平成28年10月30日
[流れ星]
第339回数学的な応募解答
<解答募集期間:10月2日〜10月30日>
[最小値の期待値]
2n+1枚のカードがあり、各カードにはそれぞれ異なる数字(1から2n+1まで)が書いてある。ここから任意に3枚を取り出し、各カードの数の差の最小値kを考えます。例えば3枚が「1、4,9」なら、最小値は3です。ここから問題です。
問1:k=1、2、3のとき、起こりうる場合はそれぞれ何通りかnで用いて表せ。
問2:最小値がkのとき、起こりうる場合は何通りかnとkで用いて表せ。
問3:最小値kの最小は1で、最大はnです。では、k=1からnまで起こりうるすべての場合の数を足した総和をnで用いて表せ。
また、この総和について何か気が付いたことがあれば書いてください。
問4:最小値kの期待値をnで用いて表せ。
注:一般に2つの数字の差とはその差の絶対値をいいます。
NO1「uchinyan」
10/02 15時27分 受信 更新 10/30
問1:&問2:
3 枚のカードに書かれている数を,a,b,c,1 <= a < b < c <= 2n+1,とします。
差の最小値が k の場合,b = k+1, k+2, ..., 2n+1-k,です。
b = k+1 のとき,
a = 1 で c = 2k+1, 2k+2, ..., 2n+1 の 2(n-k)+1 通り。
b = k+2, ..., 2n-k のとき,
a = b-k ならば,c = b+k, ..., 2n+1 の
2n-k-b+2 通り,
c = b+k ならば,a = 1, ..., b-k の b-k 通り,
なので,これらの和ですが,a = b-k かつ c = b+k を2回数えているので 1 を引いて,
(2n-k-b+2) + (b-k) -
1 = 2(n-k)+1 通り。
b = 2n+1-k のとき,
c = 2n+1 で a = 1, 2, ..., 2(n-k)+1 の 2(n-k)+1 通り。
結局,どの場合も,2(n-k)+1 通り,です。
そこで,全体では,
(2(n-k)+1) *
((2n+1-k) - (k+1)+ 1) = (2(n-k)+1)^2 通り,
になります。
k = 1, 2, 3 はそれぞれ,(2n-1)^2,(2n-3)^2,(2n-5)^2,ですね。
問3:
総和は,
Σ[k=1,n]{(2(n-k)+1)^2} =
Σ[k=0,n-1]{(2k+1)^2} = Σ[k=1,n]{(2k-1)^2}
= Σ[k=1,2n]{k^2} -
Σ[k=1,n]{(2k)^2} = Σ[k=1,2n]{k^2} - 4Σ[k=1,n]{k^2}
= (2n)(2n+1)(4n+1)/6
- 4n(n+1)(2n+1)/6 = (2n-1)n(2n+1)/3 通り,
になります。
これは,(2n-1)n(2n+1)/3 =
(2n-1)(2n)(2n+1)/6 = (2n+1)C3 と書けるので,
2n+1 枚のカードから 3 枚のカードを選ぶ場合の数に等しいです。
そう思ってみればこれは当たり前のことで,
3 枚のカードに書かれた数によって差の最小値は一意に決まるので,
すべての差の最小値を与えるカードの選び方は単に 3 枚を選ぶ選び方になりますね。
問4:
差の最小値が k となる確率 p(k) は p(k) = (2(n-k)+1)^2/(2n+1)C3 です。
問3:の結果は,Σ[k=1,n]{p(k)} = 1,を意味しており,矛盾はないですね。
期待値 E(k) は,
E(k) = Σ[k=1,n]{k *
p(k)} = Σ[k=1,n]{k * (2(n-k)+1)^2/(2n+1)C3}
=
Σ[k=0,n-1]{(n-k)(2k+1)^2}/(2n+1)C3
= (n *
Σ[k=0,n-1]{(2k+1)^2} - Σ[k=0,n-1]{k(2k+1)^2})/(2n+1)C3
= (n * (2n+1)C3 -
Σ[k=1,n-1]{4k^3 + 4k^2 + k})/(2n+1)C3
= n - 6(4 *
(n(n-1)/2)^2 + 4 * n(n-1)(2n-1)/6 + n(n-1)/2)/(2n-1)(2n)(2n+1)
= n - (6n(n-1)^2 +
4(n-1)(2n-1) + 3(n-1))/2(2n-1)(2n+1)
= n - (n-1)(6n(n-1)
+ 4(2n-1) + 3)/2(2n-1)(2n+1)
= n - (n-1)(6n^2 +
2n - 1)/2(2n-1)(2n+1)
= ((8n^3 - 2n) -
(6n^3 - 4n^2 - 3n + 1))/2(2n-1)(2n+1)
= (2n^3 + 4n^2 + n -
1)/2(2n-1)(2n+1),
= (n+1)(2n^2 +
2n - 1)/2(2n-1)(2n+1),
になります。
(感想)
問1:,問2:,問3:とコツコツと計算して結果に「あれれ」という感じ。
でも考えてみれば当然でしたね。問4:の確率の妥当性の保証にもなっているし。
この調子で問4:の期待値もきれいになるのかなと思ったのですが,きれいにはなりませんでした。
計算違いや勘違いはないと思うのですが...
