平成28年8月7日

[流れ星]

     第336数学的な応募解答

      <解答募集期間:7月10日〜8月7日>

4次方程式の解法]

 

大学入試問題を解いていたころ、記憶に残る2008年横浜市立大学の問題です。

 

336zu

 

参考:4次方程式の解法はWikipediaによると、フェラーリの方法、デカルトの方法、オイラーの方法、ラグランジュの方法が載っています。

 

NO1uchinyan         07/10 1527分 受信  更新 8/07

 

(1)

f(x) = x^4 - 20x^2 - (82)x + 32,とおくと,

f(4) = - 32 - 322 < 0f(5) = 157 - 402 > 157 - 40 * 2 = 77 > 0

なので,f(x) = 0 は区間(4,5)に解をもちます。

 

(2)

x = p + q + r

x^2 = p + q + r + 2((pq) + (qr) + (rp)) = f + 2((pq) + (qr) + (rp))

x^4 = (x^2)^2

= f^2 + 4f((pq) + (qr) + (rp)) + 4(pq + qr + rp + 2(q + r+ p )(pqr))

= f^2 + 4f((pq) + (qr) + (rp)) + 4g + 8(h)(q + r+ p ))

なので,これらを,x^4 - Ax^2 - Bx - C = 0,に代入して,

(f^2 + 4f((pq) + (qr) + (rp)) + 4g + 8(h)(q + r+ p )))

- A(f + 2((pq) + (qr) + (rp))) - B(p + q + r) - C = 0

(4f - 2A)((pq) + (qr) + (rp)) + (8h - B)(p + q + r) + (f^2 + 4g - fA - C) = 0

ここで,ABC fgh で表すので,余分な pqr を消すようにすればいいので,

4f - 2A = 08h - B = 0f^2 + 4g - fA - C = 0

A = 2fB = 8hC = f^2 + 4g - fA = 4g - f^2

になります。

さらに,x^4 - 20x^2 - (82)x + 32 = 0,と比較して,

A = 2f = 20B = 8h = 82C = 4g - f^2 = - 32

f = 10g = 17h = 2

になります。

 

(3)

X^3 - 10X^2 + 17X - 2 = 0,を解けばいいことになります。

X^3 - 10X^2 + 17X - 2 = 0(X - 2)(X^2 - 8X + 1) = 0X = 2, 4 ± √15

これらの解はすべて正の実数なので条件を満たします。

そこで,pqr はこの3つになります。

 

(4)

x = p + q + r

= 2 + (4 + 15) + (4 - 15)

= 2 + ((8 + 215) + (8 - 215))/2

= 2 + ((5 + 3) + (5 - 3))/2

= 2 + 10

なので,1 < 2 < 1.53 < 10 < 3.2,より,

4 = 1 + 3 < x = 2 + 10 < 1.5 + 3.2 = 4.7 < 5

になります。

なお,上記の計算から明らかですが,元の4次方程式の4つの解は,

p + q + r,√p - q - r- p + q - r- p - q + r

なので,具体的な4つの解は,

2 + 10,√2 - 10- 2 + 6- 2 - 6

ですね。

 

(感想)

高次方程式については高校生の頃にいろいろと考えたことがあります。

3次方程式は,2次の項を消した後,恒等式,

x^3 + y^3 + z^3 - 3xyz = (x + y + z)(x^2 + y^2 + z^2 - xy - yz - zx)

を基にカルダノの方法を,

4次方程式は,3次の項を消した後,完全平方を作ることでフェラーリの方法を,

それぞれ独自に見つけたことがあります。

恒等式をヒントに,ということでは,デカルトの方法やオイラーの方法もその仲間ですね。

一方,ラグランジュの方法というのは知りませんでしたが,

彼の方程式に関する深い研究が後々のガロアの理論まで発展して行くので,感慨深いものがあります。

アーベルやガロアの研究の結果を知って,個人的には,群論そしてがロア理論を勉強しよう,

と目標が変わったのですが,情けないことに,いまだにその目標は達成されないままです... (^^;

 

 

