平成28年11月27日
[流れ星]
第340回数学的な応募解答
<解答募集期間:10月30日〜11月27日>
[逆関数の無限級数]
皆さんは三角関数sinx , cosx の無限級数はマクローリン展開(x=0でのテイラー展開)をして表せることはよく知られています。
では、sinx , cosx の逆関数 arcsinx , arccosx を無限級数で表してください。
NO1「uchinyan」
10/30 13時43分 受信
「uchinyan」
10/30 15時11分 受信 更新 11/27
第340回数学的な応募問題
一般に,関数 y = f(x) のマクローリン展開は,f(x) の n 階導関数を
f^{n}(x) として,
y = f(x) = Σ[n=0,∞]{f^{n}(0)/n! * x^n},
と無限級数で書けます。そこで,f^{n}(0) を求めればいいことになります。
まず,y = f(x) = arcsin(x) を考えます。
これは y = sin(x) の逆関数で,x = 0 の回りで考えればいいので,
x = sin(y),dx/dy = cos(y),
f^{1}(x) = f'(x) = dy/dx = 1/cos(y) = 1/√(1 - (sin(y))^2) = 1/√(1 - x^2),
f^{2}(x) = (f'(x))' = x/(√(1 - x^2))^3 = x/(1 - x^2) * f^{1}(x),
(1 - x^2) * f^{2}(x) = x * f^{1}(x),
ここで,n 階導関数に関するライプニッツの公式を使うと,
(1 - x^2) * f^{n+2}(x) + nC1 * (1 - x^2)' *
f^{n+1}(x) + nC2 * (1 - x^2)'' * f^{n}(x)
= x * f^{n+1}(x) + nC1 * x' * f^{n}(x),
(1 - x^2) * f^{n+2}(x) - 2nx * f^{n+1}(x) - n(n-1) *
f^{n}(x) = x * f^{n+1}(x) + n * f^{n}(x),
(1 - x^2) * f^{n+2}(x) = (2n+1)x * f^{n+1}(x) + n^2
* f^{n}(x),
x = 0 とおくと,
f^{n+2}(0) = n^2 * f^{n}(0),f^{0}(0) = f(0) = 0,f^{1}(0) = f'(0) = 1,
で,k を 0 以上の整数として,
f^{2k}(0) = 0,f^{2k+1}(0) = ((2k-1) * (2k-3) * … * 3 *
1)^2,
です。そこで,
arcsin(x) = Σ[k=0,∞]{((2k-1) * (2k-3) * … * 3 * 1)^2/(2k+1)! * x^(2k+1)},
となります。これの表記法はいろいろあるでしょうが,例えば,
arcsin(x) = Σ[k=0,∞]{((2k-1) * (2k-3) * … * 3 * 1)/(2^k * k! * (2k+1)) * x^(2k+1)},
とか,
arcsin(x) = Σ[k=0,∞]{(2k)!/(4^k * (k!)^2 * (2k+1)) *
x^(2k+1)},
とか,もいいかも知れません。
こんな方法も。
y = arcsin(x),x = sin(y),dx/dy = cos(y),
dy/dx = 1/cos(y) = 1/√(1 - (sin(y))^2) = 1/√(1 - x^2),までは同じ。
ここで,f(x) = 1/√(1 - x) のマクローリン展開を考えると,
f^{n}(x) = ((2n-1) * (2n-3) * … * 3 * 1)/2^n * 1/(√(1 - x))^(2n+1),より,
f(x) = Σ[n=0,∞]{((2n-1) * (2n-3) * … * 3 * 1)/(2^n * n!) * x^n},
そこで,
dy/dx = 1/√(1 - x^2) = Σ[n=0,∞]{((2n-1)
* (2n-3) * … * 3 * 1)/(2^n * n!) * x^(2n)},
これより,y(0) = arcsin(0) = 0 なので,
arcsin(x) = y = ∫[0,x]{dy/dt}dt
= Σ[n=0,∞]{((2n-1) * (2n-3) * … * 3 * 1)/(2^n * n! * (2n+1)) * x^(2n+1)},
になります。これは,先ほどの2番目の表記で k -> n としたものです。
次に,y = arccos(x) です。
これは,y = arcsin(x) が分かってしまえば簡単です。何故なら,
y = arccos(x),x = cos(y) = sin(π/2 - y),
x = 0 の回りで考えればいいので,
arcsin(x) = π/2 - y = π/2 - arccos(x),
arccos(x) = π/2 - arcsin(x),
arccos(x) = π/2 - Σ[k=0,∞]{((2k-1)
* (2k-3) * … * 3 * 1)^2/(2k+1)! * x^(2k+1)},
になります。
(感想)
久しぶりの理系数学の問題でしたね。
この手の問題は昔よく解きました。よい復習になりました。
計算の工夫はいろいろとありそうですが,まぁ,いいでしょう。
NO2「浜田明巳」 11/02 14時05分 受信 更新 11/05
