平成29年9月3日
[流れ星]
第350回数学的な応募解答
<解答募集期間:8月6日〜9月3日>
[回転体の体積]
周囲の長さが一定な値2sである三角形ABCにおいて、辺BCをx軸として回転できる立体(回転体)の体積をVとする。次の問に答えよ。
問1:BC=a,AB=xとおくとき、xのとりうる範囲をsとaを用いて表せ。
問2:点Aから辺BCに下ろした垂線の足(垂線と辺BCの交点)をHとする。
BC=aを固定したとき、長さAHが最大になるとき、AB=ACであることを示せ
問3:体積Vの最大値をsで表せ。そのとき、三辺の比AB:BC:CAを求めよ。
NO1「にいばりZ12」 08/08 01時19分 受信 更新 9/3
問1
三角形を構成するするためには
一辺の長さが他の2辺の長さの和より小さくなくてはなりません
AB+AC+BC=2s
AC=2s-x-a
AB<AC+BC・・・x<2s-x-a+a=2s-x
x<s
AC<AB+BC・・・2s-x-a< a+x
x>s-a
BC<AC+AB・・・a< 2s-x-a+x
a<s
以上から
s-a<x<s・・・・回答
(x→0の時a→s)
問2
いま、BCのの中間を原点とするxy座標を考えます
AB+AC=2s-a(const)とすると
AはBとCを2焦点とする楕円の軌跡となります
よってAHが最大値をとるのはAがy軸上(x=0) の短径の時であり
AB=AC・・・・回答
問3
V= BC ・AH2・π/3
BC=a
ここで問2よりaを固定したとき(即ちaの値に係らず)AHを最大にするにはAB=ACなので
x =(2s-a)/2=s-a/2
AH=(x2-(a/2)2)1/2
Vをa、sで表すと
V=a・((s-a/2)2-(a/2)2)・π/3
=a・(s-a/2-a/2)・(s-a/2+a/2)・π/3
= (-a2s+as2)・π/3
sは固定値なのでVはaの関数となります
aで微分し極値を求めると
a=s/2
なので(増減表は省きますが以上以下でも0に近づく)
Vの最大値は
s3π/12
AB:BC:AC=s-s/4:s/2: s-s/4=
3s/4:s/2: 3s/4=3:2:3・・・・・回答
感想
初めは周長を固定した場合三角形の面積が最大となるのは正三角形なのでAB:BC:AC=1:1:1の正三角形になるのではないかと予想したのですが
よく考えると体積はAに近い方が効いてくるので正三角形にはならないと気づきました。ただし周長が固定されているので回答を超えると体積が減ってしまいます。
何とも面白い結果でした。
「にいばりZ12」 08/10 01時43分 受信 更新 9/3
(水の流れ: 問2についてこの解法は思いつきませんでした。発想が豊富。)
に対してのコメントです。
問2の楕円の考えは、仕事が測量でいつも地球楕円体(準拠楕円体)の事を考えていたことからだと思います。決して発想が豊富なわけではありませんがそうありたいと常日頃から思っています。
そのためにも、このサイトに投稿させて頂いているわけで、仕事と一見全く無関係と思われる数学がある日突然必要になったりします。
先日、測量の問題で境界点10点を上下左右を±1cmだけ動かすという問題に遭遇しました。
この組み合わせを考えると6万通りほどになるのですが、全ての組み合わせを無駄なく考えるのには
0,1,2と言う数字から1を引いて-1,0,1とすればいいので3進法と言う数学が必要になります
高専時代は学習していませんでしたが、今はネットで検索学習できます。
数学はどうしてこんなこと(例えば数論や位相幾何など)をやらなければならないのかと思う事があると思いますが上記のように実際の仕事に数学(に限らずあらゆる学問)は不可欠です。
道路の仕事に携わっていた時には、自然保護の問題を考えるために
「樹木社会学」を熟読し、フィールドも行いました。(中学校の理科です。著作は北大の大学院の教科書です)
北海道の田舎の小学校の教頭先生(女性)にお願いして請負業者とともに小学生を引率し(総合学習の時間をいただいて)橋の架け替え工事の前にザリガニの引っ越しを皆で行いました。
その折に協力をお願いしたコンサルタント(環境担当)の方々からとても丁寧に草木や水生生物の説明を頂いたときの集まった小学生たちの目の輝きが忘れられません。
