平成27年7月12日
[流れ星]
第322回数学的な応募解答
<解答募集期間:6月21日〜7月12日>
[円に関する期待値]
問題1:半径1の円内に任意に点を1つおきます。円の中心からのその点までの距離OPの期待値を求めてください。
問題2:半径1の円周上に任意に2点をおきます。その2点間の直線距離PQの期待値を求めてください。
ヒント: いずれも積分を用いて
NO1「uchinyan」
06/21 14時24分 受信 更新
「uchinyan」
06/22 14時28分 受信 更新 7/12
問題1: OP = r,OP と x 軸とのなす角度をθ,とすると,
P は円内で一様均等に分布しているので,面積比より,その位置にある確率は,(dr * rdθ)/π です。
そこで、求める期待値
= ∫∫[θ=0,2π][r=0,1]{r * (dr * rdθ)/π}
= (∫[θ=0,2π]{∫[r=0,1]{r^2}dr}dθ)/π
= (∫[θ=0,2π]{1/3}dθ)/π
= (2π/3)/π
= 2/3
になります。
(別解1)
OP = r とし,中心を O,半径を r,とする同心円を考えます。
円周の長さは 2πr なので,
P がこの円の円周上にある確率密度は r に比例し k を比例定数として確率は krdr と書けます。
P は半径 1 の円内(又は円周上)にあるので,∫[r=0,1]{kr}dr = 1,です。そこで,
求める期待値
= ∫[r=0,1]{r * krdr}
= ∫[r=0,1]{kr^2}dr/∫[r=0,1]{kr}dr
= (k/3)/(k/2)
= 2/3
になります。
(別解2)?
(別解1)と同じように考えると,
P が,中心を O,半径を r,の同心円の円周上にある確率密度は r に比例し確率は krdr と書け,
求める期待値 = ∫[r=0,1]{r * krdr},です。
これを物理的に解釈すると,
長さ 1 の棒 OC で OP = r となる点 P における微小幅 dr の重さが krdr となっているとすると,
そのときの O の回りの P のモーメント=回転力が r * krdr で,
O の回りの
棒 OC 全体の回転力が,∫[r=0,1]{r * krdr} = 求める期待値,と考えられます。
さらに,∫[r=0,1]{krdr} = 1,なので,
求める期待値 * ∫[r=0,1]{krdr} = ∫[r=0,1]{r * krdr},
ですが,これは重心の式そのものなので,棒 OC の重心を G とすれば,求める期待値 = OG,です。
ここで,棒 OC の P における重さ krdr を,
密度が k = 一定 で長さが r の棒がその中心が OC 上にあり OC に垂直になっており,
OC 上の任意の点 P におけるこれらすべての OC に垂直な棒が同一平面内にある,
としても状況は変わりません。結局,OC が二等辺三角形状に広がった状況になります。
さらにこれを図形的に解釈します。
OC に垂直な棒の密度はすべて一定なので,これらの棒をすべて数学的な線分とみなすことができます。
r = 1,つまり,C に垂直な線分を AB とすれば,AC
= BC,OC⊥AB,△OAB は OA = OB の二等辺三角形,です。
そこで,この △OAB の重心 G を求めればいいことになります。
これは,OC = 1 を 2:1 に内分する点なので,OG = 2/3,です。
これより,求める期待値 = OG = 2/3,になります。
問題2:
円周上の2点を,P(cosθ,sinθ),Q(cosφ,sinφ),とすると,
P,Q は円周上で一様均等に分布しているので,それらのその位置にある確率は,dθ/(2π),dφ/(2π),です。
また,余弦定理より,
PQ = √(2 - 2cos(θ-φ)) = 2√((1 - cos(θ-φ))/2)
= 2√((sin((θ-φ)/2)^2)) = 2|sin((θ-φ)/2)|,
です。そこで,
求める期待値
= ∫∫[φ=0,2π][θ=0,2π]{2|sin((θ-φ)/2)| *
dθ/(2π) * dφ/(2π)}
=
(∫[φ=0,2π]{∫[θ=0,2π]{2|sin((θ-φ)/2)|}dθ}dφ)/(4π^2)
= (∫[φ=0,2π]{∫[θ=0,φ]{- 2sin((θ-φ)/2)}dθ +
∫[θ=φ,2π]{2sin((θ-φ)/2)}dθ}dφ)/(4π^2)
= (∫[φ=0,2π]{[4cos((θ-φ)/2)][θ=0,φ] + [-
4cos((θ-φ)/2)][θ=φ,2π]}dφ)/(4π^2)
= (∫[φ=0,2π]{(4 - 4cos(φ/2)) + (4cos(φ/2) +
4)}dφ)/(4π^2)
= (∫[φ=0,2π]{8}dφ)/(4π^2)
= ([8φ][φ=0,2π])/(4π^2)
= (16π)/(4π^2)
= 4/π
になります。
(別解1)
上記の計算からも明らかですが,対称性より最初から φ = 0,Q を (1,0) に固定,して考えてもいいです。
こう考えるとぐっと計算が簡単になって,P(cosθ,sinθ),確率は,dθ/(2π),PQ = 2sin(θ/2),で,
求める期待値
= ∫[θ=0,2π]{2sin(θ/2) * dθ/(2π)}