f(x)=arcsinx,−1≦x≦1,−π/2≦f(x)≦π/2
とすると,f(0)=0
y=f(x)とすると,
x=siny,−π/2≦y≦π/2
∴dx/dy=cosy=(1−sin2y)1/2=(1−x2)1/2(∵cosy≧0)
∴dy/dx=(1−x2)−1/2=f'(x)
ここで,
(1+x)a=1+a/1!・x+{a(a−1)}/2!・x2+{a(a−1)(a−2)}/3!・x3+{a(a−1)(a−2)(a−3)}/4!・x4+・・・
∴(1−x2)−1/2=1+(−1/2)/1!・(−x2)+{(−1/2)(−1/2−1)}/2!・(−x2)2
+{(−1/2)(−1/2−1)(−1/2−2)}/3!・(−x2)3
+{(−1/2)(−1/2−1)(−1/2−2)(−1/2−3)}/4!・(−x2)4+・・・
=1+1/(2・1!)・x2+(1・3)/(22・2!)・x4+(1・3・5)/(23・3!)・x6+(1・3・5・7)/(24・4!)・x8+・・・
∴f(x)=arcsinx
=∫t:0→x(1−t2)−1/2dt+f(0)
=x+1/(2・1!・3)・x3+(1・3)/(22・2!・5)・x5+(1・3・5)/(23・3!・7)・x7+(1・3・5・7)/(24・4!・9)・x9+・・・
y=arccosx,−1≦x≦1,0≦y≦πとすると,
x=cosy=sin(π/2−y)
∴π/2−y=arcsinx
∴y=arcosx
=π/2−arcsinx
=π/2−x−1/(2・1!・3)・x3−(1・3)/(22・2!・5)・x5−(1・3・5)/(23・3!・7)・x7
−(1・3・5・7)/(24・4!・9)・x9−・・・
「浜田明巳」 11/05 09時50分 受信 更新 11/05
y=arcsinx
y=arccosx
いずれも元の関数のグラフに収束していく様子がうかがえる.
NO3「二度漬け白菜」 11/16 23時20分 受信
「二度漬け白菜」 11/16 23時20分 受信
更新 11/27
-1≦x≦1において,arcsin(x),arccos(x)はそれぞれ次のような収束する無限級数で表すことができる.
arcsin(x)=x+(1/2)*x^3/3+(1*3/(2*4))*x^5/5+ … +(1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)+…
arccos(x)=π/2-x-(1/2)*x^3/3-(1*3/(2*4))*x^5/5- … -(1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)-…
以下,この無限級数表示を導くに至った過程を記す.
xの関数f(x)をxでn回微分したものを f^{n}(x) と表す.
また,実数pと非負整数kに対し,
comb(p,k)=p*(p-1)*(p-2)*…*(p-k+1)/k! とする.
次の [補題]および[定理]を用意しておく.
---------------------------------------------
[補題]
f(x),φ(x) は [a,b]で連続,
f^{k}(x),φ^{k}(x) (k=1,2,…,n-1)
は [a,b)において連続で,
f^{n}(x),φ^{n}(x)は(a,b)において存在するとし,且つ
φ^{n}(x)≠0 とする.
F=f(b)-f(a)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(b-a)^k/(k!),
G=φ(b)-φ(a)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(a)*(b-a)^k/(k!) (ただし G≠0)
とすれば,
F/G = f^{n}(ξ)/φ^{n}(ξ), a<ξ<b
となるようなξが存在する.
(証明)
K=F/G とおく.
ψ(x)=f(x)-f(a)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(x-a)^k/(k!)-K*(φ(x)-φ(a)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(a)*(x-a)^k/(k!))
とおけば,ψ(x)は[a,b]で連続,(a,b)で微分可能となり,ψ(a)=ψ(b)=0.
よってロルの定理より,ψ^{1}(η)=0, a<η<b なる η が存在する.
ψ^{1}(η)を計算すれば,
0=f^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(η-a)^(k-1)/(k-1)!
-K*(φ^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(a)*(η-a)^(k-1)/(k-1)!).
---(☆)
ここで,
A(x)=f^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(x)*(η-x)^(k-1)/(k-1)!,
B(x)=φ^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(x)*(η-x)^(k-1)/(k-1)!
とおく.
A(x),B(x)にコーシーの平均値定理を適用する.
