平成27年8月2日
[流れ星]
第324回数学的な応募問題
<解答募集期間:8月2日~8月30日>
[円に外接する多角形]
日本の数学 何題解けますか「下」(森北出版)を読んでいて、次の問題を考えました。
半径rの円に外接する多角形をA1A2A3・・・Aiとし、図のように接点をB1,B2,B3,・・・,Biとする。
問1:i=3の三角形のとき、接線の長さをA1B1=a,A2B2=b,A3B3=cとして、rをa,b,cで表せ。
問2:i=4の四角形のとき、接線の長さをA1B1=a,A2B2=b,A3B3=c,A4B4=dとして、rをa,b,c、dで表せ。
問3:i=5の五角形のとき、接線の長さをA1B1=a,A2B2=b,A3B3=c,A4B4=d,A5B5=eとして、rを求める方程式を作れ。
参考文献:日本の数学 何題解けますか「下」(森北出版)ダン・ソコロフスキー、深川英俊共著
参考 問2、問3は江戸時代の和算書「算法助術」長谷川弘 閲/山本賀前 編(1841年)。一般的な解法は「幾何学大辞典(全8巻)に書いてあるそうです。
NO1「uchinyan」
08/02 16時14分 受信
「uchinyan」
08/03 13時56分 受信
「uchinyan」
08/05 11時56分 受信 更新 8/30
できるだけ一般的に考えてみましょう。
円の中心を O,半径を r,k = 1, 2, … i として,AkBk = ak,中心角/2
= ∠AkOBk = αk,とします。
すると,tanαk = ak/r,中心角の和 =
2α1 + 2α2 + … + 2αi = 2πn,α1 + α2 + … + αi = πn,
ただし n は正の整数,です。n を導入して中心 O の回りを複数回回って閉じるものも含めています。
この問題の多角形は通常の凸多角形でこうした変則的多角形は対象にしていないように見えますが,
後で示すようにこれも除外しない方が理論的にはスッキリするようです。
また,さすがに,0 < 中心角 = 2αk
< π,0 < αk < π/2,とするのが自然でしょう。
さて,この条件の下で,,tan(α1 + α2 + … + αi) = tan(πn) = 0,になります。
これより,左辺の tan(α1 + α2 + … + αi) を tan の加法定理を使って順次展開し
tanα1,tanα2,…,tanαi で表して a1/r,a2/r,…,ai/r を代入し整理すれば,
r の方程式,以下の例から明らかですが,r の i-1 次方程式,が得られます。
そこで,この方程式を解けば,解ければ (^^;,r が求められます。
以下,具体的にやってみましょう。
問1:
i = 3,
A1B1 = a,A2B2 = b,A3B3 = c,∠A1OB1 = α,∠A2OB2 = β,∠A3OB3 = γ,とします。
tanα = a/r,tanβ = b/r,tanγ = c/r,
tan(α+β) = (tanα + tanβ)/(1 - tanαtanβ) = (a/r + b/r)/(1 - (a/r)(b/r)) = (a + b)r/(r^2 - ab),
tan(α+β+γ)
= (tan(α+β) + tanγ)/(1 - tan(α+β)tanγ)
= ((a +
b)r/(r^2 - ab) + c/r)/(1 - ((a + b)r/(r^2 - ab))(c/r))
= ((a +
b)r^2 + c(r^2 - ab))/((r^2 - ab)r - (a + b)cr)
= ((a + b
+ c)r^2 - abc)/(r^3 - (ab + bc + ca)r)
tan(α+β+γ)
= 0 より,
(a + b +
c)r^2 - abc = 0,
r = √(abc/(a + b + c)),
になります。
(別解)
i = 3,つまり,三角形の場合は,面積経由でより容易に求められます。
A1A2 = a +
b,A2A3 = b + c,A3A1 = c + a,なので,s = (A1A2 + A2A3 + A3A1)/2
= a + b + c,より,
△A1A2A3 = △OA1A2 + △OA2A3
+ △OA3A1 = (A1A2 + A2A3 + A3A1)r/2 = (a + b + c)r,
一方で,ヘロンの公式より,
△A1A2A3 = √(s(s - (a + b))(s - (b + c))(s -
(c + a))) = √(abc(a + b + c)),
なので,
(a + b + c)r
= √(abc(a + b + c)),
r = √(abc/(a + b + c)),
になります。
問2:
i = 4,
A1B1 = a,A2B2 = b,A3B3 = c,A4B4 = d,
