平成30年4月15日
[流れ星]
第359回数学的な応募問題
<解答募集期間:4月15日〜5月13日>
[大垣市明星輪寺の算額]
わが国古来の数学で江戸時代に発達した和算の問題を記載した絵馬は「算額」と呼ばれ、数学史研究の貴重な資料として世界的にも関心を寄せられ内外共に注目を集めているものである。元祖関考和の流れを汲む大垣藩領内の安八郡外野郷算光堂塾主天極斉浅野孝光(五藤治)の門人たち27人が奉納したこの算額絵馬は、初段から10段まで12問が、円形、三角形、菱形などを多角的に組み合わせ、赤、白、黄、青の彩色された幾何学模様の難問が「問う曰く何々」「答えて曰く何々」と問題毎に、いわゆる一問一答形式で表現してあり、これを神仏に奉納し、感謝を捧げると共に、学習成果を世にアピールしさらに和算研究の振興発達を期するものであって、これは恐らく的な卒業論文集のようなものではないかと推察されて微笑ましい。
上の文章は岐阜県大垣市赤坂町明星輪寺の岐阜県指定文化財から引用した。
下図は1865年に掲げられた算額です。また、答えの分母は問題番号でして、粋な計らいがしてある。
ここでは、第1問題、第4問題、第8問題の原作は以下ですが、分かりやすくして出題します。答えに至る過程を考えてください。
参考までに明星輪寺に奉納した算額の図の下書きが浅野家で所蔵されています。
問題1.いま図のように、扇の内に赤円・緑円・白円と5個の円が接している。扇の半径を与えて白円が最大になるとき、赤円と白円の直径の和を求めよ。
ただし、扇形と白円と緑円の中心は一直線上にあるのとは既知します。
答えて曰く。赤円と白円の直径の和=扇の半径
問題2.いま図のように、長方形の中に青い半円(青い円の直径は長方形の縦に同じ)があり、その間に赤・白・浅青・緑・黒・薄紅と10個の円が接している。青色の円の直径が与えられたとき浅青の円の直径を求めよ。
ここで、円の中心を下記のようにします。
答えて曰く。浅青円の直径=青円の直径/4
問題3.いま図のように、円の中に青・緑・赤・白の12個の円をそれぞれが接するように容れる。外側の円の直径が与えられたとき白円の直径を求めよ。
参考:円や球の接触問題を簡単に解くためによく使われる方法に反転法という半径の逆数を使う方法がある。和算にはこの方法がなく、三平方の定理のような基本的な方法を使って得られたもので、その解答は長くなる。しかし、反転法を使うと極端に短くなる。
ここで、円の中心を下記のようにします。
答えて曰く。白円の直径=外側の円の直径/8
参考文献:「日本の幾何−何題解けますか?」 (深川英俊、ダン・ぺドリー
共著) 森北出版
「日本の幾何−何題解けますか?[上][下]」 (深川英俊、ダン・ぺドリー 共著) 森北出版
算額の資料は明星輪寺住職の厚意で頂きました。
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。