(A(η)-A(a))/(B(η)-B(a))=A^{1}(ξ)/B^{1}(ξ), a<ξ<η
なる ξ が存在する.
つまり,
(f^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(η-a)^(k-1)/(k-1)!)/(φ^{1}(η)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(a)*(η-a)^(k-1)/(k-1)!)
=f^{n}(ξ)/φ^{n}(ξ), a<ξ<η なる ξ が存在する.
よって(☆)とから,
K=f^{n}(ξ)/φ^{n}(ξ), a<ξ<η
となる.
(証明終)
----------------------------------------------
[定理]
f(x)は[a,b]で連続,
f^{1}(x), f^{2}(x),…,f^{n-1}(x)は[a,b)で連続,
f^{n}(x)は(a,b)で存在すれば,次の関係が成立するような p,θ
が存在する.
f(b)=f(a)+Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(b-a)^k/(k!)
+ R(n),
R(n)=(1-θ)^(n-p)*(b-a)^n*f^{n}(a+θ*(b-a))/(p*(n-1)!),
pは整数ではないような正の実数, 0<θ<1.
(証明)
φ(x)=(b-x)^p (pは整数ではないような正の実数) とおくと,
φ(b)=0,φ(a)=(b-a)^p,φ^{k}(a)=(-1)^k*comb(p,k)*k!*(b-a)^(p-k) となる.
よって,
φ(b)-φ(a)-Σ[k=1,n-1]φ^{k}(a)*(b-a)^k/(k!)
=-(b-a)^p*(1+Σ[k=1,n-1](-1)^k*comb(p,k))
=(b-a)^p*(-1)^n*comb(p-1,n-1)
となる.
よって先の補題より,
f(b)-f(a)-Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(b-a)^k/(k!)
=f^{n}(ξ)*(b-a)^p*(-1)^n*comb(p-1,n-1)/((-1)^n*comb(p,n)*n!*(b-ξ)^(p-k))
=(b-a)^p*(b-ξ)^(n-p)*f^{n}(ξ)/(p*(n-1)!)
なる ξ (a<ξ<b) が存在する.
ここで,θ=(ξ-a)/(b-a) とおけば,0<θ<1 であって,
(b-a)^p*(b-ξ)^(n-p)*f^{n}(ξ)/(p*(n-1)!)
=(1-θ)^(n-p)*(b-a)^n*f^{n}(a+θ*(b-a))/(p*(n-1)!)
となる. すなわち,
f(b)=f(a)+Σ[k=1,n-1]f^{k}(a)*(b-a)^k/(k!)+(1-θ)^(n-p)*(b-a)^n*f^{n}(a+θ*(b-a))/(p*(n-1)!),
0<θ<1.
(証明終)
この定理でa=0,b=xとおくと,
f(x)=f(0)+Σ[k=1,n-1]f^{k}(0)*(x)^k/(k!) + R(n) ---(★)
R(n)=(1-θ)^(n-p)*x^n*f^{n}(θ*x)/(p*(n-1)!),
pは整数ではないような正の実数, 0<θ<1.
となる.
-----------------------------------------------
sin(y)は[-π/2,π/2]で狭義単調増加な連続関数であり,
sin(-π/2)=-1,sin(π/2)=1であるから,
[-1,1]で定義された連続な逆関数 y=arcsin(x) が確かに存在する.
y=arcsin(x) ⇔
x=sin(y).
y=arcsin(x)において,
dy/dx=1/(dx/dy)=1/cos(y)=(1-x^2)^(-1/2) (-1<x<1).
f(x)=arcsin(x) (0≦x≦1) とおく.
0≦x<1のとき,
f^{1}(x)=(1-x^2)^(-1/2),f^{2}(x)=x*(1-x^2)^(-3/2) から帰納的に
f^{n}(x)=P[n](x)*(1-x^2)^(-n+1/2) ---(★★)
( P[n](x) はxのn-1次の整式 )
となることが判る.
(1-x^2)*f^{2}(x)=x*f^{1}(x)
が成り立っていることが確認できる.
この式の両辺をxでn回微分すると,
(1-x^2)*f^{n+2}(x)-2*n*x*f^{n+1}(x)-n*(n-1)*f^{n}(x)=x*f^{n+1}(x)+n*f^{n}(x).
つまり,
(1-x^2)*f^{n+2}(x)=(2*n+1)*x*f^{n+1}(x)+n^2*f^{n}(x).
これと(★★)とから,
P[n+2](x)=(2*n+1)*x*P[n+1](x)+n^2*(1-x^2)*P[n](x) ---(★★★)
が得られる.