∠A1OB1 = α,∠A2OB2 = β,∠A3OB3 = γ,∠A4OB4 = δ,とします。
tanα = a/r,tanβ = b/r,tanγ = c/r,tanδ = d/r,
tan(α+β) = (a + b)r/(r^2 - ab),tan(γ+δ) = (c +
d)r/(r^2 - cd),
tan(α+β+γ+δ) = (tan(α+β) + tan(γ+δ))/(1 - tan(α+β)tan(γ+δ)) = 0,
tan(α+β) + tan(γ+δ) = 0,
(a +
b)r/(r^2 - ab) + (c + d)r/(r^2 - cd) = 0,
r((a + b +
c + d)r^2 - (abc + bcd + cda + dab)) = 0,
r = √((abc + bcd + cda + dab)/(a + b + c + d)),
になります。
問3:
i = 5,
A1B1 = a,A2B2 = b,A3B3 = c,A4B4 = d,A5B5 = e,
∠A1OB1 = α,∠A2OB2 = β,∠A3OB3 = γ,∠A4OB4 = δ,∠A5OB5 = ε,とします。
tanα = a/r,tanβ = b/r,tanγ = c/r,tanδ = d/r,tanε = e/r,
tan(α+β+γ)
= ((a + b + c)r^2 - abc)/(r^3 - (ab + bc + ca)r) tan(δ+ε) = (d + e)r/(r^2 - de),
tan(α+β+γ+δ+ε) = (tan(α+β+γ) + tan(δ+ε))/(1 - tan(α+β+γ)tan(δ+ε)) = 0,
tan(α+β+γ)
+ tan(δ+ε) = 0,
((a + b +
c)r^2 - abc)/(r^3 - (ab + bc + ca)r) + (d + e)r/(r^2 - de) = 0,
((a + b +
c)r^2 - abc)(r^2 - de) + (d + e)r(r^3 - (ab + bc + ca)r) = 0,
(a + b + c
+ d + e)r^4 - (abc + abd + abe + acd + ace + ade + bcd + bce + bde + cde)r^2 +
abcde = 0,
になります。
(ちょっとだけ考察)
これは,r^2 の2次方程式なので解くことができ,r > 0 の解は一般に二つあります。
しかし,これらが図形的にどういうものか,この問題で興味あるものか,はまた別の話です。
例えば,a = b = c = d = e = 1 の場合は,一辺の長さが 2 の等辺五角形です。
そして,普通の凸多角形ならば,α = β = γ = δ = ε = π/5 = 36°で,これは正五角形です。
一方で,r の方程式は,5r^4 - 10r^2 + 1 = 0,で,r = √(1 ± 2/√5),です。
r = √(1 + 2/√5) > 1 のときは,
tanα = 1/r = √(5 - 2√5) < 1,cosα = (√5 + 1)/4,で,α = 36°,正五角形,です。
r = √(1 - 2/√5) < 1 のときは,
tanα = 1/r = √(5 + 2√5) > 1,cosα = (√5 - 1)/4,で,α > 45°と奇妙な解です。
これは,(cos(α/2))^2 = (1 + cosα)/2 = (3 + √5)/8 = ((√5 + 1)/4)^2,cos(α/2)
= (√5 + 1)/4,
α/2 = 36°,α = 72°,となり,α = β = γ = δ = ε = 72°= 2π/5,です。
つまり,最初に注意した n = 2 の場合,中心 O を 2 回回って閉じる多角形,です。
こうしたことをもとに図形的な形状を検討すると,正五角形の対角線からなる五芒星,と分かります。
恥ずかしながら,最初私は全く念頭になかったのですが,これも立派に条件を満たしていますね。
i >= 6 でも,r の i-1 次方程式,恐らく実際には,r^2 の [(i-1)/2] 次方程式,になるので,
同様のことがいえると思われます。
ただし,i = 6,接線の長さがすべて 1,で考えれば分かりますが,中心 O を,
1 回回るのは正六角形,2 回回るのは正三角形,で,後者は i =
3 に含まれるので注意が必要です。
このように,無駄な周りを除くと,i >= 6 では,i が素数の場合がより重要になるものと思われます。
なお,凸多角形に限るのならば,方程式の解の中からそれを選び出すことになりますね。
(幾何学大辞典の考え方に基づいた別解)
その後,水の流れさんからメールにて,幾何学大辞典の解法のアウトラインを教えて頂きました。
私なりの解釈を交えてまとめておきます。確かにこの方法ならほとんど計算なしで方程式を導けます。
