平成13年11月30日
[流れ星]
第87回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:11月16日〜11月30日>
[正(2n+1)角形]
今、太郎さんは学校で理系の生徒に積分法を、文系の生徒には複素数平面を教えようとしています。過去の大学入試問題を眺めていたら、弘前大学で次のような問題がありました。興味深い事実に感嘆しながらご紹介します。
問題1:複素数平面上の原点Oを中心とする半径1の円周上に、複素数 α,β,γ,δがこの順に並んでいる。
α,β,γ,δでできている四角形の対角線が直交する条件は、αγ+βδ=0 であることを証明せよ。
問題2:原点を中心とし、半径1の円周上に頂点をもつ正(2n+1)角形(nは自然数)の対角線は、どれも直交しないこと を証明せよ。
No1<kashiwagi>さんからの解答 11月20日8時27分受信 更新11月30日
問1
直交するのだから(β−δ)/(α−γ)の値は純虚数である。即ち、共役なものを加えると0となる。
・・・・・(β−δ)/(α−γ)+(β−δ)/ (α−γ)=0 ・・・(ア)
又、題意よりα、β、γ及びδは半径1の円周上にあるので、各々の絶対値は1。
因って、α 2=α α=1、即ち α=1/α、これはβ、γ及びδについても成り立つので@式に代入して、整理すると、
[1+(αγ/βδ)]・(β−δ)/(α−γ)=0
ここで(β−δ)/(α−γ)≠0であるから、[1+(αγ/βδ)]=0が必要である。即ち、αγ+βδ=0が4点よりなる2本の対角線が直交する条件である。
問2
複素数平面に於ける正(2n+1)角形の各々の頂点をZ1、Z2、・・・・・・、Z2n+1とし、これらの任意の2点づつを結んでできる対角線の中で少なくとも2本が直交すると仮定し、その対角線をZ1ZnとZ2Z2nとする。
問1の結果から直交する条件は、(Z2−Z2n)/(Z1−Zn)の値が純虚数である、即ち、Z1Zn+Z2Z2n=0、これを変形し、
(Z2 /Z1)+(Zn/Z2n)=0 ・・・(イ)
ここで正(2n+1)角形の中心角をθとすると、
θ=360゜/(2n+1) ・・・(ウ)
(イ)式を絶対値と偏角表示すると、
cosθ + cos nθ + i (sinθ −sin nθ) = 0 ・・・(エ)
この式を和積の公式で変形すると、cos (n+1)・θ/2 =0となる。
因って、(ウ)式と(n+1)・θ/2=90゜、270゜、450゜、・・・より
nの値を求めると、負の分数にしかならない。これはnが自然数であると言う最初の
命題に反する。即ち、これら2本の対角線が直交するとした仮定が間違っていたこととなる。つまり、最初の仮定である少なくとも2本が直交すると言う命題が間違えていたことになり、この命題の対偶である全ての対角線は直交しないと言う命題が正しいことが証明された。
即ち、正(2n+1)角形の対角線のどれもが直交しないと言える。
追伸:問2は1を利用し、命題の対偶を論証し、強引に結論までもっていきましたが、何かすっきりしません。最エレガントな解法があるのでしょうね。お教え頂けると幸いです。
以 上.
No2<(^o^)BossF>さんからの解答 11月27日16時53分受信 更新11月30日