NO2「早起きのおじさん」 10/04 06時15分 受信
更新 10/30
<コメント:今回の問題は、問3の答えがすぐに思いついてその結果に合わすのに計算間違いが多くて苦労しました。
でもとても面白かったです。自分の考えを確かめるのにわくわくした時間を過ごしました。今日ははやく目が覚めたのと忙しいので解答を朝早くから書きました。>
問1
・k=1のとき、面倒ですが、地道に数えます。
k=1の部分を指定して、第3の数を書き出します。
場合に重複がないように第3の数の小と関係してk=1とはならないようにします。
具体的には、指定した2数の小さい方との差が2までに抑えます。
表より、起こりうる場合の数は次の通りです。
・k=2のときも同様です。
第3の数の小は、指定した2数の小さい方との差が3までに抑えます。
表より、起こりうる場合の数は次の通りです。
・k=3のときも同様です。
第3の数の小は、指定した2数の小さい方との差が4までに抑えます。
表より、起こりうる場合の数は次の通りです。
問2
同じように表を作ります。
表より、起こりうる場合の数は次の通りです。
ここで、下線部分を次のように整理します。
よって、
この結果において、kを1,2,3と変えると問1の結果と一致します。
問3
問2の結果を、kで整理し直します。
よって、
1から2n+1までの中から、3枚を取り出すのですから、単純に考えると組み合わせの数になります。
特殊な整理の仕方で数えたことになります。
問4
期待値の計算は、
●おまけ
2n+1枚のカードがあり、各カードにはそれぞれ異なる数字(1から2n+1まで)が書いてある。ここから任意に2枚を取り出し、各カードの数の差のkを考えます。
問1 差kのとき、起こりうる場合は何通りかnとkで用いて表せ。
問2 差kの期待値をnで用いて表せ。
解答
問1
k=1のとき2n通り、k=2のとき(2n-1)通り、・・・、k=2nのとき1通りなので、
問2
n=1のとき、{1,2,3}から2数を取り出すと、差が{1,1,2}の3通りあり平均値4/3と一致します。
NO3「浜田明巳」 10/05 10時42分 受信 更新 10/30
求める数をan,kで表す.
an,1を求める.
i). n=1のとき,(1,2,3)の1通りであるので,a1,1=1
ii). n≧2のとき,
ア). 2箇所で差が1となるとき,
(1,2,3),(2,3,4),(3,4,5),・・・,(2n−1,2n,2n+1)の(2n−1)通り.
イ). 1箇所のみで差が1となるとき,
(1,2,m)(m=4,5,6,・・・,2n+1)の(2n−2)通り.
(2,3,m)(m=5,6,7,・・・,2n+1)の(2n−3)通り.
(3,4,m)(m=1;6,7,8,・・・,2n+1)の(2n−3)通り.
(4,5,m)(m=1,2;7,8,9,・・・,2n+1)の(2n−3)通り.