r,ak,αk を最初と同様に定義し,α1 + α2 + … + αi = πn,までは同じです。
ただし,説明の都合上,以下では,i の代わりに m と書きます。
そこで,tanαk = ak/r,k = 1,
2, …, m,α1 + α2 + … + αm = πn,です。
ここで,第1のポイントとして,tan ではなく cos と sin を使います。
cos(α1 + α2 + … + αm) = cos(πn) =
(-1)^n,sin(α1 + α2 + … + αm) = sin(πn) = 0
さらに,第2のポイントとして,これを複素数で表します。
cos(α1 + α2 + … + αm) + i * sin(α1
+ α2 + … + αm) = (-1)^n
左辺は複素数の積が回転を表すことから,cosαk + i * sinαk,k = 1, 2, …, m,の積で書けます。
(cosα1 + i * sinα1) * (cosα2 + i * sinα2) * … *
(cosαm + i * sinαm) = (-1)^n
cosα1cosα2…cosαm ≠ 0 で両辺を割って,
(1 + i * tanα1) * (1 + i * tanα2) * … * (1 + i * tanαm) = (-1)^n/(cosα1cosα2…cosαm)
(1 + i *
a1/r) * (1 + i * a2/r) * … * (1 + i * am/r) = (-1)^n/(cosα1cosα2…cosαm)
そこで,左辺を実際に展開すれば,虚数部分 = 0,から,1/r の,したがって
r の,方程式が得られます。
そして,虚数部分は,1/r の奇数個の積の項の和で,しかも対称性から a1, a2, …, am に関して対称です。
つまり,1/r,したがって r,の奇数乗の係数は
a1, a2, …, am の奇数個の積の基本対称式です。
このことより,問1:~問3:は,次のようになります。
m = 3 の場合
i^3 *
abc/r^3 + i * (a + b + c)/r = 0
- abc/r^3
+ (a + b + c)/r = 0
(a + b +
c)r^2 - abc = 0
m = 4 の場合
i^3 * (abc
+ bcd + cda + dab)/r^3 + i * (a + b + c + d)/r = 0
- (abc +
bcd + cda + dab)/r^3 + (a + b + c + d)/r = 0
(a + b + c
+ d)r^2 - (abc + bcd + cda + dab) = 0
m = 5 の場合
i^5 *
abcde/r^5 + i^3 * (abc + abd + abe + acd + ace + ade + bcd + bce + bde +
cde)/r^3 + i * (a + b + c + d + e)/r = 0,
abcde/r^5
- (abc + abd + abe + acd + ace + ade + bcd + bce + bde + cde)/r^3 + (a + b + c
+ d + e)/r = 0,
(a + b + c
+ d + e)r^4 - (abc + abd + abe + acd + ace + ade + bcd + bce + bde + cde)r^2 +
abcde = 0,
このように,容易に r の方程式を求めることができます。
以下同様にして,
m が奇数の場合
Σ[k=0,(m-1)/2]{(-1)^k * (a1 ~ am のうち 2k+1 個の積の対称式) * r^(m-1-2k)} = 0
m が偶数の場合
Σ[k=0,(m-2)/2]{(-1)^k * (a1 ~ am のうち 2k+1 個の積の対称式) * r^(m-2-2k)} = 0
と一般的な場合の方程式も大した計算なしに容易に導けます。
予想どおり,r^2 の [(i-1)/2] 次方程式,ですね。
私の tan の加法定理による解法では,予想はつくものの,m が大きくなると計算が大変です。
複素数をうまく使うアイディアなど,さすがだな,と思います。
なお,r の方程式の解に関しては,(ちょっとだけ考察)で示したとおりだと思います。
(感想1)
最初に書いた方法では,tan の加法定理による展開で,原理的には,任意の i で r の方程式を導けます。
しかし,その方程式は r の i-1 次方程式になり,一般には,導くことも解くことも難しそうです。
さらに,i >= 5 では,一般に複数の解の可能性もあり,それらが図形的にどうなっているのかの確認も必要で,
なかなか複雑なことになりそうです。他によりよい解法があるのかも知れません。
