平成12年11月12日

[流れ星]

        第63回数学的な応募問題

          <解答募集期間:11月12日〜11月26日>

[多項式展開係数]

太郎さんは、先日生徒から。「ニュートンの2項定理って、何ですか。」と聞かれました。すぐには答えられませんでしたが、パスカル(フランス:1623〜1662)の三角形が出てくる2項係数を思い出して、(a+b)n  の2項定理を言いました。ただし、このnは正の整数です。しかし、ニュートン(イギリス:1642〜1727)と名前が出ているので、2項定理の発見者はニュートンかしらと疑問に思っていました。 そこで、文献で調べてみました。

 文学、物理学、気象学の分野で多彩な業績を残したパスカルは、数学においても、数多くの成果をあげています。転がる円盤の一点が描くサイクロイドの研究はや、フェルマー(フランス:1601〜1665)と共同で行った確率の研究は、特に優れたものです。パスカルは確率の研究から、2項式の展開(a+b)n  において、係数の規則性を発見しました。これが、これがいわゆるパスカルの三角形と言われる魔法の三角形です。多くの人は、ものご存じですので、割愛します。1654年に発案しました。

 実はこの三角形は中国で古くから知られていました。朱世傑の著書で1303年頃書かれた「四元玉鑑」を見ると、すでに2項展開したときの係数が書かれています。これは、高次方程式を解くにあたって使用されていました。また、ヨーロッパでも16世紀の数学者、カルダノ(イタリア:1501〜1576)らが知っていて、3次行程式や4次方程式の解法に使ったいました。

 弱冠23歳のニューートンが、1665年の初めに、パスカルの発見した「2項定理」の指数nを拡張して、正の整数から、負の整数、分数まで拡げ、無限級数にまで発展させている。 αが任意の実数のとき、(1+x)^αをベキ級数に展開できる公式を「ニュートンの2項定理」と言います。この係数は組み合わせの記号C(n、r)と書きますが、nが正整数でないと組み合わせの意味がなくなりますが、n=α,r=nとして、2項係数は、α(α-1)(α-2)(α-3)・・・(α-n+1)/n!={α,n}と表します。例えば、α=−1のとき、1+x+x+x+x+・・・+x+・・・=1/(1−x) となることです。

 で、いろいろと文献を見て、次のような問題を考えてみました。まず、3項式(1+x+xn の展開係数を見て下さい。

n=0,1,2,3,4,5,・・・と展開すると、パスカルの三角形は2項式(1+x)n の展開係数ですが、似たような奇妙な数列がでてきます。一度見て下さい。(この三角形をコミカルな三角形と呼びましょう。)

         (1+x+x2)nの係数

n=0・・・           1

n=1・・・         1 1 1

n=2・・・      1 2 3 2 1

n=3・・・    1 3 6 7 6 3 1

n=4・・・   1 4 10 16 19 16 10 4 1

n=5・・・ 1 5 15 30 45 51 45 30 15 5 1

    ・・・ ・・・ P(n、r) ・・・ ・・・ 

 この数字をP(n、r)で表すことにします。

ただし、n=0,1,2,3,・・・・、0≦r≦2n とする。

また、P(n、0)=1、P(n、1)=n、P(n、2nー1)=n、P(n、2n)=1 とする。

すると、このコミカルの三角形は

P(n+1,r)= P(n,r−2)+P(n,r−1)+P(n,r) という性質を持っています。 

 これは、上の段の3つの和として、順に得られますので、トリボナッチ数列にもなります。

ここからが、今回の問題です。次の初項から第k項までの和をkで表してください。

問題1:=1+1+1+・・・+0  (ただし、=1とする)

問題2:=1++2+3+4+・・・+

問題3:=1+3+6+10+・・・+

問題4:=1+4+10+20+・・・+

問題5:=1+5+15+35+・・・+

問題6:一般に、=Σ(k=1・・・k=n)n―1 (n=1,2,3,・・・、ただし、=1とする)

 さて、最後に問題7:この展開を拡張して、多項式(1+x+x+x+x+・・・)n の展開係数を考えてください。

皆さん、考え方がわかったら、全部でなくていいですから、とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。

    <自宅>  mizuryu@aqua.ocn.ne.jp

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