平成27年5月31日
[流れ星]
第320回数学的な応募解答
<解答募集期間:5月3日〜5月31日>
[図形や立体の重心(1)]
次の図形や立体の重心がどこにあるか積分で求めてください。
問1:y=x2とy=1で囲まれた図のような場合の重心Gの位置はどこか。
参考までに上の図形の重心はアルキメデスが積分を用いないで求めていたそうです。
問2:底面の半径が1、高さが1の図のような円錐の重心Gの位置はどこか。
問3:半径1の図のような半球の重心Gの位置はどこか。
NO1「uchinyan」
05/03 16時08分 受信
「uchinyan」
05/03 16時08分 受信 更新 5/31
一般に,空間において立体 D を考え,適当に (x,y,z)-座標 を導入し,D の重心を G(gx,gy,gz) とします。
G はその一点で立体 D を支えられる点ですが,より正確には,その点の回りの(1次の)回転力が釣り合う点です。
つまり,D 内の点を P,座標の基準点を O,ベクトルOP を vOP,密度をρとすると,
∫∫∫[D]{(vOP - vOG)ρ}dxdydz = 0
これから,
vOG = ∫∫∫[D]{(vOP)ρ}dxdydz/∫∫∫[D]{ρ}dxdydz,
gx = ∫∫∫[D]{xρ}dxdydz/∫∫∫[D]{ρ}dxdydz,
gy = ∫∫∫[D]{yρ}dxdydz/∫∫∫[D]{ρ}dxdydz,
gz = ∫∫∫[D]{zρ}dxdydz/∫∫∫[D]{ρ}dxdydz,
がいえます。
問1:
この場合は2次元で gz = 0,しかも ρ = 一定 で図形が y 軸に対して対称なので,gx = 0 です。
gy は,y = x^2,x = ±√y,より,x,z に関する積分は図形的に容易に求まり,
gy = ∫[0,1]{y * 2√y}dy/∫[0,1]{2√y}dy
=
([(2/5)y^(5/2)][0,1])/([(2/3)y^(3/2)][0,1])
=
(2/5)/(2/3)
= 3/5
そこで,重心は G(0,3/5) になります。
(別解1)
パップス・ギュルダンの定理を使うこともできます。
パップス・ギュルダンの定理によれば,面積 S の図形をある軸に関して回転したときの体積 V は,
その図形の重心と軸との距離を d とすれば,V = (2πd)S,と書けます。
今の場合,対称性から重心 G が y 軸上にあることは分かるので,
G(0,g),回転軸を x 軸,として,V = (2πg)S,です。ここで,適当に平行移動するなりして,
V = π∫[-1,1]{1^2 - (x^2)^2}dx = 2π∫[0,1]{1
- x^4}dx = 2π[x - x^5/5][0,1] = 8π/5,
S = ∫[-1,1]{1 - x^2}dx = 2[x - x^3/3][0,1] = 4/3,
g = V/(2πS) = (8π/5)/(2π(4/3)) = 3/5
そこで,重心は G(0,3/5) になります。
(別解2)
y = x^2 上の点 P(p,p^2),Q(q,q^2) において接線を引きその交点を U,
U の x 座標と同じ x 座標の y = x^2 上の点を R,PQ の中点を M,
y = x^2 と PQ で囲まれた部分の面積を S,△UPQ = T,とします。
U((p+q)/2,pq),R((p+q)/2,(p+q)^2/4),M((p+q)/2,(p^2+q^2)/2),
UM =
(p-q)^2/2 = 2UR,△RPQ = △UPQ/2 = T/2, △UPR = △UPM/2 = T/4,△UQR = △UQM/2
= T/4,です。
さらに,R で接線を引き PU,QU との交点を U',U'',R と同様の点を R',R'',とします。