例えば,普通の凸多角形に限れば,問1:の(別解)のように,接線の長さからその面積
S を計算できれば,
r = S/(a1
+ a2 + … + ai) と簡単に求まります。正多角形など特別な場合にはこの方がいいですね。
問2:と問3:は和算書にあるとのこと。
ただ,和算では具体的な数値が与えられていることが多いので,どこまで一般的なのでしょうか。
一方,幾何学大辞典は手元にないので確認できないのですが,一般的に解かれているのでしょうか。
だとしたら,ここで示した解法よりもよい解法があるということですね。
うーむ,どうやるのかな。
(感想2)
その後,水の流れさんから幾何学大辞典に載っている解法を教えてもらいました。
そこで,私の解釈も含めてまとめてみました。
容易に一般の場合の r の方程式が求まってしまいます。さすが幾何学大辞典に載るだけの解法ですね。
<水の流れ:助かりました。ご苦労に感謝します。ありがとうございます>
NO2「浜田明巳」
08/06 10時10分 受信 更新 8/30
問1
△A1A2A3=△IA1A2+△IA2A3+△IA3A1
=1/2・A1A2・IB1+1/2・A2A3・IB2+1/2・A3A1・IB3
=1/2・(a+b)・r+1/2・(b+c)・r+1/2・(c+a)・r
=(a+b+c)r
また,s=(A1A2+A2A3+A3A1)/2=a+b+cとすると,ヘロンの公式より,
△A1A2A3={s(s-A1A2)(s-A2A3)(s-A3A1)}1/2
=[(a+b+c){(a+b+c)-(a+b)}{(a+b+c)-(b+c)}{(a+b+c)-(c+a)}]1/2
={(a+b+c)abc}1/2
=(a+b+c)r
∴r={abc/(a+b+c)}1/2・・・(答)
問2
四角形A1A2A3A4=△IA1A2+△IA2A3+△IA3A4+△IA4A1
=1/2・A1A2・IB1+1/2・A2A3・IB2+1/2・A3A4・IB3+1/2・A4A1・IB4
=1/2・(a+b)・r+1/2・(b+c)・r+1/2・(c+d)・r+1/2・(d+a)・r
=(a+b+c+d)r
また,s=(A1A2+A2A3+A3A4+A4A1)/2=a+b+c+dとする.
四角形A1A2A3A4は円Iに外接しているので,ブラーマグプタの公式より,
四角形A1A2A3A4={(s-A1A2)(s-A2A3)(s-A3A4)(s-A4A1)}1/2
=[{(a+b+c+d)-(a+b)}{(a+b+c+d)-(b+c)}{(a+b+c+d)-(c+d)}{(a+b+c+d)-(d+a)}]1/2
={(b+c)(c+d)(d+a)}1/2
=(a+b+c+d)r
∴r={(a+b)(b+c)(c+d)(d+a)}1/2/(a+b+c+d)・・・(答)
問3
∠A1IB1=θ1とする.
△IA1B1において,tanθ1=a/r
∴θ1=arctan(a/r)
∠B5IB1=2θ1であり,同様に,
∠B1IB2=2θ2,∠B2IB3=2θ3,∠B3IB4=2θ4,∠B4IB5=2θ5
とすると,
2(θ1+θ2+θ3+θ4+θ5)=2π
∴arctan(a/r)+arctan(b/r)+arctan(c/r)+arctan(d/r)+arctan(e/r)=π・・・(答)
他の多角形の場合も同様に成立する.
実際,1辺の長さが1の正三角形において,a=b=c=1/2であるので,
3arctan{(1/2)/r}=π
∴artan{1/(2r)}=π/3
∴1/(2r)=tan(π/3)=√3
∴r=1/(2√3)
問1の結果から,
r=[{(1/2)(1/2)(1/2)}/(1/2+1/2+1/2)]1/2=1/(2√3)
1辺の長さが1の正方形において,a=b=c=d=1/2であるので,
4arctan{(1/2)/r}=π
∴artan{1/(2r)}=π/4
∴1/(2r)=tan(π/4)=1
∴r=1/2
問2の結果から,
r={(1/2+1/2)(1/2+1/2)(1/2+1/2)(1/2+1/2)}1/2/(1/2+1/2+1/2+1/2)=1/2
NO3「二度漬け白菜」 08/07
21時27分 受信
「二度漬け白菜」 08/08 18時01分 受信
更新 8/30
第324回数学的な応募問題 の解答
(答)
問1:r=√(a*b*c/(a+b+c))
問2:r=√((a*b*c+a*b*d+a*c*d+b*c*d)/(a+b+c+d))
問3:r の満たす方程式は,
a*b*c*d*e-(a*b*c+a*b*d+a*b*e+a*c*d+a*c*e+a*d*e+b*c*d+b*c*e+b*d*e+c*d*e)*r^2+(a+b+c+d+e)*r^4=0
3以上の整数 n に対して,
中心O,半径 r の円に外接する n 角形 A[1]A[2]…A[n] を考える.
