平成14年2月28日
[流れ星]
第92回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:2月11日〜2月28日>
[三角形の内接円]
太郎さんは最近、与えられた問題の逆を考えようになっています。
ここで問題です。
問1:3辺の長さが3,4,5である三角形の内接円の半径を求めよ。
問2:三角形の内接円の半径が1,かつ三辺の長さが整数である3辺の長さを求めよ。
NO1<こざっば>さん 2/11:1時19分受信 更新2/28
問1:3辺が3,4,5の三角形は直角三角形で面積は6。・・・@
一方、三辺と内接円の半径は接点で直角に交わるので、
内接円の半径をr、元の三角形の面積をSとすれば、
(3辺をそれぞれ底辺とし、高さrの3つの三角形の面積の和になり)
S=3r/2+4r/2+5r/2・・・・・・・・・・・A
@とAより、r=1となります。
問2:問1より、三辺の長さが3,4,5であれば、題意を満たすので
これが解答、、、、なんてのは許されるのでしょうか。終わり
<水の流れ:コメント> 題意は命題の逆を丁寧に扱ってもらいたいという意図があります。
NO2<kashiwagi>さん 2/11:14時25分受信 更新2/28
こんにちは、毎回お世話になります。今回の問題は問1はそれ程難しくないのですが、逆を証明する
問2は少々骨がありました。従来から逆も当然真として、証明など考えた事がありませんでしたので良い勉強をさせて頂きました。
問2のポイントは3数が全て整数と言うところですね。ここに解決の糸口がひそんでおりました。
最初はaを消去し、bとcの関係でと思ったのですが、角度が消えず、2つの式を俯瞰しておりましたら気づきました。
論理的にも良いのではと思っております。ご指導の程宜しくお願い申し上げます。
本来は図を書けば良いのですが、PCではかえって面倒なので省かせて頂きました。その分お分かりになりづらい点はご容赦下さい。
92回解答
問1.
三角形ABCの三辺の長さを各々a,b,cとし、内接円の半径をrとする。
三角形の面積をSとすると、
S=r(a+b+c)/2――−@
又、条件より、a+b+c=12且つ直角三角形であるから、S=6である。
これらを@に代入し、計算するとr=1となる。
問2.
@にr=1を代入すると、
2S=a+b+c ――−A
辺の長さの長い順にa,b,cとしその対角をA,B,Cとする。すると、面積の関係から
2S=bcsinA ――−B
又、内接円の接点、円の中心及び点Aでできる三角形について着目し,b−cot(A/2)と
c−cot(A/2)を加えたものがaであるから、
a=b+c−2cot(A/2) ――−C
ここで、AとBより a=bcsinA−b−c――−D
ここでCより両辺が整数であるから、cot(A/2)のとり得る値は決まり、更にtan(A/2)=tと置くと、sinA=2t/(1+t2)であること,及び各Aが180度以下であることに注意すると、以下の様になる。
cot(A/2) |
sinA |
1/2 |
4/5 |
1(A=90度) |
1 |
2 |
4/5 |
ここで、cot(A/2)=1の時は、A=90度であるから問1に帰結する。
又、cot(A/2)=1/2の時は、sinA=4/5であり、Dよりbc=5でなければならない。
これより、bもcも整数になるには各々1と5でなければならず、これをDに代入すると
a=−2となる。辺の長さは正であるから、この値は不適である。cot(A/2)=2の時も全く同様である。因って求める整数は3,4,5のみである。
<水の流れ:コメント>Dから、bc=5になる過程がしっくりきません。
多分、sinA=4/5で分母が5よりと思われますが、整数だけを考えれば、bcは5の倍数としかなりませんが・・・・ bc=10,15,20,・・・
と考えて見る必要がありそうです。
予定していた方法ではなかったので 考えてみてください。私の理解不足ならお許しください。
NO3<teki>さん 2/12:13時53分受信 更新2/28
問1 1cm
<解法>三角形は辺の比3:4:5の直角三角形であるから、その面積は3×4÷2=6cm2
一方、内接円の半径を x とおくと、三角形の面積は、(3+4+5)× x ÷2であるから x = 1 となる。
問2 3cm 4cm 5cm
<解法> ヘロンの公式から計算した三角形の面積と内接円の半径=1から計算した面積
が 等しいので、この整数解を求めると3,4,5以外に存在しない。
<水の流れ:コメント> 題意は命題の逆を丁寧に扱ってもらいたいという意図があります。で、答えは3,4,5だけですが・・・
NO4<kashiwagi>さん 2/18:8時33分受信 更新2/28
問1.三角形ABCの三辺の長さを各々a,b,cとし、内接円の半径をrとする。
三角形の面積をSとすると、S=r(a+b+c)/2――−@
又、条件より、a+b+c=12且つ直角三角形であるから、S=6である。
これらを@に代入し、計算するとr=1となる。
問2.
