平成28年7月10日
[流れ星]
第335回数学的な応募解答
<解答募集期間:6月12日〜7月10日>
[ピタゴラス数]
何年か前に、大学入試問題を解いていて記憶に残る三重大学の問題です。
NO1「uchinyan」
06/12 15時56分 受信 更新 7/10
x^2 + y^2 = z^2,s^2 + t^2 = u^2 + 1,
実数 a,b
に対し,a* = a + b,b* = 2a + b + 1,
とします。
(1)
まず,(x,y,z) = (a,a+1,b) が x^2 + y^2 = z^2 の解ならば,
a^2 + (a+1)^2 = b^2,2a^2 + 2a + 1 - b^2 = 0,
そこで,(s,t,u) = (a*,(a*)+1,b*) に対して,
u^2 + 1 - (s^2 +
t^2) = (b*)^2 + 1 - ((a*)^2 + ((a*)+1)^2)
= (2a + b + 1)^2 +
1 - ((a + b)^2 + (a + b + 1)^2)
= (4a^2 + 4ab + b^2
+ 4a + 2b + 1) + 1 - ((a^2 + 2ab + b^2) + (a^2 + 2ab + b^2 + 2a + 2b + 1)
= 2a^2 + 2a + 1 -
b^2
= 0,
s^2 + t^2 = u^2 + 1,
つまり,(s,t,u) = (a*,(a*)+1,b*) は s^2 + t^2 = u^2 + 1 の解になります。
次に,(s,t,u) = (a,a+1,b) が s^2 + t^2 = u^2 + 1 の解ならば,
a^2 + (a+1)^2 = b^2
+ 1,2a^2
+ 2a - b^2 = 0,
そこで,(x,y,z) = (a*,(a*)+1,b*) に対して,
z^2 - (x^2 + y^2) =
(b*)^2 - ((a*)^2 + ((a*)+1)^2)
= (2a + b + 1)^2-
((a + b)^2 + (a + b + 1)^2)
= (4a^2 + 4ab + b^2
+ 4a + 2b + 1) - ((a^2 + 2ab + b^2) + (a^2 + 2ab + b^2 + 2a + 2b + 1)
= 2a^2 + 2a - b^2
= 0,
x^2 + y^2 = z^2,
つまり,(x,y,z) = (a*,(a*)+1,b*) は x^2 + y^2 = z^2 の解になります。
以上により証明されました。
(2)
(1)より,繰り返し用いて,
(x,y,z) = (a,a+1,b)
-> (s,t,u) = (a+b,a+b+1,2a+b+1) -> (x,y,z) = (3a+2b+1,3a+2b+2,4a+3b+2),
となり,A = 3a+2b+1,B = 4a+3b+2,とおくと,
(x,y,z) = (a,a+1,b)
-> (x,y,z) = (3a+2b+1,3a+2b+2,4a+3b+2) = (A,A+1,B),
となって,y = x+1 の1つの解から新たな y = x+1 の解が得られることが分かります。
よく知られるように,(x,y,z) = (3,4,5) は x^2 + y^2 = z^2 の解なので,これを基にすると,
(x,y,z) = (3,4,5)
-> (20,21,29) -> (119,120,169) -> (696,697,985) -> …,
3組ならば,例えば,(3,4,5),(20,21,29),(119,120,169),になります。
(考察1)
x^2 + y^2 = z^2,s^2 + t^2 = u^2 + k^2,
実数 a,b
に対し,a* = a + b,b* = 2a + b + k,
とすれば,同様にして,
(x,y,z) = (a,a+k,b)
が
x^2 + y^2 = z^2 の解ならば,
2a^2 + 2ka + k^2 -
b^2 = 0,
(s,t,u) =
(a*,(a*)+k,b*) に対して,
u^2 + k^2 - (s^2 +
t^2)
= (2a + b + k)^2 +
k^2 - ((a + b)^2 + (a + b + k)^2)
= 2a^2 + 2ka + k^2
- b^2 = 0,
つまり,(s,t,u) = (a*,(a*)+k,b*) は s^2 + t^2 = u^2 + k^2 の解になります。
(s,t,u) = (a,a+k,b)
が