木の高さを目測するのに木から何歩(歩幅は事前にはかっておく)か離れて木の一番上までの角度を測り、それをメモして定規で測る。これなどはその時に小学生にその方々が教えていたことですが測量そのもので、数学でもあります。(因みに同行した請負業者の人が小学生のころ偶然教頭先生の教え子であることを告白(先生は気づいていませんでした)し一部盛り上がっていました)
用地測量には、昔からの境界を読み解くために背景にある歴史を学ばなければなりません。
この歴史ひとつとっても、中央史の他に民族(俗)史や郷土史、行政史、産業史等様々なものがあり語りつくせません。
もともと数学や天文学は測量が求めた学問で数学(中学レベル)の解からない測量士は資格返上すべきと考えています。
思ったことを、書き連ねてしまいましたが、結局言いたかったのは、あらゆる学問に必要のない学問はないという事です。
言い換えると、あらゆる学問は他の学問を必要としていることです。
極端な例でいうと「数学は美学や歴史学」を必要としているかとの問いには
「はい」と答えます
物理学者であり、稀代の数学者でもあったシューレディンガーは数学に美学の思想を取り入れ波動方程式を考案しまた
数学史が無ければ数学と言う学問そのものが崩壊します。リーマン予想はその予想なされた歴史を理解することから始まりますし、ガロア理論からガロアの育った革命の時代をはずすことはできないでしょう(なぜガロアが群から体の間で公理の省略を)。
ノーベル物理学賞受賞者の南部洋一郎先生が対称性の破れを認識したのは対称性の破れと言う「西洋不美」と非対称性にある「東洋美」のセンスからであるというのは中学の時に本屋で立ち読みしました。
今59歳で、早生まれなので来年の3月に還暦を迎え退職となります。
そうすれば数学に専念できるかと思いきや、経済的な理由もあり半額の給料であと5年は嘱託として働かなければならないようです。
先生にも、毎日が数学三昧になる5年後以降にもこのサイトを運営して頂けるととてもありがたいと思っています。それにしてもuchinyan さんの名前を(いつも見かける)他のサイトでも見かけません。心配ですね。
<水の流れ:uchinyanは大変重い病気にかかっておられ、今まで無理して投稿されていました。現在はきっとパソコンの入力もできない状態と思っています。しかし、このサイトを観ておられる可能性はあります。>
NO2「浜田明巳」 08/08 08時39分 受信 更新 9/3
問1
BC=a,AB=xより,CA=2s−a−xとなる,
三角不等式より,
a>0・・・(1)
x>0・・・(2)
2s−a−x>0・・・(3)
a<x+(2s−a−x)・・・(4)
x<(2s−a−x)+a・・・(5)
2s−a−x<a+x・・・(6)
(1),(4)から,0<a<s・・・(7)
(2),(3)から,0<x<2s−a・・・(8)
(5)から,x<s・・・(9)
(6)から,x>s−a・・・(10)
ここで,(2s−a)−s=s−a>0
∴s<2s−a
まとめると,s−a<x<s・・・(答)
問2
Aから直線BCに垂線AHを下す.
i). Hが辺BC上にあるとき,BH=y,CH=a−y(0≦y≦a)とすると,
AH2=AB2−BH2=AC2−CH2
∴AH2=x2−y2=(2s−a−x)2−(a−y)2・・・(11)
∴x2−y2={(2s−a)2−2(2s−a)x+x2}−(a2−2ay+y2)
∴0=(4s2−4as)−2(2s−a)x+2ay
∴y={(2s−a)x−2s(s−a)}/a・・・(12)
(12)を(11)に代入すると,
AH2=x2−[{(2s−a)x−2s(s−a)}/a]2
∴a2AH2=[a2−(2s−a)2]x2+{4s(s−a)(2s−a)}x−{2s(s−a)}2
=−(4s2−4as)x2+{4s(s−a)(2s−a)}x−{2s(s−a)}2
∴a2/{4s(s−a)}・AH2=−x2+(2s−a)x−s(s−a)
∴a2/{4s(s−a)}・AH2+s(s−a)=−x{x−(2s−a)}
s−a<(2s−a)/2<s,s−a<x<sであるから,
x=(2s−a)/2
のとき,AHは最大となる.
このとき,(12)から,
y={(2s−a)2/2−2s(s−a)}/a
=(4s2−4as+a2−4s2+4as)/(2a)=a/2
これは0≦y≦aを満たす.
故に確かに,x=(2s−a)/2,y=a/2のとき,AHは最大となる.
このとき,
AH2=x2−y2={(2s−a)/2}2−(a/2)2=(4s2−4as)/4=s(s−a)
ii). Hが辺BC上にないとき,BH=y,CH=a+y(y>0)としても一般性は失わない.