(5,6,m)(m=1,2,3;8,9,10,・・・,2n+1)の(2n−3)通り.
・・・
(2n−1,2n,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3)の(2n−3)通り.
(2n,2n+1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−2)の(2n−2)通り.
∴an,1=(2n−1)+(2n−2)・2+(2n−3)・(2n−2)
=(2n−1)+(2n−2)(2n−1)
=(2n−1)2
これはn=1のときも成立する.
まとめると,an,1=(2n−1)2
次にan,2を求める.
i). n=1のとき,a1,2=0
ii). n=2のとき,(1,3,5)の1通りであるので,a2,2=1
iii). n≧3のとき,
ア). 2箇所で差が2となるとき,
(1,3,5),(2,4,6),(3,5,7),・・・,(2n−3,2n−1,2n+1)の(2n−3)通り.
イ). 1箇所のみで差が2となるとき,
(1,3,m)(m=6,7,8,・・・,2n+1)の(2n−4)通り.
(2,4,m)(m=7,8,9,・・・,2n+1)の(2n−5)通り.
(3,5,m)(m=8,9,10,・・・,2n+1)の(2n−6)通り.
(4,6,m)(m=1;9,10,11,・・・,2n+1)の(2n−6)通り.
(5,7,m)(m=1,2;10,11,12,・・・,2n+1)の(2n−6)通り.
(6,8,m)(m=1,2,3;11,12,13,・・・,2n+1)の(2n−6)通り.
・・・
(2n−3,2n−1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−6)の(2n−6)通り.
(2n−2,2n,m)(m=1,2,3,・・・,2n−5)の(2n−5)通り.
(2n−1,2n+1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−4)の(2n−4)通り.
∴an,2=(2n−3)+(2n−4)・2+(2n−5)・2+(2n−6)・(2n−5)
=(2n−3)+2(2n−4)+(2n−5)(2n−4)
=(2n−3)+(2n−4)(2n−3)
=(2n−3)2
これはn=2のときも成立する.
まとめると,a1,2=0
an,2=(2n−3)2(n≧2)
同様にan,kを求める.
i). k>nのとき,an,k=0
ii). k=nのとき,(1,n+1,2n+1)の1通りであるので,an,n=1
iii). k<nのとき,
ア). (1,k+1,2k+1),(2,k+2,2k+2),(3,k+3,2k+3),・・・,(2n−2k+1,2n−k+1,2n+1)のとき,
(2n−2k+1)通り.
イ). その他のとき,
(1,k+1,m)(m=2k+2,2k+3,2k+4,・・・,2n+1)の(2n−2k)通り.
(2,k+2,m)(m=2k+3,2k+4,2k+5,・・・,2n+1)の(2n−2k−1)通り.
(3,k+3,m)(m=2k+4,2k+5,2k+6,・・・,2n+1)の(2n−2k−2)通り.
(4,k+4,m)(m=2k+5,2k+6,2k+7,・・・,2n+1)の(2n−2k−3)通り.
・・・
(k,2k,m)(m=3k+1,3k+2,3k+3,・・・,2n+1)の(2n−3k+1)通り.
(k+1,2k+1,m)(m=3k+2,3k+3,3k+4,・・・,2n+1)の(2n−3k)通り.
(k+2,2k+2,m)(m=1;3k+3,3k+4,3k+5,・・・,2n+1)の(2n−3k)通り.
(k+3,2k+3,m)(m=1,2;3k+4,3k+5,3k+6,・・・,2n+1)の(2n−3k)通り.
・・・
(2n−2k,2n−k,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3k−1;2n+1)の(2n−3k)通り.
(2n−2k+1,2n−k+1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3k)の(2n−3k)通り.
(2n−2k+2,2n−k+2,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3k+1)の(2n−3k+1)通り.
(2n−2k+3,2n−k+3,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3k+2)の(2n−3k+2)通り.
(2n−2k+4,2n−k+4,m)(m=1,2,3,・・・,2n−3k+3)の(2n−3k+3)通り.
・・・
(2n−k−1,2n−1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−2k−2)の(2n−2k−2)通り.