U'((3p+q)/4,p(p+q)/2),U''((p+3q)/4,q(p+q)/2),UU' =
PU',UU'' = QU'',
△R'PR = △U'PR/2 = △UPR/4
= (T/2)/8,△R''QR = △U''QR/2 = △UQR/4 = (T/2)/8,がいえます。
以下,R',R'',... でこれを繰り返すと,
S = T/2 +
(T/2)/8 * 2 + (T/2)/8^2 * 2^2 + (T/2)/8^3 * 2^3 + …
= T/2 * (1
+ 1/4 + (1/4)^2 + (1/4)^3 + …) = T/2 * 1/(1 - 1/4) = T * 2/3
これを,P(1,1),Q(-1,1) に適用すると,U(0,-1),T = 2,S =
4/3,です。
一方で,重心 G は,対称性より G(0,g) と書けます。
そして,先ほど作った三角形の重心との間に釣り合いの条件より,
Sg = Σ[すべての三角形に関する和]{(三角形の面積) * (三角形の重心の y 座標)}
がいえます。ここで,
R における接線以降の n 回目の操作で作った三角形の頂点,
((2k-2)/2^n,(2k-2)^2/4^n),((2k-1)/2^n,(2k-1)^2/4^n),((2k)/2^n,(2k)^2/4^n),
ただし,k = 1, ..., 2^(n-1),で,これと y 軸に対称なもの,
重心の y 座標 = ((2k-2)^2/4^n + (2k-1)^2/4^n +
(2k)^2/4^n)/3 = (12k^2 - 12k + 5)/(4^n * 3),
三角形の面積 = T/2 * 1/8^n,
より,△RPQ と y 軸に関して対称に注意して,
Sg = T/2 *
2/3 + 2 * Σ[n=1,∞]{Σ[k=1,2^(n-1)]{(T/2 * 1/8^n) * ((12k^2 -
12k + 5)/(4^n * 3))}}
= T * (1/3
+ Σ[n=1,∞]{Σ[k=1,2^(n-1)]{12k^2 - 12k + 5}/(32^n *
3)})
= T * (1/3
+ Σ[n=1,∞]{12(2^(n-1))(2^(n-1) + 1)(2^n + 1)/6 - 12(2^(n-1))(2^(n-1) + 1)/2 +
5(2^(n-1))}/(32^n * 3)})
= T * (1/3
+ Σ[n=1,∞]{(4^n + 1)/(16^n * 6)})
= T * (1/3
+ Σ[n=1,∞]{(1/4)^n + (1/16)^n}/6)
= T * (1/3
+ ((1/4)/(1 - 1/4) + (1/16)/(1 - 1/16))/6)
= T * (1/3
+ (1/3 + 1/15)/6)
= T * (1/3
+ 1/18 + 1/90)
= T * 2/5
S = 4/3,T = 2 より,
4/3 * g =
2 * 2/5,g = 3/5
そこで,重心は G(0,3/5) になります。
問2:
底面の半径が r,高さが h,として考えます。
今度は3次元ですが,ρ = 一定 で図形が y 軸に対して回転対称なので,gx = gz = 0 です。
gy は,x^2 + z^2 = (r(h - y)/h)^2,より,x,z に関する積分は図形的に容易に求まり,
gy = ∫[0,h]{y * π(r(h - y)/h)^2}dy/∫[0,h]{π(r(h - y)/h)^2}dy
= ∫[0,h]{y^2/3}dy/∫[0,h]{(h -
y)^2}dy
=
([y^4/12][0,h])/([- (h - y)^3/3][0,h])
=
(h^4/12)/(h^3/3)
= h/4
そこで,重心は G(0,h/4,0) になります。
この問題では,r = 1,h = 1 なので,G(0,1/4,0)
です。
(別解)?