∴AH2=x2−y2=(2s−a−x)2−(a+y)2・・・(13)
∴0=(4s2−4as)−2(2s−a)x−2ay
∴y={2s(s−a)−(2s−a)x}/a・・・(14)
(14)を(13)に代入すると,
AH2=x2−[{2s(s−a)−(2s−a)x}/a]2
∴a2/{4s(s−a)}・AH2+s(s−a)=−x{x−(2s−a)}
故にx=(2s−a)/2のとき,AHは最大となり,(14)から,
y={2s(s−a)−(2s−a)2/2}/a=−a/2
これは0≦y≦aに反する.
故にこの場合,i)よりAHが大きくなることはない.
i).ii).より,AHは,AB=x=(2s−a)/2のとき,最大となる.
このとき,AC=2s−a−x=2s−a−(2s−a)/2=(2s−a)/2
∴AB=AC
問3
V=2・1/3・π・AH2・BH=(2π)/3・s(s−a)・a/2
=−(sπ)/3・a(a−s)
0<a<sから,a=s/2のとき,Vは最大となる.
このとき,
V=−(sπ)/3・s/2・(s/2−s)=π/12・s3・・・(答)
また,
x=(2s−a)/2=(2s−s/2)/2=3/4・s
∴AB:BC:CA=x:a:x=(3/4・s):(s/2):(3/4・s)=3:2:3・・・(答)
(参考)AB=xとするので,BCをx軸ではなく,回転軸と呼ぶ方が良いと思います.混乱するかもしれません.
NO3「早起きのおじさん」 08/08 16時01分 受信 更新 9/3
問1
三角形の
二辺の和は、他の一辺より長く、
二辺の差は、他の一辺より短いので、
CA+BC>AB
CA−BC<AB
よって、
(2s−x−a)+a>x
(2s−x−a)−a<x ・・・ (*)
整理すると、
s>x
s−a<x
まとめて、
s−a<x<s
(*)の式で差の式をBC−CA<ABとすると、a−(2s−x−a)<xより、a<sとなります。
これは、BC<CA+ABと同じ式です。
一辺として、別の辺を考えたことになります。
問2
BCが固定されていれば、
残り二辺の和AB+ACの値も固定されます。
二定点までの距離の和が一定の図形は、楕円です。
AHの長さが最大になるときは、
AHが短軸に重なるときです。
そのとき、△ABCは二等辺三角形なので、
AB=ACとなります。
問3
問2の図のBCを軸とする回転体の体積Vは、BH=tとおくと、二つの円錐の体積の合計なので、
つまり、軸BCが固定されていれば、回転体の体積は、AHの長さの2乗に比例することがわかります。
さて、AB=ACとすると、
x=2s−x−a
より、
AHが楕円の短軸に重なるとき、
すると、
これをaの2次関数と考えると、最大値は、 のときです。
(**)の式に代入すると、
そのとき、
NO4「スモークマン」 08/09 13時43分 受信 更新 9/3
問1:BC=a,AB=xとおくとき、xのとりうる範囲をsとaを用いて表せ。
a<a+x<2s
o<x<2s-a
問2:点Aから辺BCに下ろした垂線の足(垂線と辺BCの交点)をHとする。
BC=aを固定したとき、長さAHが最大になるとき、AB=ACであることを示せ
BC=a なので…AB+AC=s-a=一定
So…明らかに、Max{AH}はAがB,Cを焦点にする楕円の真ん中のときで、
そのときは、明らかにAB=AC
問3:体積Vの最大値をsで表せ。そのとき、三辺の比AB:BC:CAを求めよ。
△ ABCの面積が最大のときが体積も最大だから…
(回転体の回転軸を通る平面で切断したときの面積はMaxのときのはずだから
BC=a,
AB=AC=(s-a)/2 のときの高さがMaxなので、
高さ^2=((s-a)/2)^2-(a/2)^2=(1/16)*(s/2)*(s/2-a)
△ ABC=(1/8)*a*√((s/2)*(s/2-a))
f(a)=a^2*(s/2-a)=-a^3+(s/2)*a^2
f’(a)=-3a^2+s*a=a(s-3a)=0
a=s/3 のときが最大…つまり、正三角形のとき!!
So…AB:BC:CA=1:1:1
重心は高さの1/3の位置なので…(s/3)*(√3/2)*(1/3)=√3*s/18
カバリエの原理から…
=(1/2)*(s/3)^2*(√3/2)*(√3/9)*π*s
=(1/108)*s^3
また…BACが曲線でもよければ…
r=s/(2π)
V=π*r^2*2πr
=2π^2*r^3=1/(2π)^2*s^3
になるのかな
<水の流れ:しまった忘れていた。正解に至ってないことを伝えていなかった。ごめんなさい>
NO5「二度漬け白菜」 08/24
17時56分 受信 更新 9/
xy直交座標を用意し,この三角形ABCをこの座標系に次のようにおく.
