平成11年10月8日
[流れ星]第30回
数学的な応募問題<解答募集期間:10月8日〜10月23日>
[時計の文字盤]
太郎さんは、先日、時計が止まったので電池の交換に、時計屋に行ってきました。そこには、奇妙にすべての時計が10時11分頃で止まっていました。疑問に思った太郎さんは、店主に、「どうして、この時間にして、飾ってあるのですか?」と聞きました。「お客さんが、末広がりだとおめでたいことが起きると思っていらしゃるからじゃないですか。」と、返事が返ってきました。太郎さんは、直感的に、長針と短針の角度が120度と思ったのと、その2針の間の文字盤の数の和は、全体の和の3分の1になっています。ただし、この時計の文字盤には、1から12までのすべての数が書かれていますし、秒針はついていません。そこで、問題です。
問題1:長針と短針が120度の角をなし、その2針の間の文字盤の数の和も全体の和の
3分の1になっている時刻を求めてください。
問題2:今度は、長針と短針が1直線に並んでいて、この直線で分けられた2つの部分の
文字盤の数の和は、お互いに等しくなっている時刻を求めてください。
太郎さんは、このような不思議な時刻が一日のうちに、何回あるか知っておきたいと思っています。
<ch3coohさん>解答受信10月6日、更新13日
全体について 時計の長針・短針の動き方により、正確な120°が表現できるか否かが決定される。前に見たことのある時計では、長針の移動タイミングとして、20sec, 30sec, 15sec, 60sec等がある。(60という数字は、結構約数が多く、2,3,4,5,6までの全ての値で割り切ることが出来る。これは、細かい時間の設定を行いやすく、昔の人の知恵と合理性に敬意を表したいと考えられる。)また、短針は長針に合わせて動く方式(1分単位など)や、長針と同様にある程度の大きさの刻み幅がある物に分類できる。 厳密に120°とすると、時計の特性の問題となるため、課題の題意から外れるものとし、大体120°(180°)になることがあると読み替えて回答する。
問題1 答え 2:54 4:43 8:23 10:11
AM,PMがあるので、合計 8回 全ての数字の和はn(n+1)/2= 78 72/3= 26
120°に含まれる数字の組み合わせとして、順列の場合と12->1時の段差を含む組み合わせが考えられる。
(含まれる数字の数は4のみ)
順列の組み合わせの場合、n+n+1+n+2+n+3= 4n+6であり、4n+6=26を満たす整数は5、つまり5,6,7,8の組み合わせ
段差を含む場合は11,12,1,2以外は10以下又は30以上になる。
組み合わせとして{5,6,7,8},{11,12,1,2}の各組に対し、短針の位置を決定した後に長針をもっともらしい値に調整する。
問題2 答え
3:48, 9:17
組み合わせとして、{4,5,6,7,8,9}と{10,11,12,1,2,3}になるが、
これはお互いの排他集合、ゆえに、数字の組み合わせは1ケースのみ。 以上
<水の流れ:コメント>10月12日記入
時計では、長針の移動タイミングとして、20sec, 30sec, 15sec, 60sec等がある。ということは知りませんでした。
私の思いは、2針ともスムーズに連続的に動いているとして考えました。
<ヨッシーさん>解答受信10月12日、更新13日
第30回数学的な応募問題の答えです。
文字盤上の数の和は、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+12=78 です。
1分間に長針は6°、短針は0.5°動きます。
問題1
2針が120°をなすとき、その間には4つの数字があります。
※4時、8時の場合は、いずれも問題の条件を満たしません。
4つの連続した数で26を作るには、問題に示されている(11,12,1,2)の他に(5,6,7,8) があります。
(11,12,1,2) をはさむ場合1=10時台で針が120°
10時の時点で2針は60°をなしており、1分につき5.5°角度が広がるので、
(120−60)÷5.5=120/11=10と10/11
答え 10時10と10/11分
(11,12,1,2) をはさむ場合2=2時前で針が120°
2時の時点で2針は60°をなしており、1分戻すごとに5.5°角度が広がるので、
(120−60)÷5.5=120/11
60−120/11=540/11=49と1/11
答え 1時49と1/11分
(5,6,7,8) をはさむ場合1=8時台で針が120°
8時の時点で2針は240°をなしており、1分につき5.5°角度が狭まるので、
