平成13年7月29日
[流れ星]第78回
数学的な応募問題解答<解答募集期間:7月1日〜7月15日>
[正七角形]
太郎さんは、校内の実力テスト問題を考えている中で、こんな問題を作りました。
一辺の長さが10cmの正七角形ABCDEFGがあります。図の中にある2つの対角線DFとCGの長さをxcm、ycmとするとき、
1/x+1/yの値を求めてください。
NO1<清川(kiyo)>さんからの解答 7/1;2時41分受信 更新7/15
答え 1/10
NO2<やぎ>さんからのコメント 7/5;0時35分受信 更新7/15
NO3<浜田>さんからの解答 7/13;8時35分受信 更新7/15
解答が出そろったようなので,投稿します.プログラムで解く方法は邪道です。
精度の高い計算が必要になるだろうと,UBASICで解きました.
この正七角形を,単位円に内接し,E(1,0),A,F,Gのy座標は正と仮定します.EFの長さを求め,本来は10cmであることから,相似比を求めます.F,Gのy座標の2倍がそれぞれx,yなので,それらを相似比を使ってます.後は1/x+1/yを計算するのみ.
答が0.1と簡単になったのは意外でした.
10 'asave "78.ub"
20 Pi=4*atan(1):T=2*Pi/7:R=1
30 Ex=R:Ey=0
40 Fx=R*cos(T):Fy=R*sin(T)
50 EF=sqrt((Ex-Fx)*(Ex-Fx)+(Ey-Fy)*(Ey-Fy)):Soujihi=10/EF
60 Gy=R*sin(2*T)
70 X=2*Fy*Soujihi:Y=2*Gy*Soujihi
80 print "kotae=";1/X+1/Y
90 print "(x=";X;", y=";Y;")":end
NO4< kashiwagit>さんからの解答 7/13;11時55分受信 更新7/15
当初、正弦や余弦定理を使い、方程式を解けばと思っていましたが、
線の延長できれいに、簡単に解けるのですね。美しさに簡単致しました。
解答
正7角形の中心をOとする。
7個の二等辺三角形の頂角をα、底角をβとする。
CとE、EとGを結び三角形ECGを考えると斜辺がX、底辺がYの二等辺三角形となる。
この三角形の頂角は4β−180゜となる。
AGとBCを延長し、その交点をHとすると、∠HABと∠HBAは各々180゜−2βなので
三角形HABも二等辺三角形となる。しかも頂角は4β−180゜である。
よって、三角形HCGとECGは斜辺がX、底辺がYの合同な二等辺三角形となる。
三角形HABにおいてHA=HB=X−10であり、三角形HABとHGCは相似であるから、
X−10/10=X/Y、これより変形して、1/X + 1/Y =1/10となる。
NO5< 水の流れ>実力テストの解答 更新7/15
半径Rの円に内接する正七角形を作り、1辺が10cmの中心角を2θとおく。
(ここで、θ=180゜/7 となる。)
すると、Rsin θ=5 ,x=2Rsin 2θ,y=2Rsin 3θ=2Rsin 4θ
よって、1÷x+1÷y=1÷2Rsin 2θ+1÷2Rsin 3θ
=(sin 2θ+sin 3θ)÷(2Rsin 2θ×sin 3θ)
=(sin 2θ+sin 4θ)÷(2Rsin 2θ×sin 3θ)・・・この変形が大切
=2sin 3θ×cos θ÷(2Rsin 2θ×sin 3θ)
=1÷2Rsin θ
=1/10
皆さんの解答に図を入れると良かったのですが、お許しください。
NO6< 水の流れ>幾何での解答 更新7/29
皆さんは、円に内接する四角形ABCDについて、「トレーミの定理」があることをご存じですか。
2組の対辺の長さの積の和が2つの対角線の長さの積に等しいというものです。
AB・CD+BC・AD=AC・BD
NO7< Hide>さんからの複素数での解答 H14年2月19日受信 更新H14年2月20日
ホームページ拝見しました。応募期間が過ぎているのですが、連続応募問題のNo.78について、よろしいでしょうか。
同じ問題が証明問題として予備校のテキストで出題されていたものですから。
解答 正七角形ABCDEFGのABの中点をMとし、MEを虚軸、外接円の中心を原点とする複素数平面を考えると
1/10 = 1/x + 1/y
という関係が非常に簡単に出てきます。
NO8< Hide>さんからの複素数での詳細な解答 H14年2月20日受信 更新H14年2月21日
zのn+1乗を z^(n+1)と書きます。複素数平面で単位円に内接する正七角形ABCDEFGを考えます。
Aが1を表す点としますと、B,C,D,E,F,Gは z = cos(2π/7) + isin(2π/7)としてそれぞれ z,z^2,z^3,z^4,z^5,z^6 と表せます。
ここで、今示したいのは 1/BG + 1/CF = 1/DE です。
ここでは、1/BG + 1/CF - 1/DE = 0 を示す事にします。
どの線分も虚軸に平行な事を考えて複素数で書き換えると、
1/(z^6-z)i + 1/(z^5-z^2)i - 1/(z^4-z^3)i = 0 となります。
あとは両辺i倍したのち通分し、左辺の分子が0となれば成立です。
(通分したあとの分子)
=(z^5-z^2)(z^4-z^3)+(z^4-z^3)(z^6-z)-(z^6-z)(z^5-z^2)
=z^9-z^8-z^6+z^5+z^10-z^5-z^9+z^4-z^11+z^8+z^6-z^3
=z^10-z^11+z^4-z^3
ここでz^(n+7)=z^n (nは整数)より
z^10 = z^3, z^11 = z^4
∴(分子)=0 となります。
よって、78の問題では 1/x + 1/y = 1/10 となります。(終)
<この方法を見たとき、複素数の便利さを痛感しました。非常に簡単な考え方と計算で証明ができてしまいます。>
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