s^2 + t^2 = u^2 + k^2 の解ならば,
2a^2 + 2ka - b^2 =
0,
(x,y,z) = (a*,(a*)+k,b*)
に対して,
z^2 - (x^2 + y^2)
= (2a + b + k)^2-
((a + b)^2 + (a + b + k)^2)
= 2a^2 + 2ka - b^2
= 0,
つまり,(x,y,z) = (a*,(a*)+k,b*) は x^2 + y^2 = z^2 の解になります。
そこで,
(x,y,z) = (a,a+k,b)
-> (s,t,u) = (a+b,a+b+k,2a+b+k) -> (x,y,z) = (3a+2b+k,3a+2b+2k,4a+3b+2k),
となって,y = x+k の1つの解から新たな y = x+k の解が得られることが分かります。
例えば,(5,12,13) ->
(48,55,73) -> (297,304,425) -> (1748,1755,2477) -> …,です。
ただ,最初の (a,a+k,b)は別途求める必要がありますね。
(考察2)
実は,以前に似たようなことを考えたことがあり,もう少し拡張できます。
ただ,残念ながら,私のオリジナルではなく,次の問題を解いた結果です。
http://blogs.yahoo.co.jp/oka_yadokary/folder/148198.html?m=lc&p=195
の,[答34]
長方形と円 #2,です。こんな感じ。
a^2 + b^2 = c^2 を満たす正の整数 a,b,c に対し,x = z - (c +
a),y = z - (c + b),とおくと,
x^2 + y^2 = z^2,(z - (c + a)^2 + (z - (c +
b))^2 = z^2,
z^2 - 2(a + b +
2c)z + (a^2 + b^2 + 2(a + b)c + 2c^2) = 0,
a^2 + b^2 = c^2 を使って,
z^2 - 2(a + b +
2c)z + c(2a + 2b + 3c) = 0,
(z - c)(z - (2a +
2b + 3c)) = 0,
x,y,z も正の整数に限るとすれば,z > c で,
z = 2a + 2b + 3c,x = a + 2b + 2c,y = 2a + b + 2c,
つまり,
(a,b,c) ->
(a+2b+2c,2a+b+2c,2a+2b+3c),
という系列が導けます。これは,
y - x = (2a + b +
3c) - (a + 2b + 3c) = a - b,
なので,式において対称な x,y を入れ替えれば(考察1)と同じです。
面白いのは,正の整数である範囲で,
x = z - (c + a),y = z - (c - b),とすると,(a,b,c) -> (a-2b+2c,2a-b+2c,2a-2b+3c),
x = z - (c - a),y = z - (c + b),とすると,(a,b,c) -> (-a+2b+2c,-2a+b+2c,-2a+2b+3c),
などの系列も導けることです。例えば,
1番目から,(3,4,5) -> (5,12,13),2番目から,(3,4,5) -> (15,8,17),
なども導けます。
これらの系列を組み合わせることで,すべてを尽くせるかは定かではありませんが,多分無理でしょう,
多くのピタゴラス数を導けます。
(感想)
今回は,問題としては容易でしたが,なかなか興味深い内容でした。
(考察1),(考察2)で示したように,もう少し拡張できます。
ピタゴラス数は一般に求めることができるのでその意味ではあまり意味はないとも言えますが,
なかなか面白いですね。
NO2「浜田明巳」 06/14 12時04分 受信 更新 7/10
(1)x2+y2=z2・・・(1)
s2+t2=u2+1・・・(2)
a*=a+b・・・(3)
b*=2a+b+1・・・(4)
(x,y,z)=(a,a+1,b)が(1)の解のとき,
a2+(a+1)2=b2・・・(5)
このとき,
{(a*)2+(a*+1)2}−{(b*)2+1}
=(a+b)2+(a+b+1)2−(2a+b+1)2−1
=a2+2ab+b2+a2+b2+1+2ab+2b+2a−4a2−b2−1−4ab−2b−4a−1
=b2−2a2−2a−1
=b2−{a2+(a+1)2}=0(∵(5))
∴(a*)2+(a*+1)2=(b*)2+1
故に(s,t,u)=(a*,a*+1,b*)は(2)の解である.