辺 A[i]A[i+1] と円との接点を B[i] とし,線分A[i]B[i]の長さをa[i]とする.
(i=1,2, … ,n ただし,A[n+1] は A[1]と考える.)
このとき,
tan(∠OA[i]B[i]) = r/a[i]
となっている.
ここでnを任意の正整数として考える.
xの多項式 f(x) のx^nの係数を [x^n]f(x) と表すことにする.
n個の実数 α[1],α[2], … ,α[n] および 任意の整数 k に対して,
s(n,k) を次のように定義する.
s(n,k)=[x^k]Π[i=1~n](1+x*tan(α[i])).
(したがって,k<0 および k>n のときには,s(n,k)=0 となる.)
例えばn=3のとき,x の多項式
Π[i=1~3](1+x*tan(α[i]))=(1+x*tan(α[1]))*(1+x*tan(α[2]))*(1+x*tan(α[3]))
を展開したときのx^2の係数は
tan(α[1])*tan(α[2])+tan(α[1])*tan(α[3])+tan(α[2])*tan(α[3])
であるので,
s(3,2)=tan(α[1])*tan(α[2])+tan(α[1])*tan(α[3])+tan(α[2])*tan(α[3]).
(補題)
任意の正整数nに対して,次の2つの等式が成り立つ.
sin(Σ[i=1~n]α[i])=(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1)),
cos(Σ[i=1~n]α[i])=(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)).
(証明)
証明は n に関する帰納法による.
まず次のことに注意する.
Π[k=1~n+1](1+x*tan(α[k]))
=Π[k=1~n](1+x*tan(α[k])) + (Π[k=1~n](1+x*tan(α[k])))*(x*tan(α[n+1]))
であるので,
s(n+1,2*i)=s(n,2*i)+s(n,2*i-1)*tan(α[n+1]) および
s(n+1,2*i+1)=s(n,2*i+1)+s(n,2*i)*tan(α[n+1])
が成り立つ.
これらの等式の両辺に (-1)^i を掛けて,さらに両辺の和 Σ[i=0~∞] を考えれば,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n+1,2*i)
=Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)+(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i-1))*tan(α[n+1]) ---(☆)
および
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n+1,2*i+1)
=Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1)+(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i))*tan(α[n+1]) ---(★)
が成り立つ.
n=1のときは(補題)の2つの等式は正しい.
n以下の任意の正整数に対して(補題)の2つの等式が成り立っていると仮定する.このとき,
sin(Σ[i=1~n+1]α[i])
=sin(Σ[i=1~n]α[i]+α[n+1])
=sin(Σ[i=1~n]α[i])*cos(α[n+1]) + cos(Σ[i=1~n]α[i])*sin(α[n+1])
=(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1))*cos(α[n+1])
+(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i))*tan(α[n+1])*cos(α[n+1])
=(Π[i=1~n+1]cos(α[i]))*( Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1)+Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)*tan(α[n+1]) )
=(Π[i=1~n+1]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n+1,2*i+1))
(∵(★))
さらに,
cos(Σ[i=1~n+1]α[i])
=cos(Σ[i=1~n]α[i]+α[n+1])
=cos(Σ[i=1~n]α[i])*cos(α[n+1]) - sin(Σ[i=1~n]α[i])*sin(α[n+1])
=(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i))*cos(α[n+1])
-(Π[i=1~n]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1))*tan(α[n+1])*cos(α[n+1])
=(Π[i=1~n+1]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)-Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1)*tan(α[n+1]))
=(Π[i=1~n+1]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)+Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i-1)*tan(α[n+1]))
=(Π[i=1~n+1]cos(α[i]))*(Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n+1,2*i))
(∵(☆))
よって,n+1のときにも(補題)の2つの等式は正しい.(証明終)
いま,
α[i]=∠OA[i]B[i] (i=1,2, … ,n) とする.
s(n,k)=[x^k]Π[i=1~n](1+x*tan(α[i]))
=[x^k]Π[i=1~n](1+x*r/a[i])
である.
