平成14年3月31日
[流れ星]
第94回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:3月17日〜3月31日>
[格子点である正三角形]
太郎さんは大学の数学科を希望する生徒がいたとき、推薦入試でどんな論文が出題されるか、面接でどんな口頭試問があるか予想したいと考えています。ここで、問題です。
問題1:xy平面上の点で、x座標もy座標も整数であるような点を平面上の格子点または整数点と言います。
平面上の格子点から3点を選んで結び、正三角形にできるか。論じてください。
NO1<KASHIWAGI>さんからの解答 3/17:9時47分 更新3/31
第94回解答
今、三つの格子点A,B及びOにより正三角形が出来たとする。
三つの格子点の座標を各々A(x、y)、B(X、Y)及びO(0、0)とする。
又、座標系を複素数表示とみなす。即ち、x軸を実数軸、y軸を虚数軸と考え、座標も各々をZa、Zb、Zoとする。
すると正三角形の性質から辺AOを60度反時計方向に回転すると、辺BOに重ならねばならない。
これを複素数で立式すると以下の様になる。
(Zb−Zo)/(Za−Zo)=cos60°+isin60°=(1+i√3)/2 ―――@
(X+iY)/(x+iy)=(1+i√3)/2
X+iY =(x+iy)・(1+i√3)/2
=〔(x−√3y)+i(√3x+y)〕/2
即ち、X=x−√3y及びY=√3x+yが成り立たねばならない。
しかし、x、y、X及びYの4数は全て整数であり、上式の右辺は無理数にしかならず、
左辺の整数と矛盾する。即ち、この等式を満たす整数はない。
因って、三つの格子点を選んで正三角形を作ることは出来ない。
<水の流れ:コメント>3月31日記入
今回は、いろいろな解法があります。どんな分野の方法で解くかを知りたかったのです。
あると仮定して、最後は無理数に矛盾することになりそうです。格子点でなくても、座標が有理数の場合も正三角形はありえませんが。
NO2<ch3cooh>さんからの解答 3/29:15時20分 更新3/31
お久しぶりです。 ch3coohです。
正3角形ではなく、60度の頂点を持つ3角形の存在という形に変えて解いてみました。
-- 以下回答
3角形の各頂点を原点、点A(Xa,Ya), 点B(Xb,Yb)とする。
点A, 点Bのなす角度を60度と置くと、余弦定理より
C^2=A^2+B^2-2AB cos(60)
C= sqr( (Xa-Xb)^2+(Ya-Yb)^2 )
A= sqr( Xa^2+Ya^2 )
B= sqr( Xb^2+Yb^2 )
cos( 60 )= 1/2
これらの条件下で、Xa,Xb,Ya,Ybを求めるための式の変更を以下行う。
各々代入して
=>
(Xa-Xb)^2+(Ya-Yb)^2=
Xa^2+Ya^2+Xb^2+Yb^2-sqr( Xa^2+Ya^2 )*sqr(Xb^2+Yb^2 )
整理すると
-2Xa*Xb-2Ya*Yb= -sqr(
Xa^2+Ya^2 )*sqr( Xb^2+Yb^2 )
両辺を2乗して
4(Xa*Xb-Ya*Yb)^2= (Xa^2+Ya^2)*(Xb^2+Yb^2)
これらの値を全て右辺に持ってきて整理すると
8XaXbYaYb+3Xa^2Xb^2+3Ya^2Yb^2-Xa^2Xb^2-Ya^2Yb^2= 0
3(XaXb+YaYb)^2-(XaYb-XbYa)^2=
0
ここで、α^2-β^2= (α-β)(α+β)
という変換で上記式を変換することも出来るが、α^2の計数として3がありその平方根が無理数であるため、
XaXb+YaYb=0
XaYb-XbYa=0 という2つの条件が成立しなくてはならない。(条件1)
Xa= -YaYb/Xb= XbYa/Yb と変形できる
Xaを消去して後ろの2つの項をまとめると
-Yb^2= Ya^2 が成立する必要があるが、これは成立させることが出来ない。
これは、Xa,Xb,Ya,Ybが各々整数であると言う制限による”条件1”が厳しいために生じたと考えられる。
結果としては、2次元平面上における整数点(有理数点でも良い)間の2直線のなす角度で60度を満たす点の組合わせは存在しない。
---
蛇足ですが、3次元では簡単に見つかります。
また、2次元平面の格子点として虚数を許容するのであれば、整数の組合わせは存在します。
(X,Y各々に対して虚数を認めると次元数が上がったのと同じと言えますかね?)
<水の流れ:コメント>3月31日記入
3次元の座標で、存在するとは知りませんでしたね。教師としては、知っておくといいです。
教えてください。