(2n−k,2n,m)(m=1,2,3,・・・,2n−2k−1)の(2n−2k−1)通り.
(2n−k+1,2n+1,m)(m=1,2,3,・・・,2n−2k)の(2n−2k)通り.
∴an,k=(2n−2k+1)
+(2n−2k)・2+(2n−2k−1)・2+(2n−2k−2)・2+・・・+(2n−3k+1)・2
+(2n−3k)・(2n−3k+1)
=(2n−2k+1)
+(2n−2k)・2+(2n−2k−1)・2+(2n−2k−2)・2+・・・+(2n−3k+2)・2
+(2n−3k+1)・(2n−3k+2)
=(2n−2k+1)
+(2n−2k)・2+(2n−2k−1)・2+(2n−2k−2)・2+・・・+(2n−3k+3)・2
+(2n−3k+2)・(2n−3k+3)
=・・・
=(2n−2k+1)
+(2n−2k)・2+(2n−2k−1)・(2n−2k)
=(2n−2k+1)+(2n−2k)・(2n−2k+1)
=(2n−2k+1)2
これはn=kのときも成立する.
まとめると,an,k=0(k>n)
an,k=(2n−2k+1)2(k≦n)
改めて解答を書く.
問1
k=1のとき,an,1=(2n−1)2
k=2のとき,a1,2=0,an,2=(2n−3)2(n≧2)
k=3のとき,an,3=0(n=1,2),an,3=(2n−5)2(n≧3)
問2
an,k=0(n<k),an,k=(2n−2k+1)2(n≧k)
問3
an,1+an,2+an,3+・・・+an,n
=(2n−1)2+(2n−3)2+(2n−5)2+・・・+12
=12+32+52+・・・+(2n−1)2
=Σ1≦j≦n(2j−1)2
=Σ1≦j≦n(4j2−4j+1)
=4・1/6・n(n+1)(2n+1)−4・1/2・n(n+1)+n
=1/3・n{2(n+1)(2n+1)−6(n+1)+3}
=1/3・n(4n2−1)
=1/3・n(2n−1)(2n+1)
問4
1・an,1+2・an,2+3・an,3+・・・+n・an,n
=1・(2n−1)2+2・(2n−3)2+3・(2n−5)2+・・・+n・12
=n・12+(n−1)・32+(n−2)・52+・・・+1・(2n−1)2
=Σ1≦j≦n(n−j+1)(2j−1)2
=Σ1≦j≦n(−j+n+1)(4j2−4j+1)
=Σ1≦j≦n{−4j3+4(n+2)j2−(4n+5)j+(n+1)}
=−4・1/4・n2(n+1)2+4(n+2)・1/6・n(n+1)(2n+1)
−(4n+5)・1/2・n(n+1)+(n+1)n
=1/6・n(n+1){−6n(n+1)+4(n+2)(2n+1)−3(4n+5)+6}
=1/6・n(n+1)(2n2+2n−1)
であるから,期待値は,
{1/6・n(n+1)(2n2+2n−1)}/{1/3・n(2n−1)(2n+1)}
={(n+1)(2n2+2n−1)}/{2(2n−1)(2n+1)}
NO4「二度漬け白菜」 10/17 22時27分 受信
更新 10/30
問1:
最小値が 1 になるような場合の数は, (2*n-1)^2 通り (答)
最小値が 2 になるような場合の数は,
n=1のとき 0通り
n≧2のとき (2*n-3)^2 通り (答)
最小値が 3 になるような場合の数は,
n=1 または n=2 のとき 0通り
n≧3のとき (2*n-5)^2 通り (答)
問2: (2*n-2*k+1)^2 通り (答)
問3: 求める総和は comb(2*n+1,3) =
n*(2*n+1)*(2*n-1)/3 (答)
問4: 求める期待値は
(n+1)*(2*n^2+2*n-1)/(2*(2*n+1)*(2*n-1)) (答)
以下に上記の答えを導くに至った考えを書く.
xの関数f(x)を級数展開したときのx^nの係数を [x^n]f(x) と表すことにする.