このとき,Σ[i=1~n]α[i]=π*(n-2)/2.
よって,
nが奇数のときは,cos(Σ[i=1~n]α[i])=0 であり,
(補題)より, Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i)=0 となることがわかる.
また,nが偶数のときは,sin(Σ[i=1~n]α[i])=0 であり,
(補題)より,Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(n,2*i+1)=0 となることがわかる.
n=3のときは,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(3,2*i)=0
⇔ s(3,0)-s(3,2)=0
⇔
1-(r/a[1])*(r/a[2])-(r/a[2])*(r/a[3])-(r/a[3])*(r/a[1])=0
⇔ a[1]*a[2]*a[3]-(r^2)*(a[3]+a[1]+a[2])=0
⇔ r=(a[1]*a[2]*a[3]/(a[1]+a[2]+a[3]))^(1/2).
n=4のときは,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(4,2*i+1)=0
⇔ s(4,1)-s(4,3)=0
⇔
r*(1/a[1]+1/a[2]+1/a[3]+1/a[4])-r^3*(1/(a[1]*a[2]*a[3])+1/(a[1]*a[2]*a[4])+
1/(a[1]*a[3]*a[4])+1/(a[2]*a[3]*a[4]))=0
⇔ r=((a[1]*a[2]*a[3]+a[1]*a[2]*a[4]+a[1]*a[3]*a[4]+a[2]*a[3]*a[4])/(a[1]+a[2]+a[3]+a[4]))^(1/2).
n=5のときは,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(5,2*i)=0
⇔ s(5,0)-s(5,2)+s(5,4)=0
⇔
1-(r^2)*(1/(a[1]*a[2])+1/(a[1]*a[3])+1/(a[1]*a[4])+1/(a[1]*a[5])+1/(a[2]*a[3])
+1/(a[2]*a[4])+1/(a[2]*a[5])+1/(a[3]*a[4])+1/(a[3]*a[5])+1/(a[4]*a[5]))
+(r^4)*(1/(a[1]*a[2]*a[3]*a[4])+1/(a[1]*a[2]*a[3]*a[5])+1/(a[1]*a[2]*a[4]*a[5])
+1/(a[1]*a[3]*a[4]*a[5])+1/(a[2]*a[3]*a[4]*a[5]))=0
⇒ a[1]*a[2]*a[3]*a[4]*a[5]
-(r^2)*(a[1]*a[2]*a[3]+a[1]*a[2]*a[4]+a[1]*a[2]*a[5]+a[1]*a[3]*a[4]+a[1]*a[3]*a[5]
+a[1]*a[4]*a[5]+a[2]*a[3]*a[4]+a[2]*a[3]*a[5]+a[2]*a[4]*a[5]+a[3]*a[4]*a[5])
+(r^4)*(a[1]+a[2]+a[3]+a[4]+a[5])=0
以下 a[i] を単に ai とかく.