(s,t,u)=(a,a+1,b)が(2)の解のとき,
a2+(a+1)2=b2+1・・・(6)
このとき,
{(a*)2+(a*+1)2}−(b*)2
=(a+b)2+(a+b+1)2−(2a+b+1)2
=a2+2ab+b2+a2+b2+1+2ab+2b+2a−4a2−b2−1−4ab−2b−4a
=b2−2a2−2a
=(b2+1)−{a2+(a+1)2}=0(∵(6))
∴(a*)2+(a*+1)2=(b*)2
故に 「(x,y,z)=(a*,a*+1,b*)は@の解」となるでしょう。
(2)(1)において,x,y,zを正整数とすると,
{x,y}={k(a2−b2),k・2ab},z=k(a2+b2)
a,b,kは正整数,a>b,a,bは互いに素,a,bが共に奇数となることはない
とすることができる.(※参照)
y=x+1であるから,k=1となり,
{x,y}={a2−b2,2ab},z=a2+b2
∴(a2−b2)−2ab=±1
∴a2−2ab−(b2±1)=0・・・(7)
i). b=1のとき,a2−2a−2=0,a2−2a=0
条件より,a=2
y=x+1より,
(x,y,z)=(3,4,5)
ii). b=2のとき,a2−4a−5=0,a2−4a−3=0
条件より,a=5
y=x+1より,
(x,y,z)=(20,21,29)
iii). b=3のとき,a2−6a−10=0,a2−6a−8=0
条件を満たすaは存在しない.
iv). b=4のとき,a2−8a−17=0,a2−8a−15=0
条件を満たすaは存在しない.
v). b=5のとき,a2−10a−26=0,a2−10a−24=0
条件より,a=12
y=x+1より,
(x,y,z)=(119,120,169)
まとめると,
(x,y,z)=(3,4,5),(20,21,25),(119,120,169)
(※)(既にどこかで証明したものですが)
x2+y2=z2(x,y,zは正整数)
x,y,zの最大公約数を1とする.
z2≡0,1(mod 4)なので,x2+y2≡0,1(mod 4)
故にx,yは共に偶数であるか,または,x,yは一方が偶数で,他方が奇数である.
x,yが共に偶数であると,zも偶数となり,x,y,zの最大公約数が1とならない.
故にx,yは一方が偶数で,他方が奇数である.
xを偶数,yを奇数とする.またzは奇数となる.
x2=z2−y2=(z+y)(z−y)であり,z+y,z−yは偶数なので,
z+y=2m,z−y=2n(m,nは正整数,m>n)
とすると,
z=m+n,y=m−n
z>y>0より,m>0,n>0となる.
このとき,
x2=(z+y)(z−y)=4mn
故にmn=p2(pは正整数)とする.
m,nの最大公約数をg(g>1)として,
m=gm',n=gn'(m',n'は正整数)
とすると,
z=g(m'+n'),y=g(m'−n')
∴x2=g2(m'2−n'2)
故にxはgの倍数となり,gはx,y,zの公約数.
g>1から,これはx,y,zの最大公約数が1であることに反する.
故にm,nの最大公約数は1である.
mn=p2であるから,m=a2,n=b2(a,bは正整数,a,bは互いに素,a>b)とすると,
z=a2+b2,y=a2−b2,x=(4mn)1/2=2ab
a,bが共に奇数のとき,x,y,zがすべて偶数となるので,矛盾する.
故に
x=2ab,y=a2−b2,z=a2+b2
a,bは正整数,a>b,a,bは互いに素,a,bが共に奇数となることはない
となる.
x,yは対称的なので,
{x,y}={a2−b2,2ab}
とする.