少しあいまいで論理的に不備があるようにも思いますが,こんなことも考えてみました。
まず,一般の 四面体ABCD を考えます。
さらに,AB を含み CD の中点 M を通る平面を考えます。
この平面は 四面体ABCD の体積を2等分するので中面と呼び,今の場合は 中面ABM と呼ぶことにします。
△BCD と平行な平面を考え,AB,AC,AD,AM との交点を B',C',D',M' とし,
△B'C'D' 上で C'D' に平行な線を引き,B'C',B'D',B'M' との交点を S,T,U とし,
さらに,ST 上で U に関し反対側に EU =
FU となる点 E,F を取ります。
E,F は B'M' との距離が等しいので B'M' 回りの回転力は同じになります。
これは,△B'C'D' 上の同様の点でもいえます。
そこで,中面ABM と E,F の距離は等しいので,中面ABM にある点の回りの E,F の回転力は等しく,
釣り合っている,と考えていいでしょう。,
このことと,重心 G はその点の回りの回転力が釣り合う点であることを考慮すると,
G は 中面ABM 上にあると考えていいでしょう。
(ここがかなり強引で,結論は正しいのですがあいまいで論理的に不備があると思います。
なお,2次元の場合は
四面体ABCD は △ABC になり 中面ABM は 中線AM になりますが,
この論理で不備はないと思います。まさに三角形の中線の交点が重心となる所以です。)
これを認めると,四面体ABCD の四つの中面の交点が重心 G になります。
そこで,BD の中点を N とし 中面ACN を考えると,△BCD 上で,
中面ABM と △BCD との交線は BM,中面ACN と △BCD との交線は CN,で,
BM と CN の交点を P とすれば,P は △BCD の重心で,中面ABM と
中面ACN との交線は AP,です。
同様にして,DA の中点を L とし 中面BCL を考えると,△CDA 上で,
中面ABM と △CDA との交線は AM,中面BCL と △CDA との交線は CL,で,
AM と CL の交点を Q とすれば,Q は △CDA の重心で,中面ABM と
中面BCL との交線は BQ,です。
これらのことより,G は AP と BQ の交点です。
そこで,△ABM 上でメネラウスの定理を用いると,
AG/GP *
PB/BM * MQ/QA = 1,AG/GP * 2/3 * 1/2 = 1,AG/GP = 3/1,GP = AP * 1/4,
BG/GQ *
QA/AM * MP/PB = 1,BG/GQ * 2/3 * 1/2 = 1,BG/GQ = 3/1,GQ = BQ * 1/4,
つまり,G は,△BCD から 1/4 の高さに,△CDA から 1/4 の高さに,あります。
中面は6枚あるので他の場合も確認する必要がありますが,実際にやってみると,
G は一意に決定し,四面体ABCD のどの面からも 1/4 の高さにあることが分かります。
さて,ここで,特に,△BCD を底面としその外接円の半径が 1 の正三角形,高さが 1,を考えます。
すると,P は △BCD の中心,つまり外接円の中心に一致,AP⊥△BCD,AP = 1,GP = 1/4 です。
これに対して,外接円の長さが等しい三つの弧の中点を取り,底面を正六角形にします。
こうしても,対称性より,P は外接円の中心,AP⊥正六角形,は変わらず,
高さ方向には何の変化もないので,AP = 1,
しかも,三つの四面体が AP の回りに回転対称に追加されただけなので,
重心 G の位置も変わらず,AP 上にあり,GP
= 1/4,です。
さらに,六つの長さが等しい弧の中点を取って正12角形を作っても,同様に,GP = 1/4,です。
これを繰り返し,その極限としての円錐を考えても,
重心 G は外接円の中心の直上の 1/4 の位置にあります。
そこで,図の座標系では,G(0,1/4,0) になります。
問3:
半径が r として考えます。
今度も3次元ですが,ρ = 一定 で図形が y 軸に対して回転対称なので,gx = gz = 0 です。
gy は,x^2 + z^2 = r^2 - y^2,より,x,z に関する積分は図形的に容易に求まり,
gy = ∫[0,r]{y * π(r^2 - y^2)}dy/∫[0,r]{π(r^2 - y^2)}dy
=
([(r^2)y^2/2 - y^4/4][0,r])/([(r^2)y - y^3/3][0,r])
= (r^4/4)/(2r^3/3)
= 3r/8
そこで,重心は G(0,3r/8,0) になります。
この問題では,r = 1 なので,G(0,3/8,0) です。
(感想)
積分が使えれば,重心の定義さえ分かってしまえば後は計算するだけで済んでしまいます。
しかし,積分を知らなかったアルキメデスはどうやって求めたのでしょう。
面積は三角形で覆っていって等比無限級数で求めたと聞いたことがありますが,
似たような方法でできるのでしょうか。
その後,この方法を再現する感じで,問1:の(別解2)を考えてみました。
意外と簡単にできてしまったな,という印象です。
ただ,アルキメデスの時代にはこうした式の計算は発達していなかったと思うので,
もっと技巧的なのでしょう。
問2:でも積分を使わないより図形的な解法を考えてみました。
ただ,論理的にあいまいな個所があり,結果は正しいのですが,不備があるかも知れません。
問3:も正四面体や正八面体の半分を基にして,同様な手法でできそうな気がします。
ただ,さすがに面倒そうで,ちょっと気力が出ません (^^;
いずれにせよ,積分の,そして積分が微分の逆演算であることの,威力を感じますね。
NO2「浜田明巳」
05/07 17時23分 受信 更新 5/31
(1)この図をx軸の周りに1回転したときの体積をVとする.
