平成10年11月4日
☆☆「流れ星」☆☆
第3回
数学的な応募問題<解答募集期間:11月4日〜11月15日>
[外国での買い物]
8セントの硬貨しかありません。
(おつりを考えないで)
再びレジに来ました。今度はどのようにして支払えばよいでしょうか?
(おつりを出すことを考えて)
<参考文献>「算数オリンピック」の中から改題
講談社:東大算数研究会・編集
<
水の流れ>授業中での解答・解説53=7×1+46(払えない)
53=7×2+39(払えない)
53=7×3+8×4 より
53=7×4+25(払えない)
53=7×5+18(払えない)
53=7×6+11(払えない)
53=7×7+4 (払えない)
したがって、答え 7セント硬貨3枚と8セント硬貨4枚で払う
もらうことになります。
1=8−7 より 19をかけて
19=8×19―7×19 これでは、硬貨が多すぎます。
そこで、56=8×7 より 56づつ減らします。
19=8×12−7×11
19=8×5―7×3 これでいいわけです。
したがって、答え 8セント硬貨5枚払って、7セント硬貨3枚のお釣りを
もらうことになります。
問3 自然数をnとして、n=7×s+8×t(s、tは負でない整数とする)
すなわち、7と8の倍数の和として、表せない数字を考えます。
7と8の最小公倍数の56までの表を作ります。
1 2 3 4 5 6
7 89 10 11 12 13
14 15 1617 18 19 20
21 22 23 2425 26 27
28 29 30 31 3233 34
35 36 37 38 39 4041
42 43 44 45 46 47 4849 50 51 52 53 54 55 56
したがって、 どうしてもお釣りをもらわなければ払えない値段は
上の、黒の数字の21種類です。その中で、一番大きな値段は41セント
の品物を買うときです。
<発展> 次のようなことが成り立ちます。
命題:s,tが最大公約数(s,t)=1を満たす自然数であるとき、いくつかのsと いくつかのtの和として表せない最大の自然数は st−s−tである。 |
<証明>
(1)(s,t)=1のとき、sとtの最小公倍数はstであるから、 |
「asをtで割ったときの余りが1であるような自然数a(1≦a≦t)が存在する」ことを示す。 |
この証明:
0×s,1×s,2×s,・・・,(t−1)s のt個のをtで割ったときの余り を全部調べて1が出てこなかった場合は、残り(t−1)種類の余りのうち2回以上出 てきたものがある。もし、esとfsとの余りが等しいなら、
fs−es=(f−e)s<ts
となり、tで割った余りが0で、形からみるとsでも割り切れる。
これは、sとtの最小公倍数がstに反する。
だから、tで割ったときの余りが1であるようなas(1≦a≦t)が
存在する。
したがって、asをtで割った商をbで表すと、as=bt+1で、
as−bt=1
となる。さて、任意の自然数nに対して、
n=n(as−bt)=na×s−nb×t が成り立つ。
ここで、−nbが負の整数なのでsの係数をtだけ減らすと同時に、tの係数ををsだ け増やしていく(st−ts=0だから良いわけです)。
sの係数がマイナスになる前にtの係数が0以上になれば、
nがsとtの和として表される。
そうでないときは、
n=us−vt
であって、次ぎに、n=(u−t)s+(s−v)t
ただし、1≦u≦t−1,v≧1である。
故に、n=us−vt≦(t−1)s−1×t=st−s−t
となるから、sとtとの和で表すことのできない最大の自然数は
st−s−tである。
<証明終わり>