x,y,zの最大公約数が1より大の場合も考えると,
{x,y}={k(a2−b2),k・2ab},z=k(a2+b2)
a,b,kは正整数,a>b,a,bは互いに素,a,bが共に奇数となることはない
「浜田明巳」 06/15 17時32分 受信 更新 7/10
NO3「スモークマン」 06/14
20時14分 受信 更新 7/10
(1)
x^2+y^2=z^2
a^2+(a+1)^2=b^2
s^2+t^2=u^2+1
(a+b)^2+(a+b+1)^2=(2a+b+1)^2+1
(a+b)^2+(a+b+1)^2=(a+(a+b+1))^2+1
=a^2+(a+b+1)^2+2a(a+b+1)+1
a^2+2a(a+b+1)-(a+b)^2+1
=2a^2+2a+1-b^2
=a^2+(a+1)^2-b^2
=0
a=a*+b*, b*=2a+b*+1 と考えれば、
(x,y,z)=(a*,a*+1,b*) のとき、(s,t,u)=(a,a+1,b)
になるわけだから…
(2)
(1)のことを使えば…
((8,9,12))→(20,21)・・・20^2+21^2=29^2
→((49,50,70))→(119,120)・・・119^2+120^2=169^2
と、次々に求められるんですねぇ☆
最初の2番目の式がどこから出てきたのか見当がつきませんけど…^^;
NO4「早起きのおじさん」 06/16 09時92分 受信 更新 7/10
この問題の(1)の逆に以降の後半は、「・・・Aの解とすると・・・@の解である・・・」として解きます。
(1)
が、@の解とすると次の式が成立します。
がAの解か調べます。
s, tをAに代入し、 に注意すると、
より、Aの解と確認できました。
次に逆のことを調べます。
がAの解とすると次の式が成立します。
より、
が@解か調べます。
x, yを@に代入し、 に注意すると、
より、@の解と確認できました。
(2)
(1)の後半部分を利用します。
を満たす整数を探します。
● をみて、aが2の奇数乗×平方数、a+1が平方数の場合を調べます。
この表から、 を見つけることができます。
● をみて、a+1が2の奇数乗×平方数、aが平方数の場合を調べます。
この表から、 を見つけることができます。
「早起きのおじさん」 07/03 17時48分 受信 更新 7/10
335+α 早起きのおじさん,
(2)
(1)の後半部分を利用します。
を満たす整数を探します。
として、aの2次方程式としてみます。
正の解を求めると、
これより、平方根の中が平方数になるものを探します。
(この表は、エクセルに計算させました)
この表をみると、上の行の の値が として、下の方の行に表れています。
試しに、b=408のところの、 を として、bを計算すると、
よって、 とすると、
です。
新たにピタゴラス数が見つかりました。
●さて、上の行の の値をAとして、一般的に確認します。
対の値をBとします。
(根号の中は、平方数です)
よって、 となりました。
これにより、いくらでも新たにピタゴラス数を見つけることができます。
(ただし、これではすべてを尽くしていません)
NO5「二度漬け白菜」 07/02
16時15分 受信 更新 7/10
(1)
a^* = a+b,b^* = 2a+b+1 より,
a=(b^*)-(a^*)-1,b=2(a^*)-(b^*)+1 --- (★)
(x,y,z)=(a,a+1,b) が @ の解
⇒ a^2+(a+1)^2=b^2
⇒ a^2+(a+1)^2-b^2=0 ---(イ)
⇒
((b^*)-(a^*)-1)^2+((b^*)-(a^*))^2-(2(a^*)-(b^*)+1)^2=0 (∵★)
⇒ 2((b^*)-(a^*))^2-2((b^*)-(a^*))+1-(2(a^*)-(b^*)+1)^2=0
⇒ 2(b^*)^2+2(a^*)^2-4(a^*)(b^*)-2(b^*)+2(a^*)+1
-(4(a^*)^2+(b^*)^2+1-4(a^*)(b^*)+4(a^*)-2(b^*))=0
⇒ (b^*)^2-2(a^*)^2-2(a^*)=0 ---(ロ)
⇒ 2(a^*)^2+2(a^*)+1=(b^*)^2+1
⇒ (a^*)^2+((a^*)+1)^2=(b^*)^2+1
⇒ (s,t,u)=(a^*,(a^*)+1,b^*) が A の解
さらに,
(s,t,u)=(a,a+1,b) が A の解
⇒ a^2+(a+1)^2=b^2+1
⇒ a^2+(a+1)^2-b^2=1
⇒ (b^*)^2-2(a^*)^2-2(a^*)=1
(∵先の(イ)〜(ロ)より,a^2+(a+1)^2-b^2=(b^*)^2-2(a^*)^2-2(a^*))
⇒ (a^*)^2+((a^*)+1)^2=(b^*)^2
⇒ (x,y,z)=(a^*,(a^*)+1,b^*) が @ の解
(2)
3×3行列 Q を
Q=M{(1,0,1),(0,1,1),(1,1,1)} とする.
(Qは,第一行が(1,0,1),第二行が(0,1,1),第三行が(1,1,1)の行列
という意味です.)
ベクトル(a,a+1,b)をQで変換すると,(a+b,a+b+1,2a+b+1)となる.
つまり,Q(a,a+1,b)^T=(a^*,(a^*)+1,b^*)^T.