この図はy軸について対称なので,
V=2π∫0<x<1{12−(x2)2}dx
=2π[x−x5/5]0<x<1
=2π(1−1/5)
=(8π)/5
この図の面積をSとすると,
S=2∫0<x<1(1−x2)dx
=2[x−x3/3]0<x<1
=2(1−1/3)
=4/3
重心Gはy軸上にあるので,G(0,p)(0<p<1)とする.
Pappus-Guldinusの定理より,
V=2πp・S
=2πp・4/3=(8π)/5
∴p=3/5
∴G(0,3/5)
(2)原点O,(1,0),(1,1)を頂点とする三角形をx軸の周りに1回転してこの円錐を作る.
体積Vは,
V=1/3・π(1/2)2・1=π/12
重心Gはx軸にあるので,G(p、0)(0<p<1)とする.
P(x,0)(0≦x≦1)を通り,x軸と垂直な平面との切断面積は,
π(x/2)2=π/4・x2
∴p=(∫0<x<1π/4・x2・xdx)/V
=(π/16・[x4]0<x<1)/(π/12)
=3/4
∴G(3/4,0)
(3)原点O中心,半径1の円の0≦x≦1の部分をx軸の周りに1回転してこの半球を作る.
体積Vは,
V=2/3・π・13=(2π)/3
重心Gはx軸にあるので,G(p、0)(0<p<1)とする.
P(x,0)(0≦x≦1)を通り,x軸と垂直な平面との切断面積は,
π(1−x2)
∴p={∫0<x<1π(1−x2)xdx}/V
=(π[x2/2−x4/4]0<x<1)/{(2π)/3}
=3/8
∴G(3/8,0)
NO3「浜田明巳」
05/08 16時22分 受信 更新 5/31
(1)(別解)
面積Sは,
S=2∫0<x<1(1−x2)dx
=2[x−x3/3]0<x<1
=2(1−1/3)
=4/3
重心Gはy軸上にあるので,G(0,p)(0<p<1)とする.
P(0,y)(0≦y≦1)を通り,y軸と垂直な直線との交線の長さLは,
L=2・y1/2
∴p=(∫0<y<12・y1/2・ydy)/S
=(2・2/5・[y5/2]0<y<1)/(4/3)
=3/5
∴G(0,3/5)
いつものように,プログラム(VBSCRIPT)でも求めてみた.
(1)−1≦x≦1,0≦y≦1の範囲を一定の数d(d=0.0001)きざみであたっていき,
y≧x2
を満たす場合のx,y座標のそれぞれの相加平均を求める.それが重心Gのx,y座標となる.
これはG(0,0.6)を表す.
Gx=0:Gy=0:k=0:d=.0001
for x=-1+d*.5 to 1 step d
for y=0+d*.5 to 1 step d
if y>=x*x then
Gx=Gx+x:Gy=Gy+y:k=k+1
end if
next
next
Gx=Gx/k:Gy=Gy/k
msgbox "("&Gx&","&Gy&")"
(2)−1≦x≦1,−1≦y≦1,0≦z≦1の範囲を一定の数d(d=0.005)きざみであたっていき,
x2+y2≦(1−z)2
を満たす場合のx,y,z座標のそれぞれの相加平均を求める.それが重心Gのx,y,z座標となる.
これはG(0,0,0.25)を表す.
Gx=0:Gy=0:Gz=0:k=0:d=.005
for x=-1+d*.5 to 1 step d
for y=-1+d*.5 to 1 step d
for z=0+d*.5 to 1 step d
if x*x+y*y<=(1-z)*(1-z) then
Gx=Gx+x:Gy=Gy+y:Gz=Gz+z:k=k+1
end if
next
next
next
Gx=Gx/k:Gy=Gy/k:Gz=Gz/k
msgbox
"("&Gx&","&Gy&","&Gz&")"
(3)−1≦x≦1,−1≦y≦1,0≦z≦1の範囲を一定の数d(d=0.005)きざみであたっていき,
x2+y2+z2≦1
を満たす場合のx,y,z座標のそれぞれの相加平均を求める.それが重心Gのx,y,z座標となる.