= (∫[θ=0,2π]{2sin(θ/2)}dθ)/(2π)
= ([- 4cos(θ/2)][θ=0,2π])/(2π)
= 8/(2π)
= 4/π
になります。
(別解2)
(別解1)と実質的に同じとも言えますが,一応,積分を使わない解法です。
対称性より φ = 0,Q を (1,0) に固定,して考えます。
さらに,最初から円では考えづらいので,まずは正n角形を考え,後で n->∞ として円にもっていきます。
すると,P(cos(2kπ/n),sin(2kπ/n)),PQ = 2sin(kπ/n),期待値は平均値,なので,
正n角形の場合の期待値 = 平均値
= (1/n)Σ[k=1,n]{2sin(kπ/n)}
= (1/n)Σ[k=1,n-1]{2sin(kπ/n)}
=
(1/n)(Σ[k=1,n-1]{2sin(kπ/n)sin(π/n)}/sin(π/n))
= (1/n)(Σ[k=1,n-1]{cos((k-1)π/n) -
cos((k+1)π/n)}/sin(π/n))
= (1/n)(cos(0) + cos(π/n) - cos((n-1)π/n) -
cos(π)}/sin(π/n))
= (1/n)((2 + 2cos(π/n))/sin(π/n))
= (2/π)(1 + cos(π/n))/(sin(π/n)/(π/n))
そこで,
求める期待値
= lim[n->∞]{正n角形の場合の期待値}
= lim[n->∞]{(2/π)(1 +
cos(π/n))/(sin(π/n)/(π/n))}
= (2/π)(1 + 1)/(1)
= 4/π
になります。
(感想)
まずは,普通に解いてみました。
結果は,まぁそんなものかな,という感じですが,予想はなかなか難しいです。
厳密でなくともいいので,直感的に分かる考え方はないのかな...と思って少し考えました。
あまりうまくいっているとは思えませんが,問題1:の(別解2)は多少は直感的に分かると思います。
問題2:でも同様なことを考えられるのですが,三角関数の積分又はそれと等価なものは必要そうで,
うまくいきませんでした。仕方がないので,等価ですが見た目は積分を使わない解法を書いておきました。
NO2「早起きのおじさん」
06/22 09時55分 受信 更新 7/12
322解答 早起きのおじさん
期待値は、その事象を数値化し 、その事象が起きる確率 とかけてその積
をすべて合計(積分)したものです。
つまり、 ( )です。
問題1
この問題は極座標で考えることにします。
任意の点が、極(中心)から距離rのところにあるとします。
その点を含む微小な領域を水色で示します。
その領域がそこにある確率を円の面積に対する比で表すことにします。
扇形の面積Sが、
なので、
水色の部分の面積dSは、
( は、 に比べごく小さいので無視します)
よって、その領域がそこにある確率は、 となるので、期待値は、
問題2
円周上に任意の二点P、Qがあるとき、Pが(1,0)となるように座標をとります。
∠POQ=θとします。
(∠POQがπより小さくなるよう、必要なときは名前をつけかえるなど工夫します)
すると、余弦定理より、
この問題は、図の上半分だけで考えて問題ありません。
点Qがそこにある確率をQを含む微小の弧dθの半円の弧に対する比で表すことにします。
つまり、 です。
よって、期待値は、
「早起きのおじさん」 06/24 17時41分 受信
更新 7/12
問題1
半径1の扇形の中心角θが小さいとき、この図形は感覚的には二等辺三角形です。
扇形の面積Sは、次の式で求まります。
三角形の面積は、次の式で求まります。
解答の は高さ1の二等辺三角形の重心の位置です。(頂点から)
左のように均一な小さな矢が三角形に降っていると想像します。
次に、右のように一本にまとめた矢が三角形に降ると想像します。
さて、同じ効果だとすれば、どこに落ちると考えればよいのでしょうか。
問題2
この問題は、円周上だけに矢が降ると考えます。
Pを(1, 0)になるように移動して考えます。
Qも均一に半円上のどこにも同じに矢が降ると考えます。
次に、一本の矢にまとめた場合には、Pからちょうど90°の位置に降ると考えられます。
(ちょうど真ん中なので)
弦PQの長さの期待値は です。
これを図示すると、上のようになります。
およそ中心角が79°になります。
これは、次のように考えると納得がいきます。
でした。
期待値の計算は、弦の長さにその確率をかけ、合計していきます。
確率はどこでも一様なので、その値を知る必要は特にありません。
そこで、このサインカーブが囲う面積を長方形にならすとどうなるかを考えればよいわけです。
下にグラフをかきます。
もし弦の長さが一次関数の関係で変化するのであれば、この期待値は90°のときになります。
NO3「スモークマン」
06/28 21時57分 受信
「スモークマン」
06/29 23時22分 受信 更新 7/12
問題1:半径1の円内に任意に点を1つおきます。円の中心からのその点までの距離OPの期待値を求めてください。
(回答1)
OPの期待値=x
円周を直線にして、等辺=1の二等辺三角形に分解して考えると…
△の等面積になる点=重心が等確率になるから、高さ=1/3 なので…
OP=1-1/3=2/3 になりそう…^^;
*球のときなら…三角錐の重心は高さ1/4だから…
1-1/4=3/4
になるのかな?