辺BCの中点が原点Oに一致するようにし,B(-a/2,0),C(a/2,0)となる
ようにする.また点Aのx座標が正になるようにする.
問1:
AB+AC+BC=AB+AC+a=2*s より,AB+AC=2*s-a (一定).
よって,点Aは B,C を焦点とする
楕円: x^2/(s-a/2)^2 + y^2/(s^2-a*s)^2 =1
上にある.
A(X,Y)とする.
AB^2
=(X+a/2)^2+Y^2
=(X+a/2)^2+((s^2-a*s)^2)*(1-X^2/(s-a/2)^2)
=(s-a/2+(a/2)*X/(s-a/2))^2.
-(s-a/2)<X<(s-a/2) であるから,
(s-a/2)+(a/2)*X/(s-a/2)>s-a>0.
よって,AB=(s-a/2)+(a/2)*X/(s-a/2).
再び -(s-a/2)<X<(s-a/2) より,
s-a<AB<s.
つまり,s-a<x<s (答)
問2:
A(X,Y)とする.
AH^2
=Y^2
=((s^2-a*s)^2)*(1-X^2/(s-a/2)^2).
よって,
AHが最大
⇔
AH^2が最大
⇔
((s^2-a*s)^2)*(1-X^2/(s-a/2)^2)が最大
⇔
X=0
⇔
A(0,s^2-a*s)
⇔
点Aがy軸上にある
⇔
AB=AC.
問3:
対称性を考えれば, X≦0の場合を考えれば十分.
X<-a/2のときは,
V=(π/3)*(AH^2)*(HC)-(π/3)*(AH^2)*(HB)
=(π/3)*(AH^2)*(HC-HB)
=(π/3)*(AH^2)*(CB)
=(π/3)*(AH^2)*a.
X≧-a/2のときは,
V=(πw)刋タ・・・妃鴬ィ柁・・ぢπ/3)*(AH^2)*(HC)
=(π/3)*(AH^2)*(BH+HC)
=(π/3)*(AH^2)*(BC)
=(π/3)*(AH^2)*a.
つまりXの値にかかわらず,常に V=(π/3)*(AH^2)*a.
aを固定したとき,
Vが最大 ⇔ AHが最大 ⇔ AH=(s^2-a*s).
よってVの最大値は V=(π/3)*(s^2-a*s)*a ---(★)
aを変化させたときの(★)の最大値が最終的なVの最大値.
V=(π/3)*(s^2-a*s)*a=(π/3)((-s)*(a-s/2)^2+s^3/4).
a=s/2のとき,Vは最大値 (π/3)*(s^3/4)=(π*s^3)/12 をとる.(答)
このとき,AB=AC=s-a/2=(3*s)/4.
よって,Vが最大値となるとき,
AB:BC:CA=(3*s)/4:(s/2):(3*s)/4=3:2:3.(答)
NO6「JO-DO」
09/02 19時16分 受信 更新 9/3
問1)
まず、AB+AC>BCより0<a<sである。
ABが最大となるのは3点B,C,Aがこの順に直線上に並ぶ寸前、
ACが最小となるのは3点A,B,Cがこの順に直線上に並ぶ寸前である。
前者よりx<s,後者よりs-a<xが示されるから、
xの取り得る範囲は s-a<x<s
問2)
ΔABCの面積をSとする。
BCを底辺、AHを高さと見ると、
AHの最大値を与える点Aの位置と、Sの最大値を与える点Aの位置は一致する事が分かる。
ここでヘロンの公式より
S=√[s(s-a)(s-AC)(s-AB)]
≦√[s(s-a)] × {(s-AC)+(s-AB)}/2
(∵s-AC>0,s-AB>0による相加相乗平均の大小関係)
=a/2 × √[s(s-a)]
等号はs-AC=s-BC,すなわちAC=BCのとき実際に成立する。
ゆえにSはAB=ACのとき最大値を取り、題意は示された。
問3)
AH=hとおく。
V= BH×h²π/3 +
CH×h²π/3
=h²aπ/3
また問2の結論より、Vを最大にするhについてhはBCの中点であるから、
ΔABHにおける三平方の定理より
(s- a/2)²=(a/2)²+h²
が成立する。
整理してh²=s(s-a)
これをVの式に代入して、
V=s(s-a)aπ/3
≦sπ/3 × {(s-a)+a /2}²
(∵s>0,s-a>0による相加相乗平均の大小関係)
=s³π/12
等号はs-a=aのとき、すなわちa=s/2のとき成立する。
このときAB=AC=3s/4であるから、
Vの最大値はs³π/12 , このときAB:BC:CA=3:2:3
<水の流れ:AB:BC:CA=3:2:3 となったとき、3分の1または3分の2公式に当てはまるのではないかと思い出題しました。>