n=6のときは,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(6,2*i+1)=0
⇔ s(6,1)-s(6,3)+s(6,5)=0
⇒(a1*a2*a3*a4*a5+a1*a2*a3*a4*a6+a1*a2*a3*a5*a6+a1*a2*a4*a5*a6+a1*a3*a4*a5*a6
+a2*a3*a4*a5*a6)*r-(a1*a2*a3+a1*a2*a4+a1*a2*a5+a1*a2*a6+a1*a3*a4+a1*a3*a5
+a1*a3*a6+a1*a4*a5+a1*a4*a6+a1*a5*a6+a2*a3*a4+a2*a3*a5+a2*a3*a6+a2*a4*a5+a2*a4*a6
+a2*a5*a6+a3*a4*a5+a3*a4*a6+a3*a5*a6+a4*a5*a6)*r^3+(a1+a2+a3+a4+a5+a6)*r^5=0
n=7のときは,
Σ[i=0~∞]((-1)^i)*s(7,2*i)=0
⇔ s(7,0)-s(7,2)+s(7,4)-s(7,6)=0
⇒a1*a2*a3*a4*a5*a6*a7
-(a1*a2*a3*a4*a5+a1*a2*a3*a4*a6+a1*a2*a3*a4*a7+a1*a2*a3*a5*a6+a1*a2*a3*a5*a7
+a1*a2*a3*a6*a7+a1*a2*a4*a5*a6+a1*a2*a4*a5*a7+a1*a2*a4*a6*a7+a1*a2*a5*a6*a7
+a1*a3*a4*a5*a6+a1*a3*a4*a5*a7+a1*a3*a4*a6*a7+a1*a3*a5*a6*a7+a1*a4*a5*a6*a7
+a2*a3*a4*a5*a6+a2*a3*a4*a5*a7+a2*a3*a4*a6*a7+a2*a3*a5*a6*a7+a2*a4*a5*a6*a7
+a3*a4*a5*a6*a7)*r^2
+(a1*a2*a3+a1*a2*a4+a1*a2*a5+a1*a2*a6+a1*a2*a7+a1*a3*a4+a1*a3*a5+a1*a3*a6
+a1*a3*a7+a1*a4*a5+a1*a4*a6+a1*a4*a7+a1*a5*a6+a1*a5*a7+a1*a6*a7+a2*a3*a4
+a2*a3*a5+a2*a3*a6+a2*a3*a7+a2*a4*a5+a2*a4*a6+a2*a4*a7+a2*a5*a6+a2*a5*a7
+a2*a6*a7+a3*a4*a5+a3*a4*a6+a3*a4*a7+a3*a5*a6+a3*a5*a7+a3*a6*a7+a4*a5*a6
+a4*a5*a7+a4*a6*a7+a5*a6*a7)*r^4
-(a1+a2+a3+a4+a5+a6+a7)*r^6=0
というふうになる。
和算家というのは結構面白い問題を考えていたのですね.
彼らはいった いどのようにしてこの問題を解いていたのでしょうか?
かなり興味がわいてきました.
NO4「早起きのおじさん」 08/09 16時53分 受信 更新 8/30
324解答 早起きのおじさん
問題1
三角形の3辺の長さが分かっているとき、その面積Sはヘロンの公式から、 です。(図1)
図2でS=△A1A2A3=△OA1A2+△OA2A3+△OA3A1と考えると、
一方、ヘロンの公式で考えると、
二つの結果から、
この式は、a、b、cについて対称です。
問題2
次に、図2をもとにし、図3のように新たに、接線A3A4を考えます。
今までのA3はA3’、B3はB4、長さcはc’とします。
S=□A1A2A3A4=△OA1A2+△OA2A3+△OA3A4+△OA4A1と考えると、
一方、S=△A1A2A3’-△A3’A3A4と考えると、
なので、
・・・(1)
となります。
さて、□OB2A3’B4を図4に抜き出します。
□OB2A3’B4=2×△OB2A3’=c’r・・・(2)
一方、
□OB2A3’B4=□OB2A3B3+□OB3A4B4+△A3’A3A4
とすると、
(2)、(3)を連立させると、
ここで、図4を見て、c’=c+d はないので、
これを(1)に代入して、
両辺2乗して、
下の式は、a、b、c、dについて対称でないので
問題3
考え方は、今までと同じです。
五角形A1A2A3A4A5の面積Sは、半径rを用いると、
一方、□A1A2A3A4’の面積Uから△A4’A4A5の面積T引いても求まるので、
だから方程式の一つは、
次に、□OB3A4’B5の面積を考えてもう一つの方程式は、
(5)からd’について解き、(4)に代入してrについて解くことになります。
計算はしませんが、次の答えが予想されます。
(a、b、c、d、eの対称式)
<水の流れ:問題3の結果には誤りがありましたので、下に訂正があります。>
NO5「早起きのおじさん」 08/11 21時21分 受信 更新 8/30
324_2解答 早起きのおじさん
準備
●正接tanθについての、加法定理を確認しておきます。
角が3つ、4つのもみておきます。
●n角形の内角の和は、n(π-2)です。
問題1
∠A1=A、∠A2=B、∠A3=Cと表すことにします。
図より、
また、A+B+C=πなので、
よって、
問題2
考え方は、問題1と同様です。
また、A+B+C+D=2πなので、
よって、
問題3
また、A+B+C+D+E=3πなので、
よって、
これが、rを求める方程式です。
公式をあてはめると、
となります。
根号の中の は、0にならないので、前の解答で書いた予想の
は誤りだということになります。