<水の流れ:誰かこの値が正しいか教えて・・・>
積分でどうすればいいのかわかりません…^^;;
問題2:半径1の円周上に任意に2点をおきます。その2点間の直線距離PQの期待値を求めてください。
ヒント: いずれも積分を用いて
(回答2)
半円で考えて、直径の片側の点をOとして、円と交わる直線を考えると…その直線と直径とのなす角度をθとすると…
0<=θ<=π/2
PQ=2*cosθ だから…
2*∫ [0〜π/2]
cosθ dθ/(π/2)=2*[sinθ](0〜π/2)
/(π/2)=4/π
でしたのね ^^
*球のときは...わかりません...^^;;
<水の流れ:球の場合教えて・・・>
NO4「にいばりZ12」
06/29 02時11分 受信 更新 7/12
問題1:半径1の円内に任意に点を1つおきます。円の中心からのその点までの距離OPの期待値を求めてください。
円の半径をRとします(r1<r2< R)
任意の点が半径r1からr2までの区間に存在しr2-r1=凾窒ニすると
その確率は占める面積と同値なので
(πr22-πr12)/( πR2)
=π(r2-r1) (r2+r1)/( πR2)
=π凾(r2+r1)/( πR2) ここでr1→r2 、r2=rとすると
=(2πr/( πR2))dr
事象はrなので期待値は
∫0〜R(2πr2/( πR2))dr
=(2/3)R
R=1なので
期待値は2/3・・・・・回答
問題2:半径1の円周上に任意に2点をおきます。その2点間の直線距離PQの期待値を求めてください。
円の半径をRとします
0≦PQ≦2Rが成り立ちます
任意の2点の中点と円の中心Oを通る直線をx軸、Oを通りx軸に直角な直線をy軸とします。
(この時∠POQ≦πとなるようにPをきめ、円を回転させ、Pを第1象限に持ってきます)
POがx軸となす角をθ1、θ2の間に存在しθ2-θ1=刄ニとすると (0≦θ1<θ2≦π/2)
その確率は
刄ニ/(π/2) ここでθ1→θ2 、θ2=θとすると
=(1/( π/2))dθ
事象はPQ=2Rsinθなので期待値は
∫0〜π/2(2Rsinθ/( π/2))dθ=(4R/π)∫0〜π/2 sinθdθ=4R/π[-cosθ] 0〜π/2
=4R/π
R=1なので
期待値は4/π≒1.27・・・・・回答
問1は直感通りでしたが、問2は何か意外な気がしました。
直感的には、θが30°か45°当たりに来るのかと思ったので・・・。
問2別解
x軸と円の交点(マイナス側)をQとしPをもう一つの交点から反時計回りに回る同点とします
PQがx軸となす角をθ1、θ2の間に存在しθ2-θ1=刄ニとすると (0≦θ1<θ2≦π/2)
その確率は
刄ニ/(π/2) ここでθ1→θ2 、θ2=θとすると
=(1/( π/2))dθ
事象はPQ=2Rcosθなので期待値は
∫0〜π/2(2Rcosθ/( π/2))dθ=(4R/π)∫0〜π/2 cosθdθ=4R/π[sinθ] 0〜π/2
=4R/π
R=1なので
期待値は4/π≒1.27・・・・・回答
NO5「二度漬け白菜」 07/05 21時28分 受信
更新 7/12
(答)
(問題1):距離OPの期待値は,2/3.
(問題2):距離PQの期待値は,4/π.
問題1,問題2のいずれの場合も,半径1の円を,
x^2+y^2=1 であるものとして考えることにします.
(問題1)
0≦r≦1なる実数rに対して,
Prob(OP≦r)=(π*r^2)/(π*1^2)=r^2 であるので,OPの確率密度f(r)は,
f(r)=2*r. ( ∫_[0,r](f(x))dx=r^2,∫_[0,1](f(x))dx=1 )
OPの期待値は,
∫_[0,1](x*f(x))dx =∫_[0,1](2*x^2)dx
= 2/3.
(問題2)
Pの座標をP(1,0)としても一般性を失わない.
Qの座標をQ(cos(θ),sin(θ)) (0≦θ<2*π)とする.
このとき,PQ=2*sin(θ/2).
Prob(θ≦t)=t/(2*π)であるので,θの確率密度f(t)は,
f(t)=1/(2*π). ( ∫_[0,t](f(x))dx=t/(2*π),∫_[0,2*π](f(x))dx=1 )
PQの期待値は,
∫_[0,2π](2*sin(θ/2)*f(θ))dθ =∫_[0,2π](sin(θ/2)/π)dθ = 4/π.
「半径 1 の円内に任意に2点をおいたとき,その2点間の直線距離の期待値
はいったいどうなるのか?」
という問題も面白そうな問題です.
調べてみると,Yahoo知恵袋にありました.
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10110189730