平均]と言われる平均を求めてください。これは、a,bの2個の正の実数に対して、2÷(1/a1/b)で表され数式です。

 実際に計算してみると、2÷(1/61/60)=120/11109

となります。したがって、平均時速でみると、太郎さんが次郎さんより遅いことがわかります。

 次ぎに、問2ですが、求める自動車の時速をxkmとすると、今度は同時に着くのだから、平均時速が同じと考えて、

 2÷(1/61/x)=10 から、x=30(km/h)…(答)

 

参考:他に平均には相乗平均があります。そこで、まとめてみます。

2つの正の整数a,bに対して、

 2÷(a+b)………[相加平均] 

 √ab     ………[相乗平均] 

 2÷(1/a1/b)………[調和平均] 

と言って、次の不等式が一般に成り立ちます。

[相加平均]≧[相乗平均]≧[調和平均]

 

<参考文献>「算数はアタマのよくなるパズルだ」から改題

   みくに出版:ピーター・フランクル著

 

 

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