平成13年12月15日
[流れ星]
第88回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:12月1日〜12月15日>
[複素数の平方根]
今、太郎さんは学校で生徒に複素数平面を教えています。平方根の性質を拡張して次のことが成り立ちます。
(1)a、bがa>0、b<0のとき、
が成立する。
(2)a>0のとき、
が成立する。
(3)z2=a2の解は、z=±a である。
また、複素数zをa+biで表して、a、bがともの整数のとき、zを複素整数という。ここで、問題です。
(もちろん、iは虚数単位を表している。)
問題1:z2=48+14i のとき、複素数zを求めよ。
問題2:上の問題を2重根号のはずし方を利用して、解いてください。
問題3:z2=a+biのとき、複素数zをa、bで表してください。(ただし、a、bは実数とする)
問題4:z2=a+biで、b=2002のとき、複素整数zを求めてください。
<NO1>「 (^o^)BossF 」さんからの解答 12/01:19:51分受信 更新12/15
問題1[解]
z=x+yi (x,y∈R)とおくと、
z^2=(x^2-y^2)+2xyi
∴ x^2-y^2=48…@ xy=7…A
Aより、y=7/x これを@に代入して分母を払い、整理すると
x^4-48x^2-49=0
x∈Rだから
x^2=24+√(24^2+49)
=24+√625
=49
i.e. x=±7
よって、z=±(7+i) …答
問題1
[解その2]
z=r (cosθ+i sinθ) (r>0) とおきます。
48+14i=50(24/25+(7/25)i)だから
cosα=(24/25) sinα(7/25) なる第1象限の角αを用いて
z^2=r^2(cos2θ+i sin2θ)=50(cosα+i
sinα)
∴ r^2=50 2θ=α+2nπ i.e. r =5√2 ,θ=(α/2)+π
ここで、(cos(α/2))^2=(1+cosα)/2=49/50
i.e. cos(α/2)=7/(5√2) sin(α/2)=1/(5√2)
よって、z=±5√2(7/(5√2)+i/(5√2))
=±(7+i) …答
問題2
[解]
48+14i=(49-1)+2x7x1xi=(7+i)^2
i.e. z^2=(7+i)^2
∴ z=±(7+i) (∵(3)) …答
題意の理解は合ってるでしょうか?この解が問題1の解として最初にぱっと浮かんだ
ので、問題2は,ちょっと困ってしまいました。
<水の流れ:コメント>今の受験生は、複素数というと、z=x+yi
(x,y∈R)とおいたり、 z=r (cosθ+i sinθ) (r>0) とおいたり します。
したがって、2重根号をはずす方法でもより簡単に、できることを知ってもらいたかったからです。
「 (^o^)BossF 」 さん の場合 先に問題2の解法が浮かんだことは さすがです。受験技術マスターって感じです。その意味では 、何もない指示のない形式がいいかもね。
問題3
[解]
まず、b=0 のとき、z=±√a
つぎに、b≠0 のとき
z=x+yi (x,y∈R)とおくと、
z^2=(x^2-y^2)+2xyi
∴ x^2-y^2=a…@ 2xy=b…A
ここで、b≠0 よりy≠0 だから
Aより、y=b/(2x) …A’
これを@に代入して分母を払い、整理すると
x^4-ax^2-(b^2)/4=0
x∈Rだから
x^2={a+√(a^2+b^2)}/2
i.e. x=±√{a+√(a^2+b^2)}/√2
これをA’に代入整理して
y=±b/lbl・√{√(a^2+b^2)-a}/√2
∴z=±1/√2・[√{a+√(a^2+b^2)}+i b/lbl・√{√(a^2+b^2)-a}]…答
<水の流れ:コメント> b/lbl この値は bが正の数のとき、+
b/lbl この値は bが負の数のとき、ー となり、ますね。
そうです。表現に工夫の跡があります。 このように、決めておかないといけません。よく わかりました。・・・、正解になっています。
問題4は、a の条件はないのでしょうか?
つまり、z を a で表せということですか?