@にr=1を代入すると、
2S=a+b+c ――−A
辺の長さの長い順にa,b,cとしその対角をA,B,Cとする。すると、面積の関係から
2S=bcsinA ――−B
又、内接円の接点、円の中心及び点Aでできる三角形について着目し,b−cot(A/2)と
c−cot(A/2)を加えたものがaであるから、
a=b+c−2cot(A/2) ――−C
ここで、AとBより a=bcsinA−b−c――−D
以下を修正させて頂きます。
ここで三角形の3辺の長さに於ける関係よりb+c>aであるから、Cよりcot(A/2)は正の値しかとれない。即ち、0°<A<180°となる。
因ってsinAも正の値のみとり得る。
更にtan(A/2)=tと置くと、sinA=2t/(1+t2)であることより以下のCASEしか起こり得ない。
CASE |
cot(A/2) |
sinA |
1 |
1/2 |
4/5 |
2 |
1(A=90度) |
1 |
3 |
2 |
4/5 |
ここで、CASE2のcot(A/2)=1の時は、A=90度であるから問1に帰結する。
又、CASE1のcot(A/2)=1/2の時は、sinA=4/5であり、
Cよりa=b+c−1、
Dよりa=4bc/5−b−cであるから、これらの式よりaを消去し、整理すると
4bc=5(2b+2c−1)となる。
因って、bc=5M及び2b+2c−1=4Nでなければならない。
ところが、2b+2c−1は必ず奇数となるので4の倍数ではありえない。即ち、cot(A/2)=1/2の場合は成立しない。
更に、CASE3の場合も同様な検討をすると、
cot(A/2)=2の場合は、A/2が30度より小くなければならない。即ち、Aが60砮より小さくなければ成立しない。
ところが、辺aが一番長いという前提で議論を進めており、明らかに矛盾する。即ち、CASE3も成立しない。
因って求める整数はCASE2の場合の3,4,5のみである。
<水の流れ:コメント>内心と面積の関係を利用し、整数解の解き方でこちらはいました。
NO5<やぎ>さん 2/22:2時27分受信 更新2/28
各辺がa、b、cの三角形においてs=(a+b+c)/2 面積をS,内接円の半径をrとする。
すると S=sr
S=sqr(s(s−a)(s−b)(s−c)) となり
r=sqr((s−a)(s−b)(s−c)/s)・・・・・・(1)となる。
ここで(1)式に a=5,b=4,c=3を代入すると、r=1となる。
次にr=1となる三角形の条件は次式である。
s=(s−a)(s−b)(s−c)・・・・(2)
(2)式でsが整数とならなければ等式が成立しないので s=整数
ここでa+2x=b+c・・・(3) すると s=a+x・・・(4)
(2)(4)式より
a+x=x(a+x−b)(a+x-c)・・・(5)
(3)式より a=b+c-2x これを(5)式に代入して整理すれば
x(b-x)(c-x)=x+(b-x)+(c-x)・・・・(6)
(6)式より3個の数の積と和が等しいがこれが成立するためには少なくとも3個のうち1個は1でなければならない。
そこでx=1とおくと
(b-1)(c-1)=1+(b-1)+(c-1)
∴ (b−2)(c−2)=2・・・・(7)
(7)(3)式より
b=4、c=3,a=5となる。
また、他の数値の組み合わせはa,b,cが相互に入れ替わる場合を除いて存在しない。
<水の流れ:コメント>こちらの予定していた解法どおりでした。感謝します。