(240−120)÷5.5=240/11=21と9/11
答え 8時21と9/11分
(5,6,7,8) をはさむ場合2=5時前で針が120°
5時の時点で2針は210°をなしており、1分戻すごとに5.5°角度が狭まるので、
(210−120)÷5.5=180/11
60−180/11=480/11=43と7/11
答え 4時43と7/11分
問題2
2針が1直線に並んでいるとき、文字盤の数字は6つずつに分けられます。
※6時の場合は、問題の条件を満たしません
6つの連続した数で、39を作るには(4,5,6,7,8,9) と (10,11,12,1,2,3) があり、
いずれにせよ、3と4の間、9と10の間に針がある状態です。
9時台で針が180°の場合
9時の時点で2針は90°をなしており、1分につき5.5°角度が広がるので、
(180−90)÷5.5=180/11=16と4/11
答え 9時16と4/11分
4時前で針が180°の場合
4時の時点で2針は120°をなしており、1分戻すごとに5.5°角度が広がるので、
(180−120)÷5.5=120/11
60−120/11=540/11=49と1/11
答え 3時49と1/11分
<水の流れ:コメント>10月12日記入
(11,12,1,2) をはさむ場合2=2時前で針が120°
2時の時点で2針は60°をなしており、1分戻すごとに5.5°角度が広がるので、
(120−60)÷5.5=120/11
60−120/11=540/11=49と1/11
答え 1時49と1/11分
これは、戻してしまうと、和が3等分していません。角度は120度ですが…
<ヨッシーさん>一部訂正解答受信10月13日、更新14日
そうでした。
以上は、以下のように直してください。
(11,12,1,2) をはさむ場合2=3時前で針が120°
3時の時点で2針は90°をなしており、1分戻すごとに5.5°角度が広がるので、
(120−90)÷5.5=60/11
60−60/11=600/11=54と6/11
答え 2時54と6/11分
<水の流れ:コメント>10月13日記入
今度は正解です。また、時計の長針と短針を入れ替えてしまったとき、つまり、長針のほうが短針の動き方をし、短針のほうが長針の動きをするのです。このような時計を見て、文字盤の上では二つの針が正しい時間を指すことのできるのは、半日(12時間)のうちで何回あるでしょう。この時計は長針と短針が入れ替わっている以外、まったく正確に動いているものとする。皆さんも考えてみてはどうですか。
<sambaGREENさん>上の補題解答受信10月20日、更新23日
*****ここから 回答 *****
正しい長針と短針の位置関係を整理しておきます。
(位置はすべて,12時方向からの文字通り時計回りの角度)
a時b分の長針,短針の位置をx,yとすると
y=30a+b/2 , x=6b から bを消去して y=30a+x/12
したがって,「文字盤の上では二つの針が正しい時間を指す」というのは
長針と短針の位置の間に
y=30n+x/12 (0≦n≦11)の関係が成立するとき。
いま正しい時間がa時b分(0≦a≦11,0≦b<60)のときの
問題の時計の長針,短針の位置をx’,y’とすると
y’=30a+b/2 , x’=6b となり
y=x’,x=y’のとき,二つの針が正しい時間を指すから
6b=30n+(30a+b/2)/12
これを整理して,b=60(12n+a)/143
0≦b<60 より, 0≦(12n+a)/143<1
すなわち, 0≦12n+a<143
また,0≦n≦11,0≦a≦11 だから,12n+aを12進数の2桁以下の数と考えると
0〜143(12^2−1)のすべての整数をとりうるから,
条件をを満たすa,nは143組存在する。
よって,半日では143回(12時間経った時も数えるなら144回)
つまり,720/143(=5.0349・・・)分毎に1回起こる。
【コメント】最初の5分間を除いて,必ず,5分間に一度,
「文字盤の上では二つの針が正しい時間を指す」ときがあるのは,直感的には分かったのですが
その証明が思いつかず,このような解答になりました。
144(or143)×720 の格子に引いた対角線もどき(or対角線)と,横線の交点とを
うまく対応させる説明ができれば,算数になるんですが・・・。
<水の流れ:コメント>10月23日記入
きれいなエレガントな解法です。正解ですね。感心しました。さらに、12進法にも着手しています。
まだ、他にも考え方が有りそうです。12進法での考えだけでも導けるかもね。
<自宅>
mizuryu@aqua.ocn.ne.jp最初のページへもどる