NO2「浜田明巳」       07/11 1247分 受信  更新 8/07

 x−20x−8√2x+32=0
  ∴x=20x+8√2x−32
 ある数tを用いて,
  x+2tx+t(20+2t)+8√2x+(−32)
  ∴(+t)(20+2t)+8√2x+(−32)・・・(1)
 右辺をxの1次式の平方となるように,tを定める.
 t≠ー10のとき,判別式をDとすると,
  D/4=16・2−(20+2t)(−32)=0
  ∴16−(10+t)(−32)=0
  ∴t+10t−32t−336=0
  ∴(t/2)+5(t/2)−8・t/2−42=0
 X=t/2とすると,
  X+5X−8X−42=0
 (−3)+5(−3)−8(−3)−42=0であるから,X=−3が解の1つである.
 このとき,t/2=−3
  ∴t=−6
 これはt≠−10を満たす.
 (1)に代入すると,
  (−6)=8x+8√2x+4=4(2x+2√2x+1)=4(√2x+1)
  ∴x−6=±2(√2x+1)
  ∴x−2√2x−8=0,x+2√2x−4=0
  ∴x=√2±√10,−√2±√6
(高校のときから,4次方程式はこのように解いていました)

(1)x=√2+√10において.4<x<5を示す.
  (√2+√10)−4=4√5−4=4(√5−1)>0
から,
  (√2+√10)>4
  ∴√2+√10>4
 また,
  5(√2+√10)=13−4√5=√169−√80>0
から,
  (√2+√10)<5
  ∴√2+√10<5
 まとめると,4<√2+√10<5
 故に題意は示された.

(2)x=√p+√q+√r,f=p+q+r,g=pq+qr+rp,h=pqr
  x=p+q+r+2(pq)1/2+2(qr)1/2+2(rp)1/2
    =f+2{(pq)1/2(qr)1/2(rp)1/2}・・・(2)
 また,
  2{(pq)1/2(qr)1/2(rp)1/2}=x−f・・・(3)
 このとき,(2)から,
  x=f+4pq+4qr+4rp+4f(pq)1/2+4f(qr)1/2+4f(rp)1/2
     +8(pq)1/2+8(pqr)1/2+8(qr)1/2
    =f+4(pq+qr+rp)+4f{(pq)1/2(qr)1/2(rp)1/2}+8(pqr)1/2(√p+√q+√r)
    =f+4g+2f(−f)+8√h・x (∵(3)
    =2fx+8√h・x+(4g−f)
    =Ax+Bx+C
 係数を比較すると,
  A=2f,B=8√h,C=4g−f
 A=2f=20,B=8√h=8√2,C=4g−f=−32であるから,
  f=10,h=2
 次に,
  g=(−32)/4=(100−32)/4=17
 まとめると,
  f=10,g=17,h=2

(3)X−10X+17X−2=0から,
  (X−2)(−8X+1)=0
  ∴X=2,4±√15
 p>0,q>0,r>0であり,
  4−√15=√16−√15>0
から,
  {p,q,r}{2,4+√15,4−√15}

(4)x=√p+√q+√r=√2+(4+√15)1/2(4−√15)1/2
 ここで,
  (4+√15)1/2{(8+2√15)/2}1/2
           =(√5+√3)/√2
  (4−√15)1/2(√5−√3)/√2 (∵√5>√3)
  ∴x=√2+(√5+√3)/√2+(√5−√3)/√2
    =√2+√10

 

「浜田明巳」       07/11 1424分 受信  更新 8/07

(別解)(1)f()=x−20x−8√2x+32とすると,
  f()=4−20・4−8√2・4+32=32(−1−√2)<0
  f()=5−20・5−8√2・5+32=157−40√2=√24649−√3200>0
  ∴f()<0<f()
 故に方程式f()=0は,区間(4,5)において,少なくとも1つの解をもつ.

(参考)もし解を1個に限定するのなら,以下の通り.
  f'()=4x−40x−8√2=4(−10x−2√2)
  ∴f''()=4(3x−10)=12{x+(10/3)1/2}{x−(10/3)1/2}
 故にx>(10/3)1/2のとき,f'()は単調増加である.
 10<48から,10/3<16
  ∴(10/3)1/2<4
 故にx>4のとき,f'()は単調増加である.
  f'()=4(−10・4−2√2)=8(12−√2)>0
から,x>4のとき,f'()>f'()>0
 故にx>4のとき,f()は単調増加である.
 f()<0<f()であるので,方程式f()=0は,区間(4,5)において,1個のみの解をもつ.