そのつもりでときます。
問題4
[解]
b=2002 を問題3の結果に代入して
z=±1/√2・[√{a+√(a^2+4008004)}+i √{√(a^2+4008004)-a}]…答
こんなんでいいのかな…
<水の流れ:コメント> 問題文の中にも 書いてありますが、z は複素整数 なんです。したがって、a、bも整数 となりまして、zが求まります。
2002年にちなんで 問題を考えていたときの 到達したんです。
<NO>2「 (^o^)BossF
」さんからの解答 12/04 :5:26分受信 更新12/15
「解」z=p+qi とすると z^2=p^2-q^2+2pqiだから
2pq=2002 i.e.pq=1001 なる整数p,qを見つければ好い
ところで、1001=7x11x13 したがって
(p,q)=(±7,±143),(±143,±7),(±13,±77),(±77,±13),(±11,±91),(±91,±11)
、(±1001,±1),(±1,±1001)
(複号同順)よって
z=±20400+2002i,±5760+2002i,±8160+2002i 、±1002000+2002i …答
<NO>3「kashiwagi」さんからの解答 12/03 :8:23分受信 更新12/15
問1z=a+bi(a,bは実数)とし、二乗すると、
z2=a2−b2+2abi=48+14i
因って、この連立方程式を解くと、a=±7、b=±1(複号同順)
従って、z=7+iとz=−7−Iが求めるものである。
問2 問1よりz=±√(48+14i)
=±√〔48+2√(49i2)〕
=±√〔(49+i2)+2√(49i2)〕
=±(√49+√i2)
=±(7+i)
<水の流れ:コメント>足して48 掛けてー49となる数字をみつけて欲しかったのです。
問3 z=x+yiと置き、問1と全く同様にして計算すると、
z=±√{〔a+√(a2+b2)〕/2}±bi/√{2〔a+√(a2+b2)〕となる。
<水の流れ:コメント>z=±√{〔a+√(a2+b2)〕/2}±bi/√{2〔a+√(a2+b2)〕となる。
実部の部分は正解ですが、虚部のbi/√{2〔a+√(a2+b2)〕が 私の答えとあっていません。もう一度お願いします。
こちらの、理解不足なら、お許しください。
問4 z=A+Biと置くと、AB=b/2=1001=7×11×13となる。A,Bは整数であるから、
下記に示す8個の解がある。
z=1+1001i
z=7+143i
z=11+91i
z=13+77i
z=77+13i
z=91+11i
z=143+7i
z=1001+i
<NO>4「kashiwagi」さんからの解答 12/04 :11:05分受信 更新12/15
問3について再考してみました。私は y(superscript: 2)=b
(superscript: 2)/4x(superscript: 2)にxを代入して計算致しました。
ところが、x(superscript: 2)=y(superscript: 2)−aから計算すると、y=±√{〔−a+√(a2+b2)〕/2}となります。
そこで考えてみました。そうです、私の解答の±bi/√{2〔a+√(a2+b2)〕}の分母に√{〔−a+√(a2+b2)〕/2}をかけて
分母のルートを消去すると全く同じ解答になります。
やはり<水の流れ>さんのおっしゃる様に分母に二重根号では汚い式ですし、綺麗な形にするのが、最終解なのでしょうね
<水の流れ:コメント>問題3の答えは、2重根号の形になっていまして、あまり綺麗な式とはいきませんでした。
ただ、複素数の平方根の公式みたいに、覚えてもらえたら と 思って出題しました。
実際には、与えられた数字で解いてもらえれば それでいいのですけど。
<NO>5「浜田」さんからの解答 12/04 :11:00分受信 更新12/15
問題1:
z=a+bi(a,bは実数)とすると,
z^2=(a+bi)^2=(a^2−b^2)+2abi=48+14i
a^2−b^2,2abは実数なので,
a^2−b^2=48………(1)
2ab=14………(2)
(2)から,ab=7………(2)'
∴a^2(−b)^2=−49………(3)
(1),(3)から,a^2,−b^2は,2次方程式
t^2−48t−49=(t+1)(t−49)=0
の2解である.
t=−1,49であり,a^2≧0,−b^2≦0であるから,
a^2=49,−b^2=−1
∴a=±7,b=±1
(2)'から,a=±7,b=±1(複号同順)
∴z=±(7+i)
問題2:
z^2=48+14i=(7^2+i^2)+2・7・i=(7+i)^2
∴z=±(7+i)
問題3:
@). (a,b)=(0,0)のとき,z^2=0から,z=0
A). (a,b)≠(0,0)のとき,
z=r(cosθ+isinθ)(r>0)………(1)
とすると,
z^2=r^2(cos2θ+isin2θ)
a+bi=(a^2+b^2)^(1/2)・(cosα+isinα)
ただし,
cosα=a/(a^2+b^2)^(1/2),
sinα=b/(a^2+b^2)^(1/2)(0≦α<2π)
である.