取り出す3枚のカードに書かれた数を小さい順に A,B,C とし,
A=a,
B-A=b,
C-B=c,
2n+1-C=d
とおく.
「a,b,c,dは全て整数であって,a+b+c+d=2*n+1
かつ
a>0 かつ b>0 かつ
c>0 かつ d≧0」---(★)
が成り立つ.
3つ組(A,B,C)と(★)を満たすような 4つ組(a,b,c,d)は 1対1に対応する.
取り出された3枚のカードに書かれた各数の差の最小値は,
min(B-A,C-B)=min(b,c) である.
min(b,c)≦b,min(b,c)≦c であるから
2*min(b,c)≦b+c=2*n+1-a-d≦2*n.
よって,min(b,c)≦n が成り立ち,等号は
(a,b,c,d)=(1,n,n,0) のときに成立する.
よって,取り出された3枚のカードに書かれた各数の差の最小値の
最大値は確かに n である.
この 2*n+1 枚のカードから同時に3枚を取り出すとき,
min(b,c)=kとなるような取り出し方の総数を f(k) とし,
min(b,c)≧kとなるような取り出し方の総数を g(k) とする.
このように設定すると,f(k)=g(k)-g(k+1) となる.
また,g(k)は(★)を満たすような 4つ組(a,b,c,d)
のうち,
b≧k かつ c≧k となるようなものの総数である.
よって,
g(k)
=[x^(2*n+1)]((x+x^2+x^3 … )*(x^k+x^(k+1)+x^(k+2)+ … )^2*(1+x+x^2+x^3 … ))
=[x^(2*n+1)](x/(1-x))*((x^k/(1-x))^2)*(1/(1-x))
=[x^(2*n-2*k)](1/(1-x)^4)
=comb(2*n-2*k+3,3).
f(k)
=g(k)-g(k+1)
=comb(2*n-2*k+3,3)-comb(2*n-2*k+1,3)
=(2*n-2*k+1)^2.(これが問2の答え)
問1の答えを求めるには,f(1),f(2),f(3)を計算すればよい.
min(B-A,C-B)の最大値はnであり,min(B-A,C-B)の値は1,2,3,…,n のいずれかである.
よって,f(1)+f(2)+f(3)+ … +f(n) は,3枚のカードの取り出し方の総数であるcomb(2*n+1,3)
に等しいはずである.
つまり,
f(1)+f(2)+f(3)+ … +f(n)
=comb(2*n+1,3)
=n*(2*n+1)*(2*n-1)/3. (これが問3の答え)
( f(k)=g(k)-g(k+1) であるので,
f(1)+f(2)+f(3)+ … +f(n)
=g(1)-g(n+1)
=g(1)
=comb(2*n+1,3) とすることもできる.)
min(B-A,C-B)を X とすると,
Xの期待値 Σ[k=1,n]k*P(X=k)
は次のように計算できる.
Σ[k=1,n]k*P(X=k)
=Σ[k=1,n](Σ[j=k,n]P(X=j))
=Σ[k=0,n]P(X>k)
=Σ[k=0,n-1](g(k+1)/comb(2*n+1,3))
=(1/comb(2*n+1,3))*Σ[k=0,n-1]comb(2*n-2*k+1,3)
=(1/(2*n*(2*n+1)*(2*n-1)))*Σ[k=1,n](2*k+1)*(2*k)*(2*k-1)
=(1/(2*n*(2*n+1)*(2*n-1)))*Σ[k=1,n](8*k^3-2*k)
=(n+1)*(2*n^2+2*n-1)/(2*(2*n+1)*(2*n-1)).(これが問4の答え)
----------------------------------------------------------
今回の問題の一般化を考えてみた.
N 枚のカードがあり,各カードにはそれぞれ異なる数字 (1 から N まで) が書いてある.
ここから同時に M 枚を取り出し,各カードの数の差の最小値 X
を考える.
