平成12年8月2日
[流れ星]第56回
数学的な応募問題<解答募集期間:7月16日〜7月30日>
[n次元宇宙空間]
太郎さんは、ときどき 夜空を見上げて、果てしなく続く宇宙空間を眺めています。
このとき、0次元の世界に住んでいると、そこには点の世界だから、境界はひとつ「頂点」があるだけです。
この点を動かしてみると、1次元の世界ができあがるが、ここには「線」でしかない。これには、「境い目」が2つある。
その両端である。言いかえれば、「2つの0次元境界(頂点)と1つの1次元境界(線)とがある」と言える。
さて、この直線を横にその長さだけ引っ張ると、正方形ができる。すると、頂点の数は、以前あった2から4に倍増している。
また、正方形では4つの直線、つまり辺が4本あり、さらに、1枚の2次元境界(面)がここではじめて出てくる。
さて次ぎに、2次元の平面から上に向かって離れていくと、例えば、正方形を上にうまく移動すれば、立方体を作ることができ
る。4つの頂点の動いた軌跡がまず4本の線を作りだすから、辺は12本、頂点は8個、面は2次元では、1枚しかなかったが、
一挙6枚になっている。
これを、繰り返して、4次元の超立方体、5次元の超々立方体、・・・。n次元の超々々・・・立方体を考えていきます。
ここには、n次元空間の世界があるのです。
このときの0次元境界(頂点)、1次元境界(辺)、2次元境界(面)、3次元境界(立体)、・・・、(n―1)次元境界
(名前はまだできていない)の数を調べたいのです。ここには、オイラーの多面体定理が成り立つと思っていますが、・・・・
何せ、頭の中でしか想像できない超々々・・・立方体ですので、困っています。
ここで、問題です。
問題1:4次元の「超立方体」には境界になる、点、辺、面、立体がそれぞれいくつあるでしょう。
問題2:一般に、n次元の「超々々・・・立方体」には境界になる、点、辺、面、立体、・・・、(n―1)次元境界の数は
一体いくつあるでしょう。一般式が求められています。皆さん考えてください。
<ヒント:群数列でみると、(1)、(1,2)、(1,4,4)、(1,6,12,8)、・・・・>
NO1<ch3cooh>さんからの解答です。20日の10時9分受信 、30日更新
かなり難しい問題ですね?ディジタル信号のエラー訂正に使用される
ガウス空間上の隣接点の概念で良く似たことについて 考察されています。
回答ですが、まだ完全には出来ていません。
考え方として・・・
N 次元空間上の点の位置として
(±1,±1,±1,・・・) とすると 点の数は 2^N
線は、各点に隣接する点までに引いたものなので
2^N * N / 2
(点の数 * 次元の数(隣接する点は次元の数だけある) / 2重にカウントされた分 )
これを拡張していくと ・・・
面の数
2^N * N * (N-1) / (2^2 * 2!)
立方体の数 ???
2^N * N * (N-1) * (N-2) / (2^3 * 3!)
n次元体
2^N * N! / ((N-n)! * 2^n * n!)
<水の流れ>コメント:私のこれが良いのか分かりませんが、誰か、コメントを。30日記入
NO2<satoshi>さんからの解答です。29日の23時24分受信 、30日更新
4次元のものは、点=16 辺=32 面=24 立体=8
まず,点の数については、1つの点からもうひとつ点が出てくるため,
点の数=2^n
つぎに辺の数は,もともとあった辺が2倍になり,
各点から1本ずつ出ている為,
もともとあった辺の数*2+2^(n−1)
面の数も同じように各辺から1面ずつ出る
立体の数も同じように。
これをまとめると,
n次元のm次元境界の数は,
n−1次元の{(m−1次元境界の数)-1}+2(m次元境界の数)}となる。
以上。
もうちょっとわかりやすくできそうな気がしますが,
まだ中学生ってことで,大目に見て下さい。
<水の流れ>コメント:なかなかどうして、中学生にとって、n次元の「超々々・・・立方体」が想像がつかないのに
よく考えられましたね。驚嘆します。正解です。ただ、、気になっているのが、
「n次元のm次元境界の数は,
n−1次元の{(m−1次元境界の数)-1}+2(m次元境界の数)}となる。」ところです。
ここは、{(m−1次元境界の数)}+2(m次元境界の数)}ではないですか。
NO3<Footmark>さんからの解答です。30日7時47分受信 更新30日
青木先生の「数学の部屋」の掲示板から、こちらに初めてやって来ました。
やって来たら、なんと締切が今日でした。(掲示板で分かっていれば、もっと早く来たのに・・)
時々、訪問させて頂きますがよろしくお願いいたします。