P[1](0)=1,P[2](0)=0
であることと(★★★)とから,
P[2*m](0)=0,P[2*m+1](0)=(1*3*5*…*(2*m-1))^2
となることが判る.
よって,
f^{2*m}(0)=0,f^{2*m+1}(0)=(1*3*5*…*(2*m-1))^2
となる.
f(x)は[0,1]で連続,
f^{1}(x), f^{2}(x),…,f^{n-1}(x)は[0,1)で連続,
f^{n}(x)は(0,1)で存在する.
従って先の定理 および (★)より,0≦x≦1なる任意のxに対し,
f(x)
=f(0)+Σ[k=0,n-1]f^{2*k+1}(0)*x^(2*k+1)/(2*k+1)! +
R(2*n+1)
=Σ[k=0,n-1](1*3*5*…*(2*k-1)/(2*4*6*…*(2*k))*x^(2*k+1)/(2*k+1) + R(2*n+1)
となる.
R(2*n+1)において p=1/2 とするとき,R(2*n+1)→0 (n→∞)となることを以下に示す.
f^{1}(x)=(1-x^2)^(-1/2)=((1+x)^(-1/2))*((1-x)^(-1/2))
であり,
これにライプニッツの公式を適用する.
(1+x)^(-1/2)をxでk回微分したもの ((1+x)^(-1/2))^{k} は,
((1+x)^(-1/2))^{k}=(-1)^k*(2^(-k))*(1*3*5*…*(2*k-1))*(1+x)^(-1/2-k).
(ただし,k=0のときは (1*3*5*…*(2*k-1))=1 とする)
また,(1-x)^(-1/2)をxで 2*n-k 回微分したもの ((1-x)^(-1/2))^{2*n-k} は,
((1-x)^(-1/2))^{2*n-k}=(2^(k-2*n))*(1*3*5*…*(4*n-2*k-1))*(1-x)^(-1/2+k-2*n)
(ただし,k=2*nのときは (1*3*5*…*(4*n-2*k-1)=1 とする)
である.
よってライプニッツの公式より,
f^{2*n+1}(x)
=Σ[k=0,2*n]comb(2*n,k)*((-1)^k/(2^n))*(1*3*5*…*(2*k-1))*(1*3*5*…*(2*n-2*k-1))
*(1+x)^(-1/2-k)*(1-x)^(-1/2+k-2*n)
=(2*n)!*(1-x^2)^(-1/2)*(1-x)^(-2*n)*Σ[k=0,2*n](-1)^k*A[k]*((1-x)/(1+x))^k.
( A[k]=((1*3*5*…*(2*k-1))/(2*4*6*…*(2*k)))*((1*3*5*…*(4*n-2*k-1))/(2*4*6*…*(4*n-2*k))) とおいた )
0<A[k]<1,および,
1>A[0]>A[1]>A[2]>…>A[n]<A[n+1]<A[n+2]<…<A[2*n]<1
がわかる.
R(2*n+1) において,p=1/2
とおけば,
|R(2*n+1)|=2*(1-θ)^(2*n+1/2)*x^(2*n+1)/(2*n)!*|f^{2*n+1}(θ*x)|
=2*x*((1-θ)/(1-θ*x))^(1/2)*(1+θ*x)^(-1/2)*(x*(1-θ)/(1-θ*x))^(2*n)*|Σ[k=0,2*n](-1)^k*A[k]*((1-θ*x)/(1+θ*x))^k|.
y=(1-θ*x)/(1+θ*x), S[k]=1-y+y^2- … +(-y)^k
とおけば,0≦S[k]≦1.
故に,
Σ[k=0,2*n](-1)^k*A[k]*((1-θ*x)/(1+θ*x))^k
=A[0]-A[1]*y+A[2]*y^2- … +A[2*n]*y^(2*n)
=A[0]*S[0]+A[1]*(S[1]-S[0])+A[2]*(S[2]-S[1])+ …
+A[2*n]*(S[2*n]-S[2*n-1])
=S[0]*(A[0]-A[1])+S[1]*(A[1]-A[2])+ …
+S[2*n-1]*(A[2*n-1]-A[2*n])+A[2*n]*S[2*n]
=Σ[k=0,2*n-1]S[k]*(A[k]-A[k+1])+A[2*n]*S[2*n]
≦Σ[k=0,n-1](A[k]-A[k+1])+Σ[k=n,2*n-1](A[k+1]-A[k])+A[2*n]
=A[0]-A[n]+A[2*n]-A[n]+A[2*n]
=3*A[0]-2*A[n] (∵A[2*n]=A[0]).