z^2=a+bi
であるから,
r^2=(a^2+b^2)^(1/2)………(2)
2θ=α+2nπ(nは整数)………(3)
(2)から,r>0であるから,
r=(a^2+b^2)^(1/4)………(2)'
(3)から,
θ=α/2+nπ………(3)'
(2)',(3)'を(1)に代入すると,
z=(a^2+b^2)^(1/4)・{cos(α/2+nπ)+isin(α/2+nπ)}
=±(a^2+b^2)^(1/4)・{cos(α/2)+isin(α/2)}………(4)
ア). 0≦α/2≦π/2のとき,
cos(α/2)≧0,sin(α/2)≧0
∴cos(α/2)={(1+cosα)/2}^(1/2)
=[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}/{2(a^2+b^2)^(1/2)}]^(1/2),
sin(α/2)={(1−cosα)/2}^(1/2)
=[{(a^2+b^2)^(1/2)−a}/{2(a^2+b^2)^(1/2)}]^(1/2)
(4)に代入すると,
∴z=±(a^2+b^2)^(1/4)・([{(a^2+b^2)^(1/2)+a}/{2(a^2+b^2)^(1/2)}]^(1/2)+i[{(a^2+b^2)^(1/2)−a}/{2(a^2+b^2)^(1/2)}]^(1/2))
=±(a^2+b^2)^(1/4)・[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)+i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/{2(a^2+b^2)^(1/2)}^(1/2)
=±[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)+i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/2^(1/2)
このとき,
z^2=[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}+2i{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2){(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)−{(a^2+b^2)^(1/2)−a}]/2
=[2a+2i{(a^2+b^2)−a^2}^(1/2)]/2
=a+i(b^2)^(1/2)
0≦α≦πであるから,sinα=b/(a^2+b^2)^(1/2)≧0
∴b≧0
∴z^2=a+bi
故に題意を満たす.
イ). π/2<α/2<πのとき,
cos(α/2)<0,sin(α/2)>0
∴cos(α/2)=−{(1+cosα)/2}^(1/2),
sin(α/2)={(1−cosα)/2}^(1/2)
同様に,
z=±[−{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)+i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/2^(1/2)
=±[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)−i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/2^(1/2)
∴z^2=a−i(b^2)^(1/2)
π<α<2πであるから,sinα=b/(a^2+b^2)^(1/2)<0
∴b<0
∴z^2=a−(−b)i=a+bi
故に題意を満たす.
ア),イ)をまとめると,
b≧0のとき,
z=±[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)+i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/2^(1/2)
b<0のとき,
z=±[{(a^2+b^2)^(1/2)+a}^(1/2)−i{(a^2+b^2)^(1/2)−a}^(1/2)]/2^(1/2)
これは@)の場合を含む.
<水の流れ:コメント>正解です。もっとしっきりした求め方がありますけど。大変でしたね。2重根号の表記は困ります。
出した本人は、皆さんに、表現方法について、ご迷惑をかけていることは、お許しください。
問題4:
z^2=a+bi,b=2002
問題の条件にはないが,おそらく aは実数だと思われるので,そのように答える.
<水の流れ:コメント> z=a+biは複素整数と書いておいたので、a、bは整数と思ってもらえる考え、。断らなかったのです。
zは明らかに虚数なので,
z=±(c+di)(c,dは整数,d>0)とすると,
z^2=(c^2−d^2)+2cdi=a+2002i
a,c^2−d^2,2cdは実数なので,
c^2−d^2=a………(1)
2cd=2002………(2)
(2)から,
cd=1001=7×11×13
c,dは整数,d>0なので,
{c,d}={1,1001},{7,143},{11,91},{13,77}
(1)から,
{c,d}={1,1001}のとき,a=±1002000
{c,d}={7,143}のとき,a=±20400
{c,d}={11,91}のとき,a=±8160
{c,d}={13,77}のとき,a=±5760
∴z=±(1+1001i),±(7+143i),±(11+91i),±(13+77i),±(77+13i),±(91+11i),±(143+7i),±(1001+i)
<水の流れ:コメント>ありがとうございました。 全部見つかりました。2002年にちなんで 問題を考えていたとき、 到達したんです