 

NO3「早起きのおじさん」 07/17 1019分 受信  更新 8/07

(1)

4次関数  は、区間 [4,5] で連続です。

 

より、  が異符号なので、 となるc45の間に少なくとも1つあります。

 

 

(2)

 

この式より、

 です。

この式より、

 です。

 

よって、

 

(*)と(**)が同じ式とすると、

よって、

(3)

 

 

(4)

(3)より、

 

さて、次のように、4 5の大小を比較できます。

それぞれ平方し、12を引いてさらに平方します。

以上から、解が区間(4,5)にあることが分かります。

 

NO4「二度漬け白菜」     08/01 2151分 受信  更新 8/07

(1)
f(x)=x^4-20*x^2-8*(2^(1/2))*x+32
とおく.

f(4)=-32*(1+2^(1/2))0
f(5)=157-40*2^(1/2)=157-40*2=77
0
よって,中間値の定理により,
方程式 (*) は区間(45)に解をもつ.


(2)
x^2
=(p^(1/2)+q^(1/2)+r^(1/2))^2
=p+q+r+2*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))
=f+2*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))


x^4

=(x^2)^2

=(f+2*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2)))^2
=f^2+4*f*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))
+4*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))^2

=f^2+4*f*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))
+4*(p*q+p*r+q*r+2*(p*(q*r)^(1/2)+r*(p*q)^(1/2)+q*(p*r)^(1/2)))

=f^2+2*f*2*((p*q)^(1/2)+(p*r)^(1/2)+(q*r)^(1/2))
+4*(p*q+p*r+q*r+2*((p*q*r)^(1/2))*(p^(1/2)+q^(1/2)+r^(1/2)))

=f^2+2*f*(x^2-f)+4*(g+2*(h^(1/2))*x)

=2*f*x^2+8*(h^(1/2))*x-f^2+4*g

 

よって,
x^4-2*f*x^2-8*(h^(1/2))*x-(4*g-f^2)=0

よって,
A=2*f
B=8*h^(1/2)C=4*g-f^2 ()

 

(*)(**)とが同じ式だとすると,
20=2*f
8*2^(1/2)=8*h^(1/2)32=f^2-4*g
となる.
これらの式から,
f=10
g=17h=2 ()

 

(3)
X^3-f*X^2+g*X-h=0
において,先に得られたfgh の値
を用いると,
X^3-10*X^2+17*X-2=0

これより,
(X-2)*(X^2-8*X+1)=0

X=2
4+15^(1/2)4-15^(1/2)
よって,{pqr}={24+15^(1/2)4-15^(1/2)} ()


(4)
x=p^(1/2)+q^(1/2)+r^(1/2)
=2^(1/2)+(4+15^(1/2))^(1/2)+(4-15^(1/2))^(1/2)

ここで,
(4+15^(1/2))^(1/2)=((8+2*15^(1/2))/2)^(1/2)
=((5^(1/2)+3^(1/2))^2/2)^(1/2)=(5^(1/2)+3^(1/2))/(2^(1/2))

(4-15^(1/2))^(1/2)=((8-2*15^(1/2))/2)^(1/2)
=((5^(1/2)-3^(1/2))^2/2)^(1/2)=(5^(1/2)-3^(1/2))/(2^(1/2))
であるので,
x=2^(1/2)+(5^(1/2)+3^(1/2))/(2^(1/2))+(5^(1/2)-3^(1/2))/(2^(1/2))
=2^(1/2)+10^(1/2)

12^(1/2)3/2310^(1/2)7/2 であるので,
1+3
2^(1/2)+10^(1/2)3/2+7/2,つまり,
4
2^(1/2)+10^(1/2)5
x=2^(1/2)+10^(1/2)
は,確かに区間(45)にある.

 


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最近,数学質問系のサイトにて質問されていた数学の問題に,
興味深い回答が付いているのを見つけました.
私自身,とても参考になりました.
質問されていた問題と,それに対する回答は以下のようなものでした.


【問題】
X_1, X_2, X_3,・・・ ,X_n が全て整数のとき,
S=|X_1
X_2|+|X_2X_3|+・・・+|X_{n-1}X_n|+|X_nX_1|
は常に偶数になることを証明せよ.』


(
回答)
一般に, 整数 a に対し
|a|-a=0 (a
0)
 |a|-a=-2a (a<0)
であるから, |a|-a は偶数である. したがって,
S=|X_1-X_2|+
+|X_{n-1}-X_n|+|X_n-X_1|
 =|X_1-X_2|+
+|X_{n-1}-X_n|+|X_n-X_1|-(X_1-X_2)--(X_{n-1}-X_n)-(X_n-X_1)
 =[|X_1-X_2|-(X_1-X_2)]+
+[|X_{n-1}-X_n|-(X_{n-1}-X_n)]+[|X_n-X_1|-(X_n-X_1)]
n 個の偶数の和であるから偶数である.

 

 

皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。