「n次元の宇宙空間」の解答
超超超・・・立方体と言うのも、しまいには超が幾つあるのか分からなくなるので便宜的に次のように呼ばせて頂きます。
点 :0次体
辺 :1次体
面 :2次体
立体 :3次体
超立体 :4次体
超超立体:5次体
・
:(n−1)次体
:n次体
(n−1)次元の(n−1)次体を、さらに新しい独立したn番目の次元の方向に延長させてn次元のn次体を1つ作成させると、
n次体に含まれる(k−1)次体の数は、(n−1)次元にあった(k−1)次体が新しいn次元方向にもコピーされその数は
2倍となり、さらに(n−1)次元にあった(k−2)次体からその数だけn次元での(k−1)次体が新しく生じる。
(ただし 1≦k≦n)
また、n次体に含まれる0次体の数は、(n−1)次元にあった0次体が新しいn次元方向にもコピーされその数は2倍となる。
これを順次解くと,
n次元内のk次体の数 = nCk*2**(nーk)
(ただし 0≦k≦n)
問題1:
点の数 = 0次体の数 = 4C0*2**(4ー0) = 1 * 16 = 16
辺の数 = 1次体の数 = 4C1*2**(4ー1) = 4 * 8 = 32
面の数 = 2次体の数 = 4C2*2**(4ー2) = 6 * 4 = 24
立体の数 = 3次体の数 = 4C3*2**(4ー3) = 4 * 2 = 8
問題2:
n次元内のk次体の数 = nCk*2**(nーk)
(ただし 0≦k≦n)>
<水の流れ>コメント:今回のご応募ありがとうございます。よく、考えられましたね。
このように、数学は考えてみると、楽しくなり、真理を追究することができます。
まだまだ、多くの神秘が隠されていますので、次回も、挑戦をお願いします。
そうですね、すべて正解です。鮮やかに解かれまいたね。
そして、n次元の場合もです。そこで、
(2+x)^0,(2+x)^1、(2+x)^2,(2+x)^3,(2+x)^4、 ・・・、(2+x)^n
を展開ください。この係数がすべての、次元の境界の数を表していますし、
x=ー1を代入したら、オイラーの多面体公式が拡張が現れてきますかな。
これ、私の発見ですけど。れからも、よろしくお願いします。
NO4<satoshi>さんからの解答です。31日の20時03分受信 、8月2日更新
先生のおっしゃるとおり、n次元のm次元境界の数は,n−1次元の{(m−1次元境界の数)-1+2(m次元境界の数)}となるではなく、
{(m−1次元境界の数)+2(m次元境界の数)}となります。自分でもなんでこんなこと書いたのかわからないです・・・・疲れてたかな?
それはそれでいいとして、n次元の世界について,自分なりに考えてみました。
ホームページの問題では,点や,線を引っ張っていましたが,
僕は,学校の校長先生に
点がひとつだと何もできないが,
点が二つになると,線ができる。
点が三つになると,面ができる。
といった話を聞いたことがあり、
この話を発展させて,点が4つになると,立体ができる。(四面体)
じゃあ,点が5つあれば,そこに4次元空間ができるのではないかと考えました。
この場合、n次元の,m次元境界の数は,n−1次元の{(m−1次元境界の数)}+(m次元境界の数)}になります。
この式を使って次元境界の数を具体的に計算すると、次のようになりました。
次元 点 辺 面 立体 4次元境界 5次元境界
0 1
1 2 1
2 3 3 1
3 4 6 4 1
4 5 10 10 5 1
5 6 15 20 15 6 1
この数を見ると,パスカルの三角形になっていることがわかります。
また,この方法では,4次元空間が想像しやすく
四面体の中に,1点をとってやり,その点から各点に線を引いてやると
1つの四面体が4つの四面体に分かれて,
点は5、辺は10、面も10、そして立体は,4+1(全体で1つ)で,5になります。
(1つの四面体の空間の中に,4つの四面体の空間があることになる)
3次元空間に,4次元空間の元となる形が作れました。
この点を,4次元の軸の方向に移動させれば
(移動させると3次元の空間から消えてしまう)
4次元空間の出来上がりということになります。
これくらいなら,別に,普通の中学生でも考えることができると思いますよ。
また,ホームページに僕でも解けるような問題が出たら,解かしていただきます。
<水の流れ>コメント:<satoshi>さん、本当にありがとうございます。次回には、第2回「算数・数学甲子園」という他のところで出された問題を考えています。対象者は小・中学生です。
<自宅>
mizuryu@aqua.ocn.ne.jp最初のページへもどる