0≦2*x≦2, 0<((1-θ)/(1-θ*x))^(1/2)≦1, 0<(1+θ*x)^(-1/2)≦1,0≦(x*(1-θ)/(1-θ*x))^(2*n)≦1
であるから,
|R(2*n+1)|
≦2*|Σ[k=0,2*n](-1)^k*A[k]*((1-θ*x)/(1+θ*x))^k|
≦2*(3*A[0]-2*A[n])
<6*A[0].
ここで,A[0]=(1*3*5* …
*(4*n-1))/(2*4*6* … *(4*n)) → 0
(n→∞).
(A[0]=Π[k=1,2*n](1-1/(2*k))≦Π[k=1,2*n]e^(-1/(2*k))
(∵0≦xのとき,1-x≦e^(-x))
=e^(-(1/2)*Σ[k=1,2*n]1/k)→0(n→∞))
よって,0≦x≦1 に対して,|R(2*n+1)| →
0 が得られる.
以上より,0≦x≦1においてf(x)は
f(x)
=Σ[n=0,∞](1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)
=x+(1/2)*x^3/3+(1*3/(2*4))*x^5/5+ … +(1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)+…
と級数展開できる.
また,この式の両辺はいずれも奇関数であるから,xを-xに変えても
やはり等式が成り立つ.
よって-1≦x≦1においてf(x)は
f(x)=x+(1/2)*x^3/3+(1*3/(2*4))*x^5/5+ … +(1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)+…
と級数展開できる.
cos(y)は[0,π]で狭義単調減少な連続関数であり,
cos(0)=1,cos(π)=-1であるから,
[-1,1]で定義された連続な逆関数 y=arccos(x) が確かに存在する.
y=arcsin(x) とおくと,
sin(y)=x. よって,cos(π/2-y)=x.
-π/2≦y≦π/2 であるから 0≦π/2-y≦π.
よって,arccos(x)=π/2-y.
つまり,arccos(x)=π/2-arcsin(x).
よって -1≦x≦1 において arccos(x)は,
arccos(x)=π/2-x-(1/2)*x^3/3-(1*3/(2*4))*x^5/5- … -(1*3*5*…*(2*n-1)/(2*4*6*…*(2*n)))*x^(2*n+1)/(2*n+1)-…
と無限級数で表すことができる.
-----------------------------------------
今回の問題の解答の作成には,次の本を参考にしました.
藤原松三郎 著 『微分積分学 第一巻』
(この本の 第二章 を参考にしました.)
NO4「早起きのおじさん」 11/21 21時06分 受信
更新 11/27
関数 のマクローリン展開は、
という形をしています。
例えば、 のマクローリン展開は、
なので、
また、両辺を で微分すると、
グラフ
さて、 の逆関数
のマクローリン展開を考えます。
いくつか導関数を調べます。
なので、
よって、
簡便のためにこれを
と表すことにします。
さらに続けると、
一般的に、次のように表してみます。
ここで係数の関連を調べると、
この関係から、次のように、 の式として整理したときの導関数の係数を求めることができます。
(実際にはエクセルで計算しました)
マクローリン展開を考えるとき、 とします。
すると、偶数次の導関数は0、奇数次の導関数も2番目以降の項は0になります。
よって、奇数の導関数の最初の項の係数の値が大切になります。
ここで、初めの2つの係数の仕組みを調べると、
ここで、奇数次導関数を一般的に書いてみると(
と考えるのが係数の式が自然です)、
偶数次の導関数は、
と推察されます。
さて、奇数次の導関数()の最初の項の係数が、 の形になることを調べます。
奇数と偶数をセットでみていきます。
[1] のとき、
です。
です。
これは、初めの計算と一致しています。
[2] のとき、式(*)と(**)が成立すると仮定します。
式(**)の両辺を
で微分すると、
となり、 のとき、(*)と(**)が成り立てば、 のときも奇数次の導関数の最初の係数は奇数平方の積の形です。
また、2番目の項の係数も仮定の形をしているので、 のときの偶数次の導関数の最初の係数も奇数平方の積の形です。
したがって、 のときの奇数次の導関数の最初の係数も奇数平方の積の形です。
(しかし、偶数次の係数が成立しているかはいえません。)
(偶数次の導関数の2番目の係数がこのままでは仮定の形に戻らないので)
(しかし、実際に計算すれば仮定の形になります。)
以上から答えは、
さて、 の逆関数
のマクローリン展開を考えます。
いくつか導関数を調べます。
なので、
よって、
簡便のためにこれを
と表すことにします。
すると、今まで考えていた正弦関数の逆関数のときと同じ形です。
に注意して、
この結果から、
です。
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。