X≧kとなるような M枚のカードの取り出し方の総数 g(N,M,k) は,
g(N,M,k)
=[x^N]((x+x^2+x^3 … )*(x^k+x^(k+1)+x^(k+2)+ … )^(M-1)*(1+x+x^2+x^3 … ))
=[x^N](x/(1-x))*((x^k/(1-x))^(M-1))*(1/(1-x))
=[x^(N-k*(M-1)-1)](1/(1-x)^(M+1))
=comb(N-(k-1)*(M-1),M).
X=kとなるような M枚のカードの取り出し方の総数 f(N,M,k) は,
f(N,M,k)
=g(N,M,k)-g(N,M,k+1)
=comb(N-(k-1)*(M-1),M)-comb(N-k*(M-1),M).
Xの期待値 E(N,M)は,
E(N,M)
=Σ[k=1,∞]k*P(X=k)
=Σ[k=0,∞]P(X>k)
=(1/comb(N,M))*Σ[k=0,floor((N-1)/(M-1))-1]g(N,M,k+1)
=(1/comb(N,M))*Σ[k=0,floor((N-1)/(M-1))-1]comb(N-k*(M-1),M).
今回の問題の場合は,N=2*n+1,M=3 であるので,
f(2*n+1,3,k)
=g(2*n+1,3,k)-g(2*n+1,3,k+1)
=comb(2*n+1-2*(k-1),3)-comb(2*n+1-2*k,3)
=(2*n-2*k+1)^2.
E(2*n+1,3)
=(1/comb(2*n+1,3))*Σ[k=0,n-1]g(2*n+1,3,k+1)
=(1/comb(2*n+1,3))*Σ[k=0,n-1]comb(2*n+1-2*k,3)
=(n+1)*(2*n^2+2*n-1)/(2*(2*n+1)*(2*n-1)).
NO5「浜田明巳」別 問 10/19 09時16分 受信
更新 10/30
小数点あれこれ
(1)四捨五入は先か,後か?(昔懐かしい旺文社の大学受験ラジオ講座の受け売りです)
連立方程式
2x+9y=2・・・(1)
1.1x+5y=1・・・(2)
をそのまま解くときと,係数1.1の小数点以下を四捨五入してから解くときとでは,どのような違いが出るだろうか.
まずそのまま計算する.
(1)×5−(2)×9から,0.1x=1
∴x=10
(1)から,
y=(2−2x)/9=(2−20)/9=−2
∴(x,y)=(10,−2)
次に係数1.1の小数点以下を四捨五入してから計算する.
2x+9y=2・・・(1)
x+5y=1・・・(2)'
(1)−(2)'×2から,−y=0
∴y=0
(2)'から,
x=1−5y=1
∴(x,y)=(1,0)
このように,たった0.1の違いだけで,まるっきり違う結果を得る.
四捨五入をするのならば,後でする方がより良い解となるのであろう.
(2)次のコピーは,ある問題集で,ある入試問題を解いたときの解答の一部である.
n>143.9・・・,nは整数
から,nの最小値を144としている.
これは論理的におかしい.
143.9の後の数によって,答が違ってくる.
例えば,
143.999・・・(9が永遠に続く)
のとき,
n>143.999・・・=144
であるから,整数nの最小値は145となる.
したがって,小数点以下に9以外の数が出るまで計算しなければ,最小値が決定しない.
例えば,
n>143.91・・・
となれば,最小値は144となる.
つまり,
0.999・・・=1
の問題がからんで来る.
理系の生徒なら,等比級数の計算で理解できるが,文系の生徒には,理解しづらい.
なるべくこのような計算にならないように,問題の数値を決定すべきである.
他の不等号の場合もまとめて考察してみる.
i). n>143.○○○・・・のとき,
小数点以下に9以外の数が出るまで続ける
ii). n≧143.○○○・・・のとき,
143.000・・・(0が永遠に続く)=143の場合があるので,
小数点以下に0以外の数が出るまで続ける
iii). n<143.○○○・・・のとき,
小数点以下に0以外の数が出るまで続ける
iv). n≦143.○○○・・・のとき,
小数点以下に9以外の数が出るまで続ける
この問題に関して,今まで聞いたこと,見たことがなかった.考えすぎだろうか.
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。