これはG(0,0,0.375)を表す.
Gx=0:Gy=0:Gz=0:k=0:d=.005
for x=-1+d*.5 to 1 step d
for y=-1+d*.5 to 1 step d
for z=0+d*.5 to 1 step d
if x*x+y*y+z*z<=1 then
Gx=Gx+x:Gy=Gy+y:Gz=Gz+z:k=k+1
end if
next
next
next
Gx=Gx/k:Gy=Gy/k:Gz=Gz/k
msgbox
"("&Gx&","&Gy&","&Gz&")"
NO4「早起きのおじさん」 05/11 12時52分 受信 更新 5/31
重心はつり合いの中心です。
その物体の質量の中心とでもいうべき場所です。
均一な材質の棒の重心は、中心と一致します。
棒の真ん中で支えれば、天秤のようにつり合わせることができます。
三角形の重心は、中線の交点です。
底辺と平行に三角形を細く切っていくと、一本一本の棒の重心は真ん中にあります。
それで、三角形全体の重心は中線上にあると考えられます。
具体的に重心を求めるには、重力によるモーメントを2種類計算して比較します。
問1
y=x2とy=1で囲まれた図形の重心を調べます。
この図形は、y軸対称なので、y軸上に重心があるのは明らかです。
y軸方向の原点周りのモーメントを計算します。
平面図形の場合は、面積を質量の代わりに用いて問題ありません。
重心のy座標をgとします。
放物線()と直線()で囲まれる部分の面積Sは、交点のx座標が、αとβなら、
なので、モーメントは、 です。
次に、積分を用いて細かく計算します。
x軸に平行な細い帯状の物体の重心は、y軸上にあります。
細い帯状の物体によるモーメントは、 です。
これをy軸方向に集めます。(積分します)
問2
立体図形の場合は、体積を質量の代わりに用いて問題ありません。
円錐の重心がy軸上にあるのは、明らかです。
底面の半径が1、高さが1の円錐の重心のy座標をgとします。
円錐の体積は、
よって、y軸方向の原点周りのモーメントは、
次に、積分を用いて細かく計算します。
x軸に平行な薄い円盤状の物体の重心は、y軸上にあります。
図のxy平面内で、xとyとの関係は、 です。
薄い円盤状の物体によるモーメントは、 です。
これをy軸方向に集めます。(積分します)
問3
半球の重心がy軸上にあるのは、明らかです。
半径1の半球の重心のy座標をgとします。
半球の体積は、
よって、y軸方向の原点周りのモーメントは、
次に、積分を用いて細かく計算します。
図のxy平面内で、xとyとの関係は、 です。
x軸に平行な薄い円盤状の物体の重心は、y軸上にあります。
薄い円盤状の物体によるモーメントは、 です。
これをy軸方向に集めます。(積分します)
●アルキメデスが積分を用いずに問1の重心を求めたそうです。
ここでは級数を用いて計算してみます。
○放物線上の2点A、Bを結ぶ弦を一辺とし、AとBの間に残りの頂点をもつ内接する三角形を考えます。
面積が最大の三角形は、その弦に平行な接線の接点を頂点とする三角形で、その頂点のx座標はAとBの中央です。
放物線の式を とします。
A、Bのx座標をそれぞれα、βとします。
直線ABの傾きは、
なのでこれは、AとBのx座標の中央のx座標である点Cにおける微分係数と同じです。
○△ACBの面積を調べます。
等積変形により、△ACB=△PCQです。(PQ // x軸)
PQ=β−α
三角形の面積は、横幅の3乗に比例します。
(β−αを△ACBの横幅ということにします)
(ついでにMCの長さを△ACBの縦ということにします)
○ここで性質のいくつかを確認しておきます。
ア)放物線に内接する△ABCの面積の最大は、横幅できまる。
○△ACBの面積を調べます。
等積変形により、△ACB=△PCQです。(PQ // x軸)
PQ=β−α
三角形の面積は、横幅の3乗に比例します。
(β−αを△ACBの横幅ということにします)
(ついでにMCの長さを△ACBの縦ということにします)
○ここで性質のいくつかを確認しておきます。
ア)放物線に内接する△ABCの面積の最大は、横幅できまる。
イ)△ABCの縦は、に比例する。