(ここで,(a,a+1,b)^T は (a,a+1,b)の転置行列の意味です)
a^2+(a+1)^2=b^2を満たすような a,b に対して,
(Q^2)(a,a+1,b)^T=(x,x+1,y)^T とおけるが,このとき,
先の問(1)から,x^2+(x+1)^2=y^2 となる.
a^2+(a+1)^2=b^2を満たすようなa,bとして,
a=0,b=1をとる.
このときベクトル(a,a+1,b)=(0,1,1)に対して,
(Q^2)(0,1,1)^T=(3,4,5)^T,
(Q^2)(3,4,5)^T=(20,21,29)^T,
(Q^2)(20,21,29)^T=(119,120,169)^T.
方程式@の自然数解のうち,y=x+1 となるものを3組挙げると,
(x,y,z)=(3,4,5),(20,21,29),(119,120,169).
------------------------------------------------------------------
今回の問題を考えていて,「なぜピタゴラス数が再生できるのか?」
と不思議に思いました.
特に,変換 (a,a+1,b) →
(a^*,(a^*)+1,b^*) により,
ピタゴラス数が方程式@と方程式Aを交互に渡り歩く様は
とても印象的です.
ピタゴラス数のことを調べてみると,「ピタゴラス行列」
と呼ばれている行列があることを知りました.
ピタゴラス行列というのは、次のような3×3行列 P のことです.
P=M{(-1,-2,2),(-2,-1,2),(-2,-2,3)}.
この行列Pは面白い性質を持っています.
(a,b,c)がピタゴラス数(つまり,a^2+b^2=c^2を満たす)であるとき,
P(-a,b,c)^T,P(-a,-b,c)^T,P(a,-b,c)^T
もすべてピタゴラス数
になります.
例えば(a,b,c)=(3,4,5)とすると,
P(-a,b,c)^T=P(-3,4,5)^T=(5,12,13)^T,
P(-a,-b,c)^T=P(-3,-4,5)^T=(21,20,29)^T,
P(a,-b,c)^T=P(3,-4,5)^T=(15,8,17)^T
となります。
このとき,新たに生成された(5,12,13),(21,20,29),(15,8,17)も
全てピタゴラス数になっています.
この三種類の変換 P(-a,b,c)^T,P(-a,-b,c)^T,P(a,-b,c)^T を
ピタゴラス変換と呼ぶそうです.
なんと驚いたことに,この三種類のピタゴラス変換を利用すれば,
たったひとつのピタゴラス数(3,4,5)から全ての原始ピタゴラス数が
生成されるのです.
このことは例えば次の本に詳しく書かれています.
「ピタゴラス数を生み出す行列のはなし」
小林吹代 著,ベレ出版
P(-a,-b,c)^T=(A,B,C)^Tとおくと,
A-B=-(a-b)という関係があります.
今回の解答で使用した行列Qを使えば,
次のようになっています.
(Q^2)(a,b,c)^T=(B,A,C).
つまり,ピタゴラス数(a,b,c)に対して,
Q^2で表される行列で(a,b,c)を変換すると,
a-bの値を保存したまま,新たなピタゴラス数(B,A,C)が
生成されるのです.
このことを利用すれば、例えば次のような問題も作れます.
-------------------------------------------------
[問題]
次のふたつの方程式を考える.
x^2+y^2=z^2 ---@
s^2+t^2=u^2+49 ---A
(1)実数 a,b に対し,実数 a^*,b^* を
a^* = a+b,b^* = 2a+b+7
で定める.
(x,y,z)=(a,a+7,b)が@の解ならば
(s,t,u)=(a^*,a^*+7,b^*)はAの解であることを示せ.
また,逆に(s,t,u)=(a,a+7,b)がAの解ならば
(x,y,z)=(a^*,a^*+7,b^*)は@の解であることを示せ.
(2)方程式@の自然数解(x,y,z)をピタゴラス数という.
y=x+7を満たすピタゴラス数を3組あげよ.
-----------------------------------------------------
ピタゴラス変換 P(-a,b,c)^T においては
c-bの値が保存されます.
また,ピタゴラス変換 P(a,-b,c)^T においては
c-aの値が保存されます.
これらのことを利用すれば,面白い問題が作れると思います.
お知らせ:、「第98回 全国算数・数学教育研究(岐阜)大会」が8月3日4日に行われます。都合良ければお越しください。その際に連絡くだされば幸いです。
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。