ウ)弦ACを1辺とする内接三角形の最大と弦CBを1辺とする内接三角形の最大は等しい。(横幅が同じなので)
面積は、より△ACBの である。
エ)放物線の内側を三角形で覆うように内接させてとき、横幅が同じものをまとめて考えると、
横幅は、段階ごとに半分ずつになりますが、個数は、1, 2, 4, 8, ・・・のように倍々になります。
●放物線と直線で囲まれる部分の面積Sを計算します。
交点A、Bのx座標をそれぞれα、βとすると、段階ごとの三角形の面積と個数をかけて合計していくと、
初項 、公比 の等比級数になります。
この問題の場合は、a=1、横幅2より、S= です。
よって、重心のy座標をgとすると、y軸方向の原点周りのモーメントは、 です。
●次に、この図形を三角形に分解してそれぞれのモーメントを合計していきます。
三角形の重心は中線を頂点の方から2:1に内分する点です。
0段階として、△OA1Bを考えます。
1段階として△OA1A2、2段階として△OA2A3、・・・を横幅が同じ三角形として代表させます。
面積は、△OA1B=1、△OA1A2=、△OA2A3= 、・・・、△OAnAn+1=です。
個数は、1段階は1×2個、2段階は2×2個、・・・、n段階は2n-1×2個です。(左右にあります)
同じ段階で各三角形の縦は同じです。
モーメントの合計は、
n番目の整理をします。
中括弧の中は、
故にモーメントは、
●よって重心は、 より、
NO5二度漬け白菜」 05/24 04時55分 受信 更新 5/31
問1:重心は点(0,3/5).
この図形を薄板と考え,その密度は一様とする.
この図形は領域 D:{(x,y)|x^2≦y≦1,-1≦x≦1}で表される.
この図形の面積 S は S=∫_[-1,1](1-x^2)dx = 4/3
対称性により,重心G(x_g,y_g)=G(0,y_g).
(y_g)
=(1/S)*∫∫_[D] y dx dy
=(1/S)*∫_[-1,1]∫_[x^2,1] y dy dx
=(1/S)*∫_[-1,1](1/2-x^4/2)dx
=(3/4)*(4/5)
=3/5.
問2:重心は、この円錐の底面の中心から高さ1/4の点である.
この円錐はxyz空間の領域 D:{(x,y,z)|x^2+z^2≦(1-y)^2,0≦y≦1}で表される.
密度ρ(x,y,z)=ρ(一定)とする.
円錐の質量Mは,M=πρ/3.
対称性により,重心G(x_g,y_g,z_g)=G(0,y_g,0).
この領域は変数変換 x=r*cos(θ),z=r*sin(θ),y=y によって,
領域 E:{(r,θ,y)|0≦r≦1-y,0≦θ≦2π,0≦y≦1}に移る.
ヤコビアン J=det([[cos(θ),-r*sin(θ),0],[0,0,1],[sin(θ),r*cos(θ),0]])=(-r).
(y_g)
=(1/M)∫∫∫_[D] yρ dx dy dz = (ρ/M)∫∫∫_[E] y*|J| dr dθ dy
=(ρ/M)∫_[0,1]∫_[0,2π]∫_[0,1-y] y*r dr dθ dy
=(1/(π/3))*(π/12)=1/4.
問3:重心は、この半球の底面の中心から高さ3/8の点である.
この半球は領域 D:{(x,y,z)|x^2+y^2+z^2≦1, y≧0}で表される.
密度ρ(x,y,z)=ρ(一定)とする.
半球の質量はM=(2/3)πρ.
対称性から重心G(x_g,y_g,z_g)=G(0,y_g,0).
Dは変数変換 x=r*sin(θ)sin(φ),y=r*cos(θ),z=r*sin(θ)cos(φ) によって,
E:{(r,θ,φ)|0≦r≦1,0≦θ≦π/2,0≦φ≦2π}に移る.
ヤコビアン J=r^2*sin(θ).
(y_g)
=(1/M)∫∫∫_[D] yρdx dy dz = (ρ/M)∫∫∫_[D] y dx dy dz
=(ρ/M)∫∫∫_[E] r*cos(θ)*|J| dr dθ dy
= (ρ/M)∫_[0,2π]∫_[0,π/2]∫_[0,1] r^3*sin(θ)cos(θ) dr dθ dy
=(1/(2π